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Radeon HD 6800
  • AMD
  • 発表日:2010/10/22
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「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
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印刷2010/12/11 00:00

レビュー

「XFX初」となるデュアルファン仕様のGPUクーラー搭載モデル,実力検証

XFX HD-685X-ZDFC

Text by 米田 聡


HD-685X-ZDFC
メーカー:Pine Technology(XFX)
問い合わせ先:NEW X TEL:03-6268-9461
実勢価格:2万2000〜2万3000円(※2010年12月9日現在)
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 価格と性能,消費電力のバランスが取れたミドルクラスGPU「Radeon HD 6850」(以下,HD 6850)。搭載カードは各社からリリースされているが,XFXブランドで知られるPine Technology(以下ブランド表記)からは,同社として初めてデュアルファン仕様にしたというオリジナルGPUクーラー搭載モデル「HD-685X-ZDFC」が登場してきた。
 ぱっと見で冷却能力重視の製品であることは想像できるが,実際にはどういった特性を持った製品なのか。XFXからカードの貸し出しを受けられたので,実際に動かして確かめてみることにしよう。


7mm径のヒートパイプ2本とフィン,

80角ファン2基によるGPUクーラーを搭載


HD-685X-ZDFCとHD 6850リファレンスカードを並べてみたところ。この角度だと後者のほうが長く見えるが,実際にはほとんど同じである
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 XFXオリジナル基板を採用するHD-685X-ZDFCのカード長は実測230mm(※突起部除く)。同228mmのHD 6850リファレンスカードと比べると2mmだけ長いが,並べてみるとほとんど変わらない。そして,その基板全体を,XFX自慢(?)のGPUクーラーが覆っている。

 GPUクーラーは,カード全体を覆うデザインで,I/Oインタフェース部からPCケース外へ,カード後方およびクーラーと基板の隙間からからPCケース内へそれぞれ排気する仕様だ。
 デュアルファン仕様と謳われているのだから当たり前だが,80mm径相当のファンを2基搭載。また,クーラーからは,2本のヒートパイプがはみ出しているのも見て取れる。

カード全体を覆うGPUクーラーは,カード後方に若干せり出している。2本のヒートパイプが飛び出ているのも目を引くところだ。なお,クーラーを固定するネジには2か所封がしてあり,剥がそうとすると保証が切れる仕掛け
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クーラーを取り外したところ。電源部にも小型のヒートシンク(写真右端)が取り付けられていた
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 ヒートパイプの径は実測7mm。クーラーを取り外してみると,ヒートパイプの“根元”がGPUのダイと直接触れるような設計になっていた。この太いヒートパイプ×2で熱をフィン部へ運んで,2連ファンで冷却する構造である。
 フィン部の高さは実測平均して約9mmと,決して大型というわけではないが,フィン部はカードを広く覆うような格好になっているので,総面積はかなりあると述べていいだろう。

GPUクーラーを取り外したカード全体と,HD 6850 GPU,そして搭載するメモリチップ。メモリチップはHynix Semiconductor製のGDDR5「H5GQ1H24AFR-T2C」(5Gbps)だった
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「GPU-Z」(Version 0.4.9)実行結果
画像集#010のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
 大口径のファンを2基搭載する仕様から,動作クロックが気になる人もいると思われるが,HD-685X-ZDFCの動作クロックは100%リファレンスどおり。コア775MHz,メモリ4GHz相当(実クロック1GHz)だ。そのため,メモリクロックには相当のマージンがある計算になる。

 付属ソフトウェアとして特別なオーバークロックツールが付属しているわけでもないので,HD-685X-ZDFCの豪華なGPUクーラーは基本的に,オーバークロック目的というよりは,安定動作を目指したものということなのだろう。


冷却能力はさすがに良好

動作音はやや大きいが,問題にはならないレベル


 というわけで,今回はHD 6850リファレンスカードと1対1で比較し,オリジナルデザインを採用したHD-685X-ZDFCの特性をチェックしてみたい。
 テスト環境はのとおり。公式最新版グラフィックスドライバ「Catalyst 10.11」はRadeon HD 6000シリーズに対応しないため,今回は「Catalyst 10.10」を用いる。

画像集#014のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証

 さて,まずはHD-685X-ZDFCの大きな特徴であるGPUクーラーからチェックしてみたい。
 冷却性能のテストに当たっては,3DMark06を約30分間ループ実行し続け,その間のGPU温度推移を,MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 2.1.0 Beta 4)から追ってみた。テスト対象の2製品について,その結果をまとめたものがグラフ1だ。

 グラフを見れば一目瞭然だろうが,HD-685X-ZDFCのGPU温度は,HD 6850リファレンスカードのそれと比べ,アプリケーション実行時で約20℃低く推移した。冷却能力は相当に高いと述べていいだろう。OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」とするが,アイドル時だと順に38℃,42℃で,それほど変わらない。

画像集#015のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証

外部出力インタフェースはDVI-I×2,DisplayPort×1,HDMI×1。面白いのは,排気口が「XFX」デザインになっていることで,しかもこのデザインを採用したブラケットには「XFX Style Bracket」という名前まで付けられている
画像集#011のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
 なぜ,20℃という極端な違いが生じたのか。その裏には,HD-685X-ZDFCで行われる,ファン回転数のアグレッシブな制御があるようだ。
 本製品が搭載するGPUクーラーはデュアルファン仕様ということもあり,Afterburnerはもちろん,「GPU-Z」といったGPU情報表示ツールでもファン回転数は取得できなかった。ファンモーターのパルス出力がつながっていないか,独自のインタフェースになっているのかもしれない。また,搭載するファンの仕様も不明で,アイドル時やピーク時の回転数はカタログ値も公表されていない。

 だが,回転数の温度制御はされており,回転率はAfterburnerから得ることができた。そこで,グラフ1における“ファン回転率”推移を比較したのがグラフ2となる。
 ここでは,HD 6850リファレンスカードだとピークでも46%に抑えられているのに対して,HD-685X-ZDFCだと60%まで上がっていることが分かるだろう。細かく見ると,後半になるにつれ,HD 6850リファレンスカードはピークに達する時間が増えるが,HD-685X-ZDFCのほうは変わらないか,むしろ短くなる傾向にあるようだ。

画像集#016のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証

 もっとも「46%対60%」と言ったところで,後者で最大回転数が公開されていないうえ,ファンも2基あるので,直接の比較はできない。
 そこで,3DMark06より負荷の高い「Heaven Benchmark 2.0」(Version 2.1)を30分間連続実行した状態を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,グラフィックスカードから約20cm離れた場所に固定したマイクで,動作音を録音してみた。絶対評価用ではなく,あくまでもHD 6850リファレンスカードとHD-685X-ZDFCとの動作音を相対評価するためのものだが,ぜひ聞き比べてみてほしい。

HD 6850リファレンスカード:アイドル時
音声ファイルを再生する

HD 6850リファレンスカードの場合,アイドル時のファン回転数が300rpmまで抑えられるため,ファンの音としてはまず認識できない。「ブー」という音が入っているが,これはバラック状態ゆえの振動であり,PCケースに組み込めばまず聞こえないものだ

HD 6850リファレンスカード:高負荷時
音声ファイルを再生する

負荷が高くなると,やや高めの「フーッ」という系統の音が大きくなる

HD-685X-ZDFC:アイドル時
音声ファイルを再生する

やや低周波によったファンの音だが,まあまあ静かだとは言える

HD-685X-ZDFC:高負荷時
音声ファイルを再生する

アイドル時の音をそのまま大きくしたような印象だ。評価は分かれそうだが,「感心するほど静かではないが,うるさくもない」といったところか


 ファンの径が大きく,風切り音が入り込む関係で,HD-685X-ZDFCの動作音はHD 6850リファレンスカードより大きい。高負荷時はHD 6850リファレンスカードがやや高周波よりの音になっているのに対して,HD-685X-ZDFCはやや低めの音が主体になっているのも特徴だ。
 ただ,実使用上,うるさいと感じられるレベルではないため,PCケースに組み込んでしまえばまずもって気にならないだろう。


当然ながら性能はリファレンスと同じ

安定動作志向のゲーマーに勧められる


 動作クロックが完全に同じなので,性能面での違いが生じる可能性は低いが,念のため確認しておきたい。今回は,4Gamerのベンチマークレギュレーション10.2から,「3DMark06」(Build 1.2.0)および「Battlefield: Bad Company 2」「Just Cause 2」の3タイトルに絞り,1680×1050&1920×1200ドットの「高負荷設定」でテストし,その結果をグラフ3〜5にまとめてみた。見事に「変わらず」という結果が出たので,参考にしてほしい。
 なお,HD 6850というGPUそのものの位置づけについては,2010年10月22日に掲載したレビュー記事を参照してもらえれば幸いだ。

画像集#017のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
画像集#018のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
画像集#019のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証

 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,各ベンチマークアプリケーションを実行したとき,最も高い消費電力値を示した時点を,アプリケーションごとの実行としつつ,アイドル時ともどもスコアをまとめてみたのがグラフ6だ。
 タイトルによって多少のブレはあるが,基本的には変わらないと見ていいだろう。少なくとも,アグレッシブにファン回転数を制御するHD-685X-ZDFCが不利といった結果にはなっていない。

画像集#020のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証

製品ボックス(上)。XFX製グラフィックスカードでおなじみの「Do not disturb」タグも,もちろん同梱される(下)
画像集#012のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
画像集#013のサムネイル/「XFX初」とされるデュアルファン仕様のHD 6850カード,その実力を検証
 以上のテストから,HD-685X-ZDFCは,見かけ倒しということもなく,十二分の冷却性能を持っているとまとめられそうだ。特別うるさいということもないまま,これだけGPUが冷却できる以上,長時間の安定動作も見込めるはず。2万2000〜2万3000円程度(※2010年12月11日現在)という実勢価格も,少なくともHD 6850カードの相場と比べて高すぎるということはないため,リファレンスクロック動作モデルを購入するにあたって,HD-685X-ZDFCは有力な選択肢の1つになると述べていいのではなかろうか。

 また,今回は試していないが,多少の“無理”にも対応できると思われるので,ややオーバークロック気味にGPUを動作させたいというニーズにも,応えてくれる可能性はありそうだ。

XFX製HD 6850カード製品情報ページ(英語)

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    Radeon HD 6800

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