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ALIENWARE「AW2518H」「AW2518HF」レビュー。240Hz+G-SYNCと240Hz+FreeSync,同時展開となるディスプレイはベストの選択肢か?
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印刷2017/09/16 00:00

レビュー

240Hz+G-SYNCと240Hz+FreeSync,同時展開となる2製品はベストの選択肢か?

ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518H
ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518HF

Text by 米田 聡


ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518HALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518HF
メーカー:Alienware(Dell)
問い合わせ先:問い合わせ先一覧ページ
ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518H実勢価格:7万〜7万6000円程度(※2017年9月16日現在)
ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518HF実勢価格:5万〜5万4000円程度(※2017年9月16日現在)
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 2017年6月のE3 2017で,ALIENWAREのゲーマー向け液晶ディスプレイが復活を果たした。製品は「ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518H」(以下,AW2518H)と「ALIENWARE 25 Gaming Monitor AW2518HF」(以下,AW2518HF)の2つ。2009年に世界市場で,2010年には日本市場で発売となった「ALIENWARE OptX AW2310」以来なのだから,本当に久しぶりのディスプレイ新製品となる。

 4Gamerでは,そんな記念すべきAW2518HとAW2518HFの2台をDellの日本法人であるデルから借りることができたので,その特徴や性能といったところを紹介してみたい。果たしてALIENWAREらしい製品に仕上がっているだろうか。


G-SYNC対応とFreeSync対応の2モデル展開。ただし両者には微妙な違いも


これはAW2518HFの写真だが,この角度で見る限り,AW2518Hの写真だと言っても通じるだろう。額縁左下にシールがないことに気付かないと,判別は難しい
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 AW2518HとAW2518HFはいずれも,24.5インチのTN型で,解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート定格(=ネイティブ)240Hz対応,中間調(gray-to-gray)応答速度1msというスペックの液晶パネルを搭載するディスプレイだ。
 詳細は後述するがデザインも共通なので,少なくとも,正面から見た状態で区別するのは難しい。

 では何が異なるのかというと,対応するディスプレイ同期技術である。AW2518HがNVIDIA独自の「G-SYNC」をサポートするのに対して,AW2518HFはAMD独自の「FreeSync」をサポートするのである。そのため,「ディスプレイ同期技術の対応違いで2モデル展開になっている」という理解で,基本的には問題ない。
 そのため本稿において2モデル共通の部分を語るときには,以下「AW2518」という表記を行うので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

三角柱型スタンドの天頂部にAlienHeadがいた
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 さて,AW2518は鋭角なフォルムを持つ製品である。それを際立たせているのが3本足のスタンドだというのは,わざわざ説明するまでもないだろう。
 組み立てにあたっては,AW2518の背面側にある,100×100mm型VESAマウント互換のマウント部へ,スタンドを填め込んで固定するだけだ。ドライバーなどの工具も不要で,スタンドを取り外したいときも,本体背面側のボタンを押すだけという親切ぶりである。

本体側マウント部の上部スリットにスタンド側の爪をまず挿入するようにして填め込むとロックがかかる仕組みだ。マウント部の下にはボタンの存在も確認できるが,これを押すとロックが外れてスタンドを取り外せる。やろうと思えばスタンドを立てた状態からでも取り外しは可能だ
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 ケーブルの取り回しにかなり気を使ってあるのも印象的なところで,本体側にはケーブルコネクタ部を覆う樹脂製カバーが付属しており,さらにスタンドの根本にはケーブルを左右どちらかの方向へ引き回すための穴が用意されている。これらを活用すると,外見をかなりすっきりまとめることができるだろう。

コネクタ部にケーブルを接続し,カバーで覆うと,背面はかなりすっきりした外観になる。ただ,ケーブルの脱着がしづらくなるので,頻繁に差し替える予定があるなら,あえて「カバーは付けない」のも手だ
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左はスタンド側の「穴」を見たカット。ケーブルを正面側から入れて背面左右どちらかの穴から引き出すと,ケーブルの配線をある程度すっきりさせることができる。穴はもうちょっと大きくてもよかった気はするが,デザインと実用性を兼ね備えた工夫なのは確かだ
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本体はスタンドとパネル本体の2ピース構成。パネルの手前に置いてあるのはコネクタ部を隠すカバーである。この巨大なスタンドがまんま製品ボックスに収まっているため,製品ボックスはとても大きくなった
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 ただ,そんなシンプルな組み立て仕様とすっきりした見た目を実現するため,複雑なデザインのスタンドは,この形のまま製品ボックスに入っている。結果として,製品ボックスは24.5インチサイズの液晶ディスプレイとして,かなり大きなものとなった(※実寸は計測し忘れたが)。直販や通販で購入するにあたって,この情報は頭の片隅に入れておいたほうがいいかもしれない。

脚部はパネル面を基準にすると5cmほど手前に出ている
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 見た目のアクセントになっている3本脚のスタンドだが,手前側の2本は両側に約400mm広がっており,安定感は十分にある。ちょっとやそっとの地震では倒れないであろう。

 その一方,パネル面を基準にすると手前に約50mm出っ張っている点は注意が必要だ。通常サイズの机なら問題ないだろうが,小さめの台などに設置する場合,ちょっと厄介なことになる可能性はある。

 なお,本体サイズは幅が実測約555mm,設置に必要な奥行きは同250mmと,24.5インチサイズの液晶ディスプレイとして標準的である。高さはスタンドによる調整が可能で,ディスプレイ上部の高さは392〜522mm,つまり130mmの範囲で自由に動かせる仕様だ。

高さは130mmの範囲で調節できる
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 高さ以外の調整にもひととおり対応しており,チルト(上下回転)は下方向に5度から上方向に20度まで,スイーベル(左右回転)は左右それぞれ20度まで動かせる。ピボット(縦回転)では左右それぞれ90度回しての縦画面利用が可能だ。

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スタンド側のヒンジを使ってチルトできるAW2518。可動範囲は−5度〜+25度となっている。このあたりはとても標準的な仕様だと言える
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本体を支える部分にスイーベル用のヒンジが埋め込まれている関係で,スイーベルの可動範囲は左右20度ずつとやや狭い。ただ,普通に使う限り,これで不自由することはないだろう
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ピボット機構は左右両方に最大90度回転させられる。縦画面にしたときの高さは机上からざっくり640mmだ。なので縦回転時の高さ調整はほとんど行えないという理解でいい

操作ボタンは7個。左から4つは特定の機能を呼び出す[ショートカットキー]ボタン,5個めがOSDメニューを呼び出す[メニュー]ボタン,6個めはOSDを閉じる[終了]ボタンとなる。少し離れた右端のボタンが7個めで,これが電源オン/スリープ用だ。右端のボタンにはLEDが埋め込んであり,電源オン時は白,スリープ時には青く光る
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 OSDや電源の操作ボタンはパネルの左手のフチの下に7個ある。お世辞にも操作しやすいとはいえないが,操作性については後段で細かく触れたいと思う。
 以上がAW2518に共通の仕様だが,ビデオ入力周りでは大きな違いがある。具体的には以下のとおりで,端子の数だけでなく,HDMIのバージョンも異なる点には注意が必要だ。

  • AW2518H:DiplayPort 1.2×1,HDMI 1.4×1
  • AW2518HF:DiplayPort 1.2×1,HDMI 2.0×2

AW2518H(左)とAW2518HF(右)のインタフェース部。AW2518Hでサービスポートとなってカバーが付いているところがAW2518HFだとHDMIポートになっている。ビデオ入力以外の端子は共通で,USB 3.0 Type-A×4ポートのハブ(※アップリンクはType-B)機能と,ライン出力およびヘッドフォン出力用の3.5mmミニピンアナログ端子×2がある
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 映像入力系統が2機種で異なるのは,G-SYNCの場合,映像処理をNVIDIAのカスタム基板が受け持つためという理解で間違いないだろう。映像入力やHDMIサポートがFreeSync対応機に比べて弱いのはG-SYNCを採用するための代償という言い方もできる。

AW2815Hの背面にはパネルマウント部を中心にして放射状に3本のラインが走り,それとAlienHeadの4か所にLEDイルミネーションがある
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 もう1つAW2518HとAW2518HFで異なる点としては,背面のLEDによるイルミネーションの有無だ。AW2518Hだけ,背面のAlienheadと,3本あるライン部にLEDイルミネーションが埋め込んであり,OSDメニューの「AlienFX照明」からカスタマイズできるようになっている(※今回は機材の都合で確認できていないが,ALIENWARE製PCの「AlienFX」からも設定できると思われる)。

 AlienFX照明では,20色中1色を選んで点灯させられるだけでなく,赤,オレンジ,黄,緑,青,濃紺,紫の順で色が自動的に変化する「スペクトラム」というエフェクトを設定することができる。

LEDの色を上段左から順に赤,緑,水,下段左から青,橙,紫と変えてみた例。AlienFXは伝統的に細かな色指定は行えず,今回もたとえば白などは選択できないが,色自体はまずまず素直に出ている。ただ,青はちょっと薄いかも
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AW2518HFの本体背面。こちらはAlienHeadも含めて光らない
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 室内の間接照明的な用途での効果は「壁の近くに置いて,かつ部屋を暗くすると,光が多少反射して,環境光としての雰囲気を作ってくれる」程度。煌々と光るものでもないので,基本的にはLANパーティなどでの見栄え対策といったところではなかろうか。
 なお,AW2518HFのほうは,3本のラインだけでなく,AlienHead部のLEDイルミネーションもない。


機能面にも微妙な違いがあるAW2518HとAW2518HF


 AW2518HとAW2518HFはOSDも基本的に共通だ。本体正面向かって右下に並んだOSD操作系ボタンのうち,左から5個めの[メニュー]ボタンを押すと,OSDメニューを呼び出すことができる。

AW2518HのOSDメインメニュー。AW2518HFも「AlienFX照明」がないことを除けば同じ見た目だ
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 画質や応答速度など,ゲームのための設定はすべてサブメニューの「ゲーム」以下にある。
 「ゲーム」で設定できるのは「プリセットモード」「ゲーム向上モード」「応答時間」「ULMB」「明るさスタビライザー」の5種類の設定だ。

 プリセットモードは,用途に合わせてALIENWAREが推奨する画面の色合いに切り換える機能だ。選択肢は「標準」「FPS」「RTS」「RPG」「ゲーム1」「ゲーム2」「ゲーム3」「ComfortView」「暖色」「寒色」「ユーザーカラー」の10通りで,このうち「ゲーム1」「ゲーム2」「ゲーム3」「ユーザーカラー」はユーザーがカスタマイズできる。他社製品だと,このプリセットには色合いだけでなくオーバードライブ設定も含んでいたりするが,AW2518のプリセットはあくまでも色合いのみだ。
 それ以外のメーカープリセットはブラックボックスで,いわゆる「メーカーお仕着せ」である。そこで,「DOOM」の1シーンを使い,実際にどんな色合いになるか撮影してみたので,下に示しておきたい。結論から先に言うと,AW2518HとAW2518HFで,同じ名前のプリセットを選択した場合,見た目もおおよそ同じような色合いになるようだ。

色の違いをはっきりさせるため,各プリセットモードの撮影結果を1枚の画像に並べてみた。パナソニック製のミラーレスカメラ機「DMC-GX8」を用い,シャッタースピード4分の14秒,絞りF4.4固定で撮影したものである。見比べると,AW2518HとAW2518HLの間に微妙な色味の違いは確認できるものの,おおよそ同じ色合いになるようチューニングしてあるのが分かるだろう。なお,筆者のミスによりAW2518HLの「ComfortView」撮影時にメニューをポップアップさせたままになっているが,その点はご容赦を
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 面白いのは,「ゲーム1」「ゲーム2」「ゲーム3」では微妙な違いがあったことだ。AW2518HだとRGB各色の強さを「RGBの利得」としてカスタマイズできるだけなのに対し,AW2518HFでは「利得」「オフセット」「色相」「彩度」の4種類をカスタマイズできるのである。
 ここでも,G-SYNC用の制御基板を搭載することの制約をAW2518Hは受けているということなのだろう。

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これはAW2518HFで「ゲーム1」「ゲーム2」「ゲーム3」を選択したときに現れるサブメニュー。AW2518Hでは「利得」しか設定できないが,AW2518HFでは画面のように4種類の設定がある
画像集 No.031のサムネイル画像 / ALIENWARE「AW2518H」「AW2518HF」レビュー。240Hz+G-SYNCと240Hz+FreeSync,同時展開となるディスプレイはベストの選択肢か?
「利得」のカスタマイズ。AW2518Hではこれしか設定できない。RGBそれぞれの利得を0〜100%まで1%刻みで調節できる項目である
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「オフセット」ではRGBのオフセット値を0〜100%の範囲から1%刻みで設定可能。標準は50%である
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「色相」の設定。RGBCMYそれぞれを0〜100%の範囲から1%刻みで色相の設定を行える。これも標準は50%
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「彩度」の設定。RGBCMYそれぞれを0〜100%の範囲から1%刻みで彩度を設定できる。やはり50%が標準

「ゲーム向上モード」のサブメニュー
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 「ゲーム」メニュー2番めの「ゲーム向上モード」には,「タイマー」「フレームレート」「ディスプレイ配置」という3つの設定がある。ただ,正直な話,どれもほとんどゲーム用途では役に立たない。あえて言えば,画面左上にリアルタイムのフレームレートをオーバーレイ表示できる「フレームレート」は使い道がありそうだが,30〜90分の範囲から10分刻みで設定できる「タイマー」は,はっきり言って設定できる幅がアバウトすぎて,用途がほとんど見えない。また,「ディスプレイ配置」は複数台並べて使うときに位置合わせを行いやすくするバーを表示するというだけの機能である。

「タイマー」だと画面左上でカウントダウンが進む(左)。大きくて結構邪魔だ。右は「フレームレート」を選んでフレームレート表示を行っている例
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 「応答時間」は液晶パネルの応答速度を向上させるオーバードライブに相当する機能だ。選択肢は「通常」「高速」「超高速」の3段階。それぞれの効果は後段で検証したい。

 1フレームごとに黒フレームを挿入して見栄えのシャープさを向上させる機能で,NVIDIAがG-SYNCとセットで導入している「ULMB」(Ultra Low Motion Blur)は,AW2518Hのみがサポートする(※AH2518HFにもULMBメニュー自体は存在しているが,選択不可)。
 AH2518Hでは,ULWBの有効/無効切り替えと,有効化したときのバックライト明滅パルス幅が調整可能だ。

 黒フレームを挿入することで見た目のシャープさは上がるものの,その原理上,1フレーム遅れるため,高リフレッシュレートの利点がほぼなくなってしまうのがゲームにおける難点だろう。なのでNVIDIAは非ゲーム用途で訴求していたのだが,AW2518ではゲーム関連の項目にあるので,ここは注意しておきたいところである。
 なお,ULMBを利用できるのは垂直リフレッシュレート設定が100Hz,120Hz,144Hzのときのみで,それ以外では使えない。

 最後の「暗さスタビライザー」はコントラストやガンマ値を調節して暗部を持ち上げ,暗いところで敵を見やすくする機能だ。ゲーマー向けディスプレイにおける定番機能である。
 AW2518では1(標準)〜9(最大)の9段階で強度を設定できたので,今回は例として,AW2815Hから1,5,9を選択したときの様子を下に示しておきたい。強度を上げるほど床や天井右側にある暗部が見やすくなるが,AW2518では意外に極端な効き方はせず,おだやかに暗部が持ち上がっているため,白飛びが存外に少ないのが分かるだろう。この種の機能としては割と使いやすい部類と言ってよさそうだ。

左から順に「暗さスタビライザー」設定1,5,9。サムネイルは全体の一部をトリミングしているが,ここでは床の模様の浮かび上がり方に注目してほしい。また拡大画像では,天井左右の暗部が暗さスタビライザーの強度設定によって変わってくるのが分かると思う
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OSD操作周りはかなり厳しい


 以上,ゲームで使う設定を概観してきたが,問題が1つある。それは,AW2518のOSDメニューがとにかく操作しづらいことだ。

ボタンの位置に合わせ,「それぞれ何の機能か」を示すポップアップ表示は出てくるものの,分かりやすくはない。またメニューを開くとカーソルの上下左右移動と決定・キャンセルを横一列並びのボタンで行う必要がある
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 前段で触れたとおり,[ショートカットキー]ボタンが4個ある。向かって左から「プリセット」「ゲーム向上モード」「暗さスタビライザー」「輝度/コントラスト」が割り当てられ,メインメニューを通さず一発で呼び出せるようになっていて,ここには一定の配慮の存在を認めることができるだろう。
 問題は,カーソルの移動や決定,キャンセルを横並びのボタンで行わなければならないところにある。「横一列に並んでいるボタンでカーソルを上下に動かす」というのは直感にまったくそぐわないためミスを連発しやすいというのは,説明するまでもないだろう。イライラ感満点だ。

 実のところ,AW2518HF限定のWindows用ソフトウェアとして「DELL Display Manager」(以下,DDM)が用意されており,これを使えば,AW2518HFでは,OSDメニューにおける「プリセットモード」と「輝度/コントラスト」の項目はWindowsデスクトップ上から変更できるようになる。

DDMから「プリセットモード」を変更しようとしている例(左)。右は「自動モード」というDDM独自機能で,実行ファイルを登録しておくと,アプリケーションの起動にプリセットの切り替えを連動させることができるようになる
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 DDMはなかなか便利なツールではあるのだが,OSD側すべての設定を含んでいないため,面倒なOSDメニュー操作から解放されるわけではない。また,そもそもAW2518HのほうはDDM非対応だ。
 DDMはディスプレイインタフェースに含まれるDisplay Data Channelを使ってPCとディスプレイの間で情報のやり取りを行うが,前述のとおり,AW2518HではディスプレイインタフェースがNVIDIA製カスタム基板の支配下にあるため,DDMの情報をディスプレイへ送れないのだろうと容易に想像できるが,いずれにせよ,2017年のゲーマー向けディスプレイとして,AW2518のOSD操作周りは,お世辞にも褒められたものではない。


240Hz+新世代ディスプレイ同期技術は「すごい」の一言


 AW2518が持つ最大のウリが,垂直リフレッシュレート240Hzと,G-SYNCあるいはFreeSyncを同時にサポートしている点であることは論を俟(ま)たない。
 まだまだ240Hzのネイティブ対応を実現したディスプレイの選択肢自体が多くないなかで,G-SYNCとFreeSync,どちらとも組み合わせて使えることを選択肢として用意してきたのが,復活を果たしたALIENWAREディスプレイ第1弾の見どころとも言えるだろう。

 設定できるオーバー60Hzの垂直リフレッシュレートは,AW2518Hが100Hz,120Hz,144Hz,200Hz,240Hzの5通り。一方のAW2518HFだと120Hz,144Hz,240Hzの3通りだった。

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AW2518Hのテストには「GeForce GTX 1080」を使っている。設定できるリフレッシュレートは100Hz,120Hz,144Hz,200Hz,240Hzだった
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テストタイミングの都合で,AW2518HFのテストには「Radeon R9 Fury」を利用。設定できたリフレッシュレートは120Hz144Hz240Hzだ

 垂直リフレッシュレート240HzとG-SYNCあるいはFreeSyncを組み合わせるとどんな映像になるか。一言でまとめるなら,「動いている映像でも物体がくっきりと見える」映像だ。そのシャープさは一度見れば忘れられないほど強烈だが,文章でくどくど言ってもなかなか伝わりにくいだろう。

 というわけで,今回も「Project CARS」を用い,ハイスピード撮影に対応したソニー製コンパクトデジタルカメラ「RX100IV」で960fpsで撮影した動画を実例としていくつか掲載してみたい。Project CARSはレースゲームなので,横方向の速い動きがあり,ハイスピード撮影による違いが分かりやすく,また,リプレイ再生ならゲーム側の操作が不要で,撮影に専念できるという筆者側の都合もある。
 なお,AW2518の2製品でプリセットモードは「標準」,応答速度は「高速」にしている。「暗さスタビライザー」は標準の「1」のままだ。

 さて,Project CARSは相応に描画負荷の高いタイトルなのだが,それでもグラフィックス描画品質設定を最低ラインにまで下げると,GeForce GTX 1080(以下,GTX 1080)で200fps前後,Radeon R9 Fury X(以下,R9 Fury X)で170fps前後の平均フレームレートが得られるようになる。240fpsには達していないものの,G-SYNCやFreeSyncの効果は分かるはずだ。

 まずはAW2518H+GTX 1080の例から見ていこう。下は垂直リフレッシュレート設定120Hzおよび240Hzにおいて,G-SYNC無効かつVsync無効設定を行ったときの結果だ。120Hzだとスタッター(stutter,フレームのカクつき)はほとんど見られない一方,フレームが上下に切れるテアリング(tearing)を確認できる。
 なら240Hzはというと,スタッターもテアリングも確認できるようになる。このスタッターやテアリングが,高垂直リフレッシュレート時における画面の滑らかさやシャープさを損なう要因になっているわけだ。


 続いては,リフレッシュレート設定はそのまま,G-SYNCも無効のままで,Vsyncだけ有効化したときの結果である。Vsyncを有効化したためテアリングはまったくなくなったが,代わりに120Hz,240Hzのどちらでもスタッターが見られるようになった。このスタッターが画面の見た目を損なう要因になってしまう。


 というわけで,G-SYNCを有効化した結果が下である。原理どおり,120Hz,240Hzのどちらにおいてもスタッターやテアリングは皆無になる。これによって画面が非常にシャープに見えるようになる,というわけだ。
 さらに,240Hz設定時は,960fpsのハイピード撮影を行った動画を通常速度で再生しても「動画に見える」程度にスムーズという点にも注目してほしい。画面のスムーズさで120Hz設定時よりも240Hz設定時のほうが圧倒的に上回っているわけである。


 続いてはFreeSyncに対応するAW2518HFだ。垂直リフレッシュレートを120Hz,240Hzで切り換えるところは先ほどと同じだが,FreeSyncもVsyncも無効化すれば当然のことながら結果は最初のムービーと変わらなくなるので,ここではFreeSyncを有効化したまま,Vsyncの有効/無効を切り換えてみることにした。
 FreeSyncはその仕様上,Vsync有効化を併用した場合は,テアリングがなくなる代わりにフレームレートが垂直リフレッシュレートの上限で抑えられるようになる。他方Vsyncを無効化した場合,フレームレートが垂直リフレッシュレートを超えたときに限りテアリングが発生する仕組みだ。
 まず,垂直リフレッシュレート120Hz設定時の結果から見ていこう。下がそのムービーだが,ここではフレームレートが垂直リフレッシュレートを超えるため,テアリングが生じているのが見て取れると思う。見た目にも,やや画面のシャープさが欠ける印象になる。
 240Hz設定だとフレームレートが垂直リフレッシュレートを超えないため,とてもスムーズな映像が得られた。


 Vsyncを有効化すると,120Hz設定時にテアリングがなくなるものの,スタッターが若干見られるようになる。240Hz設定だとスタッター,テアリングともなく,Vsync無効時と変わらないシャープさが得られている。


 というわけで,垂直リフレッシュレート240HzとG-SYNCもしくはFreeSyncを組み合わせた場合,少なくとも現時点では最も優れたPCゲーム映像が得られる。これはもう間違いないと断言できるレベルだ。
 一度見たら忘れられないほど素晴らしいので,多くの人に体験してもらいたいというのが筆者の本音である。


遅延やオーバードライブの性能はいまひとつか


 最後に遅延やオーバードライブについてもチェックしておこう。といっても,現在のところ,DisplayPort 1.2に対応できるスプリッタは,少なくとも普通に入手できるレベルでは,業務用機材も含めて流通していない。4Gamerで持っているスプリッタだと1920×1080ドット解像度においてDVIで最大120Hzか,HDMIで最大60Hzまでの対応となってしまう。AW2518はDVI入力を持たないので,今回はHDMIスプリッタを使ってテストするほかないのである。
 甚だ不完全なテストで申し訳ないが,物理的に対応できないのでやむを得ない。

 ただ,やらないよりはやったほうがいいだろうということで,まずはAW2518Hから見ていくことにしよう。比較対象としては,4Gamerのディスプレイレビューにおけるリファレンス機となる,垂直リフレッシュレート144Hz対応のBenQ ZOWIE製ディスプレイ「XL2430T」を用意している。
 テストは,無銘のHDMIスプリッタ経由で接続したAW2518HとXL2430Tと並べ,PC上で「LCD Delay Checker」(Version 1.4)を動作させ,その様子を「RX100IV」で960fpsで撮影し,結果としてのビデオを再生して比較するという流れだ。
 XL2430T側は,「画像モード」を「FPS1」にし,「AMA」は「高」,「インスタントモード」は「オン」という,最も低遅延が期待できる設定にしている。

 下に示したのは,AW2518H側の「応答時間」設定を「通常」「高速」「超高速」の3段階から切り替えながら,960fps高速撮影を行ったものだ。どの設定でも0.5フレーム前後,AW2518Hが確実に遅れていることを見て取れると思う。


 AW2518HFでも同じように960fps高速撮影を行ってみた。AW2518HとAW2518HFは映像回路がやや異なるはずだが,遅延に関してはさほど変わらず,比較対象機に対して0.5フレーム程度遅れているのが分かる。


 あくまでも今回のテスト結果は垂直リフレッシュレート60Hz設定時の話になるが,AW2518は既存のゲーマー向けディスプレイに比べると若干ながら表示遅延が大きいとは言えそうだ。垂直リフレッシュレートを上げていったときどうなるかが分からないのは残念だが,こればかりは致し方ない。

 お次はオーバードライブだ。
 ここではEIZOが公開している「Motion Blur Checker(Beta)」を利用して,4Gamerのロゴ壁紙を1フレーム単位で横スクロールさせ,それをRX100IVを使って960fps撮影したもので比較してみたい。

 下はAW2518Hを使い,リフレッシュレート120Hzと240Hzの両方で応答時間の設定を「通常」「高速」「超高速」の3段階から切り替えたときの結果だ。ちょっと分かりにくいが,それでも,横スクロール移動を注意深く見ると,標準,高速,超高速の順で動きがシャープになっていくことが見て取れると思う。
 ただ,「高速」以上では画像のエッジにゴーストのような不自然さが現れる。とくに「超高速」ではそれが強く出る印象だ。
 ちなみに,「超高速」だと見た目にも映像が不自然になるので,常用はお勧めしにくい。


 また,240Hzの設定ではいずれも止まっているフレームが見られないことも確認できると思う。
 撮影のフレームレートは960fpsなので,1フレームあたり1.04ms。一方,240Hzなら1フレームあたり4ms弱という計算だ。なので,せめて2フレーム程度でも止まっているフレームが続いていれば「垂直リフレッシュレート240Hzに追いついている」と言えるが,いずれのフレームでもロゴが動いているので「4ms弱では応答できていない」と判断できる。
 液晶パネルのスペックだと中間調で応答速度1msだが,現実と照らし合わせるに,あくまでもカタログスペックということだろうか。

 下のムービーは,同じテストをAW2518HFで行ったときの結果である。非常に面白い点としては,AW2518Hで目立っていた「高速」「超高速」設定時におけるエッジの不自然さが,AW2518HFではやや緩和されていることが挙げられるだろう。見た目にもAW2518Hと比べ,「超高速設定」における不自然さはかなり和らいでいるので,オーバードライブの仕様がAW2518Hとは異なるのではなかろうか。
 なお,オーバードライブの効き方自体もAW2518Hに比べるとややマイルドな印象がある一方で,240Hzに追随できていない点はAW2518Hと変わらずだ。



240Hz+G-SYNC/FreeSyncは文句なしに魅力。だが総合的にはあと一歩?


画像集 No.048のサムネイル画像 / ALIENWARE「AW2518H」「AW2518HF」レビュー。240Hz+G-SYNCと240Hz+FreeSync,同時展開となるディスプレイはベストの選択肢か?
 以上、AW2518を見てきたが,最大のウリでもある垂直リフレッシュレート240HzとG-SYNCもしくはFreeSyncがもたらす映像には文句の付けようがない。AW2518HとAW2518HFを同時展開して,すべてのPCゲーマーに対応してきたことは大いに歓迎したいところだ。

 ただ,全体としては,細部のそこかしこに今ひとつ感が漂っており,それが総合点を押し下げている。

本文ではあえて触れなかったが,スタンドにも残念ポイントがある。というのも,「ALIENWARE」の文字が刻印ではなくシールなのだ。なので,けっこう簡単に剥がれてしまう
画像集 No.049のサムネイル画像 / ALIENWARE「AW2518H」「AW2518HF」レビュー。240Hz+G-SYNCと240Hz+FreeSync,同時展開となるディスプレイはベストの選択肢か?
 まずOSDの操作性は昨今のゲーマー向けディスプレイの中では最悪の部類の1つに入ると断言できる。DDMですべての機能を賄えるなら「ああ,ボタン操作は捨てて,マウスオペレーションに特化したのね」という話になるが,DDMの中途半端さが余計に残念さを増している印象だ。とくに最近,競合各社はディスプレイ設定周りの操作性向上に力を入れているだけに,「遅れてきてこれ」というのには前時代感を抱かざるを得ない。

 遅延に関しては,60Hz設定でしか試せていないものの,リファレンス機材に対してきっちり0.5フレーム遅れるのが問題だと感じた。AW2518Hでオーバードライブを強くしたときのゴーストも気になるところだ。

 ただ,こういう明らかな減点があっても,なおAW2518には高得点を与えられると言えるくらいには,垂直リフレッシュレート240Hz+G-SYNC/FreeSyncは魅力的なのである。操作性やちょっとした遅延は二の次で,とにかくヌルヌルでシャープな映像を手に入れたいというゲーマーなら,復活したALIENWAREのディスプレイは考慮に値するだろう。

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デルのAW2518H製品情報ページ

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