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[E3 2010]シングル専用だから実現できた超絶クオリティ。「VANQUISH」プレイアブルデモ体験レポート&三上真司氏ショートインタビュー
今回のE3では,ハイクオリティなグラフィックスや,非常にスピーディなゲーム展開を大きなウリとする本作がプレイアブル展示されていたので,インプレッションを交えつつレポートしよう。
また,限られた時間ではあったが,三上真司氏に話を聞くことができたので,ページ下部のインタビューにもぜひ目をとおしてほしい。
「VANQUISH」公式サイト
また,バトルスーツによりブースト移動が可能なので,基本的には,一箇所に留まって戦うのではなく,遮蔽物から遮蔽物へとスピーディに移りながら戦いを進めていくという流れになる。この戦闘スタイルが,ゲーム全体のスピード感につながっている印象だ。
サムのバトルスーツは特殊機能を備えており,その一つに,ゲーム全体の動きをスローモーにするものがある。サイドステップしながら武器を構えてこの機能を用いたところ,映画「マトリックス」のように,敵や,敵が撃った弾の動きが遅くなった。このあいだに狙いを定めて撃つもよし,スレスレでかわすもよしだ。
例えば,身を潜めていた遮蔽物から飛び越えた瞬間にこの効果を発動させることで,反撃のチャンスを与えずに敵を撃破できるし,なんといっても見た目に格好良い。
もちろん,何度も繰り返してこの機能を利用できるわけではない。右下のゲージが0になるとオーバーヒートし,ゲージが溜まるまで待たなければいけないのだ。
とはいえ,数秒程度で回復するので,いざというときは迷わず使うのが基本といえそうだ。
今回のプレイアブルデモには,アサルトライフル,ショットガン,ヘビーマシンガンという3種類の銃器と,グレネード2種類が用意されており,十字キーで瞬時に切り替えられる。武器を持ち換えるというより,変形するイメージである。
グレネードは,通常の手榴弾に加え,ロボットである敵の動きを一時的に麻痺させるものがある。開発スタッフはこれを,「しびれ」と呼んでいるそうだ。
また銃器は,弾が最大まで装填されているときにさらに弾を拾うと,少しずつアップグレードされていく。これは,せっかく拾った弾がもったいないということで採用された方式とのことだ。
ただし,サムが倒されると武器の強化レベルは少しだけ下がってしまう。ちなみに,三上氏はテストプレイの際,繰り返し倒され,武器が標準状態に戻ってつらい思いをしたそうで,強化レベルが下がり過ぎないように修正したという。
このデモには収録されていなかったが,E3に合わせて公開されたムービーでは,レール上を走る運搬用台車の上で,襲い来る敵を撃退するステージや,巨大な坂をひたすら上っていくステージなどが確認できる。
さらに,それを避けようとしたプレイヤー心理を逆手に取った仕掛けもあるとのことで,起伏に富んだゲーム展開が楽しめることだろう。
それでは,以下に三上氏のショートインタビューを掲載する。本作をシングルプレイ専用にした理由や,本作で目指したゲーム性などについて聞いてみたので,ぜひ目をとおしておこう。
目指したのは,“キャシャーンのようなヒーローが銃を撃ちまくるアクションゲーム”。三上真司氏に「VANQUISH」の魅力を尋ねた
三上真司氏(以下,三上氏):
このところ,海外ゲームが気に入っているということと,ワールドワイドで幅広く提供していきたいという思いがマッチしただけで,意気込んでいるというほどではありません。
――VANQUISHの開発にあたって,参考にした作品はありますか?
三上氏:
「Gears of War」や「Call of Duty」です。アニメでは,「新造人間キャシャーン」も参考にしています。
――なるほど,キャシャーンですか。いわれてみれば,主人公はヒロイックなイメージですね。
三上氏:
とにかくキャシャーン的なゲームにしたくて,銃を使わなくても,敵を殴って倒していけるゲームに仕上がっています。でもさすがに,海外の人には理解してもらえないかもしれないので,当初から“シューティングときどきキャシャーン”くらいの方向性にしようとは思っていました。現段階では,“たまにキャシャーン”くらいになっています。
ヒロイックなゲームにしたいという狙いと,白いボディに黒のストライプというデザインは最初から変わっていません。それと,以前,格闘モノのゲームを手がけたので,またそういう作品を作るつもりはありませんでした。キャシャーンはやりたいけど,格闘モノにしたくなかったので,銃を乱射するキャシャーンにしたんです。
主人公のデザインに関しては,海外ゲームに見られるマッチョなキャラにはしたくなかったので,スリムなスタイルにしました。
――ボスを倒すとき,特別な演出が入りますね。
三上氏:
「QTシステム」と呼んでいます。当初は,演出をもっとたくさん盛り込む予定でしたが,費用対効果が小さいということで,かなり減らしています。プレイアブルデモでは印象に残る要素かもしれませんが,実際はちょっとしたオマケで,全体の中で数か所しか入っていません。
――ゲーム内のアニメーションも印象的ですが,物理エンジンを採用していたりするんでしょうか。
三上氏:
Havokを使っています。とはいっても,敵のアクションなど,見た目のクオリティに大きく影響する部分に関しては,おおよそ,スタッフが手で動きを付けています。
――ところで,本作はシングルプレイ専用といて開発されていますが,あえてマルチプレイを盛り込まなかったのはなぜですか?
三上氏:
正直にいってしまうとノウハウを持っていなかったからということになりますが,今回,PS3向けに作ること自体が初めてでしたから,両方をとろうとしてどっちつかずになるより,まずはPS3で最高のグラフィックスクオリティを目指すことにしたんです。
シングルプレイしかありませんが,やり込み要素の充実ぶりにも自信を持っています。
――ちなみに,ゲームの難度は高めに設定しているんですか?
三上氏:
ええ,あえてそのようにしています。ある程度難しめにしたほうが,このゲームには合っているかなと。そもそもマニアックなゲームなので,難度を中途半端な高さに設定するより,コアゲーマーがやり込める作品を目指したんです。
ところが,そのように作っていったら,途中で「さすがにこれはまずいぞ」という話になり,イージーモードを用意しました。ノーマルモードも,2か月ほど前と比べると,ずいぶん簡単になっています。ノーマルモードなら多くの人がクリアできると思いますが,二つのスティックを操作しつつ,狙いを定めて撃つのが難しいという人には,オートロック機能があるイージーモードをオススメします。
一生懸命狙いを定めなくても,ビッビッビッと自動的にヘッドショットを狙ってくれますので,気持ちがいいと思いますよ。ただ,その代わり,プレイ時間は半分ほどになっちゃいますけれど(笑)。
――そんなに簡単に進めるんですか。ちなみに,合計プレイ時間はどれくらいですか。
三上氏:
ムービーシーンの時間を除くと,ノーマルモードで7時間くらいでしょうか。
――なるほど。シングルプレイ専用ということで,ストーリー展開が気になりますが,やはりアクション映画のように痛快なエンディングを迎えるんですか?
三上氏:
そういいたいところですが……ええ,そうともいえません(笑)。ところどころ重い感じにもなりますが,ちょっとヘンテコなエンディングになっているので,そのあたりを笑ってもらえればと思います。
――そういえば,遮蔽物の裏に隠れているとき,主人公がタバコを吸ったりしますよね。
あれは待機モーションの一つです。バトルスーツを着ているので,例えばお尻をかいたりといったことはしづらいんですよね。ヘルメットをちょっと上げることで口元が空くので,タバコを吸わせるようにしたんですが,そこまで作ってみて,「ただタバコを吸うだけではさびしいな」と感じました。
そこで,主人公が吸殻を放ると,敵がその熱に反応し,吸殻に向かって攻撃するようにしました。
――敵の注意を逸らすわけですね。
三上氏:
そのあいだにこちらから敵を撃てます。まあ実際には,このテクニックはそんなに使い物にはなりませんが。
――会場で,タバコを吸っては先に進むというのを繰り返している人がいたんですよ。
三上氏:
でも,吸える本数は,各エリア3本までと決まっているんです。それと,タバコを吸えるほど余裕があるのは序盤だけで,先に進むにつれて,その暇すらなくなりますよ。
――それでは,最後に一言お願いします。
三上氏:
シングルプレイでこれだけ気持ちのいい作品は,ちょっとないんじゃないかと思います。体験版などでスピード感や爽快感を味わって,気に入ったらぜひとも製品版を購入してください。
めまぐるしく変化するゲーム展開と,スピーディなアクションを自分の手で繰り出せる爽快感をウリとするVANQUISH。限られた時間の中でのインタビューだったが,本作の開発にあたって三上氏がどんな作品を目指しているか,垣間見られたのではないだろうか。
2010年10月中という国内発売を前に,体験版の公開も予定されているとのことなので,ぜひ楽しみにしよう。
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VANQUISH(ヴァンキッシュ)
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