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[TGS 2010]亙さんならやりかねないと思ってました――“漢仕様”のシステムリンクも発表された,「電脳戦機バーチャロン フォース」イベントレポート
多くのバーチャロンファンが詰めかけたこのステージに登壇したのは,「バーチャロン」シリーズでプロデューサーを務める,Dr.ワタリこと亙 重郎氏と,バンダイナムコゲームスで「スーパーロボット大戦」シリーズのチーフプロデューサーを務める寺田貴信氏。
イベントはあらかじめ設定されたテーマに沿って,ロボットゲームに造詣の深い2人が対談するという形式での進行となった。バーチャロンファンのみならず,ロボット好きにとって興味深い話題が続出する刺激的なステージだったので,さっそく紹介していこう。
「電脳戦機バーチャロン フォース」公式サイト
亙氏の珍エピソードも飛び出した
「お互いの作品をどう思うか」
最初の紹介するお題は,ズバリ「お互いの作品をどう思うか」。VO4の新情報も飛び出した,バーチャロンファンには見るべき所の多いトーク内容となった。
スーパーロボット大戦の初プレイが,SFCの「第3次スーパーロボット大戦」だという亙氏は,当時の印象を「“東映まんがまつり”的なお祭り感と,ビデオゲームらしいケレン味がうまくかみ合った作品」と評し,いずれ伸びていくタイトルだと思っていたら,本当にビッグになってしまって驚いたという。
またシリーズものを続ける心構えについて,寺田氏が「コンテンツには良いとき悪いときがあるけど,石にかじりついても絶対続けていって,ユーザーに届けなきゃならない」と語ったエピソードを紹介し,その“本物”ぶりに感心したと語った。
亙氏の印象については,バーチャロンの設定が緻密なので,きっとクレバーな人なんだろうと思っていたら,実際は「確かにクレバーなんだけど,非常に面白いおっさん」だったと語った。
ここで寺田氏の振りから,話題はVO4の開発状況に移り,最初に想定した仕様から,スタッフの努力でどんどん豪華になっている現状が語られた。今回のTGSで初公開された「グラフィックアレンジ機能」もその一つで,ある日突然「入れときましたから」と言われて驚いたそうだ。
またシステムリンクによるローカル対戦機能の実装も,正式に発表が行われた。ただしこれを実現するためには,Xbox 360が4台,ゲームディスクも4枚必要とのこと。もちろんディスプレイも4台必要という,かなり「漢らしい」仕様になっているそうだ。この機能については,開発チーム内でも「そこまでしてやるか?」という意見があったが,むしろ「そこまでやれと言いたい」という開発チームからの挑戦といわれ,亙氏も承諾したという。
亙氏もハードルが高いのは認めつつも,「マイクロソフトさんのブースが目の前にあるのでいいにくいけど,これを揃えれば,たとえXbox Liveが無くなろうが対戦できます(笑)。だからその価値はあるはず」と,本機能の意義を述べていた。侠気あふれる仕様といい,なんともセガ魂を感じずにはいられない話である。
同作では女性型バーチャロイドである“フェイ=イェン”がしゃべるというシーンがあり,亙氏にセリフを考えてもらったそうだが,そこであがってきた原稿が,見事に女子高生チックな会話で埋められていたのだそうだ。どうやって書いたのか本人に聞いてみたところ,ファミレスに行って女子高生グループの隣の席に座り,ひたすら会話をメモしていたそうで,「まじめな顔して,いい意味でバカ」と会場の笑いを誘っていた。いや,特典云々は別にしても,亙氏の人柄が窺える,良いエピソードではないだろうか。
Dr.ワタリとスパロボの“神様”が語る
「ロボットおよびロボットゲームに目覚めた時!」
続いての対談テーマは,「ロボットおよびロボットゲームに目覚めた時!」。ここでまず口火を切ったのは寺田氏で,最初に目覚めたのは「マジンガーZ対暗黒大将軍」とのこと。以来「コンバトラーV」「勇者ライディーン」「大空魔竜ガイキング」,そして「機動戦士ガンダム」と,さすがはスーパーロボット大戦のチーフプロデューサーだけあって,リアルタイムに追いかけてきたという。
ではロボット“ゲーム”の方の原点はというと,バーチャロンを作るうえで参考にするほど影響を与えた存在は,実はなかったと亙氏は語った。「ロボットゲームを作るなら普通こうだろ? と考え,気がついたらできていたのがバーチャロン」だそうで,当時バーチャロンが登場したとき,筆者が受けた衝撃を考えると,確かに頷ける話である。
対する寺田氏は,ロボットゲームの思い出といえば……と述懐しつつ,FC「高機動戦闘メカ ヴォルガードII」や「重装機兵ヴァルケン」「重装機兵レイノス」といったタイトルを挙げた。とくにヴォルガードIIには思い入れも深いらしく,「どちらかというとSTGなんだけど」と言いつつ,ロボット変形時のシュールな格闘戦についての思い出を語っていた。
また飲み会の席で亙氏と語りあったことがあるという,1986年のAC「サイドアーム」についても話題となった。アーケードっ子だった亙氏は,同作についてはかなりうるさいようだ。
気になるバーチャロンの新作は?
「両者のコラボーレションの可能性」
話はまず,誰もが気になるバーチャロンの新作についてから。VO4からは9年,マーズから数えても7年が経過したシリーズだが,その間何もしていなかったわけではないとのこと。実際に企画も動いていたようだが,表に出る前に頓挫してしまったり,また寺田氏とのコラボレーション企画なども実際にあったものの,止まってしまったりしているのだという。この企画には亙氏も自信を持っていたそうだが,「斬新すぎるのか,僕がよっぽど口下手なのか,理解されない」と,思うようにならない現状を漏らす。しかし別に諦めたわけではなく,現在はチャンスとタイミングを窺っているとのこと。ひとまずVO4で結果を出してから先に進みたいと,未来へ繋げる強い意思を見せていた。
亙氏の発言を受けた寺田氏も,ガンダムシリーズやバーチャロイドのデザイナーとして著名な,カトキハジメ氏という共通のキーパーソンを介して,コラボには積極的な姿勢で望んでいるという。また「与太も野望も飲み会の席から生まれる」と,両氏の結束を確認したところで,「また飲みに行きましょう」という言葉をもって,トークは幕となった。
亙氏:
9年越しにやっとVO4が移植できることになり,時代を感じます。我々開発チームも頑張りましたし,またゲームの持つ力もあったと思いますが,一番はユーザーの皆さんが9年間も愛し続けてくれた結果です。こうして皆さんにお会いできる機会がいただけたことに感謝しています。本当にありがとうございます。
寺田氏:
VO4は,もう9年前のタイトルですが,バーチャロイドのデザインは今見ても新しい。ようやくゲームがコンシューマ版で出るということで,これで袋だたきの目に会わずに済みそうです(笑)。頑張ってプレイしたいと思います。あと11月25日には,DSでスパロボシリーズの新作「スーパーロボット大戦L」が出ます。そちらもぜひよろしくお願いします。
12月22日と,いよいよ発売へのカウントダウンへ入りつつあるVO4,どうやら4Gamer編集部でも,ツインスティックEXを4台並べる方法について検討に入らなくてはならない時期が来たようだ。ちょうどツインスティックEXの最後の再販も決定しているので,買い逃した人はHORIの動きにも注目しておこう。もちろん4Gamerでは,今後も本作を全力で追いかけていく予定だ。続報についても,しっかりフォローしていくつもりなので,バーチャロンファンはぜひ期待してほしい。
- 関連タイトル:
電脳戦機バーチャロン フォース
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