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12年ぶりの“鉄拳祭”がこの秋開幕。「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のメディア向け体験会で,ディレクター米盛祐一氏に見どころを聞いてきた
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印刷2011/05/13 00:00

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12年ぶりの“鉄拳祭”がこの秋開幕。「鉄拳TAG TOURNAMENT2」のメディア向け体験会で,ディレクター米盛祐一氏に見どころを聞いてきた

 バンダイナムコゲームスは2011年5月9日,アーケードタイトルを中心とした流通・メディア向けの体験会を,同社未来研究所にて開催した。ここで展示されたタイトルの中で,最大の目玉となった作品が,この秋に稼働予定の「鉄拳TAG TOURNAMENT2」(以下,鉄拳TT2)である。

今回は流通向けの商談会と合わせてということで,スーツ姿のオペレーター諸氏がプレイに興じる様子が見られた。その中にはかなりの腕を持った人も……
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「鉄拳TAG TOURNAMENT2」公式サイト


 本作は,これまでにもお伝えしているように,12年前にリリースされた「鉄拳TAG TOURNAMENT」(以下,鉄拳TT)の続編となる作品で,昨年秋の「東京ゲームショウ2010」と併催された「闘劇'10」にて発表され,以来格闘ゲームファンから大きな期待を集めている。
 今回出展されたバージョンは,今年のAOUショーではクローズとなっていた風間準トゥルー・オーガ(画面やインストラクションカードの表記ではオーガ)がプレイアブルでキャラクターとして実装された最新バージョンだ。また,コンパネが装備され操作性が格段に向上した専用のライブモニターも設置され,まだ内容はサンプルの段階だが,プレイヤーのデータやリプレイ表示などを確認することができた。

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 出展されていたゲーム本編は,今回登場する44人のキャラクターすべてが実際に使えるようになっていた。コンパネはレバー+5ボタンの「鉄拳TAG TOURNAMENT」と同様の操作系――パンチとキックの左右4ボタンに,キャラクターを交替させるタッグボタンが用意されている。
 新システムの「タッグコンボ」では,特定の空中コンボ始動技がヒットする直前にタッグボタンを押すことでパートナーに交替し,空中コンボを決めることができる。タッグコンボを決めると,通常のコンボよりも相手の回復可能ゲージ(交代時にそこまで回復できる赤い体力ゲージ)を多く減らすことができる。

 もうひとつの新システム「タッグアサルト」では,特定のバウンド技をヒットさせる直前にタッグボタンを押すことで,パートナーとの協力コンボが発動,より華麗に大きなダメージを与えることが可能だ。
 この説明では若干難しそうに思えるが,このほか全キャラクターに共通したタッグアサルト始動技(LP+RP+タッグボタン)が用意されていて,これを使えば簡単に華麗なコンボを繰り出すことができた。実戦の中に組み込んでいければ,鉄拳シリーズらしいテクニカルな空中コンボを楽しむことができるだろう。

試遊台に置かれていた,全キャラクターの代表的な技表。クマとパンダは共通キャラ扱いで,木人は恒例のバトルごとに技が変わる仕様なので掲載されていない
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 会場では,本作の開発陣がインストラクターとして来場者の質問などに答えていたが,その中に鉄拳シリーズに深く関わるディレクターの米盛祐一氏を発見。商談中のお忙しい中,少しだけ時間をいただいて,本作の見どころなどについて話を伺ってみた。

4Gamer:
 今回12年ぶりの「鉄拳TT」のリリースとなりましたが,当時の懐かしさやお祭り感を残しつつ,ゲームは最新のスタイルに仕上がっている印象ですね。

バンダイナムコゲームスの米盛祐一氏。12年前の鉄拳TTからプロジェクトに参加。以降の鉄拳シリーズの企画に深く携わる人物だ
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米盛祐一氏(以下,米盛氏):
 そうですね。現在の最新作である「鉄拳6 BLOODLINE REBELLION」(以下,鉄拳6 BR)までの遊びの上に,当時の鉄拳TTのルールを乗せたらどうなるのかという作り方をしています。なので,劇的に何かが変わったというよりは,純粋に鉄拳6 BRに新しい遊びの要素が増えたと捉えていただくのが良いと思います。仮にタッグボタンを押さずに遊べば「鉄拳6 BRプラス」ぐらいの感覚で遊べますし,そこにタッグボタンが加わることで,ゲームがガラッと別物に変わります。ゲームの勝負の根本にも関わってますので,使わないわけにはいかないんですけどね(笑)。

4Gamer:
 確かにシリーズを遊んでいれば,比較的すんなりプレイできると感じました。新システムのタッグアサルトも,非常に気持ちが良かったです。

米盛氏:
 ありがとうございます。空中コンボの2人同時攻撃なんですが,とにかく開発内部で試行錯誤がありました。今回のバージョンでは仕様もかなり固まってきていますが,次のロケテストの様子を見た上で,もう一度検討したいと思っています。

4Gamer:
 鉄拳TTといえば,12年前かなり紆余曲折を経て発売された経緯があったように思います。今回はいかがですか?

米盛氏:
 さすがに当時ほどの紆余曲折はないですけど,順調に苦労はしています(笑)。

タッグアサルトに共通の出し方が備わった。もちろん浮かせたあとにバウンド技をくり出し,それがヒットする直前にタッグボタンを押すことでも出せる
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4Gamer:
 たとえばどんな苦労がありましたか。

米盛氏:
 前作は画面上に,キャラクターを同時に2体しか出せないという制約の中で,タッグでのバトルを再現してまして,よく完成したなと思ったほどです(笑)。今回は新しいシステム基板を用意して開発に臨んでいるので,その分画面表示的にはかなりパワーアップしています。キャラクターを一度に4体表示できてしまうので,いろいろな技や演出が可能になって,その部分で逆に苦労を感じていますね。

4Gamer:
 4体表示できることで可能になった演出を,実際にどうゲームに活かしていくか,という部分ですね。

米盛氏:
 はい。キャラクターが44人いるということは,44×43÷2のタッグの組み合わせが作れるわけです。自分に合ったタッグを見極めるだけでも,かなりのやり込みになるわけですし,やっぱりそのタッグの組み合わせにあった演出を用意したいですから。

4Gamer:
 なるほど。基板の性能が上がったからといって,単純に作りやすくなるわけではないんですね。

米盛氏:
 もちろん描画の面などで,新しくチャレンジできることはすごく増えました。例えば隠れたウリなんですが,鉄拳TT2では,闘っていくうちにキャラクターが汚れていくという要素が入っています。
 これは今回初めて入った演出で,例えば雨が降っているステージでは,キャラクターの服が濡れたり泥をかぶったりするんです。ほかにも荒野のステージで倒れると,服がホコリまみれになりますし,ヨシミツやアーマーキングの毒霧攻撃では,直接相手を汚すこともできます。

米盛氏がインタビュー中に解説してくれた,汚れていくキャラクターの様子。静止画ではちょっと分かりづらいが,アーマーキングは毒霧で色がつき(左),アリサは泥水で真っ黒になっている(右)
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4Gamer:
 おお,それはちょっと面白いですね。

米盛氏:
 ゲームとは直接関係ないところではあるのですが,12年ぶりの鉄拳祭りですから,細かいことは気にせず,とにかく楽しんで作ろうというノリですね。今後も開発終了の限界まで作り込んでいきますので,楽しめる要素を一つでも多く盛り込んでいきたいと思っています。

4Gamer:
 鉄拳シリーズのファンに向けたお祭り的なタイトルということですね。たくさんキャラクターが出てくるだけでも,ファンにとっては楽しみです。ちなみに登場する44人のキャラクターは,最初から使えるんですか?

米盛氏:
 はい。今回プレイアブルな44人は,最初からすべて使える予定です。

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4Gamer:
 プレイヤーにとってはキャラクター選びが大変になりそうですね。ところで現時点での開発度は,どの程度なのでしょうか?

米盛氏:
 今日出しているバージョンは通信周りなどがまだ入っていないので,数値でいうと70%程度でしょうか。

4Gamer:
 秋に向けて,ここからまた一苦労ありそうですね。今回ライブモニターが初めて操作できる状態になっていますが,通信周りというと,このあたりも含まれるのでしょうか。

米盛氏:
 ライブモニターも本作のウリの一つでして,いくつかの特徴があるんです。一つは鉄拳シリーズとしては初めて,ライブモニターに操作ボタンがついたこと。これによってプレイヤーは,自分が見たいコンテンツを能動的に楽しめるようになったんです。例えば自分が使っているキャラクターの上級者のリプレイが見たいと思っても,これまではじっと待っている以外に手段がありませんでした。今回はランキングの中から,見たいプレイヤーやランキング,キャラクターなどにピンポイントでアクセスできるようになっています。

ライブモニターは同社の「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」などでもコンパネ装備のものが使われていたが,鉄拳シリーズでは初となる
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4Gamer:
 出展されていたライブモニターを触ってみましたが,海外のデータも見られるようですね。

米盛氏:
 はい,それが二つ目の特徴です。アジア・オセアニア地域を中心に,国の垣根を超えたネットワークで繋いで,同じゲームの世界で遊ぶという提案をしています。たとえば日本から韓国のランキングやリプレイを見られますし,もちろんその逆も可能です。対戦の合間に,海の向こうでどんな闘いが繰り広げられているのか,またどんなキャラクターに人気があるのかを知ることができます。きっとプレイに対するモチベーションアップにもなりますし,ワールドワイドで盛り上がるきっかけにもなるはずです。

4Gamer:
 とくに韓国は,鉄拳がとても流行っていると聞きます。

米盛氏:
 そうなんですよ。とくに鉄拳TTのときの盛り上がりがすごくて,今もブームになっているほどです。このタイミングで鉄拳TT2を世に出せるのは,すごく幸せだと思っています。この勢いで,中国をはじめとしたほかの地域にも浸透してほしいと考えていて,そのための仕込みも準備しています。

4Gamer:
 というと?

米盛氏:
 例えばロケテストも予定しているんですが,東京と関西に加えて,今回は韓国でも同時にやりたいと考えています。僕はそれがすごく楽しみなんですよ。同時にやれば,地域ごとのランキングやプレイスタイルが気になって,お互いに「負けてられない!」って火がつくと思うんですよね。

4Gamer:
 まさにワールドワイドな展開ですね。

米盛氏:
 格闘ゲームって,場の雰囲気がすごく大事ですよね。目の前に魅力的なコンテンツがあると,お腹が減っても帰れないじゃないですか(笑)。世界中で繰り広げられている対戦を見ているうちに,またムクムクとやる気が湧いてくる。ライブモニターが,そんなツールになってくれればいいなと思っています。

4Gamer:
 カードリーダーなども装備されたことで,楽しみの幅が広がりますね。

バナパスポートカードは1枚で,バンダイナムコゲームスの複数のアーケードゲームに対応。本作では戦績やリプレイ,カスタマイズデータなどが保存される
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米盛氏:
 三つ目の特徴がまさにそのカードでして,弊社の「バナパスポートカード」に対応したことで,ライブモニターで自分のデータが閲覧できるようになりました。どの程度の数まで保存できるかはまだ未定ですが,対戦データやリプレイは可能な限り残せるようにしたいと考えています。対戦で負けたときの研究材料にも使えますし,仲間同士で試合を見せ合うこともできます。

4Gamer:
 なるほど。プレイヤー同士の交流にも使えると。ゲームの中でも外でも楽しめるタイトルになりそうですね。では最後に,稼働を楽しみにしているシリーズファンへ向け,メッセージをお願いします。

米盛氏:
 秋に向け日々頑張って作っています。とにかく1秒でも粘って,一つでもコンテンツを増やそうと考えていますので,楽しみに待っていてください。企画の僕がこういってしまうと開発メンバーには怒られてしまいそうですが(笑),この時期に粘れば粘るほどいろいろと仕込めますからね。皆さんの期待に応えられるよう,がんばります!

4Gamer:
 期待しています! 本日はありがとうございました。


 とにかくファンを楽しませるためには努力を惜しまないという米盛氏。今回は短かい時間ではあったものの,氏を始めとした開発陣の意気込みが伝わってくるインタビューだった。
 昔から開発チームとプレイヤーの距離が近いことで知られる鉄拳シリーズ。その12年ぶりの“お祭”は,かなり楽しいことになりそうな予感がする。ちなみにかつての“新宿平八”こと,鉄拳シリーズチーフプロデューサーの原田勝弘氏は,現在本作を出展するショーのために世界を飛び回っているとのこと。稼働前後には,今回の米盛氏とともに,ぜひ開発秘話などを聞いてみたいところだ。


鉄拳TAG TOURNAMENT2 ロケテスト開催決定!


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 プレス体験会が実施された5月10日,公式サイトでは,本作のロケーションテストが告知された。実施期間は2011年5月16日(月)から5月22日までの1週間で,場所は神奈川の「ナムコ・ナムコランド川崎店」と,大阪の「ナムコ・ナムコランド梅田店」の2店舗だ。本作の稼働が待ちきれない鉄拳ファンは,ぜひロケーションテストに参加してみよう。
 なお詳細については,以下のリンクから公式サイトを参照してほしい。

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「鉄拳TAG TOURNAMENT2」公式サイト ロケーションテスト告知


「鉄拳TAG TOURNAMENT2」公式サイト

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