レビュー
本番への練習にもなる歯ごたえ。あらゆる要素を現実に近づけ,面白さが格段に向上した「龍が如く4」のミニゲーム「UFOキャッチャー」を紹介
UFOキャッチャー8 |
本作に登場するUFOキャッチャーは,実在店舗に2008年頃から登場している現行機「UFOキャッチャー8」。オーソドックスなデザインを保ちつつ,筐体やアームのデザインをブラッシュアップし,景品を配置する際のパーティションタイプを増やしたこの「UFOキャッチャー8」を,ゲームでも(ほぼ現実同様に)3回500円でプレイできるのだ。
いくぶん前置きが長くなったが,「見た目」「挙動」「配置」という3三つの観点から,本作がどう進化したのかを紐解いてみよう。
本物のUFOキャッチャーが,そこにはある
まずはその「見た目」から。シリーズのファンなら一度ならず立ち寄っているとは思うが,実はUFOキャッチャーは,第一作「龍が如く」から「CLUB SEGA」で遊べる定番ミニゲームの一つである。同作がPS2で登場した当時は,あれほどまでにミニゲームを詰め込んだことに度肝を抜かれたものだが,グラフィックスに関しては,「ゲームの中で遊べるゲーム」といった印象に留まった。もちろん,「ゲームでもUFOキャッチャーが遊べるんだ!」という驚きを与えてくれたことはとても大きな意義ではあったが。
PS3にプラットフォームを移した前作「3」では,これが結構な進化を遂げていた。外観はそこそこリアルになったし,アームの見た目もソレっぽい。ただ,筐体内部のライトが弱いせいもあってか,ワクワク感やリアリティという意味ではまだ不満が残るもので,現実のUFOキャッチャーをやっている時の,“あの手ごたえ”が感じられるまでには至らなかったのだ。
そして「龍が如く4」のUFOキャッチャー。筐体の見た目は,大げさかもしれないが“本物”そのもの。ウィンドウの輝き具合や,コイン投入口の再現度もさることながら,アームや景品出口,ボタンなど,細かいところへの“こだわり具合”は尋常ではない。さすがに筐体に貼り付けられている,メンテナンス用シールに書かれた文字までは識別できなかったが,そんな些細なところまで気にかけられるほど,今回の筐体はしっかりと作りこまれているのだ。
この道を極めんとする読者にはわかってもらえると思うが,UFOキャッチャーのゲームはコインを投入してからがスタートではない。無造作に置かれる景品を「見る」ところから,すでに始まっている。前作までのUFOキャッチャーでは,まさにこの部分を含めた楽しみ方はできなかったのだ。その意味では,「龍が如く」シリーズのUFOキャッチャーに新しい歴史が刻まれたと言ってもいいだろう。クレーンゲームというジャンルに先鞭をつけたセガが今作で,ゲームインゲームのUFOキャッチャーにおいても新しい歴史を刻んでくれた。これに筆者は涙を禁じえない。
まさかのアイアンクローから一転。実機さながらの挙動に
ひとしきり泣いたところで次に特筆すべきは,「アームや景品の挙動」についてだ。これまでのUFOキャッチャーでは「えっ,そんな形でもつかめるの?」と思うくらい,不自然な形でも景品をつかむことができた。誰にでも簡単に取れる配慮と考えればそれも納得だが,これでは現実のUFOキャッチャーに身銭を切ってきた筆者が浮かばれない。あ,いや,そうではなくて,リアルでUFOキャッチャーをプレイしている人がゲーム内でプレイしても,ゲーム内で初めてUFOキャッチャーをやってからリアルでプレイしても,おそらくかなりの違和感を覚えることになったはずだ。
シビアになったから難しくなったと一概には言えない。なぜなら,現実にも応用可能なテクニックがいくつか使えるようになっているからだ。たとえば“ずらし”。あえてアームを景品の中心からずらして落とし,左右どちらかのアームで景品を引っ掛け,景品出口に景品を近づけるテクニックだ。本作のUFOキャッチャーは景品落下口が高くなっていないので,このテクニックは非常に使い勝手がよく,応用も利く。ほかにも,景品についているヒモにアームを引っ掛けて引き上げる“引っ掛け”というテクニックもある。前作ではいとも簡単に引っかかって“テクニック”どころではなかったのだが,本作ではしっかりヒモを引っかけないと景品は持ち上がらない。
また,アームそのものの動きがやたらとリアルだ。左右移動と奥行き移動を終えた際,アームが少し“ぷらぷら”動く様子は,正直あまりの再現度の高さに感動した。そうだ,揺れるんだよ。揺れるから重心決めも慎重になる,揺れるから持ち上げても落ちる。それを想定してアームの落とし位置を考えるんだよ。この“ぷらぷら”が大事なんだ。
手加減はしねぇ……。落ちたい奴だけ……かかってこい!
少しぷらぷらしてしまったが,三つめの「景品配置」を考えてみよう。これまでは,景品が均等間隔に並べられたオーソドックスなスタイルだけだったが,本作では景品の配置にバリエーションが増えている。ひな壇のような形状やL字型の形状,中央が傾斜になっている形状などが導入され,現実さながらのUFOキャッチャーとして楽しめるようになっているのだ。景品も橋渡しに置かれていたり,同じ見た目で大きさが違う景品が上下に重ねられていたりと,かなり工夫を凝らしているのが分かる。
中央部分が傾斜になっている。左右の景品をいかに中央にもってくるかがカギだ |
コの字+段々の形状。“ずらし”を使って獲得を目指そう |
もはや完成の域に達したUFOキャッチャーを,とことん楽しもう
以上,三つの観点から冷静に本作でのUFOキャッチャーの進化を述べてみた。補足としてゲームプレイに関わる話を加えておくと,ローディングも改善されており,全体的な進行がかなりスムーズになっている。これまでは,コイン投入後3ゲームが終わるまで,ややもっさりしていたこともあり,繰り返しのプレイでは集中力が途切れてしまうことがあったが,本作では心ゆくまで,正しくは持ち金が果てるまで連続プレイしても大丈夫だろう,たぶん。
各要素のディテールがブラッシュアップされ,あらゆる挙動のクオリティが向上,さらには景品配置のリアリティや,景品そのものに仕掛けられたお楽しみ要素と,もはや完成の域に達した(でも次回作ではきっともっとすごくなってるんだろうなぁ……)「龍が如く4」のUFOキャッチャーを紹介させてもらった。プレイレポート的にはここで締めるべきかもしれないが,最後の最後にもうひとつだけ,すごく大切なことを付け加えておこう。
「龍が如く4 伝説を継ぐもの」
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龍が如く4 伝説を継ぐもの
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龍が如く3
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