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「CAPCOM×TGS2010」レポート:サイバーコネクトツー開発の「ASURA\'S WRATH」,英国Ninja Theory開発の「DEVIL MAY CRY」などが発表に
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印刷2010/09/16 04:41

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「CAPCOM×TGS2010」レポート:サイバーコネクトツー開発の「ASURA'S WRATH」,英国Ninja Theory開発の「DEVIL MAY CRY」などが発表に

 カプコンは9月15日,東京都内においてイベント「CAPCOM×TGS2010」を開催した。
 このイベントは,東京ゲームショウ2010に先駆けて,同社の新作タイトルを主にメディア向けて発表するというもの。
 先ほどお伝えしたように,このイベントで,Xbox 360向けの追加ダウンロードコンテンツの「デッドライジング2:CASE WEST」,PlayStation 3/Xbox 360用ソフトとして,サイバーコネクトツー開発の「ASURA'S WRATH」(アスラズ ラース),「DmC Devil May Cry」PS3/Xbox 360)の3タイトルが発表された。
 ここでは,イベントの模様を中心にレポートしていこう。

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ASURA'S WRATH

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稲船敬二氏
 まずは,カプコンの常務執行役員 開発統括本部長である稲船敬二氏が登壇。来場者に向かって挨拶したあと,「新しいタイトルを発表するので楽しみにしてください」と,期待をあおるコメントで口火を切った。

 タイトル紹介に先立って,稲船氏は約1年前に開催されたイベント「TERROR IS REALITY」のことを振り返った。稲船氏はこのとき,「日本のゲームは死んだ」と発言したことで,その後インターネットなどで叩かれたと話す(関連記事)

 さらに稲船氏は,2010年はまだ東京ゲームショウが始まっておらず,実際に見てはいないので「死んだ」とは言えないが,「多分だめでしょう」と発言。
 稲船氏はそのことについて,その発言で奮起したメーカーやユーザーは少なかったのではないか,また2009年を振り返ると,売れたゲームの上位は海外製のものが多かったと分析した。
 しかし,「日本のゲームは死んでいない。カプコンがいるかぎり」と力強く宣言。続けて「『また大口たたきやがった稲船!』とネットで叩かれたいと思います」と付け加え,会場の笑いを誘っていた。
 そして,いよいよゲームの紹介へと移る。

追加DLCで発売の「デッドライジング2:CASE WEST」

発表時から待ち望まれ続けたフランクがついに登場


 まずは「デッドライジング2」PC/PS3/Xbox 360)が欧州・アメリカ・日本でついに発売を迎えることを報告し,さらにはすでに配信が開始された,プロローグにあたる「デッドライジング2:CASE 0」も好調で,すでにXbox LIVEの記録を更新する約50万ダウンロードを達成していると発表した。

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 そして,ここで発表されたのが,「デッドライジング2:CASE WEST」だ。プロローグがあればもちろんエピローグもということで,本編に続く話が描かれるという。
 稲船氏によれば,WESTとはもちろんフランク・ウエストを指し,「真打ち登場という形でフランクが登場します」と明言。また,会場で上映されたムービーで「一緒に行こう」という意味のセリフがあったことに触れ,「チャックとフランクが一緒に行動して,事件を解決してくような話になるんじゃないでしょうか。今回はフランクが活躍してから5年後の世界です。5年経ったフランクを楽しみにしていてください」と,ゲームの紹介を締めくくった。
 なお,稲船氏は,「PS3のファンにはご迷惑をおかけしますが」と前置きしたうえで,「CASE WEST」がXbox 360専用のダウンロードコンテンツになると述べた。


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 ここで稲船氏は,「デッドライジング2」は,カナダのBlue Castle Gamesとカプコンで開発が進められてきたタイトルだが,海外で開発されたものの,かなり日本の“色”や“匂い”が残っており,さらにカプコンのゲームだと思われる内容になっていると話した。
 そして,「発表しなければならないことがあります」と含みのある言い方をしたあと,カプコンがBlue Castle Gamesを買収することを明らかにした。こちらは正式な契約を交わす前の段階ではあるが,両者合意のうえ進行しており,買収後はCAPCOM GAME STUDIO Vancouverと社名が変更されるとのこと。
 ここでBlue Castle GamesのCEOであるRob Barret氏が登壇し,「カプコンには我々のポテンシャルを感じてもらって感謝しています。今後はカプコンのDNAが入ったゲームを作っていきたいと思います」と,来場者に向けて挨拶した。

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サイバーコネクトツーを総がかりで口説き落とした?

「ASURA'S WRATH」は“ゲームじゃない”ほど斬新なスタイルに


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土屋和弘氏
 次に稲船氏は,「カプコンの完全オリジナルタイトルをお見せしたいと思います」と話し,そのタイトルのプロデューサーである,土屋和弘氏を招き入れた。
 土屋氏はまず,「もっともっとチャレンジを毎日し続けなければいけないと稲船に言われ続けている」,また「ゲーム業界,自分達のために挑戦し続けなければいけないと考えています」と述べた。
 そして,日本から発信するものとは何かと考え,また,同じように“強い”ゲームを作るクリエイターと手を組んだら,もっといいものができるだろうと考えたそうだ。
 そのクリエイターというのがサイバーコネクトツーで,土屋氏は「同じマインドを共有できる」と表現していた。
 ここで「ASURA'S WRATH」のムービーが上映されたあと,サイバーコネクトツーの代表取締役社長 松山 洋氏と,同社ディレクターの下田星児氏の二人が登壇した。
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下田星児氏
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松山 洋氏

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 ゲームのプレゼンテーションは下田氏によって行われた。それによると,「ASURA'S WRATH」はPS3/Xbox 360向けの完全新作で,そのコンセプトは「WRATH」の意味する「憤怒・怒り」,そのほかにも「連続ドラマ」「体験する」といったものがあるそうだ。
 下田氏は,サイバーコネクトツーは演出力を武器にする会社なので,アクションゲームで勝負したいと思っていたと話す。ただ,カプコンにはすでにいいアクションゲームがあるので,「当たり前のアクションでは作る意味がない」と考えたそうだ。

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 「ASURA'S WRATH」は,「もしかしたら,これはゲームじゃないのでは?」と批判を受けるかもしれないが,まったく新しいスタイルを確立しようとしているとのこと。どのくらい斬新なのかというと,「自分達でもゲームなのか分からなくなるくらい」だそうだ。
 最後に下田氏は,「ASURA'S WRATH」は攻めのスタイルを持つカプコンと,サイバーコネクトツーのスタイルで作っていると述べ,「日本のゲームはまだまだ死んでいません。なぜならカプコンさんと我々がいるから」と宣言した。

 稲船氏は,「下田さんもこれでネットで叩かれますね」とジョークで会場を沸かせたあと,「ASURA'S WRATH」についてコメントした。曰く,ゲームで鳥肌が立つことはなかなかないが「ASURA'S WRATH」では鳥肌が立った,それくらい新しい試みであり,日本のいいところを出しつつ世界に通用する力があるそうだ。
 ちなみに,最初の頃は「なんだこりゃ」と感じたこともあり,サイバーコネクトツーに頼んだのは間違いだと考えたこともあるという。かなり“喧嘩腰”で話した結果,どんどん良くなってきたそうだ。また,その「良くなり方」がハンパではなく,指摘したら翌日には新しいものが上がってくるくらいのスピード感だったという。

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 そして稲船氏は,「日本的な部分もありますけど,世界に通用するゲームとして作っています。両者のいい味が融合しているので,このまま続けていきたいと思っています」と,締めくくった。

 続いて松山氏は,最初に2年ほど“殴りあう時間”があり,まだそこから1年も経っていないので,開発にはもうちょっと時間かかるとコメント。ただ,「次にティザーを見るときには,さらなる驚きを提供できると思います」と,自信をのぞかせた。

 ちなみに稲船氏によれば,バンダイナムコゲームスの顔を立てていた松山氏を口説き落とすのは非常に大変で,「やる」「やらない」だけで1年ほどかかったそうである。土屋氏をはじめ,竹内氏,小林氏,辻本氏といった,カプコンのプロデューサー陣を立て続けに投入したと稲船氏は話していた。




「DmC Devil May Cry」は英国のNinja Theoryが開発

新しく生まれ変わっていくカプコンの開発体制


 次に紹介されたのが,PlayStation 3/Xbox 360用ソフトとして開発中の「DmC Devil May Cry」だ。
 本作は,英国のデベロッパNinja Theoryが開発を担当し,アメリカのサンフランシスコにあるCAPCOM ENTERTAINMENTのAlex Jones氏がプロデューサーを担当している。
 Jones氏は,1年半ほど前に日本とコラボして制作するよう指示が出たときに,「やばい」と思ったそうだ。それからの1年半,日本のスタッフと手を組んで制作するというのは,最初は難しかったがいい経験になったと話す。

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Alex Jones氏(右)
 稲船氏は,「CAPCOM ENTERTAINMENT開発ということでネガティブに捉えている人がいるかもしれませんが,現在は私がグローバルのR&Dのトップということで,すべての地域の面倒をみてます。したがって,今までとは違います。丸投げして「やって」ではなく,一緒に作っていくという形に変わったのです。その結果がこのトレイラーに表れているいると思います」と話した。
 ここで,Ninja Theoryのクリエイティブディレクターである,Tameem Antoniades(タミーム・アントニアデス)氏が登壇。アントニアデス氏は,オリジナルである「デビル メイ クライ」の1作目は,自分自身に限らずゲーム業界に影響を与え,アクション映画の要素であるとかファッションであるとか,文化的にもインパクトがあるものだったと,敬意を表した。
 そして,オリジナルと同じくらいのインパクトがある作品にしたい,「デビル メイ クライ」のDNAを守りながら,新しいゲームを作りたいと,抱負を述べた。


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Antoniades氏
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伊津野英昭氏

 稲船氏は,ここでカプコンの中で「デビル メイ クライ」を一番知っている男こと,伊津野英昭氏をステージに呼んだ。伊津野氏は,監修として携わっているが,アントニアデス氏とダブルディレクターの意気込みで取り組んでいると話す。
 プロジェクトはすんなり進んではおらずいろいろと苦労はしているが,Ninja Theoryのカプコンには出せないセンス,そしてカプコンにしか出せないDMCのDNA,それらを譲ることなく融合させていきたいと話した。


 稲船氏は,伊津野氏が監修というか“手触り”の部分まで関わっており,また時差があり距離も遠いが,イギリスのNinja Theoryとは,顔を突き合わせて議論することも多いので,良いゲームが作れるんじゃないかと思っていると,コメント。そして最後に稲船氏は,以下のようにスピーチを行い,1時間にわたる発表会を締めくくった。

 「カプコンはチャレンジをやめません。決して楽な道ではないことは分かっています。続編だからといってそのまま作るのではなく,新しく生まれ変わるようなゲーム作り,ゲームとは思えないゲーム作りなどに,チャレンジしていきます。
 スタジオ買収といったことを含めて,アメリカと一緒にやったりグローバルに協力したりと,新しいことに踏み出していきたい。また,恐れない心が重要です。カプコンはどんどん前に進んでいきます。プレスの方もユーザーの方も,応援してくれると嬉しいと思います。僕はネットでの叩きには負けません。信じた道を突き進んでいきます。本日はありがとうございました!」

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