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世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載
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印刷2011/10/14 20:03

インタビュー

世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

画像集#009のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載
 「Magic World Begins」(以下,Magic World)は,ベクターが手がけるMMORPGで,2011年9月7日に日本での正式サービスが始まった。
 そんなMagic Worldは,「魔界II」というタイトル名で2010年の秋に中国でのサービスがスタートし,パブリッシャである盛大(Shanda)と開発会社であるGoldcoolの連携がうまくいき,人気を博しているという。
 今回4GamerはGoldcool本社を訪れ,CEOを務めるGe Binbin氏(葛 斌斌)に中国でヒットした理由や,日本展開への意気込みを聞いてみた。


最初からグローバル展開を想定。武侠ではなくファンタジーで勝負


画像集#002のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載
GoldcoolのCEO Ge Binbin(葛 斌斌)氏
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。会社の紹介からお願いしたいのですが。

Ge Binbin氏:
 Goldcoolは,2003年に設立した会社です。デビュー作は「諸侯」というアクションRPGで,それ以降,3タイトルの開発を行ってきました。そして最新作がMagic World Beginsになります。
 私は会社の代表という立場ではありますが,諸侯をはじめ,弊社が手がけてきた全タイトルに開発責任者として携わっています。

4Gamer:
 オフィスはかなり広いようですが,スタッフは何名くらいいらっしゃるのでしょうか。

Ge Binbin氏:
 社員数は約300名です。2009年の1月に盛大グループの傘下に加わり,それから一気に増えました。

4Gamer:
 2009年というと,Magic World Beginsの開発作業を開始した頃ですか。

Ge Binbin氏:
 はい。弊社がMagic World Beginsの開発を始めるときに用意した初期コンセプトが盛大に評価され,それが傘下に加わる直接のきっかけになったというわけです。

オフィスの様子
画像集#003のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載 画像集#004のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

4Gamer:
 盛大の名前は,日本のゲーマーでも知っているぐらいに知名度が高いです。近年の大きな動向だと「ドラゴンネスト」の開発元であるIDENTITY GAMESを買収したり,「ファイナルファンタジーXIV」の中国サービスの契約を発表したりしていますね。ちなみに,盛大からMagic World Beginsの開発作業に関して,具体的な指示はあったのですか。

Ge Binbin氏:
 弊社の方針を最大限に尊重してくれていますので,開発は自由にやらせてもらっています。もちろん完全に放任というわけではなく,サービスを開始するときに,盛大がグループをあげてバックアップしてくれました。
 頑張って良いゲームを作ったとしても,それをお客様に届けることができなければ意味がありません。盛大にはオンラインゲームのサービスに関する豊富な知識と経験があり,それらを最大限に活かしてプロモーションを行ってくれました。結果として弊社は開発作業に専念できたので,非常に助かりましたね。

4Gamer:
 盛大のバックアップとは,具体体にどういったものだったのでしょうか。

画像集#005のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

Ge Binbin氏:
 盛大は2010年に“F4”というプロジェクトを社内で発足させました。これは1年を4分割し,それぞれのクォーターで1タイトルを集中的にプロモーションするというものです。Magic World Beginsはその中の一つに選ばれ,2010年10月から12月にかけて集中的にサポートしてもらえました。これが非常に効果的だったと認識しています。

4Gamer:
 なるほど。では,中国での実績を教えてください。

Ge Binbin氏:
 詳細な数字は申し上げられないのですが,Magic World Beginsは2010年に盛大グループがサービスインしたタイトルの中で,「ドラゴンネスト」に次いで良い結果を出しています。

4Gamer:
 開発責任者としてMagic World Beginsに対する満足度はどの位でしょうか。

画像集#001のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載
Goldcoolの入ったビル
 う〜ん……。90点ぐらいですね。サービス開始から非常に順調進んでおり,その結果には満足しています。ですがオンラインゲームはサービスを続けていくものですから,たとえ今が良くてもプレイヤーが離れていってしまうケースがあります。
 今後のアップデートを通じて,Magic World Beginsを長期的に楽しめるタイトルとして育てていき,今から3年後に胸を張って「100点」と言えるようにしたいです。

4Gamer:
 では,どのようなポリシーを持ってアップデートの準備を進めているのか教えてください。

Ge Binbin氏:
 半年以上先の開発スケジュールを設定して,それを厳守しています。たとえばMagic World Beginsでは,2011年では1月の段階で,3,6,8,10月に大型アップデートを行うことを決めています。
 大型アップデートでは新クラスやマップ,ボスモンスターなどの重めのコンテンツを追加しますが,それとは別に,プレイしてくれている人達を飽きさせないための施策として,週単位での小規模なアップデートも予定しています。

4Gamer:
 新クラスで思い出しましたが,実機でのプレイを見せてもらったときに,パンダの姿をしたクラス「武者」が印象的でした。変な話ですが,あれを見てあらためて中国に来たことを自覚したくらいです(笑)。

Ge Binbin氏:
 中国人にとってパンダは国宝のようなものです。。武者の愛くるしい姿も,Magic World Beginsのプレイヤーからかなり注目されてますね。

4Gamer:
 では次に,Magic World Beginsのグローバル展開について教えてください。

Ge Binbin氏:
 中国でのサービスはある程度軌道に乗ったので,現在各国と交渉を進めています。本作はもともとグローバルな展開を想定して開発したゲームですので,マレーシア,台湾,ブラジル,韓国,北米,そして日本などでの展開を予定しています。

4Gamer:
 順調のようですね。Goldcoolとしては4作目となるタイトルが,さまざまな国でサービスされる状況を見て,今の心境はいかがですか。

Ge Binbin氏:
 先ほど盛大の“F4”について紹介しましたが,あのプロジェクトに選ばれた段階で,そういった展開が行われることはある程度予想していました。なにしろ中国のオンラインゲーム市場で,非常に影響力のあるパブリッシャですので。Magic World Beginsの開発初期は,ほかのパブリッシャからも打診を受けていたのですが,盛大と組んで良かったと思います。

4Gamer:
 日本でのサービスはベクターが担当しますが,その経緯を教えてください。

画像集#006のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

Ge Binbin氏:
 ベクターという会社については,以前からよく聞いています。中国系の開発会社と積極的に交渉を行っていますし,同業者からの評判も良好です。Magic World Beginsでの海外交渉は盛大が窓口になっているのですが,彼らからベクターと聞かされたときは安心しました。その後,直接やりとりするようになっても,誠意のある対応をしてもらっています,

4Gamer:
 Magic World Beginsの世界観がファンタジーというのは,中国産のタイトルとしては意外だなと思いました。これも,グローバル展開を踏まえてのことだったのでしょうか。

Ge Binbin氏:
 その通りです。実際のローカライズ作業は各国の運営側で行うのですが,彼らが作業を進めやすいように,提供する内部資料や開発データのライブラリ化を徹底しています。

4Gamer:
 Geさん自身は日本のオンラインゲーム市場に対してどういった印象を持っていますか。

Ge Binbin氏:
 自分は小さい頃から,コーエー(現コーエーテクモゲームス)の「三國志」や,日本産のアーケードゲームに親しんできました。今こうやってゲームを開発する同業者として見ると,あらためて日本のゲーム開発会社のすごさが分かります。とくに,緻密なシステムのゲームが得意なように感じますね。ですが,オンラインゲームに対してはまだまだ力を入れていないように見えます。
 一方,日本のゲーマーはクオリティに対する要求が世界中でもっとも高いと思っています。そんな日本で自分達が開発したタイトルをローンチできるのはとても嬉しいですし,反響を聞くのが待ち遠しいです。

4Gamer:
 日本のプレイヤーには,Magic World Beginsのどのあたりが気に入ってもらえると思いますか。

画像集#007のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

Ge Binbin氏:
 一つはシナリオ,そしてもう一つはチームワークです。
 シナリオに関しては,1000を優に超す種類のクエストが存在し,それらはワールドマップ内の各地と密接に結びついています。もちろんソロプレイでも遊べますが,仲間と一丸になって戦わなければ攻略が不可能なダンジョンもたっぷり用意していますので,プレイヤー同士で連携をとって,チームワークを発揮してほしいですね。

4Gamer:
 今後,ベクターを通じてさまざまな要望が届くと思います。どのようなポリシーで対応していきますか。

Ge Binbin氏:
 日本をはじめ,各国からの要望すべてに対して逐次対応していくと,レスポンスに時間が掛かってしまいます。そこで,例えば小規模なイベントであれば,各国の運営会社が独自でカスタマイズできる体制を整えています。

4Gamer:
 より大規模な要望,たとえば経験値テーブルの調整や,新規コンテンツの追加などに関してはいかがでしょうか。

Ge Binbin氏:
 各国の要望は積極的に聞いていきます。ですがゲームシステムの根幹に関わる調整は,それがMagic World Beginsにとって相応しいかどうかをまず検討します。

画像集#008のサムネイル/世界展開を想定して制作された中国産MMORPG「Magic World Begins」。開発元GoldcoolのCEOインタビューを4Gamerに掲載

4Gamer:
 これは一例ですが,日本人のゲーマーは自分のキャラに対して深い愛着を持つ人が多いです。今回拝見したバージョンではキャラカスタマイズの幅があまり広くなかったのですが,例えば髪型やフェイスタイプを追加したり,外見にこだわるためのシステムの追加は予定していますか。

Ge Binbin氏:
 まさに今,そういった要素をボリュームアップするための作業を行っています。サービスイン当初は,MMORPGでアクションの爽快さをいかに実現するかという,ゲームとしてのの根幹部分の開発を優先していました。現在はそのあたりがひと段落したので,キャラクターカスタマイズなどのボリュームを徐々に増やしていこうと思っています。

4Gamer:
 中国でのサービス状況は好調のようですが,今後Magic World Beginsをどういったタイトルに育てていきたいですか。

Ge Binbin氏:
 いろんなイベント要素を入れてコンテンツを豊富にして,プレイヤーに楽しんでもらえるようにしていきます。

4Gamer:
 現在の意気込みをお聞かせください。

Ge Binbin氏:
 私は子供の頃から,日本産のゲームから色々な要素を吸収してきました。その経験は自分でゲームを開発するようになった今でも大事にしています。今回のMagic World BeginsはGoldcoolにとっての自信作で,それが日本でサービスされるのは,とても嬉しいです。ぜひ,多くの人に楽しんでもらえたらと思います。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「Magic World Begins」公式サイト

  • 関連タイトル:

    バトルヴィーナス 〜Magic World Begins〜

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