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ついにその姿が見えてきた「KILLZONE 3」。話題の3D立体視をプレイしたインプレションと,開発者インタビューを掲載
昨日(6月3日)東京,秋葉原UDXシアターにてソニー・コンピュータエンタテインメントが開催した,大作FPS「KILLZONE 3」のメディア向け発表会。昨日(6月3日)に掲載した記事でお伝えしたプレゼンテーションに続いて,先行体験会が行われ,開発中バージョンをプレイできた。プレイアブル展示としては,国内初披露となったKILLZONE 3のファーストインプレッション(2D/3D),その後に行われたGuerrilla Gamesのマネージングディレクター,Hermen Hulst氏へのインタビューをお届けしよう。
PlayStation 3を代表する大作FPSの片鱗が見えた。「KILLZONE 3」メディア発表会レポート
メディア向け発表会が行われた「KILLZONE 3」の最新プロモーションムービーを掲載
よりシネマティックになった演出を見せるゲーム本編
体験プレイが可能であったのは,先立って行われたプレゼンテーションで紹介された場面と同じ,製品版のシングルプレイでは4番目に登場する北極圏のステージだ。細かな雪が降る中,石油プラントのような鉄骨むき出しの建造物が立ち並ぶ北海。プレイヤーキャラクターであるセヴを乗せたイントルーダー(飛行リフト)が,敵が待ち構える海上の建物を上空からバリバリ掃射していくという,爽快感の高いシーンでステージの幕が開く。また,建物の特定の場所を撃つと爆発が起き,建物が海へ崩れ落ちていくなど,迫力はかなりのもので,“つかみ”はバッチリという演出が印象的だ。
さらに進むと,敵であるヘルガスト軍の攻撃を受けてイントルーダが地上へ墜落。セヴが仲間のリコに助けられるカットシーンを経て,ここからはリコをパートナーとした地上戦が展開していく。前作「KILLZONE 2」同様,ゲームの進行にパートナーとの連携は大切で,こちらが倒されたときに蘇生してもらえる要素なども継承されている。
また,高い壁を二人で協力して乗り越えていくシーンなど,マルチプレイの詳細については発表されていないものの,「もしかしたらCo-op(協力)プレイも可能か」と思わせるほどコンビプレイの重要度が増している。
それでも,それなりに手強い敵を倒しつつ,ルートを進んでいくと登場するのがジェットパックを装備した兵士。上空をひらひらと舞いながらの攻撃はかなりイヤらしく,またこちらの狙いも定めにくい。ただし,ジェットパックそのものが弱点となるようで,背中のパックを破壊すると火を吹きながら上空へ飛び上がり,そこで爆発するシーンも見られた。
また,デモプレイの後半ではプレイヤー自身がジェットパックを装備して,空を飛びながら戦う場面も用意されていた。遮蔽物の陰に隠れた敵を上空から攻撃するような“高さ”を使った戦法が取れるほか,海に浮かぶ氷山をジェットパックを使って飛び移っていくというスリリングなシーンも用意されている。
主人公のアクションで,前作から大きく変わったのが「近接攻撃」だ。これまではナイフで斬りつける程度だったが,とどめのアクションが増加し,蹴り飛ばしてからナイフを刺す,首をへし折るなど,状況に応じて変化する,かなりバイオレンス度の高い演出が加えられている。これがゲーム性にどう影響を与えるかは不明だが,プレイヤーの興奮度を高めてくれるのは間違いないだろう。
ほかにも,エイミング(照準)が,前作のいささかヌルッとした手触りから,サクッとスポーティーに感じられる手ごたえを持つものになっていたり,進行ルートが複数用意され,リニアな進行をできるだけ避けようとしている印象を受けたが,このあたりもまだ開発途中ということで,あくまで現段階の個人的な感想にとどめておきたい。
とはいえ,演出のうまさやシステムの完成度の高さなどはこれまでのシリーズ譲りで,“大作感”を漂わせていたことだけは間違いない。
3D立体視でのプレイ体験
臨場感の高まりはFPSとよくマッチ
続いて,KILLZONE 3最大の特徴である,3D立体視でのプレイを体験した。
プレイは発売前のソニーの立体対応テレビ「BRAVIA」の60インチタイプを使って行われたが,画面のサイズが大きいので,3Dメガネをかけた先に広がるフィールドは思った以上に臨場感あふれるもので。正直,プレイ前は,もっと書き割り然とした映像だと思っていたが,奥にグッと広がる地形を見た直後には,思わず「オオッ!」と声を出して驚いたほどだ。
ゲームを進めて実感したのが,FPSとの相性の良さだ。言うまでもなく,主観視点でゲームが進行するFPSが持つ臨場感に加え,銃を構えた際に目元に見えるサイトと,遠くの遮蔽物からちらちら姿を見せる敵兵士との距離感の違いが,ハッキリと認識できるのだ。
また,敵の弾が飛んでくる方向も分かりやすくなるなど,プレイヤーが得られる情報量が格段に増すことになる。
……と,いいことずくめなような3D立体視でのプレイだが,疑問を感じる点もある。それなりにFPSをプレイする筆者だが,2D映像ではめったに感じたことのない“FPS酔い”に軽く陥ってしまったのだ。
3D立体視に対する慣れの問題かもしれないが,2D以上に肉体的な負担が増しているとは言えそうだ。解像度やフレームレートも,やはり2Dに比べれば低いようで,このあたりは,今後改善されることを望みたい。
10分強程度の短い時間ではあったが,今回の体験プレイは,コンシューマ機における3D立体視の可能性の広がりが感じられるものだった。BRAVIAの発売と同じ時期に,PlayStation Networkで配信中のいくつかのタイトルが3D立体視対応にアップデートされるという情報もあり,ソニーグループ全体をあげて3D立体視への取り組みが行われることになる。そうした部分も含めて,今後の展開を楽しみにしたい。
Guerrilla Gamesのディレクター
Hermen Hulst氏へインタビュー
最後に,デベロッパであるGuerrila Gamesから今回のメディア向け発表会のために来日したマネージングディレクターのHermen Hulst氏の話を聞く機会が得られたので,以下に掲載しよう。限られた時間内の複数メディアによる合同取材であり,ゲームについてもまだ言えない部分が多かったことから,いささかツッコミの足りない部分はあるかもしれないが,それでも,KILLZONE 3の狙いや現在の状況などがよく分かるはずだ。
4Gamer:
デモプレイの印象として,パートナーとの連携が重要度を増したように思ったのですが,いかがでしょう?
Hermen Hulst氏(以下,Hulst氏):
パートナーとの連携は,前作「KILLZONE 2」でも実装していたことですが,彼がプレイヤーと一緒に戦うのはもちろん,敵に倒された際にプレイヤーを蘇生をしてくれたりと,進化したAIによって,以前より連携の度合いは増したと思います。
本作は,セヴらがヘルガスト軍の本拠地であるヘルガーン星から脱出するという物語になっているので,パートナーだけでなく,ISA軍のメンバーがお互いを助けあう様子も描かれています。メインのパートナーはリコですが,アルファチームのほかのメンバーが加わることもありますよ。
4Gamer:
AIについて,力を入れた点があれば教えてください。
開発の基本的なスタンスとして,AIの性能を高めることに力を注いでいるのですが,とくに今回は,バリエーション豊かな動きを目指しています。AIで動くキャラクターの一人一人がユニークなアクションをするのです。また,ゲーム全体のスケールが大きいこともあって,AIも環境に合わせて行動するようにチューニングしています。パターンに沿った行動ではなく,状況に合わせた動きをするのです。プレイするたびに,予想できないAIの動きが見られるでしょう。
4Gamer:
マルチプレイに関して,現状でお話いただけることはありますか?
Hulst氏:
参加可能人数など詳しいことに関しては今後アナウンスしていきますが,今言えることはマルチプレイを“より遊びやすいもの”にするよう,いろいろなアイデアを試している段階だと言うことです。
4Gamer:
ジェットパックなど新しい要素は,どういった発想でクリエイトするのでしょう?
Hulst氏:
我々はこれまで,すべてのKILLZONEシリーズのタイトルを開発してきましたが,実はPSP版の「KILLZONE Liberation」で,ジェットパックはすでに登場しています。
新作を作る際には,以前のシリーズ作品をプレイするのですが,自分達の作った要素にインスパイアされ,それをパワーアップしてゲームに登場させることが多いです。
4Gamer:
3D立体視がゲームの最大の特徴の一つだと思いますが,初めて立体映像が表示されたとき,開発チームの皆さんはどんな反応でしたか?
開発スタート時から3D立体視に対応させることを決めていたので,その時点からチームのみんなはエキサイトしていました。
もともと3Dでゲームを開発していますから,対応自体は難しくありませんでした。ただ,実際に立体映像にしてみると,(ダメージを受けた際に画面手前に表示される)血やHUDが浮いて見えてしまったりと,3Dだからこそ修正しないといけない点がたくさん出てきましたね。KILLZONEシリーズはシネマティックなFPSということで評価を得ているのですが,今回は3D立体視ということもあり,コンセプトアートなどのデザイン面のスタッフを増強して,臨場感を増すようにしました。
4Gamer:
3D立体視の技術を使って開発することの難しさや,もっとこうしたいという点はありますか?
Hulst氏:
発売は先の話になりますので,これから手を入れていく部分も多いのですが,先ほどもお話した血やHUDの表現,それから字幕が宙に浮いているように見えてしまうようなことを,どうやって直していくかを考えています。金網など,立体映像で表現するのが難しいオブジェクトもありますし,例えばナイフを持った手など,一番近くにあるものをぼかして表現しないと,違和感が出てしまったりと,考えるべきことは多いですね。基本的に,プレイヤーの視点をどこにフォーカスさせるのかがより重要になると思います。
4Gamer:
最新作には,どのような新武器が登場しますか?
Hulst氏:
今回のデモにも登場しましたが,「WASPガン」という誘導ミサイルを発射する巨大な銃があります。これは,最初のKILLZONEに登場した巨大銃にインスパイアされて作りました。
たいへんパワフルな武器ですが,3Dで見ると,よりそのパワーを感じてもらえると思います。普通に撃つと複数のミサイルがバラバラに敵を狙うのですが,スコープで狙いをつけて撃つと,いったん上空に上がって,それから一つの目標へ降り注ぐので,戦車などの強敵を簡単に倒せます。
4Gamer:
最後に,日本のゲーマーにメッセージがあれば教えてください。
Hulst氏:
オンラインに接続してる日本人プレイヤーは,非常に熱心にゲームをプレイしていると思います。軽く触れるだけではなく,とことんプレイするようですね。「モンスターハンター」がいい例ですね。KILLZONE 3では,よりオンラインにアクセスしやすく,難度を調整しなから幅広いユーザーに楽しんでもらえるようにする予定です。
また,日本の人はとくに,最新技術をすぐに受け入れてくれるので,3D立体視も楽しんでもらえるのではないかと思っています。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
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KILLZONE 3
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(C)2011 Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Guerrilla.
- KILLZONE 3(初回生産限定特典:オンライン対戦に役立つポイント(武器の解除やスキルの開放に使用可能)をダウンロードできるプロダクトコード同梱)
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