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まさに,RPGとFPSのいいとこ取り。Co-opで遊べばさらに楽しい「Borderlands」の魅力を,プレイムービーとあわせて紹介
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印刷2010/04/17 12:35

レビュー

FPSファンでも楽しめること請け合いの本格RPG!

Borderlands

Text by Alexander服部


時はまさに世紀末!?


 ゲームの舞台は辺境の惑星「Pandora」。一攫千金を夢見る4人のフォーチュンハンター(賞金稼ぎ)は,財宝が眠ると言われる伝説の遺跡を求めて,この地にやってきた。Pandoraには,愛や平和など存在せず,ハンターの行く手には,狂乱の盗賊や獰猛なモンスターが立ちふさがる。プレイヤーはハンターの1人となり,細々と暮らすPandora住人達からの依頼を請け負いながら,危険で不毛な地Pandoraでの冒険を進めていくことになる。

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 ……というのが,今回紹介する「Borderlands」PlayStation 3版 / Xbox 360版)の導入ストーリー。「Brothers in Arms」シリーズなどの開発元として知られるテキサスのデベロッパ,Gearbox Softwareが制作した本作は,FPSとRPGが融合したハイブリッドなゲーム性を持つタイトルだ。
 スクリーンショットを見てもらえば分かるだろうが,冒険の舞台であるPandoraは,世紀末救世主伝説が生まれそうな雰囲気の世界である。空気は乾いており,荒廃した大地には人々が生きていくための機械や道具が,そこかしこに点在している。エイリアン達は,突然変異の末に身につけた全身凶器で襲い掛かり,銃火器を手にしたゴロツキ連中は略奪に大忙しだ。
 こんなパンクで救いのない世界で生き残るには,こちらも銃を手にし,身につけた特殊技能を駆使するほかない。殺られるまえに殺る。これが,国も正義もない惑星Pandoraのルールになっている。

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※本稿で使用しているスクリーンショット/ムービーは,Xbox 360版を使用し,筆者のフレンド達に許可を得て撮影/掲載したものです


生き残るために武器を取れ


 ゲーム開始時,プレイヤーは4人のフォーチュンハンターの中からひとりを選ぶことになる。武器を使っての戦闘に特化したソルジャー,凶暴化したら素手でもエイリアンを叩き潰すというバーサーカー,透明化や高速移動などの人間離れした能力を持つ紅一点セイレーン,そしてペットの猛禽類を使役するスナイプの達人ハンター。これらのうちいずれかを操作し,特徴をいかしつつ,さまざまな銃器類を駆使して敵と戦っていくのだ。

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 銃器類は(すべてが序盤から使えるわけではないが),火力こそ正義のロケットランチャー,接近戦最強のショットガン,リロードの速さが何かと便利なピストル,速射能力で敵を圧倒するサブマシンガン,狙撃専用のスナイパーライフル,万能フルオート銃ことコンバットライフルなど,実に多彩。自分の好みの武器を使ってもいいし,キャラクターの性質を考慮して選んでもいい。とにかく嬉しい悲鳴をあげたくなるほどの種類がある。
 「どれも同じで威力が違うだけでしょ?」などと思う人もいるだろうが,冒頭でも説明したように,本作はFPSとRPGが融合した作品だ。連射速度や装弾数,弾速や軌道などが異なるさまざまな武器の特性を把握し,自らの操作で(FPSのように)攻撃を行う必要がある。プレイヤースキルが高ければ,多少格上の敵が相手でも攻略できる場合があるし,逆に腕に自信がなくても,RPGのように“レベル上げ”をすることで,困難な状況を打破できるのだ。


RPGであることの証明


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 広大なオープンワールドに,王道的なストーリーが搭載され,豊富な武器やクエストなども存在している本作。とはいえ,インタフェースがいかにも“FPS”然としているので,予備知識のない人にとって,“RPG”には見えないかもしれない。
 しかし,実際にプレイすればすぐに分かるだろうが,Borderlandsの全体的なプレイフィールは,あきらかにRPGだ。しかも一級品といっていい。レベルアップのタイミング,レベルが上がることによる強さの上昇度合い,クエスト報酬の武器や経験値。すべてがバランス良く整っている。
 静止画だけではイメージしづらいので,ぜひ本稿に掲載している動画も見てもらいたいのだが,もちろんFPSとしての魅力もうまく盛り込まれている。本作とはさほど遠くない世界観を持つ「Fallout 3」は,アクション要素はさほど高くなかった(戦闘のメインにはなりえなかった)が,本作はそれよりも,ずっとアクション寄りの戦闘バランスだ。移動,エイム(照準),ノックバックなど,FPSと遜色ないレベルで作りこまれている。トゥーン調のグラフィックスは好みが分かれるかもしれないが,背景にキャラクターが埋没しにくく,広大な世界でも敵/オブジェクトが発見しやすい。遠くの敵をスコープを覗いて狙撃し,先制攻撃をしかけるというプレイも当然やりやすい。

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 ただ,RPG要素が強いがゆえに,気になる点もある。それは,自分と敵とのレベル差だ。Borderlandsでは,自分だけでなく,敵にもレベルが設定されており,言うまでもないが,自分よりもレベルの高い敵は,確実に強い。問題は,レベル差が開いている場合,腕で何とかなるということが決してない部分だ。
 純粋なFPSであれば,プレイヤースキルの高さでカバーできるのだが,本作はRPG色がそれなりに強く,敵とのレベルの差はどうやってもカバーできない。高レベルの敵に攻撃しても,大してダメージを与えられないし,逆に高レベルの敵から攻撃を受ければ即死,もしくは瀕死になること請け合いだ。クエストを受けるときに大まかな適正レベルが表示されるので,普通にプレイしていれば問題ないとは思うのだが,もし自分よりもレベルの高い敵と遭遇したときには,全速力で逃げなければ瞬殺されるということを,忘れてはならない。

 ちなみに本作では,複数のクエストをまとめて受け,それらを好きなように攻略していける。例えば,クエストA/Bを受けた状態で,クエストAで倒すべき敵にどうしても勝てないようだったら,直ちに逃げ出して,クエストBの目的地に向かえばいい。保留中のクエストAは,キャラクターのレベルが上がってからあらためて挑戦すればいいのだ。



Co-op環境がある人は“勝ち組”だと断言しよう


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 ここまで読んでみて,本作を「オフラインでコツコツとプレイする」ゲームだと思っている人もいるだろう。もちろん,それは間違っていないのだが,より楽しく遊びたいなら,最大4人で冒険できるオンラインCo-opを活用して,フレンド達と大騒ぎしながらプレイしない手はない。
 本作のCo-opでは,一人がお金を拾えばみんなに分配されるし,誰かが敵を倒せばみんなに経験値が入る。数多く登場する敵を一人で相手していては,弾丸がいくらあっても足りないが,4人Co-opで戦えば,どんな状況でも無駄なく,効率よくプレイできる。移動に使う乗り物にしても,ドライバーとガンナーの席が用意されているものがほとんどなので,移動の際も楽しく遊べるのだ。
 箱庭系FPSとしても,RPGとしても,一人で遊ぶのに何ら問題はないが,Co-op環境があれば,さらなる楽しみが味わえるということを覚えておいてほしい。

 選択できるキャラクターの種類は4人であり,Co-opの最大人数も4人まで。実際に筆者も,本作をフレンド達と一緒に遊んでいたのだが,4人で遊んでいても,難度が極端に下がったような印象は受けなかったし,特定のキャラクターが重複していても,ゲームバランスがおかしくなるようなことなはかった。オンラインプレイ前提のゲームデザインが施されているのだろう。



キャラクターの成長と無限の武器生成


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 このゲームでは,キャラクターの成長ルートをプレイヤーが自由に調整できる。同じキャラクターを使っている人がいても,能力がまったく同じになることはまずないだろう。たとえばソルジャーでは,回復速度を重視して,延々と戦い続けられるキャラクターを育てるのも面白いし,素直に銃撃の威力を伸ばすことで,戦闘力をさらに向上させてもいい。実際にプレイした感じでは,同じくマイクロソフトが発売している「Too Human」に,比較的近い成長システムだと感じた。それほど複雑なシステムではないのだが,試行錯誤しながら究極のキャラクタービルドを求めるタイプのRPGプレイヤーにとって,相当楽しめるシステムであることに間違いない。
 なお本作では,敵や宝箱から入手できる武器はランダム生成されるので,好みの(そしてより強力な)武器がいつ,どこで手に入るかは運任せとなる。付加される効果の種類には限りがあるとはいえ,ランダム生成される銃のバリエーションはハンパではない。
 ここまで読めば,一部の愛好家ならすぐにピンとくるだろうが,Borderlandsは,いわゆるハック&スラッシュと呼ばれるジャンルの一種でもあるのだ。ストーリーを気にすることなくひたすら敵を倒し続け,アイテムを拾い,キャラクターのカスタマイズを楽しむ。一度ハマってしまうとなかなか抜け出せない,高い中毒性を秘めた恐怖のゲームである。
 ハック&スラッシュゲームとしては当然なのだが,本作も,ストーリーをクリアしてからが本番といっても過言ではない,強烈なやり込み要素が盛り込まれている。これに加えて,基本的な戦闘システムはアクション性の高いFPSなのだから,バトルマニアには堪えられない一本である。思う存分戦いまくってほしい。

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つまりはいいとこ取り


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 一見すると,相当マニアックなゲームに見えるBorderlandsだが,実は,対象ユーザー層がかなり広いゲームであることがお分かりいただけただろうか。広大な世界をある程度自由にウロウロできる部分は,箱庭アクションが好きな人にはたまらないだろうし,FPSファンであれば,スコープやアイアンサイトなどが武器ごとに異なっているところや,武器を変えると戦い方が一変するアクション性などが,興味深いポイントなのではないだろうか。
 もちろん,キャラクターレベルを十分に高めたうえで,敵をバリバリとなぎ倒していくようなプレイも可能となっているので,最悪でも時間さえかければ,ゲームに“詰まる”という事態には陥らない。どうしても困ったときには,強力なフレンドを召喚して共闘するという解決策も用意されている。ストーリーのクリア後,延々とハック&スラッシュできるところも個人的には嬉しい。
 RPG要素が強いがゆえの,敵の固さ(ヘッドショットで1発KO! というプレイは基本的にできない)にストレスがたまることもあるし,人によっては,FPS仕様の戦闘が難しすぎると感じることもあるだろう。とはいえ,どの不満点も,十分なレベル上げ(アイテム集め)やオンラインCo-opで解決可能であるところが素晴らしい。本稿を読んでいる読者が,どの部分に魅力を見いだすかは分からないが,大抵の期待に応えるだけの懐の深さが,本作には確実に備わっている。まさに“いいとこ取り”のゲームだと言えるだろう。興味がわいたら,ぜひ購入を検討してみてほしい。

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動画撮影機材:トムソン・カノープス HDRECS
動画編集用ソフト:トムソン・カノープス Edius Pro 5

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