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「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)
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印刷2010/11/27 11:29

連載

「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

画像集#001のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する
(まだ拡張パック買わない人向け編)


「Cataclysm」の変更は拡張パックを買わなくても適用


 「World of Warcraft」(以下,WoW)では,新拡張パックの発売に合わせて,事前に大型アップデートが実施されるのが恒例だ。このアップデートは拡張パック実装のための下準備なのだが,アップデートによる変更点は,拡張パックを購入しないプレイヤーにも適用される。
 2010年12月7日に発売される拡張パック第3弾「World of Warcraft: Cataclysm」(以下,Cataclysm)に向けたアップデートは,すでに実施されている(今後もさらに実施される)。Cataclysmの登場は,Cataclysmを買わない人にも影響を及ぼすのである。

画像集#010のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)
「Cataclysm」によって変化したBarrens周辺
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「Worgen」と「Goblin」
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 もちろん,Cataclysmのパッケージを買わないと利用できない新要素も,数多く存在するので気をつけたい。例えば新種族「Worgen」と「Goblin」によるキャラクター作成,Lv81以上のキャラクター育成,新プロフェッション「Archeology」の利用,新ダンジョンの探索などは,拡張パックを購入しなければできない。ただし拡張パックを導入していなくても,他のプレイヤーキャラとして「Worgen」や「Goblin」は問題なく登場する。
 連載第2回となる今回は,「拡張パックを買わなくてもOK!」な変更点をピックアップしてみた。2010年11月時点で,すでに適用されている変更を紹介していくので,ひさびさにWoWに復帰したというプレイヤー諸氏にも読んでいただければ幸いだ。

 なお,11月30日までの間,WoW本体が5ドル,ほか2本の拡張パックも5〜10ドルという大幅値下げが実施されている。これを見逃す手はないだろう。今すぐプレイしてみようという人は,ぜひ活用しよう。

「World of Warcraft」公式サイト(11月30日まで大幅値下げ中)

「WoW スターターガイド2010」第1回

「WoW スターターガイド」2006年版(WoWのゲーム情報満載)




「Cataclysm」では単純な新エリア追加ではなく
従来の舞台をひっくり返すような変更が行われる


 WoWの冒険の舞台は,拡張パックが登場するたびに広がってきた。
 「WoWベーシック」(第1作を本稿では便宜上こう呼ぶ)においては「Azeroth」(アゼロス)という,東のEastern Kingdomと西のKalimdor(カリムドール)から成る大陸がすべてであった。

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 1つめの拡張パック「The Burning Crusade」(以下,tBC)では,「Illidan Stormrage」(イリダン・ストームレイジ)と,その眷属・仲間を追い,次元を超えてねじれた宇宙の先「Outland」へと,皆で乗り込んでいくことになった。
 2つめの拡張パック「Wrath of the Lich King」(以下,WotLK)においては,アンデッドの王「Lich King」を討伐するべく,海を渡りAzerothの北に位置する大陸「Northrend」(ノースレンド)へと旅立っていった。

Cataclysmで大きく変化したDarkshore
画像集#003のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 では,今回の「Cataclysm」ではどうなるかというと,tBCやWotLKのような「追加された新ゾーン」がコンテンツの中心とはならない。
 WoWベーシックの舞台である大陸「Azeroth」そのものが“地殻変動”を起こし,エリアが大幅に再構築される……というのが,Cataclysmの舞台であり,メインテーマでもあるのだ。そもそも「Cataclysm」という言葉には,「洪水や地震のような,突発または暴力的な出来事あるいは変化」という意味がある。

 これにより,昔から遊んでいたWoWプレイヤーにとっては,かつて冒険した舞台を懐かしむ気持ちと,「知っていた風景がこんなことに……」という驚きと新鮮さがもたらされ,Cataclysmから遊び始める新規プレイヤーには,“すでに過疎ってしまった初期エリア”問題が解決された,最初から賑やかな舞台が用意されるというわけだ。

Cataclysmで影響を受けなかったゾーンもある
画像集#002のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 それでは「Cataclysm」のストーリーを見ていこう。

〜ストーリー〜

 今回の地殻変動は,何によって起こされたのか? それは「Deathwing the Destroyer」の復活に他ならない。

 このDeathwingとはもともと,大いなる存在「Titan」(タイタン)が,Azeroth守護のために遣わしたドラゴンであった(当時の彼の名前は「Neltharion」といった)。しかしTitanすら深く干渉できない,正体も目的も不可思議な「Old Gods」なる者達によって,Deathwingは誑(たぶら)かされてしまう。

これがDeathwing the Destroyerだ
画像集#016のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 「他のドラゴンを根絶することで世界の支配が可能になる」という狂気に陥ったDeathwingは,ゴブリンの協力のもと,強力無比なアーティファクト「Dragon Soul」(後にDemon Soulとも)を作り出した。それは一振りで大勢のドラゴンを瞬時に殺すほどの力を持ったアーティファクトであり,誰もがその力を恐れ,また邪悪なる存在がそれを欲した。

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画像集#025のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編) 画像集#026のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 結局,偉大なるドルイドやメイジ達の働きによって,Deathwingの計画は未遂に終わり,Dragon Soulもまた彼の手元から離れた。その後,すっかり行方が分からなくなっていたDeathwingが,このたび復活することになったというのが,Cataclysmの大まかな物語である。



Cataclysmで大きく変更されたゲームシステム


 それではCataclysmによって,WoWが実際どう変わっていくのかを見ていこう。

●Talent編

 「Talent」とは,キャラクターのレベルが10になった時点で得られる,いわば「特性を決めるポイント」だ。すべてのクラスがそれぞれ3つの「Talentツリー」を備えている。

画像集#005のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 Cataclysmアップデートによって,Lv10になった時点でTalentパネル(デフォルトではNキー)を開けるように変更された。各クラスに3つあるツリーの中から,まずは中心となるツリーを1つ,選択することになる。
 ツリーを選んだら一番上の階層にあるTalentのうち,欲しいものにポイントを振る。「Learn」を押すと確認画面へ移動し,ここで決定すれば取得完了となる。決定するまでは何度でも振り直しが可能だ。
 Cataclysmの変更によって,ツリーを決定した時点で非常に強力なSpell/Skillが自動的にスペルブックに登録されるようになった。最初に選んだTalentツリーに31ポイントを振るまで,別のツリーへ振り分けることはではない。ただし得られるTalentはどれも有用な効能を持っているので,自分のキャラ特性をより際立たせることが可能だ。

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 また,Cataclysm以前では1レベルごとに1ポイントずつ得られていたのに対し,Cataclysm後は2レベルごとに1ポイントとなり,また9階層(Tier)あったツリーは7階層に減少。ただし以前はTier9を取得するのにLv50が必要だったのに対し,Cataclysm後はLv69が必要になった。この変更には,2つの拡張パックでインフレ化していたTalentの見直しと,不要なTalentの整理という狙いがあったものと思われる。

 Talentツリーを選ぶことで,即座に強力なSpell/Skillが習得できるようになるのは嬉しい。Lv10という初期の段階から,自分のキャラクターが大きく変化するのを感じられるだろう。


●Spell/Skill編

 これまでは,ほとんどのSpell/Skillにランクが存在した。回復系はランクが大きくなるほど回復量が大きくなり,攻撃呪文はランクが上がるほどダメージが伸び……といった具合だが,今回このランク自体が撤廃された。「キャラクターのレベル」に比例してSpell/Skillも成長する仕組みとなったのだ。
 また,スペルブックのインタフェース周りも向上しており,新しいSpell/Skillを覚えらるレベルに近づくと,グレーで「Available at level **」と表示されるようになる。もう習得条件を満たしているが,まだ習っていない場合は「See your trainer」と表示される。

画像集#039のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)


●Glyph編

 「Glyph」(グリフ)とはキャラクターのレベルが25になった時点で使用可能になる,「Spell/Skillの強化アイテム」で,WotLKで導入された。名前が「Glyph of」で始まる各クラス専用のアイテムで,使用可能レベルになったらいつでも取得できるようになる。
 Glyphは「Prime」(プライム),「Major」(メジャー),「Minor」(マイナー)の3種類に分類される。
 「Prime」には戦闘能力を強化するものが多く,純粋にダメージ量や回復量を底上げしてくれるのが主だ。「Major」はPrimeに近いが,装着すると引き換えにデメリットが付いてくるものも存在する。「Minor」は直接戦闘能力に響かないものが中心で,多くはサポートSpell/Skillのマナ消費を抑えてくれる。

「Glyph」(グリフ)
画像集#004のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 GlyphはLv25で初めて,Prime・Major・Minor用のスロットがそれぞれ1つ開く。Lv50到達でさらに1つずつ,Lv75でさらに1つずつ開放される。つまりLv75になれば各3つのGlyphを装着できるようになる。
 GlyphはTalentと違ってキャラクターが自動で獲得できるものではなく,プロフェッションの「Inscription」によって作られるアイテムであるため,オークションハウスなどのトレード手段で手にいれるのが良い。もちろん自分でInscriptionを習って自作してもOKだ(ただしInscriptionの習得はWotLK導入が条件)。

 さて,今回のCataclysmアップデートにより,Glyphは消耗品でなく,一度覚えたら何度でも付け替えが利く,気軽なチューンナップアイテムとなった。お金の許す限り,なるべくすべて入手しておきたい。ちなみにGlyphの付け外しには,「Vanishing Powder」というNPC売りアイテムが必要となる。

画像集#029のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)
画像集#027のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編) 画像集#028のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)


●クラスのリソース編(Hunter,Paladin,Warlock)

 各クラスにはヒットポイントと対になる,Spell/Skill使用のためのリソースが存在する。Cataclysmを機に,そのリソースシステムに変更が入った3クラスを紹介しよう。

Hunter
 Hunterは「Mana」の代わりに,「Focus」という他クラスにはないリソースを持つようになった。
 Focusは,Rogueの「Energy」と似ており,Lvが上がっても値は100が最大のまま。時間の経過で自然に回復するので,Mana回復のような休憩を取る必要がなくなった。その代わりに,Skill使用のために限られたリソースを消耗するため,攻撃のローテーション管理は依然としてシビアという声もある。

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Paladin
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 PaladinのSpell使用リソースはManaのまま変わっていないが,これに「Holy Power」というシステムが追加された。
 Holy Powerは特定のSpellを使うことで3段階までチャージされ,その段階によって開放するSpellが強力になってゆく。3段階までしか溜まらないので,いかに無駄なくHoly Powerを使うかが緊張感とリアルタイムの楽しさをもたらしている。なおHoly Powerは,Lv9で習える「Word of Glory」で初めて必要になる。それまでHoly Powerを気にする必要はない。


Warlock

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 WarlockのSpell使用リソースもManaのまま変化していないが,それとは別に,以前まで必要不可欠であった「Soul Shard」の存在がテコ入れされる形となった。
 Paladinの「Holy Power」と同様に,Soul Shardは3つまでしか溜めることができない。またその用途は,「Soulburn」というLv10からの新Spellの使用のみに限られる。ただし,Soulburnの効能は多岐にわたるので,使用するタイミングもまたゲームプレイに影響を与えている。なお,Soul Shardの獲得には3通りの方法がある。

画像集#044のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)
1.「Drain Soul」を唱えながら敵を倒す
2.「Shadowburn」を当てた敵を5秒以内に倒す
3.「Soul Harvest」というSpellを唱える。ただし戦闘状態では使用不可



●クラスと種族の組み合わせ編

 これまで開発元のBlizzardは,「Warcraft」という土台の世界観・宗教観を大事にするあまり,種族が就けるクラスに多くの制限を設けていた(OrcはMageになれない,など)が,このCataclysmを機に緩和されたようだ。
 今まで「NPCは存在するのに,なぜプレイヤーはなれないんだ?」と疑問に思えたようなクラスも作れるようになった。この変更を待っていた人は少なくないだろう。

画像集#031のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 今回,12パターンの新たな組み合わせが可能になっている。しかも太っ腹なことに,この要素はCataclysmを買わずとも,追加された組み合わせでキャラクターを作成可能だ(その場合は当然ながらWorgenとGoblinは選択できない)。以下に可能になった組み合わせを示す。

■Alliance:
Human Hunter
Dwarf Mage, Dwarf Shaman, Dwarf Warlock
Night Elf Mage
Gnome Priest


■Horde:
Orc Mage
Undead Hunter
Tauren Paladin, Tauren Priest
Troll Druid
Blood Elf Warrior


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画像集#021のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編) 画像集#022のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)

 拡張パックのたびに追加要素が盛り込まれ,どんどん贅沢/巨大になってゆく傾向にあったWoWであったが,今回は一味違って「肥大化したものをスマートにする」というベクトルの変化が感じられる。
 半年ぶり,1年ぶりに戻ってきたという人は戸惑うかもしれないが,これを機に新規のプレイヤーと同じく新鮮な気持ちで遊べることは間違いないだろう。

「WoW スターターガイド2010」第1回

「WoW スターターガイド」2006年版(WoWのゲーム情報満載)

「World of Warcraft」公式サイト


■■中田さとし(ライター)■■
画像集#032のサムネイル/「World of Warcraft スターターガイド2010」第2回:「Cataclysm」の新要素を検証する(まだ拡張パック買わない人向け編)
1982年生まれ。慶應義塾大学卒業後,翻訳会社勤務を経てフリーライターとなる。MMORPG全般をこよなく愛するというゲームライターは多いが,中田氏の場合は「World of Warcraft」一筋。ライターとしての代表作はなんといっても,2010年5月に発売された「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(デジタルゲームの教科書制作委員会/ソフトバンククリエイティブ)だ。「第12章 日本タイトルの海外へのローカライズ」の章の著者である。(※協力: 智凡迪科技股份有限公司、密技冰風暴)
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