連載
【島国大和】その時歴史は動いた!……気がする5つのゲーム
島国大和 / 不景気の波にもがく,正体はそっとしておいて欲しいゲーム開発者
島国大和のド畜生 出張所 |
どうも皆様,またお会い出来ました。島国大和でございます。
業界がどうだの食うのが大変だのと,重い話ばかりだと気が滅入ってしまうので,今回は,少し気楽なお話でもしてみたいと思います。
どういうお話かというと,かのピーター・モリニュー氏が,どこかのゲームサイトで「偉大なゲームを5つ選ぶ」という発言をしてまして,私も偉大な先人であるモリニュー氏を真似て,5つ選んでみましたという感じです。
もちろん,あくまで私が選んだ5タイトルですので,「あれが入らないのはおかしい」とか「なんでそれが」といったご意見もあることと思いますが,皆様も一緒にあれこれ考えてみるのも一興かと思います。
そんなわけで,年代順に挙げていってみましょう。
スペースインベーダー(1978:タイトー)
元々は「ブロック崩しのブロックが攻めてくる」というアイデアから作られたゲームだと聞いてますが,ゲームにおいて「能動的に動いてくるキャラクター」が登場してきたのは,なにげにこの「スペースインベーダー」あたりが元祖になったりするんじゃないでしょうか。「ゲーム側のキャラクターが意思を持って攻撃してくる」というのは,このインベーダー以前には見たことがありません。多分。
そういう意味では,ビデオゲームがブロック崩し的な一人遊び――いわゆる“ソリティア”――から,ちょっと違う方向に足を踏み出した瞬間が,まさにこのゲームの登場だと思います。
こりゃ,ゲームとして偉大過ぎるでしょう。
マリオブラザーズ(1983:任天堂)
その上で「POW床」というジャンプで下から突き上げる事で発動する,回数制限付きのボムがあったり,一度下から突き上げて転ばせたカメを蹴って倒したり(転ばせてからカメとマリオを重ねると,プレイヤーは「蹴った」という感触を得る)と,ひとつのアクションから複数に用途を広げていくその手腕は,本当に見事だと思います。マジパねぇっす。
ひとえに「ちょっと慣性を伴った移動と,放物線のジャンプを如何にコントロールするか」だけにゲーム性が集約されてるんですね。
画面固定のゲームで,これだけゲーム性に奥行きを作ってるのは素晴らしいです。
ドラゴンクエスト(1986:エニックス)
かつて,ゲームとは能力判定装置であり,上手い/下手を競う遊びだったんですが,そんな中でRPGは,経験値によるキャラクターの成長というシステムによって,「どんな下手でも経験値稼ぎをいとわねばエンディングに辿りつく」というゲームデザインを可能にしました。
しかしながら,RPGの始祖に近い「ウィザードリィ」などといったタイトルでは,キャラクターがロスト(データ上から抹消)したりだとか,「誰でも遊べる」というゲームデザインをあまり意識していませんでした。
そんな中で,この「誰でも遊べる」に大きく舵を切ったゲームデザインを施したのは,恐らくはドラクエが初めてだと思います。そしてそれこそが,日本で多くの人にゲームが受け入れられる原動力の一つとなった。
またドラクエは,RPGを日本のコンシュマーユーザーに紹介するにあたり,少年ジャンプ的な少年の成長譚を“仕掛けの一つ”として使用しました。闘って闘って強くなってまた闘う。世界感とゲームがガッチリとマッチした瞬間です。解りやすさ爆発。
で,先に述べた通り,ゲームというのは上達する快感が商品だったわけですが,上達するのは自分でなく,ゲーム内のキャラクターになった事から,シナリオやグラフィックスなどが重視されやすくなり,現在の国産RPGの基本的な土壌が形成されていきました。
ドラクエは,間違いなく日本のゲームシーンを大きく変えた一本でしょう。
ストリートファイターII(1991:カプコン)
ゲームセンターという商売は,面積あたりいくら稼ぐかのロケーションビジネスです。駅前とかの立地の良い場所で商売するわけですからね。畳1畳分のスペースに筐体と椅子置いて,これが1時間に何千円も稼いでくれないと困る。
だから1プレイが短い対戦システムは素晴らしい発明だった。しかも対戦ですから,マッハで殺されてもプレイヤー側には理不尽さが無い。「自分が未熟だった」と納得してくれる。これはもう,文字通りゲームセンターが待ち望んだ作品だったわけです。
そして,対戦熱でユーザーが盛り上がった結果,スト2は何度もマイナーチェンジされていきます。今の若い子達には信じられないかもしれませんが,最初のスト2は,同キャラ対戦出来なかったんですよね。さらに昇竜拳は当て方でダウンしなかったり,スピニングバードキックを出したら反撃確定だったり。大雑把な部分も多かった。
しかし,マイナーチェンジによって,それが対戦に耐えうる仕様に練り上げられていきます。この「練り上げる」っていうのが,ゲームシステムの精度や密度を飛躍させ,言うなれば職人芸的な奥の深さを実現させたと思います。対戦ゲームじゃなければ,各キャラクターの技のバランスには,誰も拘らなかったんじゃないでしょうか。
ゲームバランスにとことん拘る風潮が強くなったのは,スト2の影響が大きいと感じます。
アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(2009:ソニー・コンピュータエンタテインメント)
「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」(以下,アンチャーテッド2)のゲーム画面を見てると,なんというか“半笑い”が止まりません。痴呆状態といいますか。
最新の技術でとことん作り込めばこうなる!
みたいな。「そうですか,そうなりましたか。どうもすみません」と言いたくなってきます。ええ,ゲーム屋としては謝りたくなるような出来ですよ。凄まじいの一言。一体いくらかかったんだこれ。何本売れれば投じたお金を回収できるんだろう。
これからのゲーム市場には,こういうゲームがどんどん出てくる。そう考えると,プレイヤーの皆さんはワクワクでしょうけど,しがない三流ゲーム屋の俺は涙目です。尻尾を撒いて逃げるか? 総力戦をやるか? それともゲリラ戦でいくのか……?
この作品はゲーム会社から見ると,踏み絵であり,分岐路であり,リトマス試験紙。エゲツないですよこれは。
まとめ
本当は,ゲームの方向性を増やした作品を順番にあげていって,「実はこのセレクトにはこういう意味があったんですよ!」「な,なんだってー!」的なオチにしようと思ったのですが。私の文章構成力なんてそんなレベルです。ごめんなさい。
例えば,「ウルフェンシュタイン3D」「バトルフィールド」「ウルティマ オンライン」「ラグナロクオンライン」なども,ゲームシーンへの影響は凄まじいと思います。
ほかにも,「ハイドライド」や「イース」も忘れちゃいけません。「ドルアーガの塔」や「ゼビウス」「パックマン」なんかも時代を切り開いた作品ですね。考えれば考えるほど,沢山のゲームが思い浮かびます。それだけゲームにも歴史あり,ってことなのかもしれませんが。
あとこれはちょっとマイナーかもしれませんが,自分の中では,シグノシス社の一連のゲーム……「シャドー・オブ・ザ・ビースト」や「ワイプアウト」なんかは,見せ方という意味では重要なポジションを占めます。
さらにプレイステーション初期の秀作「ジャンピングフラッシュ」,アドベンチャーゲームの面白さが詰め込まれていた「インディ・ジョーンズ」シリーズや「モンキーアイランド」とかも,個人的にはかなり評価しているゲームです。
また純粋に好きなゲームでいえば,「パニッシャー」や「エイリアンvsプレデター」,「メタルホーク」「ピットホール」等をあげたい。ええまぁ,古いゲームばっかりですね。年齢が年齢なもんで大目にみてください。
――しかし,なんだか今回の記事を書いてみて改めて思いましたが,
ゲームの「好き」語りとはなんと心地よいことかっ!
皆さんも小難しい事を考えるのに疲れたら,友達と「俺はあのゲーム好きなんだー!」と言う話をすると良いかもしれません。ゲームは遊んでナンボ楽しんでナンボ。駄文を書き散らしておいて勝手な言いぐさですが,
私自身もまた,ゲーム業界で生きる勇気が湧いてきました。
というわけで,オチらしいオチもありませんが,今回はここまでとさせて頂ければと思います。年寄りのゲーム語りに付き合わせてしまって,ほんと申し訳ない。
■■島国大和■■ 有名ゲーム系Blog「島国大和のド畜生」の管理人で,不景気の波にもがく,正体はそっとしておいて欲しいゲーム開発者。「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」を指して,「もう洒落になってない」と語る島国氏だが,最近はまた本業の方がかなり忙しいらしい。曰く「自宅作業では限界があるけど,腰が痛いので会社に行きたくない」とのことで,なんというか……お体はお大事に |
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