インタビュー
L&K Logic Koreaに聞く韓国モバイルゲーム事情&「Mirror War」「RED STONE 2」最新情報
RED STONEで知られるL&K Logic Korea(以下,L&K)もそういった会社の一つだ。G-Starに合わせてモバイルゲーム分野への参入と新作モバイルゲーム3本を発表している。4Gamerでは,同社Executive Producer & CEOであるナム・テクウォン氏にそのあたりの事情と,日本でサービスが予定されている「Mirror War - Reincarnation of Holiness」や新作「RED STONE 2」の動向などについてもインタビューしてみた。
4Gamer:
よろしくお願いします。韓国ではPCオンラインゲームからモバイルゲームへの移行が進んでいると聞いています。実際今回の会場を見てもそんな雰囲気が強く感じられます。まず,韓国のモバイルゲーム事情について教えてください。
ナム・テクウォン氏(以下,ナム氏)
ちょっと難しいですね。業界がこれからどうなっていくのかは誰にも分からない話です。とくにモバイルゲームは流れが速く,韓国では1年前にはKAKAO一強の状況でしたが,いまではそのときの弱者が力をつけていたりします。そういったカオスな状況ですので,私にとってもモバイルゲーム業界の把握は難しいですね。
4Gamer:
では,L&Kがモバイルゲームに進出したのは,どういった理由だったのでしょうか。
ナム氏:
もともとモバイルに興味があったからのです。実は,今回初めてモバイル向けの開発をしたわけではなく,過去にMirror WarをSamsungの端末向けに出したこともありました。
4Gamer:
それを本格的に始める時期になったと。
ナム氏:
会社的に言うと,RED STONEやMirror Warのリセールの準備を進めているうちにモバイル開発をするだけの人員を確保できたことや,パブリッシャからも「これからはモバイルだろう」といわれていたことも影響しています。また,最近韓国ではモバイルゲーム開発自体がトレンドになっていて,モバイル開発をすることで投資家にアピールできるというのもありますね。
4Gamer:
以前,韓国でのモバイルゲーム開発が進行している理由として,「PCオンラインゲームでは政府からの助成金がなくなったから」だという話を聞いたことがあるのですが,実際のところどうなのでしょうか。
ナム氏:
確かに我が社も助成金をもらっていましたが,それはあまり大きな要因ではないですね。生活の変化のほうが大きいと思います。
4Gamer:
分かりました。モバイルゲームですと,比較的簡単に世界展開ができることが魅力の一つだと思うのですが,L&Kでは海外展開についてどう考えていますか。
ナム氏:
4Gamer:
それは今後の予定でしょうか。現在すでに始められているのでしょうか。
ナム氏:
いまもやっていますし,日常の業務だと考えてください。現時点で5件のゲーム輸出が決まっていて,さらに来年にかけていくつかの案件が動いています。
国内ではすでにKAKAO TALKと関連してゲームを展開する環境が整っているのでよいのですが,海外展開では,自社と相性のよいパブリッシャを探して展開していきたいですね。
4Gamer:
やはりパブリッシャは重要でしょうか。
ナム氏:
我々は,単にできたゲームを売るだけの仕事をしているわけではなくて,海外で通用するようなデベロッパのゲームを見定めて,それを海外でちゃんとしたゲームとして展開していくためのサポートをしていきます。単純なローカライズではお話になりませんので,ユーザーのニーズを把握することは必須となります。それには,現地でのパブリッシャから提供されるマーケット情報が重要になってきます。
ただ,それだけではなく,我々自身がユーザーの意向を把握してパブリッシャといろいろな調整するところまでが我々の仕事だと思っています。
L&Kは韓国産モバイルゲームを世界に届ける
4Gamer:
では,今回のG-Starに合わせて発表されたモバイルタイトルについて教えてください。
ナム氏:
「Epic Monster」と「Plants Defence」は外部の会社が作ったものですが,これならいけるだろうと思って買い取りました。「Mirror War Mobile」については,持ち込まれた企画を見て,L&Kで改良しつつ作り上げたものです。自分が持っているIPでゲームを作ることもそうですが,外部から見込みのあるゲームを仕入れて発表することも重要だと思っています。
●Mirror War Mobile
「Mirror War Mobile」は,Mirror Warの登場人物4人が登場するパズルRPGだ。上部は横スクロールでキャラクターが走りながら,モンスターと戦っていく画面になっており,下のパズル部分でジェムを消して,戦闘を支援していくという構成になっている。
パズル部の操作法は,隣り合ったジェムを入れ替えて揃えるという「Bejueled」,日本で分かりやすいところでは「LINE POP」とほぼ同じものだ。消したジェムの色によってゲージを溜めてキャラクターのスキルを使うあたりは「パズル&ドラゴンズ」と同様なシステムが使われている。定番ゲームのシステムとIPを組み合わせたゲームだと思えばよいだろうか。
一人用のシナリオモードのほかに,対人戦モードも用意されている。
●Epic Monsters
「Epic Monsters」は,隣り合ったジェムを一筆書きでつなぐ方式でジェムを消す,パズルを中心にしたゲームである。上部はRPG仕立てでフィールドに現れたモンスターを手持ちのモンスターデッキで迎え討つ。ジェムの消し方が違うものの,スキルの発動などはパズドラ風のものが採用されている。モンスター収集とパズル攻略が中心となったゲーム性と思われる。
●Plants Defence
「Plants Defence」は,一言でいえば「Plants vs. Zombies」のようなゲームだ。知らない人に言葉でルールを説明するのは難しいのだが,最近4Gamerで紹介したタイトルだと「助けてアニマル戦隊」の地形効果をなくして3レーンにしたものというのが近いだろうか。
4Gamer:
モバイル展開に際して,このような簡単なゲームとIPを絡めたものから始めた理由というのはありますか。
ナム氏:
我々はこれらを簡単なゲーム,カジュアルゲームとは思っていません。操作は簡単ですが,ゲーム性には深いものがあるので,ミドルコアゲームと位置付けています。もちろん,ハードコアゲームではありません。軽い感じで誰でもやれそうですが,ある程度複雑性を持っているゲームだと思います
4Gamer:
では,御社IPを使ったMirror War Mobileの制作でとくにこだわったところというのはありますか。
ナム氏:
Mirror Warをモバイルに展開する際には,「Plants vs. Zombies」や「Bejeweled」といった有名なモバイルゲームの面白さとIPをうまく組み合わせることができないかと考えました。ファンタジーワールドでなにかをやりたいというのがあって,このような作品ができたわけです。そして,どうすればMirror War Mobileがさらによくなるのかと工夫を凝らし,さらにPlants vs. ZombiesやBejeweledなどの要素がプレイヤーを混乱させないようにするといったあたりにこだわりまっています。
4Gamer:
これらのゲームはすでにサービス中のものですか?
ナム氏:
4Gamer:
今後も継続してモバイルゲームをサービスしていくのだと思いますが,何本くらい用意されているのでしょうか。
ナム氏:
タイトルはいえませんが,開発中のものやサービス予定のものはあります。現時点で,すでに確保したゲームが15本あり,G-Starでもさらにタイトルを増やすべく開発者の方々といろいろ話をしていたところです。
タイトルまで発表できない理由は,あるものは完成されていますが,未完成のものもあり,それらの見極めが終わってからまとめて発表する予定だからです。
4Gamer:
分かりました。発表を楽しみにしています。
新作「RED STONE 2」や日本サービスが予定されている「Mirror War」の状況は
4Gamer:
話は変わりますが,日本でサービスが予定されているMirror Warの状況について教えていただけますか。
ナム氏:
Mirror Warは,現在ゲームポットと共同でローカライズ作業を進めています。来年の頭くらいにはなにかの発表ができるのではないでしょうか。
4Gamer:
ゲームポットさんはどうでしょうか。いろいろ要望も多くきているのではないかと思うのですが。
ナム氏:
要望も多いですが,とても積極的に対応してもらっています。
4Gamer:
以前のインタビューでも「パブリッシャは要望が多いほうがいい」とおっしゃっていたと聞いています。現状の進捗はいかがでしょうか。
ナム氏:
開発度合いからすると,コンテンツが80%くらいの進捗状況でしょうか。ゲームポットからは,日本のユーザーがなにを求めているのかなどについて教えてもらっています。そういった情報はとても役立っています。
4Gamer:
順調ということですね。日本展開に期待しています。
では,新作のRED STONE 2のほうですが,昨年出展されていたものからなにか変わったところはありますか。
ナム氏:
RED STONE 2は,安定化作業を行っていました。見た目には昨年のものとさほど違わないと思いますが,職業のバリエーションやワールドの広さなどの面でも完成度を上げています。昨年のものがプロトタイプだとすると,今年は完成に向かって走っているところですね。来年には完成したものをお見せできるのではないでしょうか。
4Gamer:
話は変わりますが,ナムさんにとって今年のG-Starはいかがですか。
ナム氏:
B2Bが非常に充実していますね。B2Cにも行ったのですが,ほとんどのゲームが目立っていましたね(笑)。(※タイトル自体が少なかったの意)
4Gamer:
今回,L&KがB2Cに出展しなかったのはどうしてですか?
ナム氏:
新作タイトルはあるのですが,発表するタイミングとしては微妙でしたので,今回は見送りました。もっと熟成させてから発表したいと思います。
4Gamer:
では,Mirror Warなどを楽しみにしている日本のゲームプレイヤーにメッセージをお願いします。
ナム氏:
Mirror Warはシューティングゲームです。これは日本の市場にとっては意味のあるジャンルではないかと思っています。シューティングゲームの好きな人にはぜひ期待してほしいですね。私達もそれに応えられるように努力していきますので。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
日本のゲームプレイヤーにとっては,Mirror WarとRED STONE 2が気になるところだが,Mirror Warは来年のそう遠くない時期に情報が出てきそうなので期待しよう。海外のゲームショウを見ていると感じるのだが,こと縦シュー・横シューについては,日本人プレイヤーの見る目は恐ろしく厳しいものがある。海外製品をプレイしてみても,なにか「作法にかなっていない」と感じられることが多いのだ。そういったものがゲームポットの監修でどの程度まで解消されてくるのか。今後の発表に期待したい。
- 関連タイトル:
MIRROR WAR 〜Reincarnation of Holiness〜
- 関連タイトル:
RED STONE 2
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