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「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな技術的試みを紹介「Autodesk Design Innovation Forum 2010」レポート
カプコンでは,Softimage XSIと自社開発のMTフレームワーク2を連携させてグラフィックス周りの制作を行っている。会場では,「ロスト プラネット 2」で行われたさまざまな試みが,ゲーム開発現場の実例として紹介された。
●クリーチャーの背中で戦闘
まず,XSIで元の形状から,より簡単な形状を作り,当たり判定専用に使用している。これは簡略化されているものの動きに合わせて変形するものとなっているという。さらに,MTフレームワーク上では,クリーチャーを簡単なプリミティブの集合で近似した当たり判定モデルが作られている。球や円柱といった簡単な形状だけを複数使っており,関節の動きに合わせて動く感じのものとなっている。これは非常に軽いとのこと。ゲーム内では,この2種類を組み合わせて使っているそうだ。
●クリーチャーのモーションキャプチャ
次に語られたのが,「クリーチャーのモーションキャプチャ」についてだ。もちろん,巨大クリーチャーなど存在しないので,実物にマーカーをくっつけてモーションキャプチャなどできるわけがない。ということで,人間が代わりにやるのだが……。
いきなり後ろ向きに走っている人が出てきて,なにごとかと思ったのだが,これは逆関節の動きを取るための試みだそうだ。そのほか,二人組になって6本足の表現をしたり,あの手この手でそれらしい動きを取る工夫がされている。
●凍りつくモンスター
●環境とのインタラクト
ロスト プラネット 2では,前作に比べてインタラクトできるオブジェクトが増えており,爆風で木が揺れたり,キャラクターの動きで草が動いたり,水面近くの爆発で水面が歪んだりする。具体的な手法はとくに紹介されなかったが,いくつかの実装例が示された。
●水の表現
続いてロスト プラネット 2で使われている水の表現についての紹介だ。これは大きく3種類の要素で成り立っているという。つまり,
水面の質感表現
歪みフィルタ
深さ方向のハイトフォグ
の三つだ。これらを組み合わせてリアルな水を実現しているという。
●レベルデザイン
レベルデザインでは,簡易的な仮マップを作って,テストを繰り返しつつ細部を修正していく手法が紹介された。ある意味,ごく普通の作り方な気はするのだが,オンライン対戦などを前提としていると,大勢でテストすることが不可欠だという。
AI関係では,マップ上の障害物を調べて,通れないところをマーキングしておく手法が示された。始点と終点を指定するだけで,あとの経路は状況に応じて最適なものが選ばれる。障害物があると,それを避けて移動する。もちろん,障害物がなくなると最短距離を取る。リアルタイムに処理するよりも軽いようなことを話していたので,オブジェクトの生成や移動などのタイミングで更新しているものと思われる。
●列車での戦闘
最後に解説されたのが,列車での戦闘シーンの作り方である。
ロスト プラネット 2では,列車は固定しておき,背景を逆方向に流していくという手法が取られている。アナクロな手法ではあるが,爆風などは背景に沿って流れるため,相対的には列車が動いているのと変わらない効果が得られる。
カプコンでは,「こんなシチュエーションで戦闘がしたい」となると,それをどうやって再現するかについて,さまざまな試みが行われるという。最新の技術も使えば,アナクロな手法も取り入れるという具合に,「遊び心」を大事にしているとのこと。最近は技術の発展で,できることは次第に増えてきてはいるものの,遊びの本質的な部分というのはさほど変わっていないとのことだ。
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ロスト プラネット 2
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(c) CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.
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