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Intel,Haswell世代のサーバー向け新CPU「Xeon E5 v3」ファミリーを発表。最大CPUコア数は18基に
XeonブランドのCPUは,ゲーマーが積極的に選ぶような製品ではないが,2014年8月30日に発表されたハイエンドデスクトップPC用CPU「Core i7-5000番台」(開発コードネーム Haswell-E,以下同)と共通する部分もあり,ここでは概要をまとめてみたい。
1年3か月遅れで2P向けXeonにもHaswell世代CPUコアが導入
ラインナップや特徴の話に入る前に,XeonブランドとCPUアーキテクチャの関係を簡単に整理しておきたい。
XeonブランドのCPUは現在,「E7」「E5」「E3」の3シリーズがある。E5はその中でも,「2P」(=2-way,2ソケット)のシステムに対応するXeonに位置付けられる製品だ(※例外もあり)。
そもそもXeonは,PC向けのCoreプロセッサに比べると,マイクロアーキテクチャの採用タイミングが遅い傾向にある。とくに,ここ何世代かは,Coreプロセッサ系が新マイクロアーキテクチャの導入や新しい製造プロセスへの移行を行なったのちに,Xeon系が段階的に導入するというのが基本となっていた。
そのため,新しいマイクロアーキテクチャは,1P(=1-way,1ソケット)システム向けのE3から導入されることが多く,そのあとでE5やE7に広げられている。システムが搭載するCPU数が増えるほど,マルチプロセッサ対応のために内部構造が変わり,CPUコア数やキャッシュメモリを増強する必要もあるので,設計と検証に時間がかかるためだ。
たとえば,第4世代Coreプロセッサ(Haswell世代)や1Pサーバー&ワークステーション向けCPU「Xeon E3v3」ファミリが登場したのは2013年6月だった。それからXeon E5 v3が登場するまでに,1年3か月もの時間がかかったことになる。
一方,モバイルCPUでは,第5世代Coreプロセッサに属する「Core M」プロセッサがすでに発表されており(関連記事),デスクトップPC向けも2015年の早い時期には登場すると見られているので,Xeon E5やE7との差は,近いうちにまた広がることになりそうだ。
最大コア数は18基,L3キャッシュ容量は45MB
さてそのXeon E5 v3であるが,下はCPUコア数が4基の製品から,上は18基の製品まで,非常に幅広いラインナップが用意されている。プロセッサナンバーの後ろに「L」が付いた低消費電力版や,1Pワークステーション向けと思われる「Xeon E5-1600 v3」シリーズもラインナップに含まれている。
価格は,14コア/28スレッドで動作クロック2.6GHz「Xeon E5-2697 v3」が2702ドル(約28万3883円)だ。製品ラインナップをまとめた表1と表2を下に掲載しておこう。
製造プロセスは22nmでトランジスタ数は約56.9億個,ダイサイズは662mm2とされている(※CPUコア数14〜18基の場合)。18CPUコア搭載の「Xeon E5-2699 v3」では,L3キャッシュメモリ容量が45MBにもなるわけだ。
PCI Express 3.0のレーン数は40レーンで,CPUソケット同士を結ぶインタフェース「QPI」(Quick Path Interconnect)は2本を用意。QPIのリンク速度は最大9.6GT/sと,前世代にあたる「Xeon E5v2」の8GT/sよりも高速化されている。
CPUコア数の増加に合わせて内部構造にも手が加えられており,CPUコア数が10基以上の製品では,各CPUコアとメモリコントローラ,インタフェース回路を結ぶリングバスが完全に二重化されているという。
仮想マシン環境を想定した新機能を採用
同じHaswellマイクロアーキテクチャを採用しているとはいえ,Xeon E5 v3とHaswell-Eでは,機能面で異なる部分も多い。それらを簡単に説明しよう。
まず,CPUコアを10基以上備える製品では,1つのCPUパッケージを論理的に2つに分けることで,2基のCPUパッケージであるかのように振る舞う「Cluster On Die」(COD)モードを備えている。CODモードに対応するXeon E5 v3は,メモリコントローラ(※ホームエージェントとも呼ばれる)を2基内蔵しているため,各論理CPUパッケージが別々の物理メモリにアクセスできるのだという。
Intelでは,これによってキャッシュヒット率が向上したり,メモリアクセスのレイテンシが低減したりするといった利点を挙げている。
Xeonらしい強化点の1つに,「仮想マシン支援機能の強化」がある。
Xeon E5 v3では,仮想マシン環境をさらに別の仮想マシン環境内で動作させる,「仮想化のネスティング」に対応したという。「VMCSシャドーイング」と呼ばれるこの機能を使うと,1台のシステム上で異なる仮想マシンソフトのハイパーバイザを複数同時に動かすことも可能になるという※。
具体的には,Windows Serverに組み込まれている仮想マシンソフト「Hyper-V」と,VMwareの仮想マシンソフトを同時に動作させられるそうだ。ただし,当然ながら仮想マシンソフト側がこの機能に対応する必要がある。
※従来も不可能ではなかったが,ハイパーバイザ同士が競合するため同時に動かすことは難しく,効率的ではなかった。
そのほかにも,各CPUコアごとにステート(State,状態)を独立させて,CPUコアごとに動作クロックを変更できる機能「Per Core P-States」が導入されている。
従来のXeonでは,すべてのCPUコアが同じステートで動作していたため,負荷が低いCPUコアも高いCPUコアと同じステートを使わなくてはならず,電力に無駄があった。しかし,Per Core P-Statesを有効にすれば,こうした無駄な電力を減らすことが可能になるわけだ。Intelはこれにより,電力効率は最大36%向上すると主張している。
繰り返しになるが,Xeon E5 v3自体はゲーマーが選択するようなCPUではない。仮にベンチマークテストを行ったとしても,Haswell-Eの8コアモデル「Core i7-5960X Extreme Edition」(以下,i7-5960X)と似たような結果に終わる可能性が高いだろう。サーバー用途に適した特徴とスペックを備えたCPUは,やはりサーバー用途に使うのが適切なのだ。
しかし,Per Core P-StatesのようにPC向けCPUでも有用そうな機能も盛り込まれており,そうした機能は2015年初旬にも登場するとみられる第5世代Coreプロセッサ「Broadwell」にも採用されていく可能性はあるのではないだろうか。
Xeon E5ファミリー 製品情報ページ
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