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HW短評:ROCCAT「Kave XTD Stereo」(3)マイク入力テストと総合評価
というわけでさっそくテスト結果だが,周波数特性は,かなり個性的な結果となった。公称では10Hz〜10kHzなのだが,実際には30Hz〜5kHzくらいの結果で,とくに5kHz以上で帯域の落ち込みが激しい。
12kHz〜16kHzくらいで盛り返しているのだが,プレゼンス※より高い帯域ががっつり落ち込んでいるせいで,声を録音して聞いてみると,何を言ってるかはもちろん分かるものの,回線状況がよろしくないときに「Skype」を使ったときのような,「高域がない」印象になる。もっと言うと,4kHz以上が切れていて低域が強いため,全体のバランスとしては低域が中域より上に被っているような感じだ。
※2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,メーカーは腕の見せどころとなる
※「あるオーディオ波形を正確にサンプリング(標本化,つまりデータ化)するためには,当該波形の周波数成分よりも2倍以上高い周波数を用いる必要がある」という「サンプリング定理」に基づいた解釈
ただし,アナログ接続で無指向性ということ,そして実際の位相波形を見ても,ノイズキャンセリング機能が用意されているのではなく,ノイズリダクション機能付きマイクを搭載しているか,ノイズリダクション機能を本体に実装している可能性のほうが高い。
ノイズがいい感じで減るのはいいのだが,ここまで明瞭感に欠ける音質傾向でいいものか。若干の疑問は残る。
ここまでの3回からまとめてみると,バーチャルサラウンドサウンドがきれいに“効く”のと,中低域が効果音が密集してもこもこしないこと,そして,ノイズが多くて低いレートのネットワーク環境でもきちんと聞こえる,というところが狙いのように感じられた。マイクの特性も含め,今日(こんにち)的なゲームのサウンドと,ゲームのボイスチャット環境へ最適化された製品という印象である。
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ROCCATのKave XTD Stereo製品情報ページ(※英語)
※HW短評に関する注意
- HW短評(ハードウェア短評)は,各執筆者が,テスト経過時点でのインプレッションをまとめたものです。最終的な評価の掲載を目的とするわけではないため,次回以降のHW短評,もしくは別途掲載されるレビュー記事などとは異なる評価が掲載されることもあります
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