プレイレポート
クローズドβテストを終えたアクションRPG「DivineSoul」は,アクションゲームに厳しい日本のプレイヤーの目にどう映ったか
DivineSoulは,美麗なグラフィックスとノンターゲッティング方式の採用によるダイナミックな戦闘を楽しめるのが特徴のアクションMORPGだ。欧米がやや先行しているものの,他国でもまだ正式サービスが開始されていないタイトルであり,今回のクローズドβテストを通してユーザーから集められた意見や要望をゲームに反映させるとの告知があった。開発・運営ともに「日本で成功するタイトルは世界で成功する」という認識を持っているようで,日本でのテストを重要視しているようだ。
今回は,短い時間ながらクローズドβテストに参加することができたので,その内容をレポート形式でお伝えしていこう。
ファイター/スラッシャー/メイジ,それぞれの職業の特徴は?
DivineSoulは,現状でファイター,スラッシャー,メイジの3種の職業からプレイヤーキャラクターを選択できる。ファイターは男性,スラッシャーとメイジは女性と,職業によって性別が固定されている。
なお,キャラクターメイクでは,顔と髪型を変更できるが,日本で好まれそうなパターンはちょっと少ない感じだ。個性を出したい場合は,今後登場するであろうアバターアイテムなどを使うことになるのだろうか。今後の拡充にも期待したい。
ファイター
さて,ファイターは近接戦闘のスペシャリストで,己の体を武器に敵に挑んでいくタイプ。打撃はもちろん,掴んで投げる技術も卓越している。拳による打撃が基本コンボだが,思った以上に周囲の敵を巻き込んでいけるので,ゴリ押しで戦うことも可能。初心者向けのキャラクターといったところだろうか。スラッシャー
スラッシャーは所持している刀剣を使ったコンボやスキルが多く,華麗に舞うように戦える。ただ,武器は蛇腹状の特殊なものなので,操作には多少の慣れが必要。同じ近接タイプのファイターと比べると,パワーは落ちるが敏捷性が高い印象だ。基本コンボのリーチが意外と短く,試したところでは最初の2発が空振りして残り2発が敵に当たることが多かった。メイジ
遠距離攻撃型のメイジは,三方向に発射できる弾丸が基本コンボになっている。武器のスタッフを使って殴ることもできるが,基本コンボを活用し,敵を近寄らせずに戦うのが理想だろう。使い勝手のいいコンビネーションが多く,スタミナの残量を気にしながら戦う必要がある。βテスト時のバランスだと,スキルを使うためのMPには余裕があり,枯渇することは少なかった。アクションRPGと銘打つDivineSoulの操作感覚やいかに
キャラクターの操作では,キーボード,マウス,ゲームパッドの3種類がサポートされている。
また,基本操作を学んたり,コンボの練習ができる施設があるのは好印象。敵キャラクターの強さを設定し,PvPを想定した練習を延々と行うことも可能だ。ヘルプの項目が多く,ちょっと読みづらいが,その分情報量は豊富。スキルが動画で紹介されているので,習得前にどのようなものかをある程度予測できるのも便利である。
DivineSoulでは戦闘中に,移動(ダッシュ含む),攻撃,スキル発動,ガード,掴む,ジャンプといった操作を行える。これらを組み合わせながら,群がる敵を粉砕していくのが面白さのツボだ。実際,スキルのエフェクトも派手であり,爽快なノンターゲッティングバトルが楽しめる。俗にいう”無双系”の面白さに近いかもしれない。
各キャラクターの動きに関しては,かなり作り込まれていて,さらにキーを押してからの反応もいいので,”思い通り動かせている”という感覚がある。敵を転倒させて無力化し,空中へ浮かせて,さらに追撃といった連続技も自由自在で,このスキルからこんな風に繋がるのかと,自分なりの連続技を試しながら戦えるのが楽しい。
戦闘システムの枠組みは悪くない。しかし,ややもの足りなさを感じる。
もの足りなさの一つの原因は,「ガード」と「掴む」という特徴的なアクションが,うまく機能していないからかもしれない。
ガードでは,その名のとおり,敵の攻撃をガード(防御)することができる。しかし,攻撃後の硬直中にガードボタンを押しっぱなしにしていてもガード状態にはならず,硬直が解けたあとにボタンを押さなければならない。したがって,ガードするくらいなら移動して避けてしまおう,という場面が多くなるのだ。DivineSoulには,”スタミナ”というステータスも用意されている。これは,ダッシュやガード,さらにコンビネーション系の技を出すときに消費される数値だ。消費しても時間の経過とともに回復はするのだが,スタミナを消費してまでガードする意味は薄いと言わざるをえない。
これが,攻撃,ガード,掴みの三竦みの関係を,もっと意識させる仕様になっていて,連続技で敵を蹴散らす爽快さに駆け引きの醍醐味を加えれば,より深みのあるゲームに仕上がりそうに思えるのだが。
現状のPvEは,ダンジョンにもぐって,道中のザコ雑魚敵を殲滅するとゲートが開いて次のステージに移動でき,何度かステージを移動するとボスのもとへ辿り着く,という流れ。
道中のザコ敵は,一部で掴みやガードを使う敵もいるが,おおむね通常コンボを主体とした攻撃だけでこと足りてしまう。攻撃ボタンを連打していれば,それなりに見栄えのする技が出てザコ敵をなぎ倒せるのだ。それはそれで爽快だし,コンビネーションとスキルを繰り出す順番を変えることで変化をつけることもできる。
アクションゲームに慣れていなくても楽しめる,といえばそうなのだろうが,骨太のアクションを求めていたり,格闘ゲームが好きなプレイヤーにとっては,ちょっと底が浅い印象が残ってしまうのも事実だ。
例えば,通常コンボの3発目だけスキルでキャンセルできるようにして,さらにガードを押すとスキルは発動せずに硬直がなくなるとか”練習が必要だが使いこなせると少しだけ有利に戦えるテクニック”といったものがほしいところである。
キャラクターのレベルが上がって強くなるのは当たり前。プレイヤーの腕前が上がると強くなれる,という感覚も味わわせてほしいものだ。
振り上げた武器を攻撃すると武器を落して怯むとか,回避は困難だがガードすると,きっちり反撃できるとか,そういったもっと戦術性のある戦いはできないものだろうか。一部の巨大なボスに対しては,ある条件を満たすと敵の上に乗って攻撃できたりするので,まったく単調というわけではないのだが,ことボス戦では,そういったギミックを増やして,スリルのある戦いを演出してもらいたいものだ。
βテストゆえか,実装されている要素は少ない。今後の発展に期待
しかし,ストーリークエストはともかく,クエスト達成の名のもとに,ダンジョンを周回させられることになるサブクエストはいかがなものだろうか。クエストがないとやる気が起きない,という意見もあるだろう。だが,個人的な意見では,ダンジョンをもう少しやり甲斐のあるものにして,クエストがなくてもダンジョンで戦うだけで楽しい,というバランスを目指してもらいたいと思う。ドロップする武具類のバリエーションを増やし,トレジャーハンティングの楽しみを付加するのもいいのではないだろうか。
当然ながらPvPにも力を入れているようで,専用のフィールドも用意されている。今回は時間の関係でPvPまでは体験できなかったが,アクション性の高いタイトルだけに,かなり熱い対戦が期待できそうだ。
ただ,レベルによって習得スキルが変わり,武器の強化も可能なので,プレイヤースキルがどの程度反映されるものになるのかは分からない。できれば,自分のキャラクターのレベルや装備の強化値をそのまま使った無差別級だけでなく,スキルの習得状況や装備品に違いがないデフォルトキャラクター同士で戦えるようなPvPシステムも用意してほしいところだ。
自分なりの連続技を探しながら戦っていく感覚が気持ちいい,ノンターゲッティングのアクションRPGというジャンルでいえば良作であるといえるタイトルといえよう。ただ,それだけに,もう少し踏み込んで作り込んでほしいという気持ちにもなる。素材の良いタイトルだけに,ジャンルの枠内に収まってしまうようでは,実にもったいない。ブラックジャックで例えると,13くらいでホールドてしまっているのが現状ではないだろうか。バーストの危険性はあるとは思うが,もう1枚カードを引いてみてほしいと思ってしまう。
このβテストで得られたユーザーの意見をどうゲームに反映していくのか,今後行われるであろうβテスト以降の展開にも注目していきたい。
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