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印刷2010/03/29 13:01

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AMD,サーバー向けとなる世界初の12&8コアCPU「Opteron 6100」を発表

 日本時間2010年3月29日13:01,AMDの日本法人である日本AMDは,x86プロセッサとして世界初となるサーバー向け12&8コアCPU「Opteron 6100」シリーズを発表した。(※19:40,詳細版に差し替えました

Opteron 6100シリーズ
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発表会では,AMD本社のJohn Fruehe(ジョン・フリー)氏(Director of Business Development for Server/Workstation products, AMD)が,Opteron 6000プラットフォームとOpteron 6100シリーズの概要を説明した
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 開発コードネーム「Magny-Cours」(マニクール)と呼ばれてきたOpteron 6100シリーズは,同「Maranello」(マラネロ)と呼ばれてきたサーバープラットフォーム「Opteron 6000」用のプロセッサと位置づけられており,対応CPUソケットは1944ピンの「Socket G34」。

  • 12もしくは8コアをMCMにより実現
  • 整数演算性能は88%,浮動小数点演算性能は119%,従来の6-Core Opteron比で向上(※Opteronで最も性能が飛躍したモデルとされる)
  • クアッドチャネルDDR3メモリコントローラを採用し,1CPU当たり12DIMMをサポート(※従来製品比50%増)
  • DirectConnect Architecture 2.0採用
  • 4-way(4ソケット)プロセッサの価格プレミアム「4P tax」を排除。2-way製品と4-way製品を同じ価格で投入。1000個ロット時価格は最も高価な12コアモデルでも1386ドルに留まる

という特徴を持ち,ワット当たりの性能と拡張性にフォーカスしているという。2010年第2四半期に,消費電力とコストへフォーカスして投入予定の「Opteron 4000」プラットフォームと二つで,1〜4-wayのサーバー市場をカバーしていくとのことだ。Opteron 4000プラットフォームのCPUとしては,開発コードネーム「Lisbon」(リスボン)こと「Opteron 4100」シリーズが,1207ピンの「Socket C32」用として提供される予定となっている。

 AMDは,2011年に次世代アーキテクチャ「Bulldozer」(ブルドーザ,開発コードネーム)の世代でも,二つのラインナップで市場展開を図る予定だが,同アーキテクチャベースの16/12コアCPU「Interlagos」(インテルラゴス,同)および8/6コアCPU「Valencia」(ヴァレンシア,同)でも,Socket G34&C32を引き続き採用。「2013年くらいまで使えるプラットフォームだ」と,Fruehe氏は,プラットフォームの持続性も強調していた。

AMDのサーバー用プラットフォームは,ワット当たりの性能と拡張性の高さを重視した6000シリーズと,消費電力とコストに重きを置いた4000シリーズの2モデルで展開。この流れは,次世代CPUアーキテクチャであるBulldozer世代でも踏襲する
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左が従来のDirect Connect Architecture 1.0,右が2.0だ。一見して分かるとおり,バージョン2.0の4ソケット構成では,CPUとCPUを結ぶ経路が増え,全CPUがダイレクトに連結される形になる。あるCPUから別のCPUと,そのCPUにつながるメモリへの経路が短縮され,パフォーマンスの向上につながるという
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 なお,Opteron 6000プラットフォームを構成するチップセットは,過去に「AMD 790S」という呼ばれたこともある「SR5600」シリーズだ。同シリーズは,ノースブリッジの「SR56x0」とサウスブリッジの「SP5100」で構成され,片方向1.8GHzの転送速度を持つHyperTransport linkで接続されるが,今回の説明会では,プラットフォームに関する踏み込んだ説明は一切なされなかった。


Opteron 6100シリーズは「4P taxをなくす」

〜圧倒的な価格対性能比で4-way市場に挑むAMD


かつて,パフォーマンスのみが重視されていたサーバープラットフォームは,2000年以降,消費電力当たりの性能が重視されるようになった。そして,昨今の経済情勢を踏まえ,最近ではコストと消費電力当たりの性能が重視されるようになってきたというスライド
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 Opteronがサーバー市場で持っていた独自の優位性――メモリコントローラを内蔵することで実現する高速なメインメモリアクセスや,プロセッサ&I/Oを結ぶ高速なリンクインタフェースといった要素は,IntelがNehalemアーキテクチャのXeonをサーバー市場へ投入したことで失われつつある。DirectConnect Architecture 1.0のスライドを示しながら,Fruehe氏は「「競合も(AMDのアーキテクチャを)真似した」と苦笑いしながら語っていたが,機能面でOpteronの優位性を打ち出しにくくなってきているのは確かだろう。

 そんな状況にあって,AMDは競合とどう戦っていくのか。その回答(の一つ)となるのが,今回のOpteron 6100シリーズということになる。

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 冒頭で紹介したように,Opteron 6100シリーズは,MCM(Multi Chip Module),つまり,一つのCPUパッケージに,6もしくは4コアのシリコンダイを2枚載せて,お手軽にコアを増やした製品となる。ベースとなるCPUアーキテクチャも,「Istanbul」もしくは「Shanghai」という開発コードネームで知られる現行の6/4-Core Opteronと共通で,L1〜L3というキャッシュ構造も同じだ。ただし,「コアの数を増やしたことに伴って,キャッシュ容量は増やしている。また,コア自体の微調整を行い,IPC(Instructions Per Clock,クロック当たりの命令発行数)は向上している」とFruehe氏。従来の6-Core Opteron比で,整数演算性能は88%,浮動小数点演算性能は119%もの向上を実現し,「Opteronの歴史上,最も大きな飛躍を遂げた製品」とまで断言されている。

 もっとも,Xeonと戦っていくに当たっては,性能を押すだけでは弱いようで,事実,発表会で氏が最も強調していたのは,「4P taxをなくす」という点だった。
 これも冒頭で簡単に紹介したが,これは文字どおり「4ソケットCPUの“税金”」のこと。従来,サーバー用プロセッサでは,同じスペック仕様の場合,2-wayモデルと4-wayモデルで,単価に2〜2.5倍という大きな差があったのだが,AMDはこの“税金”を撤廃。に示したとおり,1000個ロット時の価格帯は266〜1386ドルと,最大12コア,最大4ソケットをサポートする製品としては,たいへん低い価格に抑えられている。

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 Fruehe氏は,「2ソケットモデルと4ソケットモデルを同じ価格にすることで,(コストが理由で)縮小していた4P市場が伸びるだろう。より少ない台数,少ない配線,低いコストで,これまで踏み込むことができなかった規模までサーバーを拡張可能だ」と,Opteron 6100の優位性を定義していたのが印象的だった。

2-way同士の比較では,より低いコスト&低い消費電力で,より高い性能を得られ,しかも競合の2-wayサーバーシステムを購入する価格で,Opteron 6100シリーズを採用した4-wayシステムを導入できると謳われた
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 ……AMDは近い将来,コンシューマー市場向けの6コアCPU,「Thuban」(トゥーバン,開発コードネーム)こと「Phenom II X6」を投入予定だが,今回発表されたOpteron 6100シリーズの概要からは,Phenom II X6の姿がうっすらと見えてきそうだ。とくに,MCMを採用するOpteron 6100がこの価格なら,シングルダイのPhenom II X6も,戦略的な価格になることが相当期待できる。
 久しぶりに大きな動きのあったAMDのプロセッサ製品だけに,今後の動向も要注目だ。

製品発表会に参考出品された,Dellの4-way(4ソケット)サーバー
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2-way(2ソケット)サーバーの動作デモ。12コアCPU×2で,24コアが認識されている
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