プレイレポート
シリーズ最新作「バイオショック インフィニット」をプレイ。空中都市で繰り広げられる壮大な物語とアクションを,たっぷり味わってきた
2013年4月25日にTake-Two Interactive Japanから日本語版が発売される予定の「バイオショック インフィニット」(PlayStation 3/Xbox 360)。なかなか新情報が出てこないので,ヤキモキしていたファンも多いかもしれないが,このたび,開発中の日本語版をプレイする機会が得られたので,ここでそのプレイフィールをお伝えしよう。
さらに,アジア担当のプロダクトマネージャー クリス・ジェニングス氏と,日本語版のローカライズマネージャーである矢野要介氏のコメントも合わせて紹介する。
「バイオショック インフィニット」公式サイト
今回は,バイオショック インフィニットを3時間ほどプレイしたのでお伝えしていきたい。ただし,ストーリーに関わる部分は,すでに公開されている範囲に留めている。BioShockシリーズは物語が重要な要素なので,それはプレイしてのお楽しみということだ。その代わり,これまであまり説明がされていなかった,ゲーム的な要素を中心にお伝えする。
バイオショック インフィニットでも,
戦いは銃と特殊なパワー
まずは,基本的な部分から。舞台は大きく変わったが,銃と魔法のような特殊パワーを使って戦うところは今回も同様だ。防御はシールドとヘルスの二本立てになっており,ある程度の攻撃はシールドが吸収してくれるが,これが壊れるとヘルスが減っていくというシステムだ。シールドは,壊れると画面にひび割れの演出が入るので,一目瞭然。また,シールドは時間が経つと自動回復するので,うまくやれば,敵との戦いをノーダメージで切り抜けることができる。
キャラクターのステータスとしては,このシールドとヘルスのほか,ソルトがある。ソルトは,前作のプラスミドに代わる魔法的な力,ビガー(Vigor)を発動するのに必要なものだ。
ビガーはプラスミドと同様,ゲームを進めていくと,さまざまなタイプのものが手に入れられる。これまで公開されたムービーやスクリーンショットでは,敵を宙に浮かせたり,カラスの群れに襲わせたりするシーンが確認できたが,これがビガーのパワーだ。今回のプレイではさらに,炎を投射するものや,敵を一時的に操って味方にするものも登場した。
炎のビガーは純然たる攻撃用で,炎を投げつけるだけでなく,発動ボタンを長押しすることで,その場に地雷のようなトラップを設置できる。また,敵を操るビガーは,人間以外の相手にも使用可能で,強力な攻撃をしかけてくる銃座や,隠れていて倒しにくい敵に使うことで,効果的な同士討ちをさせられる。エリザベスが参加するまで孤軍奮闘を余儀なくされるブッカーにとって,ありがたい能力だ。ちなみに操った敵は,周囲の仲間を倒した後で我に返り,罪の意識に苛まれて自殺してしまうというなかなか凝った演出が用意されている。
敵を宙に浮かせるビガーやカラスの群れに襲わせるビガーは,単独ではそれほど効果がなさそうだが,複数の敵や素早い相手に使って牽制するなど,銃器との組み合わせで効果を発揮しそうだ。
「銃の種類もかなり増えているし,いろいろな戦い方ができるはず。銃だけでなく,ビガーだけでもなく,プレイヤーの好みに合わせた自由な組み合わせが可能です」とクリス氏は説明してくれた。
上記のように,ビガーを発動するためには「ソルト」が必要だ。これはマップ上に落ちているものを拾ったり,ところどころにある「ソルトマシーン」で補給したりできる。また,ビガーは何段階かにパワーアップできるが,そのためにはかなりのお金が必要になるので,残念ながら今回は試すことができなかった。
なお,銃器やビガーのほかに,「ギア」という装備アイテムも手に入る。ギアは,頭や胴体,足などに装備できるもので,特定の能力を上昇させるなどの効果を持っている。
戦いの幅を広げるスカイライン
空中都市コロンビアは,単に一つの街が大空に浮かんでいるわけではなく,いくつものエリアや建物群が集まった,立体的で起伏に富んだ構造になっている。そうした個々のエリアを結ぶのがモノレールのような「スカイライン」だ。通常はゴンドラのような部分に乗り込むのだろうが,ブッカーはスカイラインにフックを引っかけて移動する。これを使って,テラスからテラスへ,バルコニーからバルコニーへと,スピーディに移動できるのだ。
クリス氏によると,スカイラインは,単なる移動手段ではなく,遊びの幅を増やすものであり,スカイラインを使って高いところに移動し,そこからスナイパーライフルで敵を狙撃するなど,戦いにバリエーションを生み出すものでもあると語る。戦闘では,このスカイラインをいかに使いこなすかも重要になりそうだ。また,スカイラインに引っかけるフックは,接近用の武器にもなっており,スカイラインから敵の上にジャンプして,攻撃をしかけることもできるのだ。
街のあちこちにはフックがあり,そこにジャンプすることで移動できる。一見,「行き止まり?」という場所でも,見上げるとフックがあったというケースは一度や二度ではなかった。
戦いでも重要なパートナーとなるエリザベス
15年も前にさらわれたという少女,エリザベス。そう聞くと,か弱いという印象を受けるかもしれないが,本人はなかなか活発で利発なお嬢さんだ。図書室で暮らしているせいで,さまざまな知識を蓄えており,それがゲームの進行で役立つことがある。
ゲームの進行における彼女の重要な役割は,優秀なアシスタントとして戦闘をサポートすることだ。
サポートAIについては,プレイに幅が出る反面,つまらないところにひっかかって動かなくなったりなど,悩まされた経験をお持ちの人もいるだろう。しかしクリス氏は,「これまでのサポートAIとは一線を画すものになっており,本当のパートナーとして一緒に戦えます。どのタイトルとは言いませんが,自分が隠れてどう敵を倒そうか考えているうちに,さっさと敵を倒してしまうということもありません」と胸を張る。
エリザベスは,戦闘中に弾薬が少なくなると,どこからか弾薬を拾ってきてくれたり,ヘルスが減っていれば回復薬を提供してくれたりもする,便利なパートナーだ。
敵に倒されてリスポーンしたとき,エリザベスが心臓マッサージで蘇生してくれたという演出が入ったりするほか,鍵のかかった扉をピッキングで開けてくれたりもする。なんでもできるのは,彼女の持つ豊富な知識のためであるようだ(それを裏づける,ブッカーとのやりとりもある)。
ちなみに,エリザベスは自分の身は自分で守れるので,戦闘中に死んでしまうようなことはない。したがって,プレイヤーは彼女の心配をする必要はなく,思う存分戦えるのだ。スカイラインを使って移動する際も,背後からしっかりついてきてくれたりと,行動力もなかなかのものだ。
さらに,彼女にはゲーム全般に関わる,非常に特別な能力を持っている。それが「ティア(Tear)」だ。
ストーリーでも戦いでも重要な意味を持つ「ティア」
ティアとは別の世界につながる窓を開く力で,この世界でも彼女だけが使うことができる。そもそも,彼女がコロンビアにさらわれてきた理由も,このティアという能力のためだったりするのだ。本作における非常に重要な要素であり,その能力を紹介したムービーなども公開されている。
戦闘中,エリザベスがティアを使える場所に来ると,呼び出せるものが分かるような仕掛けになっており,プレイヤーは呼び出すかどうか,呼び出すとすればどれにするかを選ぶことになる。
例えば,頭上にフックを呼び出して移動したり,あるいは身を隠す遮蔽物を呼び出したりできるのだ。戦場の様子を,ダイナミックに変えられるというのは,個人的には本作が初めてで,やってみると非常に面白い。ティアを一度使っても,少し時間が経てば再び使えるようになる。出し渋る必要はなさそうだ。
さて,こうした要素を並べてみると,「BioShock」シリーズの大きな魅力である「自由度の高さ」が見えてくるはずだ。この自由度の高さは本作のクリエイターであるケン・レヴィン氏の考えによるものだとクリス氏は言う。
ケン・レヴィン・スタイルのストーリーテリングと,
自由度の高さ
シールドやヘルス,ソルトなどは,いずれもアップグレード可能だが,1回のチャンスで強化できるのは1つだけ。どれからアップグレードするかはプレイヤー次第であり,ヘルスをひたすら上げて死に難くするのもいいし,ひたすらソルトをアップグレードして,ビガーを使いやすくするという方法もあるだろう。
クリエイターのケン・レヴィン氏は,北米メディアのインタビューに答えて「ソルトだけ上げていけば,魔法使いのように戦える。それこそ銃をまったく使わずに遊ぶこともできるかもしれない」と話している。
「BioShockをBioShockたらしめている,ストーリーとアクションの融合は,今回も変わりません。ケン・レヴィン氏はゲーム開発者であると同時に,優れたストーリーテラーなのです。彼はカットシーン(ムービーシーン)を好まず,ゲームの中でストーリーを展開させるのです」とクリス氏は言う。ことさらに物語を解説するのではなく,プレイを通じてごく自然に物語が繰り広げられ,その世界観が表現されており,実際,コロンビアを歩いたり敵と戦ったりするだけで,さまざまなことが理解できるようになっている。
また,ゲームの遊び方もチュートリアルとして伝えられるのではなく,例えば,スカイラインをどう使って,どう戦いに生かしていくのかといったことは,実際にプレイすることで自然に身につけられる。クリス氏はこれを「ケン・レヴィンスタイル」と呼んでいる。もちろん,コロンビアという町にも,エリザベスにも,ブッカーにも,ゲームを進めることで分かるさまざまな謎が用意されており,全世界のプレイヤーを魅了した「BioShock」のDNAは健在だ。
こだわりのローカライズにも注目
Irrational Gamesによって開発が進められる本作は,ローカライズにもかなり力が入っているとのこと。ブッカー役に藤原啓治さん,エリザベス役に沢城みゆきさんといった,実力派の声優を起用しており,これは,従来のBioShockファン以外にも興味を持ってもらおうという意図によるもの。「音声収録後,ゲームにはめ込んで違和感があるようなら,何度も録り直しています。藤原さんには1月の大雪の日,無理を言って来てもらったこともあります」とローカライズマネージャーである矢野氏は話す。
もちろん,ブッカーのセリフ数も少なくない。ストーリーに関わるもの以外に,移動中にエリザベスとかけあいを演じる場面も頻繁に登場するので,FPSながら,主人公のセリフは群を抜いて多いそうだ。もちろん,ローカライズにおいては,英文をそのまま翻訳するのではなく,「原語のセリフが伝えるニュアンスがダイレクトに伝わるような翻訳を心がけている」という。
ローカライズに対する力の入れようは,第1作の日本語版「バイオショック」の影響によるものだと矢野氏は言う。スパイク(現スパイク・チュンソフト)から発売された同作は,非常にクオリティの高いローカライズが行われていたことで有名だ。矢野氏は,シリーズ最新作である以上,それを上回るようなローカライズを目指しており,さらに海外ゲーム全体の底上げのためにも,これはやらなければならないと思っているという。現在も進められているローカライズ作業だが,期待して良さそうだ。
第1作を超える驚愕の展開と,超難度の「1999モード」
また本作にマップ表示はないが,所定のキーを押すと,次にどちらへ行けばいいか矢印で示してくれる仕組みになっている。このおかげで,街の景観や人々の様子などを楽しみながら,目的の場所に進めるのだ。
ちなみに,第1作ではゲームの途中,主人公に関する驚くべき秘密が明らかになったが,矢野氏によれば,本作にはそれを超える驚愕の展開が待っているという。それが何なのかはもちろん分からないが,シリーズ従来作のファンは楽しみにしよう。
さて,記事の中で何度か「親切」とか「簡単」と書いてしまったが,コアなFPSファンの中には,簡単すぎると物足りのではないかと考える人もいるかもしれない。難しいゲームが好まれないという最近の欧米ゲーム事情があるが,そういうトレンドに対して本作には,ハードモードを超える超難度モードが用意されている。ゲームを1回クリアすると挑戦できる「1999モード」(関連記事)がそれで,名前は「20世紀のゲームの難度は,非常に高かった」ということに由来している。さまざまな設定が極端にシビアになっており,クリアできるならしてみろというIrrational Gamesの挑戦状だと思ってもらってほしいとのこと。腕に自信があるプレイヤーはぜひこちらにも挑んでもらいたい。
「バイオショック インフィニット」公式サイト
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(C) 2002-2013 Take-Two Interactive Software, Inc. Developed by Irrational Games. BioShock, BioShock Infinite, Irrational Games, 2K Games, Take-Two Interactive Software and their respective logos are all trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc. All rights reserved.
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