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米国商務省,中国のスーパーコンピュータ研究機関に向けたプロセッサ輸出を禁止。IntelとNVIDIAが影響を受ける
一方の天河1Aは,TOP500 LISTの2014年11月版でランク17位とされているシステムで,CPUには「Xeon X5670」を,数値演算プロセッサには「Tesla M2050」を採用している(関連記事2)。
世界トップクラスのスーパーコンピュータは,システム稼働後も随時拡張されていくのが一般的なので,これらのシステムもCPUや数値演算プロセッサを追加することで,さらに性能が強化されている可能性もある。
世界トップクラスの性能を持つスーパーコンピュータの用途に,核実験のシミュレーションがあることを知っている読者も少なくないだろう。ましてや,天河2・1Aを運用しているのは国防科技大という人民解放軍系列の大学であるから,これらがそうした用途に使われていたとしても不思議はない。とはいえ,米国商務省側は,これらのシステムが核爆発研究に使われたと結論付けた根拠を明かしていないようだ。
今回,米国商務省が輸出禁止の対象としたのは,あくまでも天河2・1Aの運用に関わる4つの研究機関であり,中国全土に向けた輸出が禁止されたわけではない(※中国以外にも,パキスタンやアラブ首長国連邦の企業や個人もプロセッサ出荷規制の対象とされている)。また,仮にこれらの研究機関がどうしてもIntel製のCPUやNVIDIA製GPUを必要とした場合,迂回ルートを通じて必要なものを手に入れることは可能と思われるので,現在運用中のシステムがこの措置によって使えなくなることはないのではなかろうか。
とはいえ,Intel製のCPUやNVIDIA製GPUの入手に手間とコストがかかるようになるのは確実だろう。もちろん,既存システムのアップグレードや新しいシステムの開発において,IntelやNVIDIAから大っぴらに協力を受けることも難しくなると思われる。
今回の輸出禁止措置が中国のゲーマーに影響を及ぼしたり,IntelやNVIDIAのビジネスに大きなダメージを与えたりするとは考えにくいものの,中長期的に見た場合には,巨大な市場である中国での事業に多少なりとも影響が出てくる可能性はあるかもしれない。また,可能性としては,中国がCPUやGPUのライセンスをどこかしらから取得して,それを改良した独自プロセッサ開発に取り組むということもあり得るのではないだろうか。
CNN日本語版による当該ニュース記事
米国商務省が公開した輸出規制に関する当該ドキュメント(英語,PDF)
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