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  • 発売日:2010/05/20
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「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート
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印刷2010/06/01 21:42

イベント

「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート

カプコンCS第一制作室 加治勇人氏
画像集#001のサムネイル/「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート
 6月1日,都内で主にデザイナー向けのイベント「Autodesk Design Innovation Forum 2010」が開催された。ゲームとは直接関わりのない部分が多かったのだが,カプコンの開発者による「ロスト プラネット 2における新しい映像表現」と題された講演が行われたので,さっそく紹介してみたい。

 カプコンでは,Softimage XSIと自社開発のMTフレームワーク2を連携させてグラフィックス周りの制作を行っている。会場では,「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな試みが,ゲーム開発現場の実例として紹介された。

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●クリーチャーの背中で戦闘
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 最初に解説されたのは,巨大クリーチャー関連の話題だ。ロスト プラネット 2では巨大なクリーチャーの背中に乗って戦うようなシーンが実現されているが,これを通常のモデリングデータのままで処理すると処理が重くなりすぎる。クリーチャーは動き回り,そのたびに身体自体が変形しているのだから,上に乗ったプレイヤーとの当たり判定はきわめて重要になってくる
 まず,XSIで元の形状から,より簡単な形状を作り,当たり判定専用に使用している。これは簡略化されているものの動きに合わせて変形するものとなっているという。さらに,MTフレームワーク上では,クリーチャーを簡単なプリミティブの集合で近似した当たり判定モデルが作られている。球や円柱といった簡単な形状だけを複数使っており,関節の動きに合わせて動く感じのものとなっている。これは非常に軽いとのこと。ゲーム内では,この2種類を組み合わせて使っているそうだ。

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●クリーチャーのモーションキャプチャ
 次に語られたのが,「クリーチャーのモーションキャプチャ」についてだ。もちろん,巨大クリーチャーなど存在しないので,実物にマーカーをくっつけてモーションキャプチャなどできるわけがない。ということで,人間が代わりにやるのだが……。

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 いきなり後ろ向きに走っている人が出てきて,なにごとかと思ったのだが,これは逆関節の動きを取るための試みだそうだ。そのほか,二人組になって6本足の表現をしたり,あの手この手でそれらしい動きを取る工夫がされている。

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●凍りつくモンスター
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 ロスト プラネット 2では,雪原でモンスターを倒すと,モンスターが凍りついて砕け散るという演出がなされている。それも急に凍りつくのではなく,身体の一点から球状に凍結が広がるといった表現となっており,全体の動きを止めることなく,完全に凍りついた時点で動きがピタリと止まる感じに仕上げられている。まあ,凍っているはずの部分が動いていたりするのは理屈にあわないのだが,完全に凍ってから動きが止まると「凍りつき感」も増しているように思われる。

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●環境とのインタラクト
 ロスト プラネット 2では,前作に比べてインタラクトできるオブジェクトが増えており,爆風で木が揺れたり,キャラクターの動きで草が動いたり,水面近くの爆発で水面が歪んだりする。具体的な手法はとくに紹介されなかったが,いくつかの実装例が示された。

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●水の表現
 続いてロスト プラネット 2で使われている水の表現についての紹介だ。これは大きく3種類の要素で成り立っているという。つまり,
  水面の質感表現
  歪みフィルタ
  深さ方向のハイトフォグ
の三つだ。これらを組み合わせてリアルな水を実現しているという。
 
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●レベルデザイン 
 レベルデザインでは,簡易的な仮マップを作って,テストを繰り返しつつ細部を修正していく手法が紹介された。ある意味,ごく普通の作り方な気はするのだが,オンライン対戦などを前提としていると,大勢でテストすることが不可欠だという。
 
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●AIによる自動経路探索
 AI関係では,マップ上の障害物を調べて,通れないところをマーキングしておく手法が示された。始点と終点を指定するだけで,あとの経路は状況に応じて最適なものが選ばれる。障害物があると,それを避けて移動する。もちろん,障害物がなくなると最短距離を取る。リアルタイムに処理するよりも軽いようなことを話していたので,オブジェクトの生成や移動などのタイミングで更新しているものと思われる。

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●列車での戦闘
 最後に解説されたのが,列車での戦闘シーンの作り方である。
 ロスト プラネット 2では,列車は固定しておき,背景を逆方向に流していくという手法が取られている。アナクロな手法ではあるが,爆風などは背景に沿って流れるため,相対的には列車が動いているのと変わらない効果が得られる。
 カプコンでは,「こんなシチュエーションで戦闘がしたい」となると,それをどうやって再現するかについて,さまざまな試みが行われるという。最新の技術も使えば,アナクロな手法も取り入れるという具合に,「遊び心」を大事にしているとのこと。最近は技術の発展で,できることは次第に増えてきてはいるものの,遊びの本質的な部分というのはさほど変わっていないとのことだ。

画像集#015のサムネイル/「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート

ロスト プラネット 2プロデューサー竹内潤氏
画像集#002のサムネイル/「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート
 加治氏の講演の終わりには,サプライズゲストとして,ロスト プラネット 2プロデューサーの竹内潤氏によるスピーチも行われ,先に挙げた列車上の戦闘のようなアイデアはデザイナー側からも提案できるはずだと,会場に詰めかけた多くのデザイナーに語りかけていた。国内ではトップクラスの技術力を持つカプコンだが,技術に偏重しすぎないゲームを作ることの大事さを訴えていたのが印象的だった。

会場は超満員で,別室での中継による聴講も行われる人気ぶりだった
画像集#008のサムネイル/「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート

講演とは関係ないのだが,展示会場で見かけた立体プリンタ「uPrint」。色は着けられないが,インクジェットプリンタのようなノズルから融かしたABS樹脂を塗り重ねて任意の形状を作るタイプ。できあがった物体は非常に丈夫で,バネなども作れるという。お値段は198万円から
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uPrintの出力例
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