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[Gamescom]開発できないと考える知識がなかったから,BF1942は完成した。シリーズのたどった10年と,それを生み出したDICEの20年を振り返る
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印刷2012/08/14 14:51

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[Gamescom]開発できないと考える知識がなかったから,BF1942は完成した。シリーズのたどった10年と,それを生み出したDICEの20年を振り返る

画像集#002のサムネイル/[Gamescom]開発できないと考える知識がなかったから,BF1942は完成した。シリーズのたどった10年と,それを生み出したDICEの20年を振り返る
 現地時間2012年8月13日〜15日,ドイツ・ケルンで「Game Developers Coference Europe 2012」が開催されている。これは,8月15日にスタートする「Gamescom 2012」に合わせて毎年行われているゲーム開発者向けのカンファレンスで,毎年春にサンフランシスコで行われる「Game Developers Coference」の欧州版だ。レクチャー数や内容的にはサンフランシスコのGDCが最大だが,GDC Europeも年々規模が大きくなってきている印象だ。

 初日となる13日に行われた「Passion for Entertainment: 10years of Battlefield/20years of DICE」は,タイトルどおり,日本でも人気のFPS「Battlefield」シリーズと,それを生み出したスウェーデンのスタジオ,DICEの歴史を振り返るというものだった。

 スピーカーは,DICEのGeneral ManagerであるKarl Magnus Troedsson氏で,GDCのレクチャーを行うのは初めてのこと。DICEのボスとして,しばしばメディアに登場するTroedsson氏だが,これまで広報担当やプログラマーなどが講演を行ったことはあるものの,自分自身が登壇するのは初めてで,ややナーバスになっていると語った。

Karl Magnus Troedsson氏
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 Troedsson氏によれば,1992年に設立された当時のDICEは典型的なガレージカンパニーであり,スウェーデンのゲームオタクが集まって,ピンボールゲームやレースゲームなどを細々と作っていた。転機が訪れたのは2002年の「Battlefield 1942」で,このマルチプレイ専用のPCゲームが大ヒットし,会社は急成長した。だが,Troedsson氏は「依然として我々はオタクだ」と語る。オフィスは超モダンになり,DICEも会社として組織化されたが,持っている気持ちは1992年当時と変わっていないそうだ。Troedsson氏は,ゲームに関連した事柄で“ゲームの開発”は最も退屈なパートだという。なぜそんな退屈なことをするのかといえば,彼らがゲームオタクであり,ゲームに情熱を注いでいるからなのだ。
 転機となったBattlefield 1942は,ビジネスモデルや市場の要望を考えて作られたものではなく,原型となったゲームに対し,開発者達がやりたいことをやった結果であるようだ。第二次世界大戦モノではあるが,ヨーロッパだけでなくアジアなども舞台にしよう。戦車や飛行機も出したい。空母が出てきたらもっと面白いはず。64人対戦ができたらすごくない? というような会話が積み重なって,結果としてああなったという。開発が難しいとか,できないかもしれないと考えるだけの知識がなかったため,完成したのだそうだ。

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 Battlefieldシリーズは現在,累計で約5000万本ものセールスを記録している。最新作の「Battlefield 3」は1200万本を売り,依然として多くのプレイヤーが熱中しているとTroedsson氏は言う。そのように,10年にわたってプレイヤーに愛されてきたのは,常にイノベーションを追求してきたからだ。
 Battlefieldシリーズには,ナンバリングタイトルのほかに,三人称視点のブラウザゲームである「Battlefield Heroes」や,ダウンロード専用の「Battlefield 1943」などがある。背景となる時代も,第二次世界大戦からスタートし,「Battlefield 2」では現代戦,「Battlefield 2142」では未来の戦いと,ヒットしたからといって一か所にじっとしておらず,いろいろな試みに挑戦している。

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 こういう変化は重要であると,Troedsson氏は主張する。例えば「Battlefield: Bad Company」PS3/Xbox 360)では,コンシューマ機版をリリースするにあたって,建物が破壊できることでダイナミックに変化する戦場の再現や,シングルプレイの導入などを行った。またBattlefield 3では,最新エンジンによるハイレベルなグラフィックスを実現した一方で,視線を下げると自分の足が見えるという地味な改良も加えられている。これは,DICEが2008年にリリースした「Mirror's Edge」で採用されたアイデアだ。

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 ただし,これらのイノベーションは,あくまでBattlefieldの枠組みでやらなければならない。Troedsson氏はこれを,コーラに例えた。コーラには,チェリーやライムなど,いろいろなフレーバーのものがあるが,これらはあくまでコーラであり,いくら素晴らしいものだからといって,コーラにダイヤモンドを入れるのはバカげたことだ。新しいアイデアを加えるにしても,それは正しいレベルのアイデアでなくてはならないという。BattlefieldがマルチプレイFPSを大きく逸脱することはないということだ。
 Troedsson氏はまた,ファンコミュニティの大切さについても訴えた。10年という長い期間で積み重ねられたコミュニティはDICEにとって重要な存在であり,熱心なファンからのフィードバックがシリーズにさまざまな影響を与えているという。

 公演後の質疑応答では,当然のようにアナウンスされたばかりの「Battlefield 4」についての質問が挙がった。なぜ「Bad Company 3」ではなく,正式のナンバリングタイトルに行くのかという質問については,マーケットリサーチの結果などビジネス的な理由が大きいのことだったが,それだけなく,ナンバリングタイトルにふさわしい内容にするという。ゲームの内容については現段階では語れないとのことだったが,口ぶりからは,Battlefield 3に引き続いて現代戦がテーマになるようではあった。
 Troedsson氏は,自らが熱心なゲーマーでありゲームを愛していると語った。ゲームオタクの集団であるDICEの作るBattlefield 4の新情報が待ち遠しい。
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