イベント
まさにカオスの「戦国武将祭」。声優が語り,プロレスラーが闘い,GACKTが熱唱し,炎の中から信長が復活して天下が統一された
これは,「信長の野望」シリーズや「戦国無双」シリーズなど,コーエーが誇る“戦国モノ”を柱に,声優による朗読劇とキャラクターソングのライブ,武将に扮したプロレスラーによる試合,そして音楽アーティストによるミニライブなど,さまざまな種類のエンターテイメントを一度に楽しめるという前代未聞のイベント。
先日掲載したコーエーの坂本 毅プロデューサーへのインタビュー記事でも,その内容には触れているが,ここでは当日の模様をフォトレポート形式でお伝えしていこう。
「戦国武将祭」と同時開催の,歴史の魅力満載「戦国楽市楽座」をレポート。メインアリーナとはまた違った豪華な出演者に注目
「戦国武将祭」公式サイト
3月6日
●川中島の合戦
●本能寺の変
●武将声優LIVE-STAGE
・小杉十郎太さん(織田信長)「極〜苛烈五十年」
・石川英郎さん(毛利元就)「大河滔々」
・草尾 毅さん(真田幸村)&竹本英史さん(石田三成)&高塚正也(直江兼続)さん「仰ぎて天に愧ず」
小杉さんは「こんなどでかいところで歌ったのは初めてで,最後かもしれません。非常に気持ちがいいですね」,石川さんは「スモークでどこまで広いのか見えないんですけど,広いのは分かりました」,草尾さんは「この中年隊に根気よく振り付けしてくれたG-Rocketsの山中陽子さん,ありがとう」などとコメントしていた。
●戦国の宴-LIVE-
●小田原の戦い
●関ヶ原の戦い
●戦国LIVE
●グランドフィナーレ
3月7日
●本能寺の変
●天正壬午の乱
●武将声優LIVE-STAGE
・小杉十郎太さん(織田信長)「極〜苛烈五十年」
・檜山修之さん(伊達政宗)「天翔ける竜の如く」
・草尾 毅さん(真田幸村)&竹本英史(石田三成)&高塚正也(直江兼続)さん「仰ぎて天に愧ず」
高塚さんが麒麟の川島 明さんと一緒に「麒麟です」をいい声で言ってみる一幕も
●戦国の宴-LIVE-
●小田原の戦い
●関ヶ原の戦い
●戦国LIVE
●グランドフィナーレ
「戦国武将祭」は日本のエンターテイメント系プロレスにおける一つの到達点かもしれない。そうでもないかもしれない
グランドフィナーレでは,アリーナ席の間にある通路から出演者達がステージへ向かう演出がとられており,豪華声優陣を至近距離で目撃できたことを,満足そうに語り合う来場者の姿が多数見られた。
一方,とくに初日の前半は,目の前で繰り広げられる武将ファイター達の激突に対し,明らかに戸惑っている空気が場内に充満。それでも時間を追うごとに,関ヶ原の合戦の頃には,武将ファイターの一挙手一投足に対しても,歓声が上がるようになっていた。
つまり,プロレスの“見方”を知らない人達を沸かせるうえでは,とにかく分かりやすさが重要だったのである。試合内容自体も,二日めはより“分かりやすさ”を志向した内容にシフトチェンジされていたように見え,これがまた初日以上の盛り上がりに一役買っていたようだ。
こうしたことは,ゲームにも当てはまるかもしれない。
例えば,古くからのゲーマーにとってコーエーといえば,硬派な歴史シミュレーションゲームである「信長の野望」シリーズや「三國志」シリーズでおなじみだが,シミュレーションゲームに対してハードルの高さを感じる人も今は多いだろう。
しかし一方,「戦国無双」シリーズや「真・三國無双」シリーズは,そのゲーム性やキャラクター造形の効果もあってか,ライトゲーマーや声優ファンなどにも受け入れられている。
プロレス的に奥深く,その気になれば理詰めで説明できるような動きの一つ一つは,プロレスの“見方”を学ばなければ理解しにくい。しかし,音の大きな打撃や華麗な跳び技であれば,その凄さが分かりやすい。
シミュレーションゲームの奥深さ,戦略性もまた,シミュレーションゲームの“文法”を理解しなければ楽しみにくい。しかし,アクションゲームの持つ爽快感や,キャラクターの魅力などは,難しいことを考えなくても味わえる。
もちろん,ぱっと見の分かりやすさ以上の意味や深さだって,跳び技にしろ無双シリーズにしろ,きちんと持っている。が,そこに気付くためには,ある種の“修行”が必要になってくるのも確かだ。このあたりもまた,共通しているのではないだろうか。
これは,どちらが良くて,どちらが悪いという話ではない。単に,さまざまな娯楽に対し,誰もが気軽にアクセスできるようになった現代において,即座に楽しさが分かるものほど受け入れられやすく,ある種の“修行”を積まなければ楽しめないものは,敬遠されがちだということだ。
“修行”さえ積めば面白いものは世の中にたくさんあるし,それぞれに熱心なファン(“修行”を積んだ人)がついている。ただ,“修行”を積んだ人が求めるものを作り手が提供し続けた結果,“修行”を積んでいない人には理解しづらい深さに達してしまうというケースも少なくない。
そういう意味で,戦国武将祭のとくに2日めは,“修行”を積んでいない人でも楽しめるイベントになっていたように思う。
そして,またプロレスに話を戻してしまうと,二日めの関ヶ原の戦いにおける信長復活劇などは,10年前であれば受け入れられたとは思えない演出だ。しかし今回は,場内のほぼすべての観客が度肝を抜かれていたし,ある程度はいたであろうプロレスファンからも太い歓声が上がっていた。
(もちろんWWEの存在は無視できないが)旧WRESTLE-1,そしてハッスルといった日本のエンターテイメント系プロレスが,これまで多大な犠牲を払いながら実験してきたことの一つの成果として,戦国武将祭の二日めを評価することもできそうだ。
といったところで,まとめに入ろう。
今回の戦国武将祭は,バラバラのコンテンツを,“戦国”という太い串で無理矢理突き刺したかのようなイベントだった。それでも,大きく破綻することなく,最初から最後までを一つの作品として楽しめる内容に仕上げられていたのが好印象だ。これも,“戦国”というモチーフの強固さがあってこそなのだろう。
そして何よりGACKTさん。二日続けて,場内を興奮のるつぼにたたき込んだGACKTさん。イントロだけで場内総立ちにしてしまうGACKTさん。あれは……凄かった。
「戦国武将祭」と同時開催の,歴史の魅力満載「戦国楽市楽座」をレポート。メインアリーナとはまた違った豪華な出演者に注目
「戦国武将祭」公式サイト
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(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証K01-001
(C)TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All rights reserved.
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