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[TGS 2010]気楽にオンラインプレイに入り込める“乗っ取り”TPS。「マインドジャック」プロデューサーの山岸功典氏にその魅力を聞いてみた
しかし本作の場合,倒されたプレイヤーは同じステージにいるキャラクターを「マインドハック」し,その身体を乗っ取って戦場に復帰できる。また,身の危険を感じたら乗っ取りを解除して脱出し,別のキャラクターに乗り移ることもできるのだ。
本作のもう一つの大きな特徴として「他者のゲームにオンラインで乱入できる」という要素が挙げられる。
基本的に,プレイヤーは主人公・ジムを操ってゲームを進めていくのだが,オンラインに接続してプレイしているときは,ほかのプレイヤーもゲームに参加することができる。ホスト以外のプレイヤーは,ホストとなるプレイヤーに協力する「ブルーチーム」,または敵対する「レッドチーム」のいずれかを選んで参加できる。
つまり,参加するプレイヤーによって協力プレイになったり対戦プレイになったりと,オンラインに接続しているだけで,ゲームモードが変化するわけだ(※協力プレイにするか対戦プレイにするかはホストが選べる)。
今回は,東京ゲームショウ2010の会場で,プロデューサーの山岸功典氏にインタビューをし,本作の生まれた経緯や見どころなど,いろいろと話を聞いてきた。
また,なんと山岸氏が「マインドジャック」をプレイしている様子をムービーで撮影させてもらったので,そちらも合わせて掲載しておこう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。
まずは,どういったきっかけで「マインドジャック」のようなゲームが生まれたのかを教えてください。
「マインドジャック」は,フィールプラスというデベロッパが開発を担当しています。作品の元となったのは彼らが長く温めてきたアイデアで,それが面白かったので,お互いに意見交換をしながら,具体的な形にしていきました。その結果がこの「マインドジャック」です。
4Gamer:
「マインドジャック」が初めてお披露目されたのはE3 2010でしたが,そのときの反応はどうでしたか?
山岸氏:
欧米では「毛色の変わったTPS」として受け止めていただけたようです。「Gears of War」シリーズや「Call of Duty」シリーズといった,正統派のTPSやFPSとは方向性がまったく違うので,TPSでありながら,これまでのTPSにない要素を取り入れた,「新しい形のTPS」として遊んでもらえればと思っています。
4Gamer:
新しいといえば,人間以外にもロボットやゴリラなどをマインドハックして操れるというのが,面白かったです。
山岸氏:
電子頭脳もしくは脳を持っている相手なら,誰にでもマインドハックできるという設定になっています。ゴリラは「Nerkas」という会社の作った生物兵器なんです。こういったモンスターを自分のキャラクターとして操作できるゲームは,海外にも例が少ないので,そこも見どころだと思います。
4Gamer:
日本国内では今回のTGS 2010が初プレイアブル出展となりましたが,来場者の反応はどうでしょうか。
山岸氏:
やはり,日本のユーザーさんにとってはTPSのハードルはまだ高いようですね……。
でも実は,マインドジャックはほかのTPSよりもずっと親しみやすいんですよ。というのも,通常のTPSでネットワーク対戦をする場合,自分でロビーを立てたり,他人のロビーに参加させてもらったりします。そのため,プレイをやめたいときでもなかなか出て行きづらいですよね。
ですが,マインドジャックの場合は勝手に乱入して勝手に出て行くというシステムですし,入られる側のプレイヤーは「ブルーのみ参加可能」「レッドは1人まで」などといったルールを自由に設定できます。入る側にとっても入られる側にとっても,非常に気楽に遊べる,というのが狙いなので,これからこういった部分が伝わっていけばと思います。
4Gamer:
ところで,山岸さんが今回,TPSジャンルの作品を手掛けていることにちょっと驚いてしまいました。個人的な印象なのですが,やはり「スターオーシャン」シリーズなどRPG作品のイメージが強いので……。
山岸氏:
実は,マインドジャックの中にもRPGっぽい要素が入っているんですよ。
例えば,戦闘に勝利すると経験値が溜まって,「アーツ」を獲得できるんです。アーツを自分の「スロット」に装備することで,銃のリロード速度が上がったり,プレイヤーが人間やロボットに憑依していない状態の「ワンダラー」のスピードが上がったりと,戦闘を有利にするさまざまな特殊能力を使えるようになります。
4Gamer:
ゲームのモードとしては,シングルプレイモードとマルチプレイの対戦モードで別々になっているんですか?
山岸氏:
いえ,モードとして分かれているのではなく,ストーリーモードでマルチプレイもできるようになっているんです。ネットワークにつながった状態でゲームのソロプレイをしていると,いつの間にか自分のゲームに他人が入ってきて,ゲームが盛り上がっていくという形です。
もちろんスタンドアロンで遊ぶことも可能ですが,オンラインプレイだとさらに楽しめると思います。通常ならストーリーモードのマップとは別に対戦用のマップが用意されているものですが,マインドジャックの場合はストーリーモードのマップがそのまま対戦で使用されるんです。
4Gamer:
プレイ人数は最大で何人になるのでしょう?
山岸氏:
最大で6人ですね。8人以上だと乱戦になってしまいますし,4人だとちょっと少なく感じます。結論として,間の6人がちょうどいいという判断になりました。
ブルーチームが3人いると,それぞれがマインドスレーブで味方をねずみ算式に増やせますし,一方のレッドチームは人数が多くても,どんどん使い捨てで戦っていくことになるので,バランスもちょうどいいだろうと考えています。
また,先にも述べたように,ホスト側でルール設定ができるので,「レッドのみ参加可能」に設定すれば,5人のレッドチームにブルー1人で挑むようなマゾプレイも可能です(笑)。
4Gamer:
TPSが苦手な人なら「ブルーのみ参加可能」にすれば,協力プレイでプレイできると。
山岸氏:
ええ。それにイージー,ノーマル,ハードの難度設定によって敵の体力などを調整できるので,苦手な方でもご安心ください。
4Gamer:
ルールの組み合わせ方次第では,いろいろな遊び方ができそうですね。
山岸氏:
そうですね。こちらの意図としては,ある程度遊びを提供したあとは,プレイヤーの側で新しい遊びを作り出してもらいたいと思っています。好きなように工夫して楽しんでもらえたら,それが一番嬉しいですね。
4Gamer:
ブルーチームとレッドチームのどちらに参加するかで戦略も変わってきそうですが,山岸さんのオススメはどちらでしょうか?
個人的には,ブルーを極めるのが楽しいですね。ブルーは瀕死の敵を「マインドスレーブ」で味方にできるので,戦略性が高く,玄人好みだと思います。レッドのほうは消耗戦を仕掛けることになるので,TPSがうまい人ならばレッドのほうが戦いやすいかもしれません。
また,ブルーはほかのプレイヤーとの協力プレイになるので,日本人的にもブルーのほうが人気が出そうだと思っています。
4Gamer:
ちなみに,会場ではプロモーションムービーが上映されていましたが,あのムービーのナレーションは,若本規夫さんですよね? ゲームにも若本さんが声の出演をしているんですか?
山岸氏:
今回はナレーションを聞くだけで,マインドジャックというゲームの概要が理解できるというのを踏まえたうえ,若本さんにナレーションの依頼をお願いしました。若本さんの声はかなり個性的ですし,その声がTGSの会場内に流れているだけで興味を持っていただけるかなと(笑)。ただ,ゲーム本編で若本さんが声を当てられているわけではありません。あくまでもプロモーションの一環です。
4Gamer:
先程試遊させてもらったのですが,乗っ取りができるキャラクターのバリエーションが多そうな感じだったのですが,どのくらいのキャラクターが登場するのでしょうか?
山岸氏:
メインキャラクターとしては,ヒーローとヒロインであるジムとレベッカ,それにフェルナンデスという第三者的な人物の3人ですね。あとは敵と一般市民です。
一般市民のバリエーションはかなり多いですね。実は,そのへんの一般市民がスナイパーライフルのような武器をいろいろと隠し持っているので,誰を乗っ取るかによって戦況が変化するんですよ。
4Gamer:
“乗っ取り”という要素がゲームシステムの大きな鍵となっていますが,ストーリーや世界観とはどのように絡んでいるんですか?
人間の精神を乗っ取る技術を使って戦争ゲームを仕掛ける,「マインドハッカー」というテロリストが暗躍する近未来の話です。連邦捜査官である主人公の2人は,マインドハッカーを食い止める立場で活躍するのですが,そのために彼らもマインドハック技術を使うことになる……といった構造になっていますね。
4Gamer:
最後に,4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
山岸氏:
日本のプレイヤーが遊びやすい,ハードルの低いネットワーク対戦TPSになっております。ほかのTPSより,かなり気楽に遊べますので,一度体験すれば,「ネットワークを使った戦争ごっこ」は面白いなと感じていただけるはずです。ぜひとも,よろしくお願いいたします。
4Gamer:
ありがとうございました。
(2010年9月17日収録)
「マインドジャック」公式サイト
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