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長く楽しめるゲームにするために,自分も楽しめて納得ができるゲームを提供したい――サービス2周年を迎えた「戦国IXA」の新プロデューサーに今後の方針などを聞いてみた
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印刷2012/08/18 00:00

インタビュー

長く楽しめるゲームにするために,自分も楽しめて納得ができるゲームを提供したい――サービス2周年を迎えた「戦国IXA」の新プロデューサーに今後の方針などを聞いてみた

 スクウェア・エニックスが運営するブラウザゲーム「戦国IXA」は,2012年8月9日にサービス開始から2周年を迎えた。今年に入って,4月にはスマートフォン版がリリースされ,6月25日には登録ID数が100万を突破したことが発表される(関連記事)など,好調ぶりがうかがえる。3年目に入り,今後どのような施策を打っていくのだろうか。

 今回,2周年を迎えるこのタイミングに合わせて,本作の運営プロデューサーの高橋祐介氏と,プロモーションディレクターを務めている田所 宰氏にインタビューを行った。高橋氏は,この8月に運営プロデューサーに新任したばかり。氏の戦国IXAへの想いや,今後の方針についても詳しく聞いてきた。

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「戦国IXA」公式サイト



サービス2周年,ユーザー数100万ID突破という2つの節目を迎えて


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。IXAのサービスインから2周年ですね。おめでとうございます。

高橋氏:
 ありがとうございます。おかげさまで,現在もかなり多くのプレイヤーさんに遊んでいただいており,登録ユーザー数も日々伸びています。

スクウェア・エニックス 第二オンライン事業部 プロデューサー 高橋祐介氏(右)と,同プロモーションディレクター 田所 宰氏
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4Gamer:
 今年6月に,アカウント数が100万IDを突破したそうですね。

高橋氏:
 昨年の夏ごろには70万人のプレイヤーさんが登録していましたが,ようやく大台を突破できました。

田所氏:
 はじめの3か月の集客がかなり多くて,それ以降はヤフーさんの誘導などで,じわじわと伸び続けている感じです。

4Gamer:
 プレイヤー数は今も安定して増え続けているんですか。

田所氏:
 もちろん,サービス開始当初ほどではありませんが,今でも右肩上がりで増えています。

4Gamer:
 アクティブユーザー数……例えば,同時接続数などでいうと,今のIXAってどのくらいの規模感なんでしょうか?

田所氏:
 同時接続数でいうと,5〜10万くらいの状態ですね。もの凄く活発ですよ。

4Gamer:
 調子が良いことは聞いていましたが,それほどとは……。4Gamerでも,定期的にアップデートの情報を掲載させていただいていますが,その反響を見ても,まったく勢いが衰えていないのは実感していました。

高橋氏:
 嬉しいですね。

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4Gamer:
 やはり初期のワールドから遊んでいるような古参のプレイヤーも,アクティブにプレイを続けているのでしょうか。

高橋氏:
 番号の若い(初期に設置された)ワールドについては,かなりアクティブなプレイヤーさんが多いですよ。ログイン頻度もそうですし,ログインしてからのアクティブさ(=操作量)も凄いです。ただ,コアな人が集まっているがゆえに,番号が古いワールドほど負荷が大きくなりやすいという傾向もあるのですが……。

4Gamer:
 新規のプレイヤーが,番号の若いワールドに入ってくることは多いんですか?

高橋氏:
 いえ,新規のプレイヤーさんは,やっぱり新しいワールドに入ってこられることが圧倒的に多いです。一方で,初期からのワールドは統合などでより“濃くなっている”という雰囲気ですね。

4Gamer:
 IXAに限りませんが,ブラウザゲームはコミュニティのウェイトが大きいじゃないですか。個人的な経験を引き合いに出すと,IXAにしても「ブラウザ三国志」にしても,自分のコミュニティを引きずって参加していたんですよ。「ウルティマオンラインを遊んでいた仲間でやってみよう」みたいな感じで。

高橋氏:
 確かにそういうプレイヤーさんはブラウザゲームに多いですよね。ただIXAでは,そういう遊び方をするプレイヤーさんの大半は,サービス開始の時点ですぐに登録している傾向が強いかもしれません。

4Gamer:
 つまり,最近の新しいプレイヤーさんは,個人で参加している場合が多いってことですか? ブラウザゲームで,一人で遊んでいるプレイヤーさんがコミュニティに馴染んでいく過程って,どうなっているのか以前から気になっているんですが。

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高橋氏:
 IXAの場合は,ある程度ゲームを進めて行くと,ソロでは勝てないラインがどうしても出てきます。そこから先は,プレイヤーさん同士が「同盟」で結束して,目標に向かっていく――という流れを作っています。

4Gamer:
 まぁ最初に「大名」で敵味方をシステム的に作ってしまうところとか,IXAでは,段階的なコミュニティ設計もなされていますよね。

高橋氏:
 ええ。ただ我々としても,コミュニティ要素はもっと充実させていきたいと思っています。「コミュニケーションを取ることで,1人で遊ぶ以上のことができる」ということを伝えていきたいですね。

4Gamer:
 ちなみに,プレイヤー層の拡大についての施策は,何か行っているんですか?

高橋氏:
 最近の施策でいうと,今年7月からスタートした「MONSTER×DRAGON」とのコラボが良い例です。まだキャンペーンが始まったばかりですが,やはりモンドラから流れてくるプレイヤーさん達が独自のコミュニティで遊んでくださっている様子が,よく見受けられました。

4Gamer:
 モンドラとのコラボで入ってきた方々は,やはりギルド単位でそのままIXAに入ってきている?

高橋氏:
 そういう方々もいらっしゃいますし,まったく別個で「モンドラユーザー集まりましょう」という形でバッと人が集まっているパターンもありました。
 逆に,モンドラでも「戦国IXAの同盟」みたいなギルドができるような例が見受けられたので,いろいろなプレイヤーさんが,いろいろなところで相互に関わってくれていると実感できています。

MONSTER×DRAGON
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4Gamer:
 オンラインゲーム全般に言えることですが,前に遊んでたゲーム単位で“派閥”ができることが多いんですよねぇ(苦笑)。

高橋氏:
 「だからなんだ」って程度のつながりであっても,ふとした時のチャットとかで,共通の話題がIXAだったりだとか,そういうところでコミュニティとしてのつながりを感じたりしますよね。


自分自身が遊び続けられないゲームはプレイヤーさんも続けてくれない


4Gamer:
 プレイヤー層を広げることと並行して,既存プレイヤーの満足度上昇や休眠プレイヤーの呼び戻しも重要になると思いますが,3年目を迎えて,その辺りの施策はどんなことを考えているんですか。

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高橋氏:
 新規,既存に関わらず,遊んでいただいているプレイヤーの皆さんに,満足していただくことが必要です。まずは皆さんに安定してゲームを楽しんでいただける環境を作らなくてはいけませんから,プレイヤーさんの声を,もっともっと僕自身も聞いていきたいです。

4Gamer:
 プレイヤーさんからの意見/要望には,どんなものが多いですか?

高橋氏:
 やはり接続人数が多いことによる,サーバー負荷についてのご意見を多くいただきます。とくに合戦は時間帯が集中してしまっているので。

4Gamer:
 ゲーム上の要望はどうでしょうか。

高橋氏:
 「もっと盛り上がるために,バランスを調整してほしい」「一刻も早く,人が少なくなっている国同士をくっつけて欲しい」など,どうやったら盛り上がるかという部分のご意見がすごく多いです。
 昨年,「太秦戦国祭り」で京都に行ったときも,プレイヤーさんから「こうしたほうが良い」といったご意見を直接いただきました。それに,僕自身もネット上の反応を見て,プレイヤーさんがどう思っているかを,常日頃からチェックしています。

4Gamer:
 一部のプレイヤーからの意見を拾おうとすると,アピールの強いプレイヤーの意見を,大多数のもののように錯覚してしまいがちになったりしませんか。

高橋氏:
 仰るとおりですね。ただ,プロデューサーに就く以前から,僕自身がプレイヤーとしてIXAをかなり遊んでいます。ですので,「ここをこうした方が良い」「ここは,こうじゃないか」というのは,自分自身もプレイヤーとして,身に染みて分かっているんです。

4Gamer:
 というと,実際に運営側の人間もIXAを遊んでいるんですか?

高橋氏:
 ええ。運営もそうですし,スクウェア・エニックス全体で言えば,違う部署でハマってる人もかなり多い作品なんですよ。IXAって。

田所氏:
 そもそも,高橋が新しいプロデューサーに任命されたのも,前任の藤井が「自分以上にガチでIXA(ブラウザゲーム)を遊んでいる人間」という判断基準で行った人事だったりするんですよ。

4Gamer:
 それも凄い基準のような……。

田所氏:
 でも,藤井は「自分自身が遊び続けられないゲームは,プレイヤーさんも続けてくれない」ということを強く主張して,そこは譲れないというスタンスだったんです。

4Gamer:
 そういえば,藤井さんもブラウザゲームをかなり遊び込んでいるそうで,お話を聞いて以前びっくりした……というか,少し引いた記憶がありますが。

高橋氏:
 ええ,ガチですよね(笑)。
 10サーバー同時プレイみたいな話とか。

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田所氏:
 その意味でいえば,高橋もなかなかですよ(苦笑)。僕は高橋とは席が隣なんで,なんていうか,よく分かります。

高橋氏:
 もっとも,IXAのスタッフじゃない人が僕以上にガチで遊んでいたりもするので,「僕がけっこうやってます」とはなかなか言いづらいんですけど(笑)。ただ,藤井が言うように,自分が楽しめるゲームじゃないと人にオススメできない,というのは自分も同じです。

4Gamer:
 これもIXAに限らない話ですが,運営とプレイヤーとの間には,やっぱり“距離感”がありますよね。例えば,「運営はゲームのことを分かっていない!」と言われがちです。スクウェア・エニックスくらい大きな会社ともなれば,なおさら対応がビジネスライクに見えてしまったりもするじゃないですか。

高橋氏:
 そうですね……。

4Gamer:
 ただ,実際に言われているよりも,運営はかなりいろいろ考えていますし,高橋さんのようにプレイヤーとして遊んでもいるケースもある。……そういうことって,なかなかプレイヤーさんには伝わりにくいですよね。

高橋氏:
 IXAに関しては,プレイヤーさんとのコミュニケーションの架け橋になるように,4月ごろからTwitterブログで,「のろし」という広報大使を任命してコミュニケーションを取るような試みを開始しました。Twitterでは「ここでこういうバグが起こっている」とか「サーバーがちょっと重いです」といったツイートをいただいて,のろしの方からも合わせて我々に伝えてもらっています。

4Gamer:
 たしかにTwitterであれば,サポートフォーム等を利用するよりも気軽に要望を出せますよね。

高橋氏:
 もちろん,それでもまだ足りない部分もあると思うので,今後必要であれば,僕が前に出てプレイヤーさんとお話することも考えています。盟主の方達がオフ会を開催されることもあるので,そういうところに参加したりだとか(笑)。「太秦戦国祭り」のようなイベントにも,もっと参加して,各現場で僕がプレイヤーさんの声を聞きたいです。

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盛況のIXAとサーバー負荷


4Gamer:
 運営とプレイヤーで距離感が感じられるのは,やはりサーバー負荷によるトラブルだと思います。負荷の軽減などに関しては,今後どのような体制で臨まれるのですか。

画像集#002のサムネイル/長く楽しめるゲームにするために,自分も楽しめて納得ができるゲームを提供したい――サービス2周年を迎えた「戦国IXA」の新プロデューサーに今後の方針などを聞いてみた
高橋氏:
 現在でも,24時間体制でサーバー監視のスタッフを付けており,常にトラブルが起きたらすぐ対応できる状態にしています。また,サーバー台数も,現在では当初の倍にまで増えています。調子の悪いサーバーをすぐに切り離せるような監視体制も整えていますので,まずは,そういった形で対応を強化していきたいと思っています。

4Gamer:
 そもそもどれくらいのサーバー台数で運営されているんでしょうか?

田所氏:
 具体的な数字は明かせませんが,全部で数百台規模ですね。

4Gamer:
 なるほど……。そこまでの規模になってしまうと,インフラの問題はかなり大変でしょうね。

高橋氏:
 ええ。これでもいろいろと頑張ってはいるんですが……。プレイヤーの皆様の期待に応えきれてはいないのが実情だと思います。

4Gamer:
 まぁ,そういう裏方の部分って頑張りが見えにくいところですし。重いと,すぐに「運営仕事しろ!」みたいな話になってしまう。

高橋氏:
 ご批判は厳粛に受け止めつつ,そこはもう,粛々とやるしかないですね。

田所氏:
 サーバー台数を増やしたり,サーバーのスペックアップしたりといった負荷対策は,ローンチ時期からずっとやっています。もちろんハードウェア以外にもソフト側の改良も続けていてるのですが,さらにその上を行くアクセス数があり,負荷が上がってしまうんです。

4Gamer:
 サーバー処理の負荷というのは,どのあたりがネックになっているんでしょう。2,3年前に比べるとハードウェアのスペックも段違いに上がっているので,もしかしたら設計段階から抜本的に見直せば変わるのかな? という気もするのですが。

高橋氏:
 その可能性はあると思います。ただ,一気に抜本的な調整を行うと,ゲーム内にどれだけの影響が生じるかが分かりません。ですので,時間をかけて設計しなければいけません。
 本当は「今すぐやる」と言いたいんですが……ただ,その問題については本当に認識しています。我々としては日々の改善を行いながら,それにプラスして,抜本的な改善の準備をしていこうと考えています。

4Gamer:
 プレイヤーからは「(コストを)ケチっているんじゃないか」という意見をたまに見かけますが,そんなことはないでしょうし。

高橋氏:
 そこはむしろ,一般的なブラウザゲームと比べたら,使うべきところにコストを大きく掛けている方だと思います。

田所氏:
 ただ,結果として「負荷の軽減」という事実につながっているとは言いがたいので,もっと頑張らなければいけないとは思っています。
 
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