レビュー
スカウト,育成,配合の流れが生み出すやり込み要素と,豊富な対戦モードが魅力
ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2
ドラクエシリーズのスピンオフ作品ながら,「ドラゴンクエストモンスターズ」としてはすでに6作目となる,人気の高い当シリーズ。その基本的なコンセプトは,初代から一貫して変わっておらず,実際に敵と戦うのは,プレイヤーが操作する主人公ではなく,仲間にしたモンスターによるチームだ。今作でも,ゲームスタート時に与えられる1体のモンスターをうまく操って,敵となるモンスターと戦ったり,仲間を増やしたりしていくことになる。
ゲームの主役となるのは,シリーズのタイトルが表すとおりモンスター達。おなじみのスライムから伝説の魔王まで,300種類以上が登場するという |
モンスターに“スキルポイント”を割り振ることで,特別な技を習得していく“スキル”と,種族別で発揮される“特性”という能力を持っている |
「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」公式サイト
モンスターを“スカウト”して仲間に!
前作の「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー(DQMJ)」以降からは,戦闘中にモンスターを仲間にするための“スカウト”という専用コマンドが導入されている。仲間にしたいモンスター1体に対して“スカウトアタック”を行うと,ダメージとは別の“スカウトゲージ”が表示され,その数値によってモンスターをスカウトできる確率が変わるという仕組みだ。
スカウトゲージの数値は,仲間と敵モンスターの強さによって変わり,敵よりも仲間が強かったり,“バイキルト”の呪文などを使って攻撃力を上げたりすれば,スカウト成功率も上がる。ゲージの数値はあくまで確率なので,たとえ99%でも失敗することがあるし,1%でも成功する可能性はある。このスカウトのシステムによって,仲間にしたいモンスターを任意に選んでスカウトするのが容易になっているのだ。とりあえず見知らぬモンスターが出現したら,最初にスカウトしてみるといい。
配合こそが,強いモンスターチームを作るカギ
配合の条件は,モンスターのレベルが10以上で,オスとメス(あるいは両性の個体+オスかメス)を組み合わせること。生まれてくるモンスターも,配合の組み合わせによって最大3種類の中から選べ,さらに親モンスター2体が配合時に持っている,スキルを継承することができる。配合したモンスター2体はいなくなり,生まれたモンスターのレベルも1からとなるが,スキルとステータスの一部を受け継いでいるため,野生には存在しない独自の強さを持つ即戦力として活躍してくれるだろう。
ゲーム中で配合ができるようになるのは,ゲーム開始から数時間遊んでからとなる。その頃にはすでにモンスターのレベルも上がり,スカウトによって種類も増えているかと思うが,初めて配合をするときの気分は複雑だ。そこまでの数時間とはいえ,世話になったモンスターが配合によっていなくなってしまうことに,躊躇してしまう人がいるかもしれない。実は筆者もそうだったのだが,モンスターの成長には限界があり,プレイを重ねるほどに配合の重要性を実感するはず。モンスターの系統を初代から同じものにしてみたり,同一スキルをずっと継承したりなど,プレイヤーがこだわれる余地もあるので,愛着云々は深く考えず,いろいろと楽しみながら配合をしてみてほしい。
親から受け継ぐスキルのどれを選ぶか!?
モンスターは大きさ(S/M/G)によって,習得できるスキルの数が3〜5種類と決まっている。配合時,両親となるモンスターが持っている全スキルと,配合後のモンスターに発生した新たなスキルの中から,プレイヤーは3〜5種類を選ばなければならないのだ。さらに両親のスキルに割り振られたスキルポイントの半分を受け継げるため,これまで培ったスキルを引き続き使っていくのか,それとも子モンスターの系統などに合わせて新たなスキルを選ぶのかも,実に悩ましい要素。配合とスキルの関係に悩むようになってきた頃が,このDQMJ2のイチバンのハマりどころといえるかもしれない。
DQIXよりも先に,シンボルエンカウント制を採用
ゲーム本編は,3Dフィールド上に敵モンスターの姿が見える,シンボルエンカウント制が採用されている。実はDQIXよりも早くシンボルエンカウントを採用していたのが,このDQMJシリーズなのだ。
ゲームの舞台は,飛行船に乗った主人公達が不時着する“謎の島”なので,フィールドの各エリアに固有の名称はなく“密林”や“平原”といった具合にいたってシンプル。モンスター達が主役となる内容ではあるものの,そこはさすがのドラクエであり,外伝ながらもシナリオに手抜かりはない。そう,前述の,プレイヤーがちょうど配合とスキルに悩み出したあたりから,物語もググッと盛り上がってくるという,ドラクエシリーズらしい絶妙なデザインも確認できる。
なお本作は,ドラクエシリーズのスピンオフ作品ではあるものの,堀井雄二氏(ゼネラルディレクション)・鳥山明氏(モンスターデザイン)・すぎやまこういち氏(作曲)の“ドラクエ御三家”が揃って参加している。
手軽に参加できる“モンスター選手権”
選手権でのバトルはアイテムは使えず,武器も装備しない状態でのオートバトルで展開する。モンスターの“作戦”のみ,ターンごとに変更可能だ |
Wi-Fiでのリアルタイム対戦ができるようになったのは今回が初めてとなるが,とくに面白いのは世界モンスター選手権だろう。プレイヤーはまずモンスターチームをWi-Fi経由でサーバーに登録。1日1回,登録済みのチームの中からランダムに選ばれた5チームをダウンロードして,そのチーム相手の5連戦“ホーム戦”を戦う。同様の手順で別のプレイヤーにダウンロードされた自分のチームの戦いは“アウェー戦”となり,それぞれの勝敗によって,プレイヤーはその日の勝ち点を得られるのだ。
その勝ち点は,翌日にはランキングに登録され,一定期間で集計された勝ち点数によって,その大会のランキングが決定するというルールとなっている。Wi-Fiでのチーム登録と,1日1回の5連戦を戦うだけでいい手軽さと,期間が過ぎれば勝ち点がリセットされ,イチからのスタートとなるため,あとから参加するプレイヤーにも比較的公平なルールで戦えるのがポイントだ。
これを体験すると,自分の実力を思い知らされるとともに,ほかのプレイヤーの強いチームがどんな風に育てられているのかがなんとなく理解でき,育成や配合に対する意気込みも上がるはずだ。参加するだけでも,ゲーム中に使えるアイテムがもらえるので,ある程度ゲームを進めたら積極的に参加してみよう。
すれちがい通信で,街角モンスター対決!
また,相手のモンスターをスカウトすることもできる。このすれちがいバトルでスカウトしたモンスターや,それを使って配合して生まれたモンスターには,前作同様“Guest”のマークがつき,世界モンスター選手権には出場できないというデメリットがある。しかし今回は,配合をくり返すことによって“Guest”マークが消えるという配慮がなされ,配合の幅が広がっている。
昨年夏以降に発売されたIXやVIなども含めた,ドラクエプレイヤーのモチベーションが続いている今のタイミングならば,人が多めの場所に足を運べば,誰かしらとすれ違うのも難しくないだろう。なお,本作のすれちがい通信中に,ドラクエIXやVIのプレイヤーの電波を拾うと,それぞれの作品に登場するモンスターがゲストモンスターとして迷い込んでくる。もちろんそれらのスカウトも可能だ。
キミはどんなモンスターチームを作り出すか!?
一部のコアプレイヤーの間では,すでに強いモンスターとスキルについてかなり研究されているようだが,モンスター選手権などではプレイヤーのこだわりが見えるモンスターチームの姿もまだまだ見られる。どんな組み合わせでどう戦うかは,プレイヤーの自由。今からでも決して遅くはないので,秋に開催されると発表された世界大会に向け,最強のモンスターチーム結成を想定したスカウトを始めてみてはいかが?
「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」公式サイト
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