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黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
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印刷2010/06/12 11:00

インタビュー

黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー

画像集#023のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
 クローズド&オープンβテストを経て,MMORPG「英雄島」は2010年5月28日に正式サービスを開始した。本作は,まだプレイしていない人にとっては,「胸の大きな女性達のイメージイラスト」の印象が妙に強い作品だろう。しかし,あなどることなかれ。運営を手がけるGMO Gamesは,肝心のゲーム内容にも,かなりの自信を持っているようだ。今回は同社に赴き,本作の運営チームをまとめる吉田哲朗氏に,運営側が考える本作の魅力について話を聞いてきた。


■英雄島は対人戦が一番のウリ。PvPはMOの戦いから,

■徐々にMMOの戦いにシフトしていく予定


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。英雄島は5月28日に正式サービスを開始したばかりですが,サービスインをして,数日が経過した現在の感想をお聞かせください。

「英雄島」運営チームリーダー吉田哲朗氏
画像集#019のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
吉田氏:
 英雄島は,開発元である中国では非常に多くのユーザーがプレイしている作品ですが,日本では,当初はほとんど名前を知られていませんでした。(中国ではなく)韓国のゲームの場合,日本でのサービスが決定する前から4Gamerさんに情報が出ていたりして,それなりに知られていたりもするんですけれど,英雄島はそうではなかったので,マーケティングには工夫を凝らしました。ちょっと(お色気的に)過激なイラストをバナーに使ったりというのもその一環でした。結果的にはうまくアピールすることができまして,心配していたようなことは起こらずに,多くのみなさんに集まっていただくことができて,ホッとしています。

4Gamer:
 あのイラストはインパクトがありましたね。

インパクトのあるイラストの一例
画像集#021のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
吉田氏:
 英雄島は2Dグラフィックスのゲームです。ほかの作品に3Dグラフィックスの美しさをウリとしているものが多く存在する中で,「今さら2D?」という風に思われてしまうのは避けたかったんですね。そこで普通にPRをするのではなく,日本のセンスでイラストも新しく描き上げて,ちょっと過激さも加えて……というような工夫をしました。
 その結果,おかげ様で,βテストの応募者の数は,過去にGMO Gamesで手がけてきた作品の中で最高数を記録しました。「これは結構いけるぞ」という手ごたえを感じましたね。

4Gamer:
 インパクトだけでなく,実際の効果も高かったんですね。

吉田氏:
 はい。そのようにして,バナーイラストの魅力に引かれて来てくださった方達に,どうやって英雄島自体の持つ魅力を伝えていくか,というのが,その後の一つの課題となりました。

4Gamer:
 なるほど。そのように多くのユーザーが集まってβテストが行われたわけですが,その頃のことを教えていただけますか?

吉田氏:
 クローズドβテストのときに,こちらからユーザーさんに対してアピールしたのは,対人戦の面白さです。そもそも私どもが英雄島という作品を選んだ理由も“対人戦が面白い作品だから”でした。その対人戦の面白さをいかにお客さんに理解していただくか,そこに魅力を感じていただくかというところが,βテスト時に最も力を入れていたポイントですね。その甲斐あって,多くの方々に対人戦の魅力を知っていただくことができたと思っています。
 もう一つ,強く意識していたのが“荘園”システムの存在です。今ソーシャル系のアプリで牧場系や農園系のものが人気を集めていますが,そういう雰囲気を楽しめる要素が,英雄島にもありますよとアピールすることで,女性の方にもプレイしにきていただければと考えていました。

画像集#007のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
4Gamer:
 農園で作物が作れるところや,家の内装を飾れるところなどは,たしかに女性に対する訴求力が高そうです。どうでしょう,実際のところ女性プレイヤーさんは,どの程度集まってきているのでしょうか。

吉田氏:
 実は今,女性ユーザーの比率はすごく高いんです。

4Gamer:
 それは特筆すべきレベルで高いということですか?

吉田氏:
 はい。以前GMO Gamesで展開した「キノスワールド〜騎士集結〜」では,女性を重視していて,例えば公式サイトなどもかなり女性向けのデザインにしていました。そのときにキノスで集まった男性と女性の割合よりも,今の英雄島のほうが女性の割合が高いです。無論,基本的には男性のほうが多数ですけれども,女性もたくさんいらっしゃいます。

4Gamer:
 “生活”的な部分を押し出した結果ですかね。

吉田氏:
 そう分析しています。また,そのようにしてやってきた女性プレイヤーの方々の中には,本作で初めて対人戦の面白さに気づく方も結構いらっしゃるようです。対人戦を好む女性は少ないのではないかという予想もあったのですが,思いの外,みなさんプレイしてくださっています。英雄島の場合,人気の高い“聖地略奪戦”はスポーツライクなPvPで,仲間と協力する楽しさが味わえます。そのような部分が気に入っていただけたのだと思います。

4Gamer:
 なるほど。対人戦というと,以前は「日本人と対人戦は相性が悪い」などとも言われていましたが,それはもうすでに昔の話で,現在はそうでもないんでしょうか?

吉田氏:
 スポーツ的に遊べるPvPであれば,楽しんでいただける方も多いようです。理不尽に殺されてしまう“PK(Player Killing)”に対しては,抵抗のある方がいるかもしれません。オンラインゲームが出始めたころは,フリーなPKができるゲームもたくさんありました。ですが,そういったことができるゲームは,今では少なくなっていますよね。

4Gamer:
 そうですね。

吉田氏:
 ですが……,英雄島がどちらのタイプかというとですね,実はこの作品では,高レベル用のマップなどでは,敵対国家のメンバーに対してはPKができる仕様になっています。

4Gamer:
 興味深い部分ですね。その仕組みは日本にもそのまま導入されるんですね?

画像集#006のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
吉田氏:
 そうです。いまプレイヤーの皆さんがメインでプレイしている“聖地略奪戦”は,最大で10対10のスポーツタイプの対人戦です。まずはここで対人戦を体験してもらって,英雄の組み合わせの面白さなどを知っていただきたいと思います。
 その後に来るPvPコンテンツは,エンパイアとユニオン,両方のプレイヤーが入れるようになっているゾーンです。そこには良いドロップアイテムを持つボスキャラクターがいて,両勢力のプレイヤーはそれを目当てにやってきます。敵国のプレイヤーがいないときは,安全にボスを狩れますが,もし敵方のパーティと鉢合わせになってしまった場合には,戦闘になります。そこで初めて,スポーツ風のルールに管理されていない,制限の無いPvPを体験することになります。

4Gamer:
なるほど。

吉田氏:
 そこで味わえるのは,私達が昔,初めてオンラインゲームに触れたときに感じた,あのドキドキする感覚です。昔この感覚を経験したという人には,ここでその感覚を思い出してほしいと思っています。英雄島が初めてのオンラインゲームだという人には,ここでオンラインゲームの大きな魅力に気づいていただけるんじゃないかと期待しています。
 現時点ではまだ“MOスタイル”の聖地略奪戦が主流ですが,これを徐々に,もっと多くの人数で戦う“MMOの戦い”に移行させたいと考えています。どんどんそっちのほうにシフトしていってほしい。なぜならばそちらのほうに,このゲームの本来の魅力があるからです。

4Gamer:
 昔そのような興奮を経験した一人としては,共感できる方針です。
 現在の英雄島のプレイヤーに,そちらに目を向けてもらうための施策はありますか?

吉田氏:
 正式サービスから“ギルドクエスト”を実装しました。これはギルドメンバーで協力して一つのクエストを攻略するというものです。そしてその“ギルドクエスト”の中に,“ボスを倒せ”という内容のものがあります。そのためギルドに所属するプレイヤーは自然とボスへと足を向けることになります。ボスは当然,一人では倒せませんから大勢で向かいます。そして同じように大勢でボスを倒そうとやってくる敵方のプレイヤー達と出会うわけです。
 今はまだ,正式サービス開始から数日ですが,少しずつ我々が望んでいるMMOの戦いが始まってきています。状況がさらに進むと,ゲーム内に「もっと団結しよう」という動きが出てくると思います。そのような流れで,オープンなPvPを体験してもらって,その魅力に気づいてもらおうと考えています。

画像集#012のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー 画像集#010のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー



■ユーザーから集まる意見を最重視。

■プレイヤーに歩み寄り,ゲームを一緒に作り上げたい


4Gamer:
 なるほど。PvPについてはこの作品がもともと持つ魅力を生かしていくということですが,それ以外の部分はどうでしょう。日本オリジナルの仕様になるところはありますか?

吉田氏:
 はい。日本向けのカスタマイズはこれから積極的に行っていく予定です。私自身が日本のいちオンラインゲーマーとして強く感じたのですが,中国の開発会社には,日本人が好むセンスであるとか,日本人に喜ばれるシステムであるとか,そういったものを的確に感じ取れる人は少ないようです。なのでこれからは,GMO gamesで今まで培ってきた日本市場向けのノウハウを,どんどん開発に反映してもらう方向で動きます。オープンしたての現在の英雄島には,まだ日本オリジナル要素はありませんが,今後は力を入れていきます。

4Gamer:
 ユーザーからの要望もできるだけ反映させていく方針ということで,公式サイトでアンケートを行ったりしていますよね。

画像集#016のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
吉田氏:
 はい。お客様と運営チームでコミュニケーションをとれる環境を作りたいと思っています。“一方的に聞いて,それに対してパッチを提供して”というだけではなく,お客様との距離をもっと縮めて,どう改善していくのかという部分を密に話し合えるような環境が理想です。アンケートはそういう環境作りの第一歩として始めました。

4Gamer:
 現状で,日本のプレイヤーからはどのような要望があがってきていますか?

吉田氏:
 色々な意見をいただきましたが,特に多かったのは“操作性変更”の要望です。英雄島はほかのゲームと違って“右クリックで移動”するようになっています。やはり違和感を感じている方が多いようです。

4Gamer:
 あの“右クリックでの移動”は,RTSのゲーム性も参考にしているこのゲームでは理にかなったものだと思うので,個人的には感じていませんでしたが,そうですか,イヤだという人も多いんですね。

吉田氏:
 はい。継続的にプレイすると慣れてきて,慣れてくると現在の操作体系がどれほど効率化されているものかということに気がついていただけると思いますし,実際にそうなったという意見もいただいています。ですが,やはり最初に触った方は,違和感を感じるようです。

4Gamer:
 いつもやっているものとはちょっと違うなと。

画像集#022のサムネイル/黎明期のオンラインゲームにあった“興奮”と“ロマン”を再び感じてもらいたい――本気の対人戦を提案するMMORPG「英雄島」運営インタビュー
吉田氏:
 そうです。せっかく英雄島をやろうと思って入ってきてくれた方が,操作性がちょっと自分には合わないということでやめられてしまうことは,我々としても本当に残念なことです。人がたくさんいてこそ,対人戦の面白さも生きてきます。なので,やはり,ここはカスタマイズしなくてはいけない部分だと考えています。中国の開発側とも今調整している所です。

4Gamer:
 英雄島は,中国で長くサービスされていて,すでにきっちり練り込まれている部分がありますよね。操作体系もその一つだと思います。この部分の進め方には“それをユーザーに分かってもらう方向”と“意見を重視して変更する方向”の二つがあると思うのですが,後者をとるということですね。

吉田氏:
 そうです。“お客様と共に作り上げていく”ということを弊社は重視します。そのマインドは社員一人一人が持っているものです。プレイヤーの皆さんのほうへどんどん歩み寄っていって,一緒に作り上げていく,そういうスタンスはこれからも変わりません。

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