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[TGS 2012]ガチャの次は神運営の時代か? 新たなビジネスモデルを模索する「TGSフォーラム ゲームビジネスセッション」レポート
セッションは,現在オンラインゲームなど「売り切りでない」ゲームを運営ないし開発中の3者による講演を行い,その後パネルディスカッションで意見交換するという流れで進行した。このセッションのテーマ自体はゲームを提供する側のビジネスモデルに関する話題なのだが,プレイヤー側にとっても興味深い内容が多いセッションとなった。
ハズレだと思わせない工夫がスクラッチを支える
まず,酒井氏はドリームキャスト版の「ファンタシースターオンライン」以降のサービス概要と料金モデルを挙げて,それぞれの時代に合ったものを提供してきたと説明。そのうえで,PSO2のサービスを始めるにあたっての考え方などを示した。
問題意識としてあったのは,それまでのビジネスモデルの限界だという。国内コンシューマゲーム市場は縮小傾向にある一方で,開発コストは増大を続けており,国内だけでコストを回収することが難しくなっているとのこと。また,PSO2はPC,PS Vita,スマートフォンを対象にしたオンラインゲームであり,とくにコンシューマ機でのオンラインゲームという部分では,PCオンラインゲームとは違った事情があるようだ。コストをかけてしっかりしたゲームを作りたい半面,コスト回収は簡単ではない。しかし,パッケージ文化強いコンシューマタイトルでは,とくに追加課金への抵抗は強いようで,DLCなども苦戦しがちである。
一方でPCオンラインゲームは,ごく一部のタイトル以外は基本無料が当たり前になっているという状況がある。ご存じのように,PSO2では基本無料のアイテム課金制を基本としているのだが,そこに至るまでにはさまざまな葛藤があったようだ。
酒井氏達がたどり着いた結論は,基本無料の料金体系だが,内容的には基本プレイ無料の枠を超えるクオリティを提供するというものになる。おそらく作り手側の矜持もあるのだろうが,市場へのインパクトを狙った戦略的な展開だ。
そのうえで,どのような部分でお金を取るのか,どの部分を無料で提供するのかを検討したという。PSO2の本質的な部分はどこかと考えた場合に浮かぶのは,
「エネミーと戦い,自分でアイテムを集めてコレクションし,さらなる強敵に挑んでいくゲーム」
という部分であり,そういったゲームの本質的な部分,つまり戦闘やクエストなどでは一切お金を取らないことをまず決めたという。これはフリーミアムの基本といえば基本なのだが,実践できていないタイトルがまま見られるのも事実だ。ゲームのどこでお金を取れるのかを考えた場合,なかなかに勇気の必要な決断ではあっただろう。
一方で,課金コンテンツを買わないと楽しめないゲームになるのではないかという危惧に対しては,いわゆる課金プレイヤーと非課金プレイヤーを同等に扱い,一緒にプレイさせるようにしているという。これは,非課金プレイヤーは将来課金プレイヤーになる可能性があり,ゲーム内が大勢のプレイヤーで賑わうことは課金プレイヤーに対してもプラスに働くという認識に基づくもののようだ。
PSO2の収益の多くはACスクラッチという,いわゆるガチャ要素でまかなわれている。このスクラッチもゲーム内マネーで購入できるようにすることで,非課金プレイヤーでも各種アイテムを入手できる道を閉ざしていない。
ガチャ系のシステムはなにかと批判されることも多いのだが,サービス側からすればメリットも多いシステムのようだ。例えば,男性用のコスチュームと女性用のコスチュームでは,制作コスト自体はあまり変わらないわけだが,売れ行きは歴然と違ってくる。スクラッチが需要を均一化してくれるので,さまざまなアイテムを提供できるのだという。
スクラッチアイテムの個別販売を望む声も大きいとのことだが,「それだとセーラー服やスクール水着しか作れなくなってしまう」というのが制作者側のジレンマであるらしい。まあ,スクラッチと(高値での)個別販売の並立という手もないわけではないのだろうが,PSO2チームでは少し違う考え方をしたようだ。その基本となるのが,「なにを引いてもハズレだと思わせない」ような工夫を凝らすことである。そういったさまざまな手段を試しながらPSO2は運営されている。
そうした努力の結果,サービス開始以降,90万IDを突破するなどPSO2のサービスは好調である。「単に収益を上げるだけならもっと方法はあります」と酒井氏は語るのだが,短期的な収益よりも重要なものがあると考えているようだ。オンラインゲームはユーザーとともに成長していくゲームであり,最終的にはプレイヤーに“長く遊んでもらえるゲーム”に仕上げることこそが重要であると氏は語っていた。
「長く遊んでいればいつかはお金を払ってくれます」がパズドラの運営思想
講演タイトルは「北風と太陽 ―ポカポカ運営―」ということで,――なんとなく察しのついた人もいるのではないかと思うが,童話をモチーフに,「いかに旅人のコートを脱がす(サイフからお金を出させる)か」を述べたものだ。
ソーシャルゲームのサービスが,プレイヤーにお金を払ってもらわなければ継続できないのは言うまでもない。どうせお金を払ってもらうなら気持ちよく払ってもらおう,そのためにはどうすればよいのかというのが論点となる。お金を払わせよう払わせようとチャージをかけても,プレイヤーはかえって警戒してサイフの紐を締めてしまうというのはありうる展開である。ではどうすればいいのか? ポカポカ運営を目指していこうという提案である。
なんでも,ソーシャルゲームでは,プレイを始めた人が翌月まで残っている率が30%あればよいほうなのだそうだが,やりようによっては継続率を80%に上げることができると山本氏は語る。
ここで山本氏は面白いデータを見せてくれた。パズドラでプレイヤーが初めて課金コンテンツを購入した日がゲーム開始から何日目かを集計したグラフである。見ると,初日からの数日間が圧倒的に多いものの,その後も途切れることなく,270日を超えたところにもプロットは続いている。ゲームのサービスが開始されてから270日程度しか経っていないタイトルなので,「初日からゲームをやってきて,今日初めて課金アイテムを買った」というような人が毎日いるという状況だ。
最初の10日間でお金を使っているプレイヤーは全体の50%にすぎず,残りの50%はそれ以降にお金を使った人なのだと山本氏は説明した。つまり最初の10日で見放されるようなゲームなら,課金機会は半減しているわけだ。
「無課金プレイヤーは将来の課金プレイヤーだと考える」というのは,前述の酒井氏の講演中にもあった言葉だったのだが,ずっと遊び続けていればそのうち課金プレイヤーになってくれる,と気長に対応するやり方自体は山本氏も同じだ。
パズドラでは,公式Twitterアカウントとして「ムラコ」というキャラクターを立てている。これはなにかと敵視されがちな運営に対して,プレイヤーの間にワンクッション置く効果を期待してのものだそうだ。運営然としたリリース文の配信よりも,そういったキャラクターが会話文で発信した情報のほうが親近感が高くなるのは当然のことだろう。
そして,情報はできるだけ正直に伝えることも重要だという。ゲーム運営からの急なつぶやきというのは,あまりよくないことが起きたときが多いのではないかと思われるが,実際,クレームも多いとのこと。しかし,クレームの大半は,実は改善要望であり,ゲームをより良くしていくために役立つデータであると山本氏は語っていた。
そのほか,アプリ内リンクから攻略記事に飛ばすといったメディアとの協業もコミュニティを活性化させるとしたほか,コミュニティは積極的に外部のものを利用することでプレイヤー周囲への拡散を促すようにしているとのこと。ゲーム内のコミュニティ機能は,あえて抑えているのだという。
多くのゲームでは客単価を上げようと躍起になっているわけだが,方向性としてはまったく逆である。これは,毎月オンラインゲームに支払う金額が,パッケージゲーム1本分を超えるのは良いことではないという,山本氏個人の美学(?)に基づくもののようだ。
単価を上げるように操作しているとプレイヤーが疲弊するので,長く遊び続けてもらえるように,抑えめで運用しているのだという。むしろ客単価が高くなってくると,無料イベントを連発するなどでお金を遣わせないように心がけているとのこと。はっきり言って,こんな運営は見たことも聞いたこともない。
とはいえ,これらの方策では,なにもなるべく稼がないようにしているわけではない。細く長く,ロングテールでの売り上げを重視しているだけで,ある意味当たり前のことしか並んでいないと思う人もいるだろう。一般的なオンラインゲームやソーシャルゲームが,実は変則的な稼ぎ方をしているのだという考え方もできる。最終的に同じ金額を取ることになるとしても,客側にとって気持ちよくお金が払えるのはどちらか,新製品が出た場合,どちらのものを買ってみようと思ってもらえるかなど,考えるまでもない話ではあるのだ。
分かりやすく言うと,ポカポカ運営では最重視項目を客単価ではなく継続率にしているところが特徴となっており,これは先の酒井氏も同じ傾向であろう。「いつかはお金を払ってくれる」といった楽観的な戦略が取れるのは,作品のクオリティが高いことが前提条件ではないかと思われる。オンラインゲームではサービスも作品の一部であることを考えると,サービスクオリティを上げる努力をすることは,理にかなったことなのだ。
会場では冒頭の「北風と太陽」のあたりから,グッと来場者の心をつかんだようで,ポカポカ運営という概念はともかく,それが実行可能で成果を上げていることに新鮮な驚きを覚えていた人が多かったようだ。ぜひ,各社に持ち帰ってポカポカ路線を実践していただきたいものである。
堂々と“役に立たないもの”を作ろう
氏の講演タイトルは「22世紀のための準備運動」というもので,10年後すら予測できないような時代ではあるが,88年後というかなり先の時代までターゲットに,そのような時代まで影響を与えたいという決意を表明する講演となった。
昨今はコンシューマゲームの売り上げが芳しくないと言われており,氏自身も渾身の作品の売り上げが「あれ?」と思うようなこともあったそうで,コンシューマ市場の冷え込みを実感する部分はあったようだ。しかし,それでゲームが滅びるわけではない。ソーシャルなど新たな部分で市場はむしろ広がっており,氏が新たに手がけている作品もそういった市場をターゲットにしたものとなっている。
氏が現在制作中の「イージーダイバー」は,当初,PCとスマートフォンのマルチデバイス用ゲームとして企画され,2011年から開発が行われてきたという。飯田氏には思い入れのあるアクアノートの休日のリメイクということで,かなり気合を入れて制作し,今年の夏には完成したそうなのだが,そんな折にLine Gameでやらないかという話が共同開発をしていたNHN Japanからきたのだそうだ。
Line Gameの発表会で,なんとか対応タイトルに選ばれての帰り道に,いったん完成していたゲームを作り直すことを決めたのだという。Lineのユーザー層を考えると,普段あまりゲームをやらない人にやらせるにはちょっと内容がコアすぎると判断したのだそうだ。
Lineの使われ方を考えると,作り込んだ装飾はむしろ邪魔であり,内容的にも作家性は邪魔になるのではないかと飯田氏は説明し,そういったものを排除したものに作り直すことにしたと語る。これは6000万ユーザーに届くものにするためには必要なリスクだという判断だ。非常に重大な決定だが,そういった場合「リスクの高い選択のほうが面白いじゃないですか」と語るあたりが氏の非凡さを感じさせる部分であろう。
ちなみに,ビジネスモデルについては,Lineが持つソーシャルグラフはリアルグラフに近いものであり,口コミの効果は大きそうだが,従来のソーシャルの手法がそのまま使えるという保証もなく,いまだ確立されたものはない。どのような戦略でいくかについては,「まだなにも考えていません」とのこと。
時代が変われば,ハードウェア,メディア,そしてビジネススタイルやビジネスモデルが変わる。ビジネスモデルについて言えば,最近はフリーミアム全盛となっているが,飯田氏は,これはゲームとフリーミアムの親和性が高かったためだとしている。
続いて,飯田氏は「遊びとは何か」についての持論を語り,「あまり役に立たないことをするべき」と飯田氏は断言する。(理由はいま一つ不明だったが)役に立たなければ立たないほど,未来で役に立つ可能性があるのだそうだ。
また,他人と仲良くしたいといったソーシャル性は,人間の本能的なものであり,見知らぬ他者とも仲良くしたい,さらに見知らぬ他者を拡張していくと,22世紀の人達とも仲良くしたいという気持ちに到達するのだという。
イージーダイバーが目指すものは,自然の驚異を示すことだ。海の世界を描きつつ,Line上の友達と遊ぶ。それがイージーダイバーのゲームスタイルとなる。これはまったく役に立たないもので,だからこそ丁寧に作ると氏は語る。
そして,22世紀はそんなに遠い話ではないと飯田氏は述べる。将来の子供や孫達がどんな風に今を生きていけばよいのかは,現在の我々が生きていくことで道筋が作れると語り,未来に向けて,現時点では役に立たないものを堂々と制作すると力強く講演を締めくくった。
最後に残るのは面白いゲーム
パネルディスカッションでは,モデレーターから3氏に対してビジネスモデルに関する設問が問いかけられた。まず,自分の作りたいゲームを実現させるときに,それをビジネスとして成り立たせるためのオンラインゲームの作り方,とくにスケジューリングについて質問が行われた。
酒井氏は,長期スパンでの運営を考えつつ,ライブな部分を修正するバッファを持たせていると語る。「これは決まってるから」と初期計画だけを見てやっていると,絶対に失敗するためだという。長期的には自分達が打ち出して生きたい運営の根本の部分をしっかり据えておき,逐次変えていかなければいけない部分は短期スパンで用意しているという。
山本氏は,そもそもゲームを作る段階で,1年2年は遊んでもらえるような内容のものを作るようにしており,プレイヤーの反響に合わせて運営していくような部分については,せいぜい1,2週間分しか考えていないのだという。パズドラはネイティブアプリではあるものの,運用に関わるところは全部サーバー側が抱えており,サーバー側の設定だけで(アプリの更新をすることなく)対応できるのだという。新しいダンジョンなどもサーバー側の設定だけで作れるのだ。
パズドラで特徴的な「曜日ダンジョン」なども,最初から用意していたものではなく,サーバー側の設定だけで追加されたものだ。アプリのアップデートなしでいろいろな変更に対応できるような汎用的なシステムを,最初に構築しておくことが重要であると語っていた。
1,2年間遊べるようなものをと言っても,投資的な回収について説明を求められたときはどう答えるのかを問われ,これに対して山本氏は,パズドラは制作期間7か月,数千万円のコストで作られていることを挙げ,それくらいだったら「当たらなかったらごめんなさい」で済むと述べていた。もちろん,ちゃんと予算計画は立てるそうだが,そのとおりに行くことは「絶対にない」とのことで,「10億円かけてMMOを作れといわれるとドキドキするんですが,そうじゃないときは深く考えないようにしています」とのこと。
では,運をつかむ方法はと聞かれ,山本氏は「嫁の意見を聞くことですかね」と答えていた。ヘビーゲーマー向けでないゲームでは,普段ゲームをやらない人の意見が重要ということだ。そのあたりの話については,こちらのCEDECの講演を参照していただきたい。
任天堂の宮本茂氏も奥さんに試作品をプレイさせて反応を見ることで知られているが,昨今のゲーム開発では嫁(非ゲーマーに限る?)が重要なのだろうか?
飯田氏は,現状では制作中なのでとくに語ることはないのか,「100年待ってろ」という言葉で会場を沸かせていた。いろんな人に100年という話をするのかという質問については,さすがに人を見て,投資家は夢に投資するので大きな話を,上司には小さな話をするようにしているとのこと。ネット上で広く投資を募るKickstart.comを見ても,ゲーム関係はとくに投資家に人気であるという。
次に,今後どんなゲームが「くる」のかという質問について。
酒井氏は,明快に「クラウドゲームですね」と語った。これはPSO1の頃から模索しているものだそうで,どんなデバイスでも同じゲームができる環境というのは氏の理想であるようだ。今は,それができないからマルチプラットフォームで作っているとのこと。
一方,山本氏は,スマートフォンなどのパイが広がっていくと,今後は尖ったゲームを作ってもビジネスになる時代がくるのではないかと予測する。氏自身は,作りたいゲームが山ほどあるとのことなので,今後もポカポカ運営のゲームが増えていくのだろうと思われる。期待しよう。
ここで,大きなゲームと小さなゲームでは作り方は変わってくるのかと質問された酒井氏は,全然違うと答えていた。曰く,小さなゲームなら一芸だけでも許されるが,大きなゲームではかなりいろいろなものを搭載しておかないと許してもらえないのそうだ。また,映画であれば大規模な作品でも監督が全体を統括できるのだろうが,ゲームの場合は個人個人の考え方というものが作業に大きく影響してくるので,監督がすべてを仕切ることができなくなるのだという。チーム運営が重要になってくるようだ。
また,とくにオンラインゲームの場合は,発表してもそれで終わりというわけではないので,モチベーションを保つのが非常に大変だという。モチベーションを保つ秘訣を聞かれた氏は,「モチベーションの下がらない人で作るのが理想」と語り,その難しさを語っていた。
同様の質問を受けた山本氏は,スタッフの作りたいゲームを作るというのが非常に重要だと語る。パズドラに関しては,当初の企画でゲームに盛り込めなかった要素がまだたくさんあるので,プレイヤーの反応を見つつ新コンテンツを作る一方で,入れられなかったネタを投入しているとのことで,まだモチベーションを保てているとのこと。
一方,飯田氏は,TGS会場で「Call of Duty」の最新作などを見ると,なぜか「アガってしまう」のだそうで,こつこつと小規模な作品で稼ぎつつ,たまにCoDのような大作を手がけていければと語っていた。なぜアガるのかについては,やはりCoDが好きだからだろうとのこと。2年くらい前は大作ラッシュだったので,少し鈍感になっていたのだが,最近はソーシャルゲームばかりを見ていたため,本格的な大作が新鮮に映ったということなのかもしれない。
最後に来年のゲームはどうなるかと聞かれ,酒井氏は,今日の3人の話は共通していたのではないかと切り出した。要は,「面白いゲームが残る」ということだ。マネタイズだけを考えているゲームよりは,もっとゲームに寄ったものが評価される時代がくるという予測だ。ソーシャルゲームも,カードゲームばかりというところから脱却するのではないかと言うのが,氏の予測というか希望だそうだ。
いずれにせよ,重要なのは面白いゲームを作ることで,ゲームをして「損したな」と思わせてはいけないと酒井氏は強く主張していた。「面白いゲームをやった」という思い出を持ってもらえれば,それが次につながっていくと氏はまとめた。
山本氏も,スマートフォンではネイティブアプリの時代が復活するのではないかと,ブラウザゲームからより本格的なゲームへの回帰の可能性を示した。現在スマートフォンで発表されているゲームの多くは「側ネイティブ」(がわねいてぃぶ)と呼ばれるWebゲームをネイティブアプリ化したものがほとんどだが,それでは「音すら鳴らない」という状況にある。高性能化が止まらないスマートフォンの市場では,この先それで戦うのは厳しくなってくるというのが氏の見解だ。
飯田氏が確実に言えることとして,「3歳の子供が4歳になる」と会場の笑いを取ったあと,「そして4歳の子供がゲームをしていても眉をひそめるようなことはなくなる」とゲームをめぐる環境の変化を予測する。氏としては,「子供を逃がさない」ように子供向けゲームを作りたいとの思いを語っていた。子供向けに作品を作ることで,次の世代につなげていきたいというのが,22世紀を見据えた氏の戦略なのだろう。
ちょうど4歳になる子供を持つ山本氏も,自分の子供に安心して遊べるゲームを作りたいと続ける。もしもコンシューマ用のパズドラを作ることがあったら,最初からフルパッケージで子供向けに作りたいとのこと。アイテム課金などは大人向けの仕組みであって,子供向けには適さないという考えを示した。
飯田氏も,子供にクレジットカードを持たせるとろくなことにならないと,遊びの持っている危険性についても触れ,来年はそういったテーマでのパネルディスカッションをしましょうとディスカッションを締めくくった。
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