テストレポート
BenQ製のゲーマー向けディスプレイ「XL2420T」再テストレポート
記事中,垂直リフレッシュレート120Hz時の比較としていたところが,いずれも,片側のディスプレイで120Hz表示になっていなかった。これはひとえに筆者のポカによるミスである。単にお詫び文で済ませるのも申し訳なく,BenQの日本法人であるベンキュージャパンに無理を言って,再度XL2420Tを貸し出してもらったので,今回は再テストレポートとして本稿をお届けしたい。
なお,先のレビュー記事は,お詫びを入れたうえで,記事表記には手を加えずそのままにしてある。本稿は,レビュー記事を読み終えていることを前提に進めていくので,120Hz表示に関するテスト結果以外は,そちらを参照してもらえれば幸いだ。
1月14日に掲載したXL2420Tレビュー記事
Dual Dual-Link DVIに対応したGTX 480を用いて
リフレッシュレート120Hz×2環境を構築
まずは事態の経緯から説明させていただきたい。
XL2420Tのレビューでは,同じくBenQの「XL2410T」との比較を行った。両製品はいずれも垂直リフレッシュレート120Hzに対応していることが大きな特徴で,120Hz表示時の遅延に違いがあるのかは,ぜひとも調べたいポイントだった。
というわけで,レビューではグラフィックスカードとしてMSI製の「R6950 Twin Frozr II OC」を用いた。このカードは,2基のDVIポートがDual-Link DVI仕様となっており,双方のポートに接続したディスプレイで同時にリフレッシュレート120Hzの出力を行えることを確認した……つもりだったのだが,ここを根本的に間違えていたのである。
初期テストとして,グラフィックスカード側に用意されたDVIポート×2自体の表示遅延検証を行っていたときに,ディスプレイのOSDからリフレッシュレートを確認していたのだが,そのとき,「両方とも,同時に120Hzになっている」と勘違いしてしまったのだ。読者からも指摘してもらったが,R6950 Twin Frozr II OCでは,片方のDVIポートしか120Hz出力に対応していない。お恥ずかしい限りであり,心よりお詫びしたいと思う。
高価な業務用製品ならどうかまではなんとも言えないが,少なくとも,担当編集に用意してもらったGefen製スプリッタ「1:2 DVI DL Splitter」(型番:EXT-DVI-142DL)では,グラフィックスカードを何枚か変えて試しても垂直リフレッシュレートは80Hzが上限になってしまった。製品のマニュアルにも,上限は80Hzと書かれているので,Dual-Link DVIスプリッタを用いて120Hzのテストを行うのは難しい。
そこで,2系統のDVIポートと,XL2420T&XL2410Tをつなぎ替えながら,先のレビューと同じく,ハイスピードカメラで240fpsの動画撮影を行って,遅延傾向に変化がないのかを検証。結果,MSI製の「GeForce GTX 480」カード「N480GTX-M2D15」を用いたときに,2つのDual-Link DVIポートで,ディスプレイと接続するDVIポートを入れ替えても,遅延がグラフィックスカード側のDual-Link DVIポートに依存しないことを確認できた。240fps撮影で違いが見られない以上,このカードを用いたテスト結果は信頼できるはずだ。
1フレームの差はないものの
やはり遅延ではXL2420Tに軍配が上がる
というわけで,再テストに入ろう。前回のレビューでは,「LCD Delay Checker」(version 1.4)を遅延のテストに用いた。
LCD Delay Checkerではソフト側にかかる負荷が高く,今回のテスト環境では起動直後こそ120fpsが得られることはあっても,徐々に落ちて80fps程度に落ち着いてしまう。LCD Delay Checkerは垂直同期信号に合わせて画像を更新しているようなので,時間の経過につれ,垂直同期が入って描画しようとするも,間に合わなくなって次の割り込みを待つという具合に順送りされていくためではないかと思われる。いずれにせよ,リアル120Hzのテストにはフレームレートが不足してしまうが,おおよその傾向をつかむことはできるだろう。
さてまずは,XL2420Tの画像プリセットを「標準」「FPS1」としたときの違いを見てみたい。テストにあたっては,XL2420Tを向かって左側,XL2410Tを右に設置。いずれのテストでも,遅延を減少させる「インスタントモード」と,ゴースト低減機能「AMA」は両製品で有効化し,比較対象となるXL2410Tでは「FPS」プリセットに設定している。
下に示した動画は,レビュー時と同じく,カシオ製のハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」(以下,EX-FH100)から240fps設定で録画したものだが,XL2420Tのほうがわずかに速い。レビュー時に述べた「1フレーム」という違いはないので,その点は誤りということになるが,0.3〜0.5フレーム程度はXL2420Tのほうが速いようだ。
念のため,XL2420Tの画像プリセット「FPS2」「RTS」も試したが,これらでも傾向は変わらずだった。先のレビューでも述べたとおり,画像プリセットではコントラストと明るさを変更する「Black eQualizer」の設定値が変わっているだけで,遅延などのパラメータは変わらないため,妥当な結果になっているといえるだろう。
一方,異なるパネルサイズを擬似的に実現する「パネルエミュレーション」では,やはり1フレーム程度の遅れが見られた。これはディスプレイ内部でリサイズ処理が入るためで,やむを得ないところだろう。
もっとも,120Hz設定時は,エミュレーションするディスプレイの大きさが大きくなるほど,遅延が改善される傾向にある。このあたりも下に示した動画で確認してほしい。ディスプレイの並びは先ほどと同じで,左がXL2420T,右がXL2410Tである。
また,スルーモードの一種であるインスタントモードを無効化しても,XL2410Tと比べて1フレーム弱の遅延が生じることを確認できた。先のレビューで述べたとおり,インスタントモードはオンにしていてもデメリットがないので,常時有効化すべきだろう。
やや繰り返し気味になるのを覚悟で再度まとめると,「先のレビューで述べたような,『XL2410Tより1フレーム速い』という事実はないが,XL2420Tの表示遅延がXL2410Tより短くなっているのは間違いない」ということになる。
ただ,以上のテストは80fps表示時のもの。リアル120fpsで比較した結果も見たいという読者も多いはずだ。
そこで参考までに,「Refreshrate Multitool」の結果も紹介しておきたい。Refreshrate Multitoolは残念ながら,少し前に話題となった「Megaupload」(http://www.megaupload.com/)閉鎖に巻き込まれて入手不可能になっているツールだが,こちらなら,120fpsによる比較が可能だからだ。
下に示した動画は,XL2420TのFPS1モードと,XL2410TのFPSモードで,Refreshrate Multoolを実行したときのもの。ここでは,「120マス(横12×縦10)の長方形を表示させて,1秒に1回のペースで白い輝点を左上から右下へと流す」という処理を行っているため,輝点は120分の1秒ごとに次のマスへ移動するが,ここでも,XL2420Tのほうが,輝点の移動タイミングが速いと分かるはずだ。LCD Delay Checkerと同様,1フレームの差はないが,しかし違いは確実にある。
再テスト後も評価そのものは変わらず
やはりXL2420Tは優秀だ
遅延の少なさに定評があったXL2410Tに対して,さらに遅延を減らしてきたという点は,あらためて高く評価できる。XL2420Tはやはり優秀だ。
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