連載
【西川善司】「Splatoon2」先行試射会体験記
西川善司 / グラフィックス技術と大画面と赤い車を愛するジャーナリスト
(善)後不覚 |
去る2017年3月25日と26日に,「Splatoon2」の先行試射会が行われました。
全世界同時開催になるため,日本からすると非常に早い時間帯も含まれており,各日4:00,12:00,20:00から1時間ずつ,つまり,合計6回,6時間だけの限定体験会となっていました。
ボクも,最初から,TVの前に正座状態で待ち望み,プレイに参加してきました。
初プレイ時はチュートリアルが体験できる
開催が週末ということもあって,回線の混雑や,つながりにくさも心配していたのですが,とくに問題なし。Wii Uの「Splatoon(スプラトゥーン)」と変わらないペースでマッチングが行われ,各タイムフレームの1時間を満喫できました。
プレイモードは,ゲームフィールドの塗り合い面積を4対4のチーム戦で競う,基本的なゲームモード「ナワバリバトル」のみ。プレイすることができたゲームフィールドは,「フジツボスポーツクラブ」と「バッテラストリート」の二つのみでした。
ブキは「スプラシューター」「スプラチャージャー」「スプラローラー」という三つの前作定番ブキシリーズに,新カテゴリの「スプラマニューバー」を加えた4種類。
試射会の開始時間数分前には,操作系の解説をしてくれるチュートリアルをプレイすることができました。
前作からの大きな変更点は二つ!?
前作と比較して,本作での大きな変更点は2点あります。
一つは,Wii Uでは手元のWii U GamePadで常時見られていた戦局画面(マップ画面)が,見られなくなってしまったことです。Nintendo Switchは,単一画面のゲーム機となるので,Wii UのようにTVとマップ画面を交互に見ながらのプレイができません。そのため,一般的なゲーム同様,マップ画面を見たいときには,メインゲーム画面にオーバーレイ(事実上の画面切り替え)させないとダメになってしまったのです。
戦局の確認程度の動作であれば,最前線から離れた安全な場所に移ってひっそりとマップを開けばいいのですが,スーパーウェポンの発射目標地点を指定する操作,あるいは本拠地への帰還,味方のいる場所への救援などに活用するスーパージャンプ操作は,とっさに行いたい行動です。これが今作では「マップを開いてから目標地点を指定」という操作になってしまっています。マップを開いている間もゲームは進行しますし,マップを開いている間はゲーム画面が見られませんから,「マップを開く」という行為自体がリスクを伴う行動になってしまったのです。これに対してプレイヤーとしては,前作でのプレイスタイルからの意識改革が必要になるだろうと考えます。
マップに対する位置指定は,ジャイロ操作かスティック操作で行えますが,スーパージャンプは,動いている味方アイコンにマーキングしなければならないため,けっこう,コツがいります。十字キーを使って対応する味方アイコン(あるいは本拠地:スタート地点)をショートカットキー的に直接指定することもできますが,本拠地は[↓]固定対応だからいいとしても,[→][↑][←]は自分以外のプレイヤーに割り当てられているだけなので,十字キーのどれが戦地のどの位置に対応しているかを判断するのには,少し慣れが必要という気がしました。
その「マップを開く」という動作は[X]ボタンに割り当てられています。このゲームにおいて「マップを開く」動作は非常に重要なので,アクセス性のよいメイン4ボタンのうちの一角に割り当てたということなのでしょう。ただ,前作では通常ジャンプボタンが[X]ボタンに割り当てられていましたし,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(以下,BotW)もジャンプが[X]ボタンなので,最初はちょっと戸惑いました。Splatoon2では,ジャンプボタンは[B]ボタンになっていまして,これは,一般的なアクションゲームとコンパチ仕様とも言えるので,まぁ,いずれ慣れるでしょう。
今回の試射会版の設定オプションでは,右スティックの感度,操作反転設定,ジャイロのオン/オフくらいしかできませんでしたので,製品版ではボタン配置設定をもう少し細かくできるようになると,嬉しいかも知れませんね。恐らく前作からのプレイヤーは「マップを開く」操作と「ジャンプ」操作に関しては,割り当てを変更したいと感じる人が多いんじゃないかと思いました。
プレイ感覚は前作とほぼ同じ
コントローラは「Nintendo Switch Proコントローラー」(プロコン)を使いました。BotWでもプロコンを使っていますが,手になじみやすいですし,ボタンやレバーの配置も,Xbox系のコントローラに近くて使いやすく,アクションゲーマーは必須といった感じですね。
実際にプレイしてみましたが,プレイ感覚は,前述したマップがらみや操作系がらみのことを除けば,前作とほぼ同じ感じでプレイできました。グラフィックスに関しても,同様ですね。Wii U版とほぼ同等です。細かく見ていくとキャラクター達のポリゴン数が若干増えていて,ライティングがリッチになっています。できれば,パッケージ写真で使われているようなインクリング(イカ人間)達の豊かな表情表現とか,ゲーム進行には影響しない程度の「環境へインタラクションをするアニメーション」などの表現が欲しかったところです。壁に手をついたり,気になる方向に顔を向ける,周囲の味方とアイコンタクトをする,近付けば意味はないけどなんか会話してる素振り……とか,こうした表現は今世代のゲームで流行しているものですからね。
新作ブキ,既存ブキの使用感は……?
新作ブキの印象にも触れておきましょう。
完全新作のスプラマニューバーは,二丁拳銃スタイルのシューターという感じですが,照準が二つあって攻撃範囲がやや広めという感じです。射程距離はシューターよりも短いようですが,接近戦には向いていそうな感じがしました。というのも,左スティック左右操作時の横移動時にジャンプボタンを押すと横飛びではなく,ローリング動作を行い素早く攻撃がかわせるうえ,その後はしばらく二丁拳銃を重ねて撃つようになり攻撃力が増すからです。かなりテクニカルな武装で,前作を極めた上級者に人気が出そうな感じがします。
今回の試射会で,このスプラマニューバーには「カーリングボム」と呼ばれる自走式ボムの新型が組み合わされていました。敵を攻撃するというよりは塗り重視のボムという感じで,一定距離塗り進むまで爆発しないという特徴を持ちます。壁に当たると反射してさらに自走を続けるので,敵の注意を引き付ける用途にも有効です。
また,今回の試射会ではスプラマニューバーにはスペシャルウェポンとして「ジェットパック」と呼ばれるランドセル型飛行装置が組み合わされていました。これは発動すると,ゲームフィールド内を自由に飛行しながら攻撃することができるものです。このシリーズでは,発射するインクは重力の影響を受けて放物線を描く軌道になるため,地上から高地への攻撃は不利なのですが,このジェットパックでは自発的に高所に移動出来るので,発動時間内は優位な行動が取れることになります。ただ,時間切れになると,発動したポイントにスーパージャンプで戻る感じになり,そこを敵に狙われてしまう危険性はありますね。
既存カテゴリのブキも少しだけアレンジされているものがありました。塗りと接近戦重視のスプラローラーは,従来と同じ感覚で使っていけますが,ジャンプアクション中に攻撃すると「縦振り」アクションとなって,より遠くまでインクを飛ばして攻撃できるようになりました。ジャンプアクション直後では普通の「横振り」攻撃になってしまうこともあり,敵との立ち回り中に使い分けるのはけっこう難しいと思います。
今回の試射会で,スプラローラーに新スペシャルウェポンとして組み合わされていたのは「スーパーチャクチ」です。その名のとおり大ジャンプしてからの着地時に自軍色のインクの爆風を発生させるもので,雰囲気としては「餓狼伝説」や「THE KING OF FIGHTERS」のギースのレイジングストームみたいな感じです(違うか?)。スーパージャンプ中にも使えるので,着地する瞬間を待ち構えている敵に一泡吹かせることができるかも知れません。
Splatoonシリーズにおける基本武装とも言える「スプラシューター」,スナイパーライフル的な「スプラチャージャー」の使い勝手はとくに変わりありませんでした。ただ,それぞれスペシャルウェポンは新作が組み合わされていたので簡単に紹介しておきましょう。
今回の試射会で,スプラシューターの新スペシャルウェポンとして組み合わされていたのは「マルチミサイル」です。視界内の敵を最大4人までロックオンしてその位置にインクミサイルを同時発射する武装で,視界内にいれば壁越しでもロックオンできます。ゲーム世界を広く見渡せる本拠地に一度戻ってから発動するとほぼ毎回4人ロックオンが可能です。まぁ,直撃することはあまりないので牽制攻撃という感じですね。
スプラチャージャーの新スペシャルウェポンとして組み合わされていたのは「ハイパープレッサー」です。消防士の放水活動のような感じで大量のインクを長距離に撃ち出すもので,恐ろしいことに壁を貫通します。水圧の反動があるという設定なのか,発動中は移動能力が著しく低下してしまうのが弱点です。使い方は難しいですが,ゲーム終了間際の敵陣への塗り増しとか,あるいは味方の移動支援が重要となる「ガチマッチ」には有効そうな気がしましたね。
おわりに
ひととおり遊んでもらったあと,感想を聞いたので,最後にそれらをまとめておこうと思います。
新しいマップ(戦場)はとても楽しかったそうです。キャラクターの衣装(ギア)が前作よりも可愛くなっていて,製品版で服や靴,頭部アクセサリのバリエーションが増えることが楽しみだと言っていました。今回の試射会では,ギアの見た目はランダムチョイスになっていたようですが,効果としては「インク回復力アップ」「復活時間短縮」「死亡時のスペシャルウェポンゲージ減少量ダウン」の三つに固定されていました。
ゲームプレイに関しては「全体的にスプラシューターが扱いやすく強い」と感じられたようです。スプラローラーは「縦振りと横降りの撃ち分けがうまくできなかった。今後の練習が必要」とのこと。また,スプラマニューバーは「ローリング動作が敵からのボムを避けるのに有用と感じた」と話していました。
グラフィックスについて印象を聞いてみたところ「Wii Uと区別が付かなかった。けど,キャラクターは可愛くなっている気がする」と述べていました。
手に持って遊ぶ携帯モードでもプレイしてもらったのですが「ジャイロ操作でプレイしていると画面を揺らすことになるので遊びにくい」と,一度プレイしただけで,TVモードに戻ってしまいましたね。携帯モードではジャイロオフがスタンダードになるんでしょうかね。
あと,ボクが気が付かなかった要素として「マッチングの待ち時間にコントローラをいじると音楽のエフェクトが変わるのが面白かった」とも。確かに,ボタンを押すとセリフ(ラップ?)みたいなものが追加されたり,ワウワウエフェクトが掛かったりしていました。
それと,彼女を遊ばせているときに一つ,面白いことがありました。最後にその話を。
最初,ボクの仕事の関係と機材位置の関係で,東芝レグザの2008年モデルの「46ZH500」を「ゲームモード」に設定して一人でプレイしてもらっていたのですが,「反応が遅くて遊びづらい」と言ってきたのです。調べてみたところ,レグザが本格的な遅延対策を行ったのは2009年からで,2008年モデルのZH500のゲームモードには約2フレームほどの遅延がありました。そこで,フルHDテレビとしては業界最速0.05フレーム遅延のレグザ2016年モデルの「40V30」(2016年モデル)につなぎ替えたところ「これならばいい」と納得した様子。
この子は「TVにゲームモードがあることすら知らない」はずなのですが,上級プレイヤーって,2フレームの遅延が肌で分かるんですね(笑)
■■西川善司■■ テクニカルジャーナリスト。最近,AverMediaの「AVT-C878」を導入してゲーム実況動画を時々配信しているという西川氏。AVT-C878が1080p/60fpsでの録画や配信に対応しており,microSDカードに録画できるほか,PCと接続すれば実況動画のライブ配信も手軽に行えるということで,お気に召した様子。視聴者数はまだまだとのことですが,引き続き頑張っていくそう。 |
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