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クリアする頃には幸せな気持ちになれるRPGに――「シャイニング・ハーツ」の発売記念抽選会を訪れた,プロデューサーの澤田 剛氏と音楽担当の菊田裕樹氏へのショートインタビューを掲載
「シャイニング・ハーツ」は,“心にとどくRPG”と銘打たれ,正統派のファンタジーRPGでありつつも,“ココロ”を集めてパンを焼くといった,生活系ゲームの要素も盛り込まれているのが特徴だ。4Gamerでは,「こちら」にゲームの内容をひと通り確認できるダイジェストムービーを掲載しているので,まだ見ていないという人はチェックしてほしい。
ここでは,東京地区のクラブセガ秋葉原 新館で行われた発売記念抽選会の模様をお伝えするとともに,本作のプロデューサーである澤田 剛氏と音楽を担当した菊田裕樹氏への合同インタビューをお伝えしていこう。
澤田 剛氏,菊田裕樹氏インタビュー
――まず,発売日を迎えた率直な感想を聞かせてください。
澤田 剛氏(以下,澤田氏):
3年くらいの時間をかけて作ってきたタイトルなので,すごくボリュームがあります。ですので,その部分をみんなで遊んでほしいなと思いますね。今回はRPGの面白さだけではなくて,スローライフというか,生活する部分にもかなりこだわって作りました。特にパンはすごいこだわりましたので,やり込んでもらえたら嬉しいです。
菊田裕樹氏(以下,菊田氏):
僕はコンシューマRPGの音楽を担当するのが10年振りくらいで,すごく久しぶりなんですよね。「シャイニング・ハーツ」の内容は,ファンタジーでもあり,癒し系あり,さらにパンを焼くといった,すごく優しい世界です。
それを表現するのに,僕が持っている個性や雰囲気は非常に良く合う気がしたんですよ。今回は70曲くらい作ったんですけど,その中の多くの曲は可愛くて優しい曲です。僕の個性の中で,そういった部分が好きな人にはすごく楽しんでもらえると思います。
澤田氏:
RPGの激しい部分やカッコイイ部分はもちろんなんですけど,スローライフでほのぼのした曲を多めに作ってもらいました。そこは大きなポイントですね。
――本作はパンがとても重要な要素になっていますが,お二人はどんなパンが好きですか?
澤田氏:
シブいなぁ(笑)。今回は制作スタッフにパンの図鑑を配ってるくらいこだわってるんです。パンの種類でいうと,オシャレ系のパンと,普通の街のパン屋で売っているパンの比率に悩んだりもしましたね。
私はヨーロッパのカンパーニュが好きなんですけど,それは知らないだろうって人もいると思うので,最終的には下町っぽいパンが多くなりました。
雑誌のレビューで,「エピって言われても分からないよ」とツッコまれたこともあるんです。「セガの近くのパン屋さんには普通に売っているんだけどな……」と思いましたけど(笑)。
菊田氏:
パンって,オシャレなものと庶民的なものの両方がありますよね。オシャレなパンでいうと,僕はクロワッサンが好きですね。いいお店にいくと,本当に美味しいクロワッサンを食べさせてくれますよ。庶民的なものでいうと,下町のあんパンが大好きです。アンパンは絶対つぶあんじゃないとやだ(笑)。
澤田氏:
「シャイニング・ハーツ」には,あんパンやクロワッサン,カンパーニュも入ってるんで,いろいろな知識が得られますよ。
菊田氏:
ゲームを遊ぶとパン博士になれます(笑)。
――Tonyさんが描くキャラクターも本作の魅力だと思いますが,お2人のオススメキャラクターを教えてください。
澤田氏:
全部のキャラクターが息子と娘みたいなものなので,あんまり差は付けられないかなというのがあるんですよね。
ちなみにTonyさん的に一番気に入ってるのはアミルっていうキャラなんですけど,実はアミルは一番最初に作ったキャラで,魔法のパン屋っていう本作のデザインの象徴的なキャラクターになっているんですよ。いつもはTonyさんが描かないタイプのデザインだと思うので,私が思っている以上に気に入ってるみたいです。
予約特典ディスクの最後のページに,菊田さんとTonyさん直筆コメントが書かれているんですけど,Tonyさんのコメントが「一番のお気に入りはアミルです」って書いてあるんですよ。こんなこと書いていいのかなとも思ったんですけど,しょうがないかなって(笑)。
菊田氏:
僕はカッコイイ女の子が好きなので,海賊のミストラルが気に入ってます。すごく突き抜けてますよね。カッコよくて可愛くて,世界の在り方みたいなものがスパーンって分かる感じです。
澤田氏:
敵の象徴みたいな感じで,ほのぼの感とは真逆のキャラクターになってますよね。
アミル |
ミストラル |
――開発に3年かかったということで,山あり谷ありだったと思いますが,どのあたりが苦労しましたか?
澤田氏:
とにかくボリュームが本当に多いので,ちょっと入れすぎたかなという感はありますね。
菊田氏:
最後,デバッグで死んでいましたよね(笑)。
澤田氏:
チェッカーでも絶対一週間はかかるくらいの大ボリュームなので,そこが大変だったのと,あとはRPG部分とスローライフ部分の融合,特にシナリオのつじつま合わせが大変でしたね。
この段階でしか発生しないシナリオで次に進んだらもう発生しないみたいな,いわゆる取り残しがあるような気持ち悪さが残る設計にはしたくなかったんです。なのでエンディング後には,そのキャラクターのサブシナリオが一から遊べるようにしました。あと,どれがメインシナリオでどれがサブシナリオかというのは,あえて分からないようにしています。
初プレイでも余裕で50時間くらいはかかりますし,RPGって一番最後に組み上げる開発スタイルなので,実際にやってみると「あれ?」っていうことが多々あるんです。なので,死んでいた時期はそこかな(笑)。
菊田氏:
ちょいちょい音信不通になるので,「ああ,大変なんだろうな」って思いました(笑)。
――ちなみに菊田さんに曲をオーダーする際,「ここをこうしてほしい」というような要望はありましたか?
澤田氏:
菊田さんらしい曲を作ってほしいという思いがあったので,曲の内容に関してそんなにやり取りはしていないですね。
菊田氏:
「こういうテーマです」とか「こういうところで使います」という指示があるだけでしたね。Tonyさんのイラストがあるのでイメージが湧きやすかったということもあって,すごく楽でした。
澤田氏:
最近はRPGでもすごくひねったりしているものも多いですが,「シャイニング・ハーツ」はガチガチのファンタジーになっています。なので,菊田さんの曲はすごくハマっていると思いますよ。
菊田氏:
向こうでは世界を救う人がドカンとやってるんだけど,一方こちらの島では……みたいな感じですね(笑)。
澤田氏:
平和があるからこそ,敵が来たときにメリハリが出てくるんですよね。最初は平和でゆっくりな感じで進んでいくからこそ,後半のシリアスな場面が生きてくると思うんです。
――最後に,読者へのメッセージをお願いします。
澤田氏:
ゲームを遊んで,クリアする頃には幸せな気持ちになっている,そんな作品を作ったつもりです。この一年が終わって,疲れた心を癒すにはピッタリの癒し系ゲームだと思うので,冬休みにはぜひ「シャイニング・ハーツ」を遊んでもらいたいと思います。
菊田氏:
これまでの僕のゲームを遊んでくれた人が「シャイニング・ハーツ」の音楽を聴いても,まったく変わりがないように感じると思います。純粋さや可愛いもの,美しいものといった,僕の曲で本当に表現されているものがそこにはちゃんとあるので,絶対にガッカリさせないことを保証します。ぜひプレイしてください。
――ありがとうございました。
「シャイニング・ハーツ」公式サイト
- 関連タイトル:
シャイニング・ハーツ
- この記事のURL:
(C)SEGA/SHINING-HEARTS-PROJECT 2012