レビュー
1スロットの仕様のGTX 460カード「刀」は,価格分の価値を提示できるか
GALAXY
GF PGTX460/1GD5 KATANA
拡張スロット配置や,そもそもPCケース側の制約があるといった人達の間で,「一定以上の3D性能を持ちつつ,1スロット仕様で収まっているカード」のニーズは常にあるわけだが,今回の新製品は,そのニーズに応えられるものなのか,そして市場でどのように位置づけられるべきか。GALAXYの販売代理店であるエムヴィケーからサンプルを入手したので,気になる騒音や冷却能力といったポイントを中心にチェックしてみよう。
1スロット仕様に収めるべくクーラーを大型化し
いきおいカード長も長く
ちなみにGTX 460 KATANAが搭載するGPUクーラーは,熱交換用の液体をヒートシンク内に封じ込めることで,効率的な熱の移動を実現しようという技術,「Vapor Chamber」(ヴェイパーチャンバー)をベースとしたもの。GALAXYのKATANAシリーズ伝統,と述べてもいいだろう。Vapor Chamberベースの銅製ヒートシンク部がかなりの重さを持つためか,GTX 460 KATANAの重量は実測約667gと,GTX 460 Ref.比で200gほど重くなっているのも特徴だが,667g程度であれば,取り付けに支障が出るほどでもない。持ったとき「あ,ちょっと重いかも」と感じるくらいだ。
搭載するメモリチップはSamsung Electronicsの「K4G10325FE-HC05」(4Gbps品)だったので,若干の動作マージンがあることになる。
搭載するGTX 460チップ。刻印は「GF104-325-A1」だった |
搭載するメモリチップのスペックもGTX 460カードとして標準的 |
GPUクーラーの冷却能力はまずまず良好
ただ,動作音への覚悟は必要だ
冒頭でも触れたとおり,GTX 460 KATANAで最も気になるのはGPUクーラーの実力だろう。今回は表に示したテスト環境で,GTX 460 Ref.と比較したい。
負荷の高いDirectX 11世代のゲームタイトルを想定し,今回は「Heaven Benchmark 2.0」(Version 2.1)を30分間連続実行して,その間のGPU温度変化を見ることにした。温度測定には,MSI製オーバークロックツール「Afterburner」の公式β版たるVersion 2.1.0 Beta 5に用意されたログ機能を利用。テスト環境は,約22℃の室内で,PCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態に置いてある。
その結果をまとめたものがグラフ1だ。グラフ左端がアイドル時のGPU温度で,GTX 460 Ref.が29℃なのに対し,GTX 460 KATANAは34℃。違いは5℃だが,面白いのは,この関係がHeaven Benchmark 2.0実行後も維持されることだろう。もっとも,GTX 460 KATANAのGPU温度はピークでも67℃なので,多少高めではあるものの,実用上問題のあるレベルではない。例えば側板に空気孔が用意されているPCケースなど,吸気側(=ファン側)に外気を送れるような環境であれば,冷却周りに心配はほぼ無用と思われる。
気になるテスト時の動作音は下にリンクで示したとおり。テスト対象となる2枚のカードそれぞれで,ファンから約15cm離れたところにマイクを設置し,アイドル時と,Heaven Benchmark 2.0を連続実行し,約30分経過した時点とを含む,連続した20秒強にわたってそれぞれ録音したデータになる。あくまでも相対評価のためのものなので,絶対評価には向かないが,違いは十分に聞き取れるはずだ。
GTX 460 Ref.が搭載するGPUクーラーは,動作音という観点から述べると相当に優秀。それだけに,GTX 460 KATANAにとっては相手が悪かったということにもなるのだが,1スロット動作の代償としては,カードサイズともども致し方ない,というところなのだろう。
高い周波数の音はPCケースで遮蔽されやすく,PCケースに取り付ければ,この録音の音よりもくぐもった印象になるはずなので,実使用環境だと,音が耳につく印象は多少薄れるはずだ。
ところで,もう1つ,GTX 460 KATANAの特性として述べておきたいのが,高負荷時の消費電力が多少高めに出ることである。
今回は4Gamerのベンチマークレギュレーション10.2から「3DMark06」(Build 1.2.0)「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)「Just Cause 2」をピックアップし,「高負荷設定」の解像度1680×1050&1920×1200ドットに絞って,実行時の消費電力値を,アイドル時ともども,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」から取得してみることにした。その結果がグラフ2だが,アプリケーション実行時は,いずれのテストでも10W以上の違いが,2枚のカード間に生じている。
この違いを生んだ原因は,もちろん特殊なカードの設計にも求められるが,大きな要因の1つとして挙げられそうなのがファンである。GTX 460 KATANAのGPUクーラーは,ゲームなどを実行するとすぐに回転数が4000rpm台まで上がるようになっているので,この高回転ファンが,消費電力を押し上げていても不思議ではない。
なお,3DMark06とBFBC2,Just Cause 2のベンチマークテスト結果は一応グラフ3〜5に示すが,搭載するGPUが同じで,動作クロックも同じため,有意な差は生じなかった。
貴重な選択肢なのは間違いない
この希少性に2万円超のコストをかけられるか
GPUの温度は実用的なところに収まっているので,1スロット仕様のGTX 460カードに魅力を感じていて,かつ,いま挙げたマイナスポイントが気にならない人にとっては,悪くない選択肢になるのではなかろうか。
ただ,いろいろなタイミングを勘案するに,年末ではなく,せめて秋頃登場していれば,もう少し注目を集めたのではないかと思われ,その点は惜しいと言わざるを得まい。
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