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[GDC 2010]見た目からして異様。仮想空間を体感できる装置「Virtusphere」とはなんだ?
世界中からゲーム開発者が集まるGDCでは,さまざまな講演が開かれている。中でもひときわ異様な存在感を発揮しているのが,「Virtusphere」と呼ばれる装置。これは,専用のヘッドマウントディスプレイと組み合わせることで,仮想空間を自在に歩き回れるというものだ。
今回展示されていたのは,FPS風のゲームが楽しめるデモ機。新しいもの好き(?)なゲーム開発者達からも高い関心が寄せられており,その周りには常時人だかりができるほどだった。
実際どんなデバイスかは,まずは撮影したムービーで確認してもらうとして,要するに,中に入った人間の歩く方向を検知し,ゲーム(映像)側に反映させるという仕組みになっている。
ご覧のとおり,装置には大きな球体が組み込まれており,中に入ったプレイヤーが歩くと,この球体がコロコロと回転する仕組みになっている。こうしてプレイヤーは,ヘッドマウントディスプレイ上に映し出された世界をどこまでも歩いていけるのだ。
バーチャルリアリティの最先端機器には,ヘッドマウントディスプレイと位置センサーにより,仮想世界を自由に行動できるタイプがすでに存在している。
とはいえ,その利用者が歩き回れる場所には広さの限界があり,壁にぶつからないように別の人が補助する必要があったし,利用者自身もつい周囲が気になってしまうというデメリットがあった。Virtusphereが採用する方式ならば,少なくとも壁にぶつかる心配はないわけだ。
あまりに長蛇の列となっていたため,残念ながら筆者自身は試せなかったが,担当者に話を聞いたところ,このデバイス自体は以前から存在しており,軍事訓練用のシミュレータなどとして導入された実績があるそうだ。
ただ,アミューズメント施設などへの導入例はなく,エンターテイメント企業に対する営業活動を行うため,今回のGDCへの出展を決めたのだという。
ちなみに価格は,最小構成で2万8000ドル(約250万円),フルセットで5万5000ドル(約500万円)とのこと。いろいろなものを犠牲にすれば手が届きそうな気がしないでもない価格だが,それより問題なのは,耐久性や,メンテナンスが必要な点,そして何より10フィート6インチ(約4.5m)四方というサイズだ。
このシステムを用いたゲームをぜひとも遊んでみたい気がするので,アーケードゲーム大国である日本のメーカーに注目してほしいところだが……。
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