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AMD,サーバー向けとなる世界初の12&8コアCPU「Opteron 6100」を発表
- 12もしくは8コアをMCMにより実現
- 整数演算性能は88%,浮動小数点演算性能は119%,従来の6-Core Opteron比で向上(※Opteronで最も性能が飛躍したモデルとされる)
- クアッドチャネルDDR3メモリコントローラを採用し,1CPU当たり12DIMMをサポート(※従来製品比50%増)
- DirectConnect Architecture 2.0採用
- 4-way(4ソケット)プロセッサの価格プレミアム「4P tax」を排除。2-way製品と4-way製品を同じ価格で投入。1000個ロット時価格は最も高価な12コアモデルでも1386ドルに留まる
という特徴を持ち,ワット当たりの性能と拡張性にフォーカスしているという。2010年第2四半期に,消費電力とコストへフォーカスして投入予定の「Opteron 4000」プラットフォームと二つで,1〜4-wayのサーバー市場をカバーしていくとのことだ。Opteron 4000プラットフォームのCPUとしては,開発コードネーム「Lisbon」(リスボン)こと「Opteron 4100」シリーズが,1207ピンの「Socket C32」用として提供される予定となっている。
AMDは,2011年に次世代アーキテクチャ「Bulldozer」(ブルドーザ,開発コードネーム)の世代でも,二つのラインナップで市場展開を図る予定だが,同アーキテクチャベースの16/12コアCPU「Interlagos」(インテルラゴス,同)および8/6コアCPU「Valencia」(ヴァレンシア,同)でも,Socket G34&C32を引き続き採用。「2013年くらいまで使えるプラットフォームだ」と,Fruehe氏は,プラットフォームの持続性も強調していた。
なお,Opteron 6000プラットフォームを構成するチップセットは,過去に「AMD 790S」という呼ばれたこともある「SR5600」シリーズだ。同シリーズは,ノースブリッジの「SR56x0」とサウスブリッジの「SP5100」で構成され,片方向1.8GHzの転送速度を持つHyperTransport linkで接続されるが,今回の説明会では,プラットフォームに関する踏み込んだ説明は一切なされなかった。
Opteron 6100シリーズは「4P taxをなくす」
〜圧倒的な価格対性能比で4-way市場に挑むAMD
そんな状況にあって,AMDは競合とどう戦っていくのか。その回答(の一つ)となるのが,今回のOpteron 6100シリーズということになる。
もっとも,Xeonと戦っていくに当たっては,性能を押すだけでは弱いようで,事実,発表会で氏が最も強調していたのは,「4P taxをなくす」という点だった。
これも冒頭で簡単に紹介したが,これは文字どおり「4ソケットCPUの“税金”」のこと。従来,サーバー用プロセッサでは,同じスペック仕様の場合,2-wayモデルと4-wayモデルで,単価に2〜2.5倍という大きな差があったのだが,AMDはこの“税金”を撤廃。表に示したとおり,1000個ロット時の価格帯は266〜1386ドルと,最大12コア,最大4ソケットをサポートする製品としては,たいへん低い価格に抑えられている。
Fruehe氏は,「2ソケットモデルと4ソケットモデルを同じ価格にすることで,(コストが理由で)縮小していた4P市場が伸びるだろう。より少ない台数,少ない配線,低いコストで,これまで踏み込むことができなかった規模までサーバーを拡張可能だ」と,Opteron 6100の優位性を定義していたのが印象的だった。
……AMDは近い将来,コンシューマー市場向けの6コアCPU,「Thuban」(トゥーバン,開発コードネーム)こと「Phenom II X6」を投入予定だが,今回発表されたOpteron 6100シリーズの概要からは,Phenom II X6の姿がうっすらと見えてきそうだ。とくに,MCMを採用するOpteron 6100がこの価格なら,シングルダイのPhenom II X6も,戦略的な価格になることが相当期待できる。
久しぶりに大きな動きのあったAMDのプロセッサ製品だけに,今後の動向も要注目だ。
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