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[GDC 2013]「Gears of War」のレベルデザイナー,Jim Brown氏の考える「ゲームストーリーの在り方」とは
今年はGDCでも「Game Narrative Summit」が開催されるなど,ゲームのストーリーテリングに関する話題はホットトピックのひとつだ(関連記事)。その一方,こういった形で本業の脚本ライター達を差し置いて,「ゲームストーリーの在り方」が語られるというのは,ちょっと奇妙な気がするかもしれない。しかし,ストーリーを補足するための「雰囲気」や「意図」を表現するのはレベルデザイナーの仕事であり,それゆえにブラウン氏も,「ストーリーを補足するゲームデザインをどのように達成するか」に,並々ならぬ関心を抱いているようだ。
ブラウン氏は,自分でゲームをプレイしたり,一般の人達がプレイするのを見聞きしたりしていて,もっとも気になるのが「もし,ゲーム開発者が用意したストーリーと,プレイヤーがゲーム体験から受け取るであろうストーリーが,まったく異なるものになるとしたら,どちらが優先されるべきなのか?」だという。そして,「ストーリーを究極的にコントロールできるのはクリエイターではなく,プレイヤーの方」だと断言するのだ。
ただし,既存の脚本の手法を否定するわけではなく,「クリエイターが書き上げたストーリーを押し付けずに,プレイヤーがストーリーを発見(ディスカバリー)したり,報酬(リワード)としてアンロックしたりしていく」というような,プレイヤー本位のシステムがゲームに合っているとブラウン氏は話す。
例えば,19世紀末〜20世紀末のアメリカ人画家John Singer Sargent(ジョン・シンガー・サージェント)は,人物画を描くとき,スタジオに呼んだモデルが「自分がモデルであること」を忘れるまで一緒に話し込んだり,ほかの雑用をして放っておいたりしたという。
同様に,レベルデザイナーの役割というのは「自分はゲームを進めている」ということを忘れさせるような,ゲーム内の雰囲気や環境を作ることで,それにより,ゲーム開発者が提供するストーリーと,プレイヤーが自らの体験で受け取ったストーリーが,違和感なく接合されるのだという。
ブラウン氏は,「Gears of War」のような,主人公となるプレイヤーキャラクターがカメラに映り込むサードパーソン型のゲームは,「開発者側が作ったストーリーを,常にプレイヤーに意識させるための手法なのかもしれない」と述べている。さらに,「傑作を生み出すポイントは,良いストーリーではなく,良いストーリーを活かせるゲームデザインにある」と,この講演を締めくくっていた。
Game Developers Conference公式サイト
- 関連タイトル:
Gears of War 3
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