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【ヒャダイン】「FFXIV」の討滅戦BGMを公式に担当する2023に四天王再考
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第91回:「『FFXIV』の討滅戦BGMを公式に担当する2023に四天王再考」
ども。大変なことが起きました。ある日うちのマネージャーに,あの祖堅正慶さんから連絡が。何でも,あるゲームのBGMを担当してくれないか,と。
ゲーム名は伏せられていましたが私だって伊達に42年生きているわけじゃない。うおお,と会議に臨んだら,やはり「ファイナルファンタジーXIV」(PC / Mac / PlayStation 5 / PlayStation 4)。しかもルビカンテ討滅戦,というめちゃくちゃ大切なイベント!
内容は? と尋ねたところ,私が2008年に野良でニコ動に出した「ゴルベーザ四天王とのバトル」のリミックスの雰囲気を保ちつつリアルな男女混声オペラ歌手をフィーチャー,しかもその歌詞はあの時田貴司さんが書く,という。なんだこの夢みたいな現実は。いや,夢かもしれない。本当の私は2008年くらいに頭を打っていて,そのまま夢を見続けているのかもしれない。それならそれでいいや,いい夢だった……。
とはいえお仕事,浮かれてばかりもいられない。2008年のバージョンを意識しつつ展開だったり新しい要素だったりと,2023年の私のフレーバーも入れつつ提出しました(ストリングスの音とかは当時の音源を引っ張り出してきました)。なにげにディストーションギターとか入れてオラついてはいるんですよ。1月10日に新しいパッチが公開されるやいなやBGMを聞いたプレイヤーの皆様は,「もろヒャダインw」と草が生えていたわけですが,はい私です。当時のニコ動文化のメランコリーと共に楽しんでいただけているようで幸いです。
「FFXIV」,パッチ 6.3“天の祝祭,地の鳴動”特設サイトを更新。ルビカンテ討滅戦のアレンジBGMは前山田健一さん,時田貴司氏が担当
スクウェア・エニックスは2023年1月26日,同社のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」で,1月10日に実装した大型アップデート パッチ 6.3“天の祝祭,地の鳴動”の特設サイトを更新し,新コンテンツのボスCGや,BGMに関する情報を公開した。
さて。そんな中で,あらためてゴルベーザ四天王について思いを馳せてみました。スーパーファミコン版について言及しますが,ネタバレではあるので未プレイの方はこれ以降そんな話になるのでご注意を。
ゴルベーザ四天王とは,「ファイナルファンタジーIV」に登場する中ボス。土のスカルミリョーネ,水のカイナッツォ,風のバルバリシア,火のルビカンテの4人ですね。ゴルベーザの腹心ですが,この4人が本当に個性的で大好きだったんですよ。私のリミックスも彼らのキャラソンみたいになってたわけです。
まず土のスカルミリョーネ。スーパーファミコン版に限定して言うと,本当に弱かった! パラディン修行をする「試練の山」に「スカルナント」を引き連れて襲いかかってきます。変な布を被った隠者みたいな感じの見た目なんですが,すぐにやっつけられます。
で! ここからが本編。やっつけて数歩歩いたところで「フシュルルル……」と本来の化け物のような姿で復活して襲ってくるんですね。しかもバックアタック。こちらの前衛と後衛が入れ替わるやつです。ですが! それはエンカウント直前にこちらもメタって対策できますし,肝心の強さがイマイチなんですよ。「土の」と言う割には地面属性の攻撃もしてきません。
弱点が炎なんですが,炎の攻撃をすると「ガスを吸って生ける屍となるがいい!」と鼻息荒く毒ガスをまいてきます。ところがなんとこの毒ガス,効果が「スロウ」。素早さが落ちるだけなんですね。なんじゃそりゃ。あとは物理攻撃をしてくるのみ。よええ。
後に,水のカイナッツォから「四天王になれたのが不思議なくらい弱っちいヤツ」と酷評されるのですが,本当にそのとおりだよ。リメイク版ではめちゃ強になっているらしいので,よかったねスカルミリョーネ。
次,水のカイナッツォ。こいつが悪いのよ。四天王の中でも群を抜いて性格が悪い。まずストーリー冒頭からバロン王に成り代わってやりたい放題。召喚士の村を焼きはらうよう命じたり,ミシディアの魔道士を虐殺してクリスタルを奪ったり,バロンの騎士のベイガンも魔改造しちゃったり(それは本人の意思のようですが)。で,実際の正体は体が真っ青なカメ男。体の周りに水を溜めて津波を起こして攻撃してくるんですが,サンダー系の魔法で水解除。あっさりと倒せちゃうんですよね。
あとFFシリーズのいいところって,爬虫類系にブリザド系魔法が抜群に効くところ。爬虫類は寒さに弱いですからね。カイナッツォには氷も効くんです。けどまあ雷。そして楽勝な戦闘はともかく,一番の卑劣っぷりはその後。帰るべく狭い部屋を通り抜けようとしたらドアが開かない。そして両壁がどんどん迫ってくるではありませんか。
「死してなお凄まじい,この水のカイナッツォの恐ろしさ,とくと味わいながら死ねえ!」と壁と扉をコントロールして圧死させようとするんですね。もはや「水」の仕事じゃないよ。どちらかといえば「土」だよ。
そこで名場面。幼い魔術師パロムとポロムが自らにブレイクをかけて石化し,壁を止めることになります。大変痛ましくて毎回ホロっと泣いてしまうシーンではあるんですが,冷静に考えて壁を押さえて石化したら壁が止まる,という理屈がちょっと分かりません。でもいいんです。止まったんですから。結果こそすべて。ありがとうパロム・ポロム。
続いては風のバルバリシア。やったー! ビジュアル最高! ほぼ全裸! かなり際どいビキニを着て,竜巻ほどに長い金髪を体にまとわせる姿に思春期の花が開いた方も多いのではないでしょうか。
ヒロインであるローザがギロチン処刑される場所で待ち構えているんですが,まあまあ強いんですよ。ほぼ全裸フォルムのときは物理攻撃中心ですが,髪を竜巻のように体にまとわせてきたら厄介! HPが一桁になるトルネドや石化するゆびさきを多様してきます。これを解除するには竜騎士であるカインのジャンプ攻撃が必要という,ちょっとだけカインの必然性に気を遣いすぎじゃない? と思う仕様ではありましたが,ターン制ではなくアクティブタイムバトルを採用したFFIVならではの攻撃リズムが楽しめます。幼い日の私はここで何回も詰んだ記憶があります。
ゾットの塔で再戦するときは全員のHPを1桁にするミールストームを使うなどなかなか凶悪ですね。バルバリシアに関してはあんまりストーリーはないようなのですが,直前に出てくるメーガス三姉妹を率いているようで,女性戦士軍団を率いるビキニ隊長ってやっぱりかっこいいな。あとなんかビヨンセみを感じる私であります。
最後が火のルビカンテ。今回私がFFXIVで討滅戦BGMを担当させてもらった紳士です。四天王のリーダー的ポジションでバブイルの塔を管理。戦闘前にこちらのHPとMPを全回復させてくれるという正々堂々とした敵です。部下のマッドサイエンティスト・ルゲイエが,エッジの両親を魔物に変えてしまった非礼も詫びてくれるんですよね。紳士だねえ。
とはいえ詫びればいいってもんじゃないんですよルゲイエの非道は。エッジの両親であるエブラーナ国王を熊のような魔物に,そして王妃を蛇のような魔物に変えて襲わせるんですよね。天野喜孝さんデザインの気味悪さがめちゃくちゃ効果的! しかし途中で人間としての自我を取り戻した王と王妃は自ら命を断つことを匂わせながら消えていくんですよ。これはエッジ,トラウマですよ。実の両親が魔物になって,それ相手に自分の刃をブッ刺してたら自我を取り戻して消えていく,という。こんなのリディアでもメンタルケアできないよ……。ああ,だからあの二人は惹かれあったのかもですね。親に関して壮絶。
さて,ルビカンテに話を戻しますと,まとっているマントが強力で,マントを閉じているフォルムのときは苦手な属性も吸収するというチート。そしてかえんりゅうという,鬼強い単体攻撃技を打ちまくってくるんですよ。マントを開いているときがチャンスなのですが,そこから見える足はなんと生足。バルバリシア戦と同じく思春期の扉が開いた方もいるんじゃないでしょうか。で。なんとかやっつけると「協力」することの大切さを口にして消えていくんです。まあ,1 vs. 5ってなかなかズルいよね,ボス戦って。一人でよく頑張ったよルビカンテ。
その後バブイルの巨人内部で四天王が復活するのですがそのときは「協力」することの大切さを学んだということで,土→火→水→風という順番での連戦となります。単発で戦ったときに比べて全員強くなっており,しかも連戦ということもあってHP管理が大切になります。フースーヤーのMPも心もとないし,全体を攻撃めっちゃ使ってくるしけっこう苦労する局面ではあります。
しかしね。毎度思うんですが,「協力」ってそういうことじゃなくない? ってルビカンテにお説教したいんですよね。代わる代わる出るんじゃなくてさ,4人で一斉に出てバルバリシアがミールストームで全員のHPを一桁に,そこにルビカンテの全体かえんりゅうかカイナッツォのおおつなみでどかんと攻撃したらハイ終了! 無敵の四天王でしょうよ。ああ監査役として助言したいよ。君達にはもっとポテンシャルがあるんだよ。
しかしこの連戦,けっこう長い時間かかるのですがその間ずっと勇ましい「ゴルベーザ四天王とのバトル」が流れているのでテンション上がりっぱなし! いつ聴いても最高な曲です。
思い出をたぐって思いのほか長々と書いてしまいましたが,それだけ魅力的ということですよねゴルベーザ四天王。そんな名作にちなんだBGMを担当できたことをあらためて誇りに思いますし当時の自分に誇ってやりたいし,何よりFFという作品の素晴らしさを再認識した2023年1月でございました。令和最高! フー!!
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ ヒャダイン氏は,4月1日に恵比寿ザ・ガーデンホールで行われる,音楽家・林 哲司さんのデビュー50周年コンサートのトークパートに出演することに。「こちらもあの頃の自分に伝えたい案件の一つ」とのことです。 |
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