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秋葉原のMOGRAが「鉄拳」サウンドに揺れた。「鉄拳TAG2」サントラリリースパーティ「TEKKEN TAG TOURNAMENT2 : Driving Beats」レポート
このイベントはSweepRecordより11月17日,同作のサウンドトラックがリリースされたことを記念して行われたもの。バンダイナムコゲームスのサウンドチームや,音楽制作会社 SuperSweepの面々など,歴代「鉄拳」シリーズのサウンドを手がけてきたアーティスト達の手により,轟音「鉄拳」サウンドが鳴り響いた5時間を,本稿では写真を交えつつ,レポートしていこう。
「鉄拳TAG TOURNAMENT2」公式サイト
SweepRecord「鉄拳タッグトーナメント2 オリジナルサウンドトラック」
「鉄拳」初となるクラブイベントに,縁あるコンポーザー達が大集結
最後はアンビエントな美メロを聴かせる「Night Falls」でフィニッシュ。バンダイナムコサウンドの新たな息吹を確かに感じる,素晴らしいプレイとなった。
■井上拓氏 セットリスト
- のびのびマシン (ACID EUTRON #000)(「のびのびBOY」より)
- ENTRANCE(「Pac-Man Championship Edition DX」より)
- F.F.Y.R.(「鉄拳TAG TOURNAMENT 2」より)
- Nitro Right Now(「Ridge Racer 3DS」より)
- ACID EUTRON #007 - Baraduke Remix(「塊魂ノ・ビ〜タ」より)
- Tsui Tsui(「Ridge Racer 5」より)
- PAC DIMENSIONS(「Pac-Man Championship Edition DX」より)
- Eddy Stage(「TEKKEN TAG TOURNAMENT」より)
- Electro Madness(「Ridge Racer 7」より)
- Zirkus(「鉄拳TAG TOURNAMENT 2」より)
- Disco Ball(「Ridge Racers」より)
- King Vs U (Remix Version)(「TEKKEN TAG TOURNAMENT」より)
- King Stage(「TEKKEN TAG TOURNAMENT」より)
- Night Falls(「鉄拳TAG TOURNAMENT 2」より)
続いては「鉄拳TAG TOURNAMENT2」でサウンドディレクターを務めた柿埜嘉奈子氏が舞台にあがって挨拶。本イベントが開催にこぎ着けた感動を語るとともに,「学生時代からのファンでした!」との声でSuperSweep所属,“sampling masters AYA”こと佐宗綾子氏にバトンタッチする。
佐宗綾子氏は「リッジレーサー」シリーズなどでナムコサウンドの一時代を築きつつ,今なおさまざまなゲームタイトルに楽曲を提供している人物だ。「鉄拳」シリーズでは“6”のNoh Theaterステージ楽曲,「Only one Fight」などを担当している。
「懐かしい曲でいきます」という言葉のどおり,「鉄拳1」の京都ステージBGMから始まったプレイは,ファンにはお馴染み過ぎるほどお馴染みのフィジーステージのBGMを経て,「鉄拳2」「鉄拳3」,そして「鉄拳タッグトーナメント」と,「鉄拳」サウンド変遷の歴史を体感させるがごとくミックスされてゆく。
合間にはPS2版「鉄拳タッグトーナメント」に収録されたオリジナルモード,鉄拳ボウルのストライクジングルを挟むなど,彩り豊かなサウンドを聴かせてくれた。
■佐宗綾子氏 セットリスト
- 京都(「鉄拳1」より)
- 四川省(「鉄拳1」より)
- アンコールワット(「鉄拳1」より)
- フィジー(「鉄拳1」より)
- ウィンダミア(「鉄拳1」より)
- ジャック(「鉄拳2」より)
- ポール(「鉄拳2」より)
- ニーナ(「鉄拳2」より)
- レイ・ウーロン(「鉄拳2」より)
- ペク・トーサン(「鉄拳2」より)
- キングJr(「鉄拳3」より)
- ニーナ(「鉄拳3」より)
- ファラン(「鉄拳3」より)
- エディ(「鉄拳タッグトーナメント」より)
お次はMONACA所属,「鉄拳」シリーズでは“3”以降の楽曲を担当している岡部啓一氏が登場。開口一番「みんなちゃんとミックスしててすごいなぁ(笑)。俺はそんなことはないので,まったり聴いてて下さい(笑)」と会場の笑いを誘いつつも,「鉄拳3」から「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のジンステージをきっちりミックスしてくるなど,匠の技を聴かせていた。
途中,クラブイベントではまさかともいえる“フェードアウトからの休憩”を経たのちは,「鉄拳6」から「鉄拳TAG TOURNAMENT2」といった比較的新しめの,かつ「俺の曲しか流しません!」との宣言どおり岡部氏作曲の「鉄拳」サウンドを中心にプレイしていく。
中でも「鉄拳1」フィジーステージをリミックスである,「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のEternal ParadiseステージBGMとなる「Fiji -Paraiso Mix-」,そしてヨーデルをフィーチャーして話題となった「鉄拳6BR」,Hidden Retreatこと羊ステージのBGM「Yodeling in meadow hill」には,会場に駆けつけたファン達も大満足の様子だった。
■岡部啓一氏 セットリスト
- Opening Movie(「鉄拳3」より)
- Nina Williams(「鉄拳3」より)
- Eddy(「鉄拳3」より)
- Heihachi Mishima(「鉄拳3」より)
- Jin Kazama(「鉄拳3」より)
- Jin Kazama -Far East Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Utmost Limits(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- 休憩
- What you will see(「鉄拳6」より)
- Edge of Spring(「鉄拳6」より)
- Hwoarang(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- Xiaoyu(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- Fiji -Paraiso Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Dist thins out(「鉄拳6」より)
- Dist thins out(「鉄拳6BR」より)
- Yodeling in meadow hill(「鉄拳6BR」より)
- Sadistic Xmas(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Moonlit Wilderness -D.T.O. Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Two against the darkness(「鉄拳6」より)
- RESULT(「鉄拳タッグトーナメント」より)
イベント中盤に登場したのは“めがてん細江”や“sampling masters MEGA”として知られる,SuperSweep所属の細江慎治氏。氏はPS版「鉄拳1」や「鉄拳2」,そして「リッジレーサー」シリーズなどの楽曲を手がけているほか,幾多のゲームタイトルにサウンドコンポーザーとして参加。近年のVGM(Video Game Music)を語るうえでは外せないキーパーソンである。
そんな細江慎治氏のプレイは,「鉄拳1」〜「鉄拳3」,「鉄拳タッグトーナメント」と,初〜中期の「鉄拳」サウンドを中心としたもの。佐宗綾子氏に対して「やばいっネタかぶりまくるな」とつぶやきながらも,氏ならではのゴリゴリなテクノミックスで会場を盛り上げてくれた。
なお,ほかのコンポーザー達がこぞってかけていたフィジーステージBGMを,細江氏は「鉄拳2」版でプレイ。示し合わせていたかのような展開に,歓声が上がる場面も見られた。
■細江慎治氏 セットリスト
- USA(「鉄拳1」より)
- 鉄拳OP(「鉄拳1」より)
- マリンスタジアム(「鉄拳1」より)
- 京都(業務用)(「鉄拳1」より)
- 京都(PS版)(「鉄拳1」より)
- KING(「鉄拳1」より)
- リズムオブチャイナ(「鉄拳2」より)
- 平八(鉄拳王)(「鉄拳2」より)
- ナイトインシカゴ(「鉄拳1」より)
- フィジー(「鉄拳2」より)
- 吉光(「鉄拳2」より)
- ミシェール(「鉄拳2」より)
- レイウーロン(「鉄拳3」より)
- ポール(「鉄拳3」より)
- ジュリア(「鉄拳3」より)
- アンナ(「鉄拳3」より)
- アーケードモード(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- セレクト(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- ニーナ(「鉄拳タッグトーナメント
- アンノウンムービー(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- ポール(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- 木人(「鉄拳3」より)
- Uninhabited(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- Opining Movie(「鉄拳タッグトーナメント」より)
- PS2 Result(「鉄拳タッグトーナメント」より)
マイクを握った佐野氏は,曲を流しながら解説を加えていく独特のDJ(?)スタイルで会場,そしてUstream視聴者をも爆笑の渦に巻き込んだ。中でも第一部であるヨシミツステージ8連発の1曲目,「鉄拳2」から「The Headshaker」をかける際には「この曲のイントロ,いいでしょう? でも,長すぎるって原田さんにカットされて……。とても揉めたことを覚えています!」など,知られざるメイキングエピソードを開陳する場面も。
続く「鉄拳TAG TOURNAMENT2」の楽曲は,持ち込んだMac Book Pro上でDTMソフトCUBASE6を走らせてのリアルタイムミックス。ミュートとループを駆使して佐野氏お気に入りのパートを聴かせつつ,ハイテンションな煽りと愛嬌ある失敗(?)を織り交ぜた,絶妙なパフォーマンスで場を湧かせてくれた。
そして締めはニンテンドーDS用ソフト「KORG M-01」の宣伝タイム……と思いきや,「(サントラ発売)おめでとうパフォーマンス」が開幕。「鉄拳といえば,コレでしょう!」と,予め打ち込んでおいたフィジーステージのメロディを再生し,音色を変えながら徐々に一つの楽曲を作り上げていった。
■佐野信義氏 セットリスト
- The Headshaker(「鉄拳2」より)
- The Headshaker(「鉄拳2」Strike Arranges CDより)
- Yoshimitsu(AC版「鉄拳3」より)
- Yoshimitsu(PS版「鉄拳3」より)
- Yoshimitsu(「鉄拳3」Battle Trax CDより)
- Yoshimitsu Stage BGM(AC版「鉄拳タッグトーナメント」より)
- Yoshimitsu(PS版「鉄拳タッグトーナメント」より)
- Yoshimitsu VS Sanodg(「鉄拳タッグトーナメント」Direct Audioより)
以下,CUBASEによるリアルタイムミックス
- School -After school mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Tool Pusher(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Un Deux Trois(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Fiji(「鉄拳1」より,-KORG M01 Realtime Remix-)
さらにイラストレーターである山下しゅんや氏と,コラボしたキャラクターイラストがお披露目された。アリサ,アスカ,ファラン,ジェイシーことジュリア,リリ,シャオユウといったキャラクターを紹介し,コトブキヤとともに展開する“TEKKEN 美少女”フィギュア第1弾のクリスティに引き続いて,そのほかの女性キャラクター達もフィギュア化を検討していることが明かされた。
アリサ |
ジェイシー |
リリ |
シャオユウ |
氏は「リッジレーサー」「塊魂」「太鼓の達人」シリーズ,そして「鉄拳」では“3”以降に多数の楽曲を提供,また「鉄拳TAG TOURNAMENT2」ではミュージックディレクターを務めている。まさにバンダイナムコサウンドの“今”を代表する一人といえるだろう。
「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のオープニングテーマで幕を開けたプレイは,「鉄拳5DR」滝ステージことWaterfallのBGM「Formless Like Water」や,仏像ステージと呼ばれたHell's GateのBGM「Ka-En-No-Mai」へと展開,途中「Pac-Man Championship Edition DX」「Ridge Racer 7」といったナムコサウンド,そして“AJURIKA”名義でのソロアルバム「Samurai Damacy」を織り交ぜつつも,メインは「鉄拳TAG TOURNAMENT2」の楽曲という,リリースパーティらしい展開となった。
中でも,演歌をモチーフにした哀愁漂うイントロから,一瞬にしてハードなシュランツへと変ぼうを遂げるBountiful Seaこと巌竜丸ステージBGM「IT'S NOT A TUNA!」がかかった折りには,観客がDJブース付近へと殺到,盛り上がりは最高潮に。
ラストには再び「Tekken Tag Tournament Piano Intoro -Massive Mix-」を持ってくる周到さで,余韻を残しながらも5時間のイベントに幕を降ろした。
■遠山明孝氏 セットリスト
- Tekken Tag Tournament Piano Intoro -Massive Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- AIM TO WIN(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Formless Like Water(「鉄拳5」より)
- The Strongest Iron Arena -Silver Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Abyss of Time(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- IT'S NOT A TUNA!(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- PACRAINBOW(「Pac-Man Championship Edition DX」より)
- Tekstep Fountain(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
- Ka-En-No-Mai(「鉄拳5」より)
- Samurai Damacy(AJURIKA名義ソロアルバム「Samurai Damacy」より)
- Freak Out -OverBoost mix-(「Ridge Racer 7」より)
- Hacked(「鉄拳6」より)
- KARMA(「鉄拳6」より)
- Tekken Tag Tournament Piano Intoro -Massive Mix-(「鉄拳TAG TOURNAMENT2」より)
遠山氏は「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のミュージックディレクターを受けるにあたって,当初から本イベントの構想を温めていたという。ファンの熱烈な応援に「次回もやりたいですよね!?」と煽る場面も |
クロージングの際,原田氏は「次回も必ずやりましょう! 僕がハンコを押します!」と第2回開催に意欲を見せていた |
筆者がプレイヤーとして長く,それこそ16年間にわたって遊び続けてきた「鉄拳」サウンドを爆音で聴く――というより体に叩き込まれる体験となった今回のイベント。無論そのカッコ良さには,イベント中ずっと感嘆しまくりだったわけが,それは同時に「ゲーマーにとっての音楽」のありかたについて,個人的に考えさせられる機会ともなった。
対戦に集中しているとき,少なくとも筆者の場合,BGMはまるで耳に入ってこない。それはゲームセンターの喧噪のせいでもあろうし,対戦における集中力というのは,まあそういうものだろう。それでもなお,ひとたびその音を聞けば,それらのサウンドをバックに戦ったときの対戦内容,ゲームセンターの風景が,ありありと想起させられてくるのだ。それが有無をいわさず体を震わせてくるような爆音であればなおさらである。
時代とともにゲームがあり,その音楽と共に記憶がある。今回のイベントはまさにそのとおりの,とても感慨深く,熱い5時間となった。イベントの最後に遠山氏,原田氏が言ったように,もし次回の開催があるのなら,鉄拳プレイヤーはぜひとも会場まで足を運んでみてほしい。きっとゲーム体験の思い出とカッコイイ音楽を同時に味わえる,貴重な場になるはずだ。
- 関連タイトル:
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鉄拳 ハイブリッド
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鉄拳6 BLOODLINE REBELLION
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