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CCP,開発中の「DUST 514」の内容をファンイベントで発表。戦いの結果がEVE Onlineの世界に影響を与える驚きのマルチプレイFPSとは?
アイスランドのゲームパブリッシャ/デベロッパであるCCP Gamesは,開発中の新作タイトル「DUST 514」の詳細を,現地時間10月3日,レイキャビクで行われた「EVE Fanfest」(「EVE Online」のファンイベント)において発表した。DUST 514は2009年8月20日に掲載したGDC Europeのレポートで第一報をお届けしたタイトルだが,そのときには「コンシューマ機向けのFPS」であることや「戦闘の結果がEVE Onlineに影響を与える」ことぐらいしか分からず,詳しくはFanfest以降となっていた。
だが,実をいうとCCPのスタッフは,9月24日から開催された東京ゲームショウ2009に合わせて来日し,国内外のメディアに向けてプレビューを行った。内容的にはFanfestと変わるわけではないようだが,今回はそこで知らされた情報なども織り交ぜて紹介してみよう。
CCP Games公式サイト
DUST 514は――今後,参加人数が増える可能性はあるが,今のところ――最大64人(32人vs.32人)のプレイヤーが参加できるオンラインマルチプレイFPSである。世界観は上述のレポートのとおり,EVE Onlineのそれと同一であり,つまりSF。後述するが,DUST 514の戦闘結果がEVE Onlineの世界に影響を与えることが最大の特徴だ。
対応機種はコンシューマ機のみだが,具体的にどのゲーム機になるのかは未発表。とはいえ,グラフィックスのディテールから,PlayStation 3もしくはXbox 360だろう。また,発売日に関しても未発表だが,現在はプレαという段階とのこと。本作の構想は2006年頃からあったが,実際のプログラミングを開始したのは昨年(2008年)からだ。
最大参加人数が多いだけにマップは広大で,5Km×5Kmに達するとのこと。これをスムースに描画するために最新のストリーミング技術が使われ,プレイ中にローディングが発生したり画面が切り替わることはないとSveinsson氏は言う。
プレイの勝敗は敵勢力の巨大な空中母艦(MCCと呼ばれる)を破壊することによって決まる。破壊するためには,まず地上の拠点をいくつか制圧して敵母艦のシールドが張れないようにし,それから通常の武器を使って攻撃を加えるわけだが,このあたり,Battlefield 2142の「タイタンモード」に似ている。これ以外のマルチプレイモードが用意されるのかについては,今のところ発表されていない。
掲載したスクリーンショットからも分かるように,独自の描画エンジンで描かれるグラフィックスの質はかなり高い。この中を64人ものプレイヤーが動き回り,さらにミサイルが飛んだり戦闘機が墜落したりして,果たしてラグとか発生しないかと余計な心配をしてしまうが,サーバーテクノロジーを含め,大規模なオンラインシステムに関して長い経験を持っているCCPだけに,そのあたりの自信は十分にあるようだった。
兵器の使用は「Crysis」のマルチプレイのような方法が使われる。つまり,戦闘機なり地上兵器なり,自分の使いたいものを「注文」すると,それが大型輸送機で運ばれてくるというダンドリだ。
アイテムの購入には「War Point」というクレジットを使う。War Pointは戦闘中,敵を倒したりオブジェクトを破壊したりすることで手に入り,マッチが終了するとワイプされる仕組みだが,それ以外の永続的なレベルアップシステムなども考慮されているとのこと。
Battlefield 2142にもあった司令官システムだが,あちらは部隊への支援が中心で,どちらかといえば裏方仕事。DUST 514では,RTSのような雰囲気で司令官が積極的にプレイできるように,このシステムが採用されたのだそうだ。どこにリスポーンするか兵士には分からないから,その場で兵器が手に入る購入システムが必要なのだ。
司令官はそれ以外に,例えばウェイポイントを指示したり,砲撃支援をしたりもできるようで,司令官の役割をより大きなものにし,まるでRTSをプレイしているような感覚を楽しんでもらうというゲームデザインになっているのだ。
CCPはまた,DUST 514にマイクロトランザクションを導入することも発表したようだ。詳細は分からないが,「バーチャルマーケットプレース」(virtual items marketplace)において,リアルマネーによる武器やアイテムの購入が可能になる。基本料金無料のオンラインFPSにおいては普通のやり方だが,コンシューマ向けのパッケージとしてはあまり例がないように思う。
さて,やはり最も興味深いのは「EVE Onlineとの関連」だろう。具体的には,EVE OnlineのプレイヤーがDUST 514のプレイヤーを“雇って”戦わせるというもの。
無数の惑星を舞台に,それぞれ自由に同盟を組み,交易をしたり技術開発をしたりするEVE Onlineだが,勢力同士が角逐し,惑星を奪い合うという局面も登場する。その惑星上でどういう戦いが起きているのか実際に見られ,参加できるのがDUST 514というわけだ。DUST 514のプレイヤーは惑星軌道上にそれぞれの部屋を持ち,そこでEVE Onlineのプレイヤーの依頼を受けて惑星に降り立ち,戦闘に突入していくという仕組み。
もちろん,EVE Onlineのことなど考えずにパッケージを買ってきて,普通にマルチプレイを楽しんでも問題はない。だが,「戦闘の背後にもう一つの巨大な世界が存在し,その経済システムに影響を与えているのだと考えるのは,非常にエキサイティングなことではないでしょうか」とSveinsson氏。EVE Onlineの世界が変化していくにつれて,DUST 514の世界も変わっていく。それぞれが,一つの大きな世界の一部なのだと同氏は続けた。
CCPは,DUST 514のプレイヤーとEVE Onlineのプレイヤーの交流を図る場所として,「Cosmos」と名付けたソーシャルネットワークサービスを2010年第1四半期をメドにオープンする予定。また,これは確定情報とはいえないのだが,次期アップデートでEVE Onlineのプレイヤーが惑星軌道上にあるDUST 514プレイヤーの部屋にアクセスできるようにすることも検討されている。
EVE Onlineをコンシューマ機市場に広げるに当たって,EVE Onlineの単純な移植ではなく,まったく新しいゲームジャンルに挑戦することにしたCCP。EVE Fanfestに集まったPCプレイヤーの反応も知りたいところだが,続報をお楽しみに。
※掲載したスクリーンショットはすべて開発中のものです。
※システムの都合上,現在「DUST 514」をPCタイトルとして登録していますが,対応機種はコンシューマ機です。具体的な機種名は発表されていません。
- 関連タイトル:
DUST 514
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