インタビュー
「ArcheAge」にGMルシウスが帰ってきた。日本運営プロデューサーに再任した石元氏へのメディア合同インタビューをお届け
2013年7月にサービスが始まってから7年にわたり,ArcheAgeの日本運営プロデューサーを務めた石元氏は,約2年前に熊木氏にバトンタッチし,別のタイトルへ移った。その石元氏が生放送の冒頭で,再びArcheAgeの日本運営プロデューサーに就任することになったと伝えたのである。今回の再就任に関する話題と今後の運営について,石元氏にメディア合同インタビューが実施された。本稿では,その内容をお届けしよう。
2年ぶりに日本運営プロデューサーへ再就任した石元氏
――石元さん,ArcheAgeにお帰りなさい。
石元氏:
はい,ただいま戻りました。
――2年ぶりにArcheAge日本運営プロデューサーに返り咲いたわけですが,再任が決まったときの率直なお気持ちは?
石元氏:
表向きバージョンと,本音バージョンがあるんですけど……。
――本音も聞きたいので両方で(笑)。
石元氏:
表向きなコメントとしては,やっぱりびっくりしました。ただ,実は去年の10月ぐらいからそれらしい雰囲気が漂っていて,いつか来るかもという感覚はあったので,急に降って湧いた話ではなかったんです。
それより,ArcheAgeはゲームの仕様が結構複雑で覚えることも多いし,気を付けないといけないことも多いので,また身を引き締めなきゃという焦りの気持ちが大きかったですね。
――本音は?
石元氏:
「2年も離れてたのにマジか!」って(笑)。ArcheAgeの感覚が抜けてるのに戻らなきゃならない。どうやってあの頃の感覚を取り戻し,今のトレンドにフィットさせればいいのかが全然見えてこなかったので,どこからスタートすればいいのかという恐怖心がデカかったですね。
――石元さんが関わっていた2年前と比べて,現在のArcheAgeはどのあたりが変わったと感じていますか。
石元氏:
根本的なところは変わっていないですが,遊びの幅の広がりを感じました。僕がいた最後のころは,農業とかの生活要素と勢力間の争いがメインで,インスタンスダンジョンで強敵と必死に戦うというのは,あんまりなかったんです。
それが今はマップがすごく増えて,高難度のインスタンスダンジョンでみんなでワーワーキャーキャー言いながら戦ったり,そのために装備を強くしたり,PvEやPvPの適性が研究されたりと,2年前と比べても活発になっていて。新しい遊び方も受け入れられているんだなと感じました。
――2年前のArcheAgeからだと,適性が2つ増えていますね。適性が増えると職も一気に増えるのがArcheAgeの面白いところですが,再就任した今,自分で使ってみたいと思った適性はありますか?
石元氏:
銃! 適性だと「狂気」ですね。僕,プライベートだと「野生」適性で弓をメインに戦っていたんです。そのころから入ると言われていた銃器ですが,使い勝手も良さそうだし,弓と銃を使い分けながらやっていこうと試行錯誤しています。
――ほかにも細かな部分で変わったり追加されたりといったものがありますが,2年前と比較してここがちょっと尖ったな,みたいなところはありますか。
石元氏:
ずっと変化のなかった生活系コンテンツに追加された,自動でいろいろな作業をしてくれるハウスフェアリーですね。ヒーヒー言いながら手動でやったほうが効率は良いんですけど,生活コンテンツをハウスフェアリーに任せて,自分は狩りをしたりダンジョンに行ったりできるので,時間の使い方が結構変わったと感じています。
――ArcheAgeから離れて2年間,ほかのタイトルを経験した上で,今後のArcheAgeの運営に活かせそうなことや,再発見したArcheAgeの魅力を教えてください。
石元氏:
前に携わっていたタイトルは,上位のコンテンツが定期的に入ってくるのがすごいなと思いました。ですが,僕が一番感心したのは利便性の改善調整がめちゃくちゃ優秀だったことです。「これを直してほしい」「こうしてほしい」と思っていたところがその通りに入ってくるし,「すごいでしょ」と紹介しやすかった。ここはArcheAgeに足りていなかったところだと強く感じてます。
運営としてのスタンスは以前プロデューサーをしていたころと変わりませんが,プレイヤーさんの声をピックアップし,皆さんが望んでいる形に提案,導入できるよう意識したいです。
もう一方,改めて感じたArcheAgeの良さは,何もしていない時間,何も生み出していない時間もゲームとして成立することです。ただコンテンツを消化するだけじゃなく,ゲームの中で生きる,生活しているだけでも成り立っている。適当な海岸沿いの小高い山にキャラ2人が座ってただチャットするだけで成立する。それで,目の前の海を横切るプレイヤーの船を見て,その名前が赤い(※)のを確認した瞬間,「追わなきゃ!」みたいなアクシデントもArcheAgeらしい面白さだと思います。
※名前が赤い:敵勢力のプレイヤー
――長年サービスが続いてるArcheAgeの魅力は改めてどこにあると思いますか。
石元氏:
シームレスな世界に自分の住宅が建てられる,世界を作っていける唯一無二のゲームであることです。世界の中で,良くも悪くも勢力という縛りがあるがゆえに,何をしていても勢力に貢献できる,コミュニティのつながりが強いタイトルなんです。
そして,米を植えておけば生活できるし,意気込んで装備更新を頑張る必要もないので,とりあえず(ArcheAgeに)戻ったら畑に何か植えるかみたいなテンションでやれるのがArcheAgeの魅力だと思います。
――2年前から変わったことで,石元さんが一番戸惑いを覚えているのはどこですか。
石元氏:
UIが変わりすぎて,見たことのないものが結構あるので「なんだこれ?」と。僕は目の前にいるメンバーに教えてもらえるからいいんですけど,復帰した人はすごく戸惑うんじゃないかと思います。
――そういう違いを教えてもらえる場所はありますか?
石元氏:
ないですね。アップデートで実装されたものなのでパッチノートに記載されているはずですが,探す努力をしなくちゃならない。でも,UIの変化なんて(パッチノートで)どう探していいか分からない。
あとは,雑貨屋で合成石鹸というアバターの寿命を延ばすアイテムがありまして,それが切れていたから買おうと思ったんですが,まず雑貨屋で売っていることを思い出すのに時間かかりまして。次に,雑貨屋の場所を探し回るのに時間がかかって。2年前ならものの1分の話なんですけど,2年のブランクという壁はこんなにも厚かったのかと感じましたね。
――逆にこれは2年前より面白い,これは新鮮だというポイントは?
石元氏:
もうスキル名から何から全部変わってたのにびっくりして,覚え直すのが新鮮でした。いろいろなビルドを考える時に,ポイント的に限界があるから連携も含めてどれを覚えようかと,久々に適性とスキルで悩みましたね。それで悩んだ末に,なんか違うなって変えていくみたいなのは,懐かしい,久しぶりの感覚でした。
運営に“休眠復帰者”としての経験を生かす
――2年という時間の流れを感じた部分を掘り下げてもらいましたが,恐らく休眠のプレイヤーさんはそっくりそのまま同じような体験をしている,もしくはするだろうと思います。
再就任にあたり,休眠プレイヤーさんに対して自分が迷ったような部分を,こうしていきたいと考えていることありますか。
石元氏:
僕自身が休眠復帰者になるとは思っていなかったので,「久々に戻るゲームってこんな感じなんだ」という体験を生かしたいです。ゲームを触ってそのときに感じたことは,片っ端からメモって関係各所に投げたのですが,7年間やっていた僕ですらそう感じるんですから,一般の休眠者はもっと大変だと思うんです。ですから,復帰者向けの土台作りを整理して拡充したいと思っています。
――先日の生放送で石元さんが冒頭から登場して,ちょっとしたお祭感がありました。生放送を終えたあとの感想はどうでしょう。
石元氏:
やってよかったと思いました。最初は怖かったんですけど,結果的には変なことはせずに,あのスタイルでよかったかなと。
――石元さんが戻ってきたときのプレイヤーさんの反応や,これを言われて感動した,泣きそうだったというのはありますか。
石元氏:
怖かったのが「今さら帰ってくんなよ!」と言われることでした。でも,意外と暖かく迎えていただいて,「お帰り」というコメントを見たとき,良かったと思いました。その一言で,2年前と同じテンション,同じスタンスでやってもたぶん大丈夫だと確信できましたから。
そこで「は? お前誰だよ?」みたいな感じだったら,ちょっと姿勢を正さないといけないかなみたいな,という分岐点でしたね。
――あの生放送をやろうと思ったきっかけはなんでしょうか。言い出したのは石元さんですか?
石元氏:
はい。僕が勝手に言い出してやりました。プロデューサーを辞めるときは,ちゃんと配信の最後にこれで異動になるのでと,形式張ったことをやったんです。
じゃあ,帰ってくるときはどうすればいいのか。熊木さんにバトンタッチしたときは,配信の最後に熊木さんが入ってきて「次の新しいプロデューサーです」とやったんですが,それに習って「変わります」と一言だけコメントしても,何の意味があるんだと思ったんです。
最初に話したとおり,今のArcheAgeがまったく分からなくて,メンバーにもいろいろ聞いたんですけど全然把握しきれないし,お客さんとの感覚のズレを僕なりに感じた。だったら「戻ります」のご挨拶も,「ズレを埋めるためにプレイヤーに聞く」のも一緒にやったほうがいい,と。
でも,これができるチャンスはたぶん1回限りなんですよ。戻りの挨拶のあとに時間を空けてやったら「頭に入れる時間あったろ?」と言われちゃうので,戻ってきてすぐやらないと納得感がない。だから3月中に絶対(生放送を)やる。それなら「戻ってきて分からないんです」というのが許されるだろうと思って。
――生放送をやると言ったときの会社の反応はどうでしたか?
石元氏:
あまりおおっぴらには言わず,シレッとやったんです。なので,表向きにはあまりワーワー言われなかったですね。
――生放送をやるにあたってリスクなども考えられたと思うんですが,あの生放送のスタイルはあえて取った感じですか。
石元氏:
僕が考えていたリスクは,最初にすごく叩かれるのではぐらいだったんです。叩かれたら叩かれたで,「ごめんそういうことだから。やるしかないから」という流れに持っていこうとは思っていました。
――石元さんが関わっていなかった2年間で,不満に思っている部分をプレイヤーが吐露したり,戻ってきたばかりで気づいていないところに対して「なんで気づかないんだよ!」 という反発があったりといったことも,起こりえたのではと思います。
石元氏:
それは,取り繕ってもメッキはすぐ剥がれるので,分からないなら分からないと言ったほうがまだお客さんも納得してくれると思いました。もちろん,お客さんからすれば,プロデューサーを名乗るのなら戻ってきた段階で,それを頭に全部入れておけと思うはずです。そこは何と言うか,7年培ってきた(プレイヤーとの)信頼関係みたいなもので,受け入れてもらえたんだと思います。
――2代目のプロデューサーの熊木さんから,バトンタッチの際にかけられた言葉はありますか。
石元氏:
僕から熊木さんにタッチしたときはあったんですけど,熊木さんは去年産休に入られてて,僕が戻る今年の3月の頭までの空白期間はGMタヤンがプロデューサー代理をやっていたんです。なので,熊木さんと話す機会はなかったんです(笑)。
――それでは今後のことについて教えてください。ArcheAgeを今後どんなタイトル,どんな場所にしたいと考えていますか。
石元氏:
ゲーム自身の良さがそこまで大きく変化していなかったので,そのままそっくり,よりコミュニティを作りやすく,より活発に楽しみやすい環境にできたらと思います。
あと,先ほどの利便性についですが,お客さんからも「もっとこうすればいいのに」という意見もいただいていますし,自分も感じているところがあるので,そこを開発元に細かく提案し,実現できるように働きかけるのが僕に科せられた使命だと考えています。
――具体的な施策などは考えていますか。
石元氏:
4月13日のアップデートで,FrontierサーバーとUtopiaサーバーのオークション統合を実施しました。これは生配信で不満点や要望をお聞きしたときに結構な頻度で出てきたので,取り急ぎケアしないと,と思って実施したものです。
それ以外だと,マッチング部分やプレイしやすさに関わる細かな部分に手を付けたいです。そこが改善できれば,コミュニティとコミュニケーションがより取りやすくなるはずなので,一番最初にやろうと思ってます。
――ArcheAgeの今後のアップデートについて,お話しできる範囲で教えてください。
石元氏:
まだ言えないんですよ。先日,4月のアップデート案内はさせていただいたんですが,それ以降に関しては夏前後になると思います。ここしばらくはロードマップ的なものも出ていなかったようなので,これからは出していければと思います。
――プロデューサー復帰以降,アクティブユーザー数などの具体的な数値目標のようなものがあったら教えてください。
石元氏:
復帰者の数を1.5倍から2倍ぐらいに増やすことを目指したいと思っています。
――(ArcheAgeは)非常に変わったプロモーションをしている印象がありますが,今後,過去にあった“石元さんが甲冑を着る”みたいな印象的なプロモーションを行っていくんでしょうか。
石元氏:
やりたいですね! 僕の中でやって良かったと思うトップ2の1つがそれで,甲冑を着てアーマードバトルを体験した記事は,後世までイジられ続けるというおいしい記事だったと思います。
もう1つが刀鍛冶師のところに行って体験させてもらった記事ですね。僕らもワクワクしましたし,ArcheAgeにまったく関係ない人にも読んでいただけたみたいで,あれは苦労して行ったかいがありました。今は新型コロナの影響でやりづらい環境ではありますが,夏か,夏過ぎにできればいいなと思います。
石元運営プロデューサーがリアルPvPに挑戦!?「ArcheAge」新PvPコンテンツ「赤露の戦い」発表会レポート
ゲームオンは2月12日,同社がサービス中のMMORPG「ArcheAge」において新PvPコンテンツ「赤露の戦い」を2月18日に実装すると発表した。今回,その記念(?)として,「ArcheAge」の運営プロデューサーを務める石元一輝氏が,実際の鎧を装着してリアルなPvPを体験することになったのだ。どうしてそうなったのかはともかく,その様子を含めた,発表会の模様をレポートしよう。
――夏となると9周年記念イベントの一環で,という感じですか。
石元氏:
昨今の自粛ムードも年々,少しずつ緩くなっている気はしていて,夏以降だったらオフラインイベントも許されるんじゃないかという肌感覚はあります。ですが,無理に開催して炎上でもしたら目も当てられないので,石橋を叩いて渡りながら決めたいと思います。
9周年に合わせて何かでかいことができればいいんですが,ちょっとまだ何とも言い難い。ArcheAge自体が変わったタイトルなので,変わったことをしてみたいと思います。
――オフラインイベントを開催するとしたら,どんなことがやりたいですか。
石元氏:
どこかに集まって食事しながら楽しい時間をすごしてもらうのもいいんですが,それ以上に海か山か,都会か田舎か,屋内か屋外か分かりませんが,せっかくやるんだったらほかのタイトルのオフイベでは体験できない,ゲームにちなんだ体験をしてもらえるようなことができたらと思いますね。
――これまでArcheAgeを続けてプレイしている読者さんへ向けてメッセージをお願いします。
石元氏:
毎回こればかりですが「ArcheAgeを遊んでいただき,ありがとうございます」しかないですね。意見,要望,叱咤,激励と,いろいろなご意見をいただくんですけど,僕らはそういった声がないとプレイヤーの思いをピックアップできない。データから拾える部分もありますが,生の声が一番伝わってくるし,そういった声をいただけるのが本当にありがたいので,もっとたくさんの声をいただけるよう,遊んでもらえるとありがたいと思っています。
――これからArcheAgeを再開しよう,始めてみようと思う読者にもひとことお願いします。
石元氏:
ArcheAgeは,いわゆる最前線というのがあまり存在しないゲームなんですよ。もちろん,装備という意味では上を目指せばいっぱいありますし,道のりは長いですけど,そこまでしなくてもほとんどのものが遊べちゃうゲームです。
新しい世界も広く,変わった部分も多いので,以前とは違った楽しみ方もできますし,変わらない部分も大きくて,いつ戻ってきても前と同じように楽しめます。ですから,肩に力入れずに,たまにはやってやるかみたいな感覚で戻ってきていただければと思います。
ArcheAgeの日本運営プロデューサーへ再就任することになった石元氏。2年のブランクを埋めるのは大変そうだが,休眠プレイヤーが復帰時に何を知りたいのか,何が必要なのかというのを実体験で把握している,希有なプロデューサーと言えるだろう。
さて,そんな復帰者をはじめとする全プレイヤーにアイテムがプレゼントされる「豪華アイテムプレゼント」イベントが4月20日より開催中だ。イベントは,既存プレイヤーか,復帰プレイヤーか,新規プレイヤーかで,それぞれに適したアイテムがプレゼントされるという,大盤振る舞いのイベントだ。プレゼントは以下のとおり。
既存プレイヤー:「労働の祝福(7日)」や「特別な戦闘補給品箱(6/6)(帰属)」といった使用用途の広いアイテム
復帰プレイヤー:高性能な装備品「古代装備全身一式」や生産や畜産に特化した家が建てられる「完工図面:草屋根の農園」など復帰時に役立つアイテム
新規プレイヤー:騎乗ペット「ゴーストレッドホース」やグライダー「ゴールデンサングライダー」など,冒険をサポートするアイテム
完工図面:草屋根の農園 |
ゴーストレッドホース |
復帰者や新規プレイヤーへのプレゼントアイテムが,休眠復帰を経験した石元氏のチョイスかどうかは分からないが,ログインするだけでこれらのアイテムをもらえる。日頃から遊んでいるプレイヤーはもちろんのこと,しばらくArcheAgeを遊んでいなかったプレイヤーも,まだ触れたことがないという読者もこの機会にArcheAgeにログインしてみよう。
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