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「天誅」舞台版の公演が開始。迫力のアクションや最新の映像技術による見応えある忍者活劇をレポート
シリーズ初の舞台化となる本公演は,フロム・ソフトウェア協力のもと,天誅シリーズの世界観や時代背景に合わせて書き下ろされた脚本(久保田 唱氏執筆)で展開され,シリーズでおなじみの力丸や彩女,菊姫,鬼陰などの人気キャラクターに加え,オリジナルキャラクターも登場する。
公演初日の昼にメディアや関係者に向けたゲネプロ(最終通しリハーサル)が行われ,それを取材させてもらったので,ネタバレは少なめに,公演の概要やその雰囲気などをレポートしていこう。
本公演は,力丸や彩女ら東忍が仕える郷田家君主,郷田松乃信の一人娘である菊姫が,鬼陰率いる忍衆との戦いの最中,何者かに連れ去られてしまうところから物語は始まる。戦いで倒れたはずの鬼陰は怪しげな術によって蘇り,さらに郷田家を狙う北神氏就に仕える忍「風早衆(かぜはやしゅう)」も,菊姫をめぐり力丸たちの前に立ちはだかるのである。
天誅シリーズを通してプレイしているファンには馴染み深いキャラクターが,原作に近い設定で登場。時折コメディチックなやりとりや,ゲームのネタなどが挟み込まれ,舞台劇らしい楽しさも交えつつも,物語の軸はシリアスな時代劇で語られていく。今回の物語の重要な役どころとなるのは菊姫であり,なぜ彼女が連れ去られてしまうのか,そしてその理由が判明したときの彼女自身の葛藤などは,見どころの1つとなるだろう。
今回の主人公となる力丸。戦闘時はゲーム中と同様,マスクで口元を隠す。決めゼリフはもちろん「天誅!」だ |
もう1人の主人公の彩女。彼女のアクションや,龍丸とのやりとりなどにも注目だ |
今回の物語のカギを握る菊姫。彼女の内に秘められたものをめぐって,忍達が戦いをくり広げる |
齢800歳という忍。力丸たちに一度倒されるも,恐ろしい姿で蘇るという設定はゲームと同じだ |
天誅の舞台ということで,もう1つ気になるのはアクションシーンだ。今回の舞台では,力丸役に“トライアスロン俳優”として活躍する森 渉さん,彩女役に国体の新体操で優勝経験のある女優の江田結香さんなど,身体能力の高い俳優陣が多く起用されており,殺陣のアクションは非常に見応えがある。忍者役の役者全員が舞台狭しと飛び回り,殺陣を繰り広げる様子は,ゲーム本編とはまた違った派手な忍者アクション活劇として楽しめるだろう。
10年前に自刃したはずの龍丸が再び力丸と彩女の前に現れる。ゲームで彼を救った香我美も後に登場 |
葉隠れの里の「始末屋」,凛。彼女もまた,特別な業を背負って戦いに挑んでいく |
緑の装束をまとい,力丸たちと対峙する風早衆と,彼らを操る北神氏就(写真後方) |
当日のナレーションゲストは魚 建さん。要所で登場し,物語を盛り上げる |
また今回この舞台では,神奈川工科大学先進技術研究所の協力のもと,最新の映像技術を用いた演出が導入されている。物語中盤,力丸がとある敵と戦うシーンで,CG映像によって映し出された敵が登場するのだが,これは完成したムービーではなく,劇場の地下にある奈落にセッティングされたモーションキャプチャシステムによる,リアルタイム映像なのである。
今回この演出に技術協力しているのは,神奈川工科大学准教授の小島一成氏。小島氏は大学で行っている研究をそのまま今回の舞台に導入し,実際にソーシャルゲームなどに使用しているエンジンを使って投影しているそうである。アクターの動きと映像の動きにタイムラグはほとんどないため,CG映像あるいは舞台上を映すモニターを見ながら,互いに動きの整合性をとるといった,映像に合わせてキャストが動く演出ではありえない芸当も可能としている。
今回は舞台の演出上,CGキャラクターの登場は短時間のものにとどまっているが,小島氏は「もっと長くすることも可能」と話し,今回のようなゲームだけでなく,アニメーションなどが舞台化されたときに,映し出すキャラクターをアニメキャラのようなものに置き換えることも容易だと述べていた。
そんな天誅舞台版は約2時間15分のボリュームたっぷりな内容で終了。今回の舞台を企画したプロデューサーの前田和紀氏は,「この舞台には登場していない天誅シリーズのキャラクターがまだまだいます。彼らのためにもこの舞台はぜひシリーズ化していきたいと考えていますので,スタッフ,キャスト一同,お客様と一緒に育てていきたいです」と,シリーズ化への気持ちも伝えている。またゲネプロ終了後,主要キャスト陣6人が,今回の舞台に向けた意気込みを語ってくれたので,そちらもお届けしよう。
森 渉さん(力丸役):
天誅という作品はとにかく人気のゲームなので,大役をいただいてプレッシャーを感じています。激しいアクションで腰が大変なことになっていますが,なんとか千秋楽まで持たせるようがんばります(笑)。
江田結香さん(彩女役):
天誅というゲームの中で,皆さんから愛されている彩女という役をいただいて,どうしたら彼女に近づけるかを研究させていただきました。アクション自体もあまり体験したことがなかったので,皆さんに助けていただきながら今日を迎えることができました。
市瀬秀和さん(龍丸役):
すごく新しい時代劇だと感じています。忍者ものの舞台自体が少ないですし,若い皆さんが飛んだり跳ねたりするアクションも激しいので,僕ら老体は下でそれを見ながら,最後まで演じていければと思います(笑)。
また(舞台で)「天誅 弐」もぜひやりたいという話も上がっているので,まずはこのメンツで飲み会をして,そこで内容について話し合おうと思っています。
逢沢 凛さん(凛役):
以前アクションの仕事はさせていただいたことがあるんですが,殺陣は今回初挑戦で毎日ドキドキしながら稽古をしていました。まずはゲネプロを終えてホッとしていますが,これから千秋楽まで突っ走ります!
富田 翔さん(滝川来栖役):
今回オリジナルキャラクターを演じさせていただき,ゲームの中に彼がいたらこんな感じだろうという存在感が出せるようにがんばりたいと思います。その名前に負けないようにしたいですね。
木本夕貴さん(菊姫役):
菊姫は15歳ですが,本当は27歳の木本です(笑)。最初にお話をいただいたとき「えっ,15歳!?」と思ったんですが,久保田 唱さんが脚本をすごく面白く書いていただいていたので,ありがたいなと思いました。私は連れ去られる役で殺陣をやるシーンがないので,みなさんの姿を見ていたんですが,本当にゲームに忠実なアクションをしていて,袖で「みんなが私のために戦ってくれている」と,泣きそうになりながら感動していました。1回見るときっと何度も見たくなると思うので,たくさんの人に見ていただきたいです!
沖野晃司さん(鬼陰役):
今回800歳の役ということで,どう役作りをしていいのか分からなくて,自分なりにブチ壊れてやろうと思っていました。でも,ゲネプロが始まってみると,翔さんが舞台上の坂で格好良く決めたあとに,僕は転んでしまいました(笑)。本番ではそんなミスをしないよう,千秋楽までがんばります。
技術的にも面白い試みが導入され,天誅シリーズすべてのファンに向けた熱い内容となっているこの天誅舞台版。公演は5月7日より11日まで行われ,9〜11日は昼と夜の2回公演となっている。また公演には日替わりで,声優の魚 建さん,関 智一さん,木村 昴さん,坂本頼光さん,恒松あゆみさんがナレーションゲストとして登場し,さらに終演後のトークショーやプロモーションユニット「天誅娘☆てんむす」によるライブ,記念グッズの販売なども行われる予定だ。天誅シリーズを一度でも遊んだことがある人はぜひ,劇場に足を運んでみてほしい。
舞台版「天誅」公式サイト
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