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[CJ 2010]「BLAZBLUE」のアークシステムワークスがブース出展。中国で対戦格闘ゲームの人気はあるのか。そして中国市場で必要なものとは?
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印刷2010/08/03 18:00

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[CJ 2010]「BLAZBLUE」のアークシステムワークスがブース出展。中国で対戦格闘ゲームの人気はあるのか。そして中国市場で必要なものとは?

 アークシステムワークスは,「こちら」の記事でお伝えしたように,中国のゲームショウ“ChinaJoy 2010”で,「BLAZBLUE」シリーズをプレイアブル出展していた。

画像集#002のサムネイル/[CJ 2010]「BLAZBLUE」のアークシステムワークスがブース出展。中国で対戦格闘ゲームの人気はあるのか。そして中国市場で必要なものとは?

「BLAZBLUE」公式サイト


 国内外で高い評価を得ている2D対戦格闘ゲーム「BLAZBLUE」シリーズだが,中国において格闘ゲームの人気はどのくらいあるものなのだろう。また,海賊版の問題が大きい中国市場において,パッケージ作品を売っていくために必要なものとは何だろうか。今回,同ブースにいた,アークシステムワークス プロダクトマネージャー田口和憲氏(以下,田口氏)に聞いてみた。


プロダクトマネージャー
田口和憲氏
画像集#003のサムネイル/[CJ 2010]「BLAZBLUE」のアークシステムワークスがブース出展。中国で対戦格闘ゲームの人気はあるのか。そして中国市場で必要なものとは?
 まず,中国における対人格闘ゲームの人気についてだが,田口氏自身がブースで見ている限りという括りではあるものの,毎日(※開催3日目の7月31日に取材)いろいろな人が遊んでくれていることから,十分に需要はあると考えているという。

 実際に試遊台は人が途切れることなく,次々と対戦を楽しんでいるようだった。実は2009年のChinaJoyでも,アークシステムワークスは「BLAZBLUE」を出展しており,そのときも人だかりができていたことを筆者は覚えている。
 さらに,試遊をしている中国人プレイヤーの操作を見ていると,どうもどのプレイヤーも操作がうまいのである。田口氏は,格闘ゲームに慣れ親しんだ彼らのその姿に驚いたそうだ。
 このように,これほどしっかりと格闘ゲームをプレイしている人がいるわけで,中国でも格闘ゲーム(BLAZBLUEシリーズ)の需要があること自体は間違いないはずだ。

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 一方で中国市場は,海賊版という大きな問題が存在する。田口氏は,海賊版を手に入れようとするのは,中国では生活水準に差がありすぎるためで,ソフトの価格が一つのネックになっているのではないかと推測している。

 今回のイベントでBLAZBLUEシリーズを紹介するために,ブース内に各種コンシューマ版のソフトを展示しているのだが,直接ブース内で売ってほしいという人が多くいるという。正規には中国で発売されていないわけで,本作のファンにとっては絶好の入手チャンスとなったわけだ。
 しかし,そんなプレイヤーの中には,400元(約6000円)という値段に手が出せないという人も多い。日本人であれば,6000円くらいであればと思ってしまうかもしれないが,一般的な中国人のふところ事情において,まだ日本の価格に近いものは,相当に贅沢な遊びとなってしまうのである。ちなみに,ペットボトルのお茶(500ml)は,コンビニでは3元(約40〜50円)ほどで購入できるくらいだ。
 そこで,実験的にイベント価格という感じで,少し値段を低くしてみたところ,多くの人が喜んでソフトを購入して帰ったという。そのことから田口氏は,中国では,安いから買うというよりも,高いから買えないという事情のほうが大きいのかもしれないと分析しているのである。

 そんな経験を経て田口氏が考えるのは,海賊版そのものをどうこうするより先に,海賊版を手に取らせないことがあるのでは,ということだ。
 その国に合わせて安く手に入る状況を考えたり,オフィシャルならではの何らかの付加価値を付けたりといった形で提供するなど,「海賊版に負けない魅力」を付加することで,中国にある海賊版に対する意識も変わってくるのではと期待しているのだ。

100円ゴミ箱
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 では,どうやって安くできるかということについてだが,田口氏は,中国ではアーケードゲームのように,コイン1枚で遊べるというほうが一般大衆向けかもしれないと話していた。
 そういえばPlayStation Networkには「100円ゴミ箱」という,PS3用ソフト「ゴミ箱 -GOMIBAKO-」が100円で3回遊べるサービス形態のソフトがある。このように,ゲームソフトを限りなく安くし,オンラインを通じての課金サービスで,1日数回のプレイで楽しんでもらうというのも一つの方法となりそうだ。

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 やや重い話が続いたが,中国のプレイヤーからの面白い要望についても紹介しよう。
 田口氏によると,中国でBLAZBLUEを楽しんでいるプレイヤーから,BLAZBLUEを,オンラインのアクションRPGみたいな形にできないかという要望をもらったという。

 なんでアクションRPG? と思ってしまうところだが,彼らにとっては,従来の格闘ゲームシリーズは,格闘ゲームとしてのみ出し続けていくと売上げが徐々に下がっていき,シリーズが終わってしまうかもしれない。そうなればBLAZBLUEの持つストーリーの魅力や世界観がもう楽しめなくなる,といった心配があるのだそうだ。
 そこで,どこかで別ジャンルのシリーズ作品を登場させて空気を変え,また格闘ゲームを登場させれば盛り上がるのではというあたりを考えているといったところだろう。もちろん,BLAZBLUEの世界観をもった別作品もやってみたいのだろうけど。どちらにせよ,純粋に「BLAZBLUE」という作品とその世界が好きなんだろうと思える意見だ。

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 また中国のプレイヤーには,ラグナとかレイチェルが人気なのだそうだが,その理由の一つとして,操作しやすいキャラクターだからというわけでもなく,杉田智和さんなど,好きな声優のキャラクターだからという人が多いことがあるそうだ。なんとなく,日本でもそれはあるよね,と共感してしまう。
 こういった声優への関心のように,日本のいわゆるサブカル文化はいろいろな形で中国に広まっているのだが,田口氏はイベント初日に,中国人の来客者が“けいおん!”や“(とある科学の)レールガン”といったフィギュアなどを,すでに持っていたことにびっくりしたという。
 中国における日本のサブカル文化の理解度は年々高まっており,一昨年のChinaJoy 2008では,すでに初音ミクのコスプレイヤーがいたり,キャラ物の抱き枕が展示されていたりと,その浸透スピードはむしろ早くなっているように思える。
 田口氏は,中国人が日本の文化にこれだけ共感し,理解して,好きでいてくれるのだから,少なくとも彼らにとって,鍵となるのはソフトの価格なのではないかと語っていた。

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 また,田口氏にブース内での試遊を見ていて,どのキャラクターが人気なのかと聞いてみたところ,ラグナやジンが多く選ばれているようだ。性別的には,女性が選ぶキャラクターとしてはレイチェルやジンが,男性はハクメンやラグナが多いとのこと。ちなみに,子供にはアラクネが人気だとか。

 このほか今回のイベントでは,なぜかブース内に置かれたアークシステムワークス取締役社長 木戸岡 稔氏の名刺をもらって帰るという人が多いそうだ。どうもその名刺がこのブースの記念品になっているらしい……。
 とにもかくにも,どんな形であれ,ゲームショウを楽しんでもらえたなら,出展した甲斐はあるだろう。


中国語の社名はこのようになっている
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 さて,ChinaJoy 2010の会場内は,それはもうひどい暑さだったのだが,そのことから田口氏は,納涼的なグッズとかを持ってきたほうが良いかなと考えているようだ。納涼目的だけでなくても,キャラやロゴの入った団扇などはファンに喜ばれそうだ。むしろ,田口氏自身がブース内で使いたいと話していたけれど(話を聞いている間,汗びっしょりでしたし)。
 ちなみに取材した3日目の外の気温は38度。その上,息苦しくなるほどの人混みで空調も追いつかず,会場は蒸し風呂状態に。水分をちゃんと取らないと本当に危険だ。

 田口氏は納涼に限らず,「せっかく(BLAZBLUE)に興味を持ってもらえたのだから,簡単なグッズなどがあっても良い」と話していたので,またChinaJoyに出展する機会があれば,グッズの配付も期待できるかもしれない。

ブース内で流れていたムービーは,日本での販促用のものだった
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