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インタビュー

子供の目線と親の目線で作られた安心して遊べるコミュニティ「おしゃらんど ファンテージ」開発者インタビュー

Fantage.comのPresident CEO,David Hwang氏
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 2月10日,日本では珍しい女の子向けのゲームコミュニティ「おしゃらんど ファンテージ」のサービスが開始された。

 ファンテージは,2Dアバタータイプの仮想空間コミュニティだが,子供向けを最初から意識して作られたというサービスだ。サービス開始に合わせて来日していたファンテージの開発元であるFantage.comのPresident CEOであるDavid Hwang氏にいろいろ話を聞いてみたので紹介したい。

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 日本では子供向けのゲームコミュニティというと,モバゲーなど,携帯電話用のコミュニティはあるものの,一般的なWeb上でのものは存在しないといっていいだろう。アメリカでの状況を聞くと,子供をターゲットにしたコミュニティがかなり多く提供されているという。現在,ファンテージは500万アカウントの規模でサービスされており,業界では2番手の位置につけているという。アメリカでは,こうった純然たるWebサービス以外に,玩具やぬいぐるみを買うと参加できるタイプの子供向けコミィニティも多くあるという。
 そんな市場のなかでのファンテージの特徴を尋ねると,まずFlashで作られているのでWebブラウザだけでダウンロードなしに動作する手軽さ,使いやすさと,子供の好むものを子供の目線から見据えて揃えていき,同時に親の目線から見て安心できる実装にしているところだという。
 大人が好むものと子供が好むものは明らかに違うとHwang氏は語る。ちょっとしたUIのボタンの大きさや挙動一つとっても,大きくて押したときの動きが遅いほうが子供に好まれるのだそうだ。アバターの衣装やミニゲームでも,同様に子供の好みはあるという。
 
 「自分の子供に安心して遊ばせられるものを作りたいと思いました」(Hwang氏)

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 親の目線では,暴力的なものは排除し,ミニゲームなどもプレイ時間をできるだけ短くするように心がけているという。
 ネクソンの公式サイトを見ても,ひらがなを多用したり,漢字にルビを振ったりなど,Yahoo!きっずでもここまではやってないくらい低年齢層をターゲットにしていることが分かる。
 ファンテージのターゲットは小学校低学年から高学年にかけての,本当の「子供達」と,その家族である。「家族」という部分について,親と子供が一緒に楽しむのかと聞くと,そうではないという。20歳以上のアカウントは全体の20%程度で,多くの親は子供と同じアカウントを共用するのだそうだ。
 これはなぜだろう?
 子供がどんなゲームで遊んでいるのか確認できるというのもあるようだが,さらに理由があるという。ファンテージではミニゲームをすると,ゲーム内ポイントが溜まっていき,アイテムなどと交換できるるのだが,子供が学校に出かけている間にお母さんがポイントを溜めておいたりするのだそうだ。
 せっかくできたコミュニティなら,小学生に限らなくてもよさそうな気はするのだが,

「中学生になると,みんな大人用のサービスを使い始めますので……」(Hwang氏)

とのこと。なるほど。

 開発に関しては,ちょっとしたこぼれ話も聞かせていただいた。
 ファンテージの最初のプロトタイプは,3か月ほどでできあがり,子供達を集めてプレイしてもらったところ,みんな順番にプレイしていき,口々に面白かったと感想を述べたという。喜んだHwang氏は,それを奥さんに話したところ,心理学者でもあるという奥さんから「それは面白くないときの表現よ」と諭されたのだそうだ。
 子供達に楽しんでもらえるゲームにするにはどうすればいいのかと,ファンテージは奥さんの意見も取り入れて根本的に作り直された。そうしてできた新しいファンテージで,子供達を集めて再度テストを行うと,明らかに反応が違う。みんなゲームの前から離れず,奪い合って遊んでいる。それを見て,Hwang氏は子供の視点に立ってゲームを作ることの重要さを認識したという。


ファンテージの特徴的なコンテンツ


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 ファンテージを見ていて,まず気付くのは,キャラクターがみんなボードに乗って移動することだろう。これはどういう意図だったのだろうか?

 「歩くのは現実世界だけで十分じゃないですか。ファンテージでは,未来的なクールな雰囲気を出すことと,移動方法で特徴を出したいと思って特別なものを用意しました。最初は自動車のような乗り物に乗っていたのですが,アバターが見えづらくなるので,最終的にスケートボードに落ち着いています。現在は,スケートボードのみならず,魔法のほうきなど,ありとあらゆるものが使われおり,人気コンテンツになっています」(Hwang氏)

 乗り物というよりは,服装など,アバターアイテムの一種になっているといっていいだろう。アニメーションパターンの節約かなと思っていたのだが,ゲーム性の部分でも大きな意味を持っているようだ。
 
 ファンテージでの人気コンテンツはなにかと聞くと,アメリカでは,現在「写真」が流行中だという。これは日本ではまだ実装されていないフィーチャーで,ゲーム内の様子を写真に撮って送ると,ゲーム内で用意されている雑誌「コメット」誌上に掲載されるのだという。ゲーム内での雑誌が発行されていることが,まず驚きだが,プレイヤー参加の要素がさらに盛り上げに一役買っているようだ。

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 日本でも展開されているコンテンツでは,ファッションショーが人気という。以前紹介したように,ファンテージのファッションショーは,出題されたテーマに沿った服装に着替えて,そのテーマにどれくらい沿っているかなどを投票しあうシステムとなっている。こうなると,ワードローブの豊富な人が有利になってしまうのだが,ポージングなども採点されるので,初心者でも楽しめるものになっているという。ゲーム内のイベントでは,さまざまな衣装が配布されているそうで,ある程度の期間ログインしていれば,それなりにワードローブも充実してくるのだという。
 なにより心がけたのは,見ているだけで楽しいものにすることだという。ファッションショーでは,アイテムを活用する楽しみに加え,コミュニケーションのきっかけとしての意味が大きいのかもしれない。
 ファッションショーの反響はかなり大きかったようで,最初はとくに女の子向けというわけではなかったファンテージが,おしゃれをテーマにした女の子中心のものになっていく原動力にもなったようだ。自分でデザインした服の絵を送ってくるプレイヤーもいるとのことで,プレイヤーからの要望を取り入れていくうちに,ゲームの立ち位置も変わっていったという。

 チャットシステムも特徴的だ。前述のように,Hwang氏が自身の子供に遊ばせることを念頭に置いて開発されたこともあってか,ゲーム内で悪口などが横行することのないコミュニケーションのための工夫がこらされている。
 チャットの方法は「選択肢から選ぶだけ」である。
 非常に限定された内容なので,それで会話が成り立つのか疑問に感じる人もいるだろう。さっそくそのことを聞いてみると,あいさつ程度ではあるものの,それなりに普通の会話はできる内容となっているという。

 登録されている単語は随時追加や見直しをされており,

「全体的に褒め言葉が充実しています」(Hwang氏)

とのこと。

 子供用とあって,キータイピングができなくても手軽にコミュニケーションできるメリットも見逃せないだろう。もしかしたら,国際的な交流でも使えるかもしれない。
 なお,フレンド登録した相手となら,ゲーム内メールのようなものでのコミュニケーションも可能となっているのだが,ここでも電話番号や住所などの情報はフィルタリングされているという。アメリカでは,Facebookなどを使った誘拐事件も起きているそうで,そのようなことが絶対に起きないように,子供の安全については,とことん気を遣っているという。
 こうしたこともあって,暴力的なゲームや規制の少ないコミュニティなど子供のインターネット利用は警戒されるものの「ファンテージだけは遊んでいい」という家庭も増えつつあるといい,子供を持つ親の信頼を勝ち取りつつあるようだ。


日本での展開は?


 さて,ファンテージの日本展開についてネクソンに確認したので,少しまとめておこう。アメリカでは無料会員+プレミアム会員の定額制という形で行われているサービスを,日本の状況にあわせてアイテム課金制に変更されている。メイプルストーリーで導入された「安心キッズサービス」も取り入れ,アメリカ同様に,子供達に安心して遊んでもらえるサービスを目指すという。今後は,ミニゲームを使った,日本独自の学習コンテンツを充実させる計画もあるようで,子供向けインターネットサービスというジャンルを開拓していくことになる。
 
 最後に,Hwang氏から日本の読者にメッセージをいただいたので掲載しておこう。

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 「ファンテージのグラフィックスは,日本のマンガやアニメの雰囲気を生かしたものとなっています。そこにアメリカ的な要素を加えて,独自のものとしていますが,これは日本でも馴染みやすいものだと思います。ファンテージは単なるゲームではありません。我々は一つの世界を作りました。プレイヤーの皆さんから意見をいただいて,この世界をもっと楽しいものにしていきたいと思っています。プレイヤーがなにを求めているのかを,きちんと捉えて,日本でも成功するように頑張っていきますのでよろしくお願いします」

 日本での市場は未知数だが,子供のインターネット利用について悩みを抱える親は少なくないと思われる。新しいジャンルのコミュニティとして今後の動向に注目したいところだ。

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