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GeForce GTX 400
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  • 発表日:2010/03/26
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大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー
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印刷2010/07/24 10:43

レビュー

早くも登場した独自基板採用のGTX 460 Factory OCモデルをチェックする

Palit GeForce GTX 460 1GB Sonic Platinum(NE5X460HF1102)

Text by 宮崎真一


画像集#002のサムネイル/大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー
GeForce GTX 460 1GB Sonic Platinum
(型番:NE5X460HF1102)

メーカー:Palit Microsystems
問い合わせ先:サードウェーブ(ドスパラ) 問い合わせフォーム
実勢価格:2万5000円前後(※2010年7月24日現在)
画像集#003のサムネイル/大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー
TechPowerUp製GPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.4.4)から動作クロックを確認したところ
 1週間前の2010年7月17日に掲載した「GeForce GTX 460」(以下,GTX 460)のNVIDIA SLI(以下,SLI)テストレポート記事でも触れたように,Palit Microsystems(以下,Palit)は,同社オリジナルデザインを採用したグラフィックスメモリ1GB版のGTX 460搭載カード「GeForce GTX 460 1GB Sonic Platinum」(型番:NE5X460HF1102,以下 Palit GTX 460)を早くも日本市場に投入してきた。

 動作クロックはコア800MHz,シェーダ1600MHz,メモリ4GHz相当(実クロック1GHz)。リファレンスの同675MHz,1350MHz,3.6GHz相当(実クロック900MHz)と比べると,コア&シェーダクロックは約19%,メモリクロックは約11%引き上げられているクロックアップ仕様ということも手伝ってか,国内で独占的に販売を行っているドスパラの販売ページでは入荷即完売の繰り返しが続いているようで,なかなかのヒット製品となっているようだ。
 では,このユニークなGTX 460カードは,リファレンスカードと比べてどれだけ性能が高く,そして上位GPUにどこまで迫れるのだろうか。本製品が持つパフォーマンスを,いくつかのテストにより明らかにしていきたい。


カード長は188mmでリファレンスより20mm短く

さらに補助電源コネクタの向きも改善


リファレンスデザインの基板を採用したGTX 460カード(上)より確実に短い。省電力版「GeForce 9600 GT」カード(下)より短い点も要注目
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 Palit GTX 460が持つ外観上の大きな特徴は,カード長が実測188mm(※突起部除く)で,リファレンスデザインの同208mmから20mm短くなっている点だ。さらに,6ピン×2のPCI Express補助電源コネクタも,マザーボードに対して水平方向から垂直方向へと変更されており,補助電源ケーブルがPCケース内で3.5インチシャドウベイなどと干渉する心配もなくなっている。
 つまり,補助電源コネクタの向きを変えることで,リファレンスデザインから20mm+αの短さを実現したことになる。

中央部にファンを搭載したGPUクーラーがカード全体を覆うデザインを採用。カード裏面に冷却機構はこれといって用意されていない
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N460GTX Cyclone 1GD5/OC(上)と,GPUクーラーを取り外した状態で並べて比較
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 GPUクーラーは,カバーと一体化した80mm角相当の薄型ファンと,ヒートパイプが2本走るパッシブヒートシンクの2ピース構成。メモリチップやVRM部に特別なヒートシンクは搭載されておらず,これらの冷却はエアフローのみに頼る仕様だ。
 パッシブヒートシンクを取り外すとGPU&メモリチップが姿を見せるが,リファレンスデザインを採用したMSI製のグラフィックスメモリ1GB版GTX 460カード「N460GTX Cyclone 1GD5/OC」とクーラーを外した状態で比較してみると,GPU周辺のレイアウトはリファレンスデザインとよく似ていることが分かる。一方,出力インタフェース周りは詰めてあり,電源周りは簡略化が進んでいるので,このあたりがリファレンスカードよりも短いカード長を実現した要因と述べていいだろう。

GPUクーラーを取り外していろいろ撮影してみたところ。GPUの刻印は他社のグラフィックスメモリ1GB版と同じく「GF104-325-A1」だった。採用するメモリチップはSamsung Electronics製のGDDR5「K4G10325FE-HC05」(0.5ns品)で,リファレンスデザイン仕様のグラフィックスメモリ1GB版カードと同じ
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 ちなみにPalitは,クロックアップの上げ幅を抑えた「GeForce GTX 460 1GB Sonic」(型番:NE5X460SF1102)というモデルも用意している。外観は今回取り上げているPalit GTX 460と同じなのだが,ヒートパイプが省略されたりしているので,間違えないようにしておきたい。


主にGTX 470&HD 5850と比較

上位GPUにどこまで迫れるか?


Rampage III Extreme
ゲーマー向けのハイエンドX58マザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:4万5000〜4万7000円程度(※2010年7月24日現在)
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 Palit GTX 460のパフォーマンスを確かめるべく用意したテスト環境はのとおり。記憶力のいい読者は憶えているかもしれないが,これはGTX 460のレビュー,そしてGTX 460のSLIテストレポートとまったく同じなので,今回,「ATI Radeon HD 5850」(以下,HD 5850)のスコアはレビュー記事から流用している。また,リファレンスクロックで動作するグラフィックスメモリ1GB版GTX 460(以下,GTX 460[1GB])については,今回,シングルカードの検証ということで,テスト解像度を1680×1050/1920×1200ドットの2パターンとしたことから,1920×1200ドットのスコアのみ流用し,1680×1050ドット解像度についてはテストをし直している。
 テストに用いたGTX 460[1GB]は,先ほどの比較でも軽く紹介しているN460GTX Cyclone 1GD5/OC。本製品もメーカーレベルのクロックアップ設定がなされているので,同社製のオーバークロックユーティリティ「Afterburner」から動作クロックをリファレンス相当にまで引き下げて利用している。

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 スコアを流用する関係で,テスト方法もGTX 460レビュー記事およびSLIテストレポート記事と同じだ。基本的には4Gamerのベンチマークレギュレーション9.2に準じつつ,「Left 4 Dead 2」と「ラスト レムナント」のテスト結果を省略する一方,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークテストから,「DX11 Ultra」設定で,最も描画負荷の低い「Day」と,逆に最も高い「SunShafts」のスコアを採用する。
 テストに用いたドライバソフトウェアは,SLIテストレポート記事と同じく「GeForce Driver 258.96」「ATI Catalyst 10.6」。CPUの自動オーバークロック機能である「Intel Turbo Boost Technology」は無効化する一方で,「Intel Hyper-Threading Technology」は有効化していることもあらためてお断りしておきたい。


GTX 460のリファレンスからスコアは15%前後向上

GTX 470には届かないが,HD 5850を越す場面も


 さっそくテスト結果をチェックしていこう。グラフ1,2は定番の「3DMark06」(Build 1.2.0)について,総合スコアをまとめたものになるが,Palit GTX 460はGTX 460[1GB]から6〜12%高いスコアを示しており,クロックの引き上げ幅を考えればまずまず妥当な結果に落ち着いたといえる。
 実勢価格が3万4000〜4万4000円程度(※2010年7月24日現在)のGTX 470にはさすがに届いていないが,4xアンチエイリアシング&16x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」で,同2万9000〜3万6000円程度のHD 5850を突き放しているのは注目したいポイントだ。

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 続いてグラフ3,4はSTALKER CoPから,負荷が軽めのDayシークエンスにおける結果をまとめたもの。傾向としては3DMark06とほぼ同じで,Palit GTX 460はGTX 460[1GB]比で15%ほど高いスコアが得られているものの,GTX 470には届かず。HD 5850に対して高負荷設定で差を付けているのも3DMark06の結果を踏襲している。

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 それは,SunShaftsシークエンスでも同様(グラフ5,6)。負荷が高くなった分,数値は落ち込むが,しかしPalit GTX 460とGTX 460[1GB]のスコア差はほとんど変わっていない。
 これまでと一つ異なるのは,負荷の高いDirectX 11テストということもあってか,アンチエイリアシングやテクスチャフィルタリングを適用していない「標準設定」においても,Palit GTX 460がHD 5850に20%以上の差を付けていること。Fermiアーキテクチャの「DirectX 11タイトルに強い」という一面が色濃く出た例といえるだろう。

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 グラフ7,8に示したのは,DirectX 10世代のFPSである「Crysis Warhead」の結果で,ここでも全体の傾向そのものは変わらず。ただ,ROP数が40基対32基,メモリインタフェースが320bit対256bitという違いがあるためか,メモリ周りのスペックがフレームレートを大きく左右する本タイトルにおいて,Palit GTX 460はGTX 470からずいぶんと離されている。

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 ここまでと若干異なる結果になったのが,グラフ9,10に示した「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)である。
 Palit GTX 460がGTX 460[1GB]比で約15%増しのスコアを示しているところまではいいのだが,標準設定ではGTX 470&HD 5850に歯が立たず。DirectX 9世代の軽いタイトルだと,Palit GTX 460というか,GTX 460の限界が露見しやすい。

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 次にグラフ11,12の「バイオハザード5」だが,ここではCrysis Warheadと似たような結果が得られた。もともと本作はGeForceシリーズでスコアが高く出やすいのだが,GTX 460[1GB]だとHD 5850にあと一歩届かないところに,Palit GTX 460が完全に逆転しているのは興味深い。本タイトルにおいて,20%弱のクロックアップには相応の意味があるわけだ。

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 パフォーマンステストの最後はグラフ13,14に示した「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)となる。
 DirectX 11モードでのテストのみとなるため,GeForce GTX 400シリーズが有利だが,ここでPalit GTX 460がGTX 470と同等以上のスコアを示した点は面白い。それほど負荷の高くないDirectX 11世代のタイトルなら,こういう結果が出る場合もあるということなのだろう。

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GTX 460リファレンス比で消費電力は10〜20W上昇

オリジナルクーラーの冷却能力は問題なし


 クロックアップによって性能が向上しても,消費電力が大きく増加してしまうようでは魅力が損なわれてしまうが,その点Palit GTX 460はどうか。ログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体の消費電力を計測してることにしよう。
 テストに当たっては,OSの起動後,30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,各タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ15のとおり。アプリケーションによってバラつきがあるものの,Palit GTX 460の消費電力はGTX 460[1GB]比で14〜24W高いレベルで,パフォーマンス向上率を考えれば納得できるレベルだろう。消費電力あたりの性能に定評あるHD 5850と比べると21〜50W高く,これは減点対象だが,しかしGTX 470よりは57〜75W低い。

画像集#031のサムネイル/大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー

 カード長が短くなり,いきおいサイズもリファレンスカード比で小型化したGPUクーラーを搭載するPalit GTX 460だが,クロックの高いGPUを冷却しきれるのか。室温23℃の環境にバラックで置いたシステムにおける温度を計測してみることにした。
 テストにあたっては,3DMark06の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにしたが,今回GTX 460[1GB]として用意したカードはMSIのオリジナルクーラー「Cyclone」を搭載するため,このままでは比較にならない。そこでグラフ16には,GTX 460のレビュー記事から,NVIDIAのリファレンスカードが示したスコアを参考として示すことにした。
 そのうえでチェックしてみると,Palit GTX 460のスコアはリファレンスカードの参考値より若干低い。冷却能力にはまったく問題なしと断言してよさそうだ。

画像集#032のサムネイル/大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー

 なお,気になる動作音だが,静音モデルとして評価の高いCycloneクーラーと比べた場合,高負荷時の動作音はやや大きめであるものの,しかしそれは,かなり耳を近づけてやっと判別できるというレベルだ。普通にPCケースへ組み込んで使ううえでは,十分に静かである。


上位モデルに迫れる性能は魅力

懸念は供給量か


製品ボックス
画像集#015のサムネイル/大幅なOC動作を実現したPalit独自設計版GTX 460カード「Sonic Platinum」レビュー
 Palit GTX 460の実売価格は2万5000円ほど。他社のグラフィックスメモリ1GB&リファレンスクロックモデルと比べても価格は同等か若干高い程度である。一方,ベンチマークテストの段でも触れたとおり,GTX 470とHD 5850の実勢価格は順に3万4000〜4万4000円程度,2万9000〜3万6000円程度(※2010年7月24日現在)なので,価格対性能比という観点でPalit GTX 460はかなり魅力的だ。
 HD 5850より消費電力が高めなのは玉に瑕だが,リファレンスクロックモデルと比べて極端に消費電力を増すことなく,GTX 470に迫れる3D性能を発揮するというのは立派。なにより,カードサイズの短さが素晴らしい。

 だが,問題もある。グラフィックスメモリ1GB版が総じて不足気味なのでやむを得ないといえばそれまでだが,それにしてもPalit GTX 460の流通量はとても潤沢といえないレベルにある。いつでも買える状態にあれば,GTX 460カードの有力な選択肢となるだけに,メーカーであるPalit,そして販売代理店であるサードウェーブには,数の確保に向けた一層のガンバリを期待したいところだ。
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