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[TGS 2009]プロデューサーが語る「アサシン クリード II」の魅力。ユービーアイがプレス向けカンファレンスを開催
余談ながら,海外メディアの数が非常に多く,それほど広くない室内は英語ばかりが飛び交う世界となり,9月23日に掲載したエレクトロニック・アーツのプレゼンテーション同様,果たしてここは日本なのだろうかという雰囲気。さすが,アジア最大のゲームショウであるTGS 2009だけのことはある。
そんな,海外メディアも熱い視線を送る展示タイトルは以下のとおり。括弧内は日本語版の対応機種(ただし,あくまで現段階におけるものだ)。
- 「アサシン クリード II」(PlayStation 3,Xbox 360)
- 「スプリンターセル コンヴィクション」(Xbox 360)
- 「アバター THE GAME」(PS3,Xbox 360,NDS)
- 「レッドスティール2」(Wii)
- 「ラビッツゴーホーム」(Wii)
また,今のところ日本展開が予定されていない作品として,第二次世界大戦をテーマにしたRTS「R.U.S.E.」も展示されていた。R.U.S.E.は,フランスのEugen SystemsとUbisoftが共同開発しており,対応機種はPCのほか,PlayStation 3とXbox 360。2010年第1四半期の発売を目標に制作が進められている。
ここでは以上の作品の中から,TGS 2009の会場でプレイアブル展示中のアサシン クリードII(以下,AC2) をピックアップして,カンファレンスで得られた最新情報なども含めておさらいしていこう。ちなみに,E3 2009でもGamescomでも映像展示だけ(しかも,Gamescomで一般向けに公開されたのはE3 2009のムービー)だったアサシン クリードIIが,TGS 2009ではプレイアブル展示。記憶している限り世界初っぽい気がしてならないので,すごいかも。
300人以上のスタッフをまとめ,800万本以上のセールス(2009年4月までの累計)をあげた大ヒット作の続編を作るに当たって,プレッシャーは感じなかったか? というこちらの質問に,「もちろん」と答えるパトリス氏だが,それは我々メディアや会社の上層部からのものではなく,「前作より面白いものを作らなければならない」という開発チーム内部からのプレッシャーだったとのこと。モントリオール生まれでモントリオール育ち,Ubisoftに在職して13年になるパトリス氏にとって,Ubisoftのモントリオールスタジオは(偉い人を含めて)みんな家族みたいなものなのだそうだ。それに,プレッシャーをあまり感じないのは,フランス系カナダ人の特徴でもあるという。ホントかしら?
今回のデモプレイでは,一般メディアに初めて公開されるシーンが使われていた。オープニングは,ろうそくの明かりのゆれる薄暗い部屋。本作の主人公となる若き貴族兼暗殺者,エツィオ(Ezio Auditore Da Firenze)が,あるミッションを引き受けるところから始まる。
裏切りによって家族を殺され,復讐のために殺しを重ねるエツィオだが,どういうことなのかちょっと分からないものの,今回のミッションもまた敵の陰謀を暴く助けになるはずだ。見かけは貴族だが,前作の主人公アルタイルと同様,彼の中には暗殺者の血が脈々と流れているのだ。流れているのだが……。
エツィオが立ち寄ったのは仕立て屋。お金を払えば,ここで彼が身にまとっている衣装の色などをカスタマイズできるし,ショルダーやチェスト,ブーツなどの防具をアップグレードすれば,防御力もアップする。これが噂の「仕立て屋システム」って,そのまんまだが,さすがはイタリア人,おしゃれにもスキがない。さらに,イケメンのイタリア貴族として女性にも強く,たいへんうらやましい。
エツィオが進む先にはメディチ家の番兵が立っている。仕立て屋でメディチ家の紋章のついたケープを購入すれば黙って通してくれるが,今回は,街角に立っているキレイなお姉さん達を使うことにした。キレイなお姉さん達にお金を渡してお願いすれば,番兵を誘惑し,そのスキに駆け抜けられるのだ。彼女達が笑いさざめきながら兵士達に近づいていくと,こわもての兵士達も思わず気を許してしまう。うっしっし,万事計画どおり。
このように再三「お金」の話が出てくるが,AC2には新たに「経済システム」(Ecology System)が導入されており,アイテムなどを購入すること以外,仲間を雇ったり情報を得たりと,さまざまな局面にお金が登場する。粗衣粗食,万事ストイックなアルタイルとは若干違うようだ。
お金はもちろん暗殺の報酬として得られるほか,道行く人々から「スる」こともできる。スリ行為はまさに“一瞬芸”で,前作のようにこっそりターゲットに近づいてタイミングを見計らう必要はない。ついでながら,貧乏人の多い地区でスリを行っても,あまりお金にならないようだ。せちがらいなあ。
経済システムの導入はゲームをより面白くするために行われたのだが,パトリス氏によれば歴史的な背景も考慮したとのこと。貿易で富を築き,ルネサンス運動の中心地となったフィレンツェで栄華を誇ったメディチ家はまた,史上初の銀行家でもあった。「銀行」が始まったのはまさにこの時代,この場所でのことなのだ。
ちなみに,そのへんに適当にお金をまくと,周囲の人々がキャーキャーいって大喜びするので,その混乱にまぎれて逃げ出すということも可能だ。これは見ていてかなり面白いが,お金がいくらあっても足りなさそうである。
番兵をうまくかわしたものの,建物の壁を這い登っているうちに足を滑らし,結局番兵に気づかれてしまうエツィオ,というかパトリス氏。仕方なく新アイテムの「煙幕」を使って文字どおり敵を煙に巻き,運河に飛び込む。これは何度か書いているが,フィレンツェ生まれの彼は泳ぎも達者だ。ある程度の時間潜っていると,追っ手が彼の姿を見失うので,前作の「空中庭園」的に使えるのかも知れない。もっとも,あまり長く潜ってはいられないので,空中庭園ほど万能ではないようだ。
そのまま,停まっていたゴンドラに乗り込み,目的地に向かってこぎ出すエツィオ。このあたり,非常にエキゾチックな雰囲気が漂う。ただし「ゴンドラは漕ぐけど,カンツォーネは歌わない」(パトリス氏)そうだ。
前作には「アルタイルが強くて,戦闘がやさしすぎる」「(スニークなど)いろいろな作戦を立てる必要がなく,飛び込んでいって殺して走って逃げればなんとかなる」といった不満点が挙げられていたが,本作では逆に「多彩な武器による戦闘の爽快感」が追求されており,戦いを困難にするという方向には行かなかった。その代わり,前作でやや作業感の強かったミッションの内容をあらため,プレイに変化を与えるというゲームデザインになった。つまり,目的に至る道が多彩に用意され,プレイヤーは好きな方法でさまざまな問題を解決していくというわけだ。暗殺行為そのものはその結果であり,そこでは胸のすくようなエツィオの戦いぶりが堪能できるというわけだ。
「ミッションはComplexだがComplicateではない」とパトリス氏。どっちも日本語にすると「複雑」なので微妙なニュアンスだが,そういうことらしい。正直,このあたりは実際にプレイしてみないとなんともいえないものの,「簡単だったので難しくしました」という単純な解決策をとっていないのは間違いない。
かくして,最後の一太刀をターゲットに浴びせるエツィオ。いまわの際に相手が重要なことを言い残すのは前作と同じで,今回も何か言っていたけど意味はさすがに不明。同時にデモプレイも終了した。いろいろはしょってしまった部分もあるが,それはまた後日あらためて紹介したい。「ポイズン・ブレード」って面白そうですよ。
グラフィックスの見事さが賞賛された前作アサシン クリードだが,今回は壮麗な建築物が建ち並ぶ中世イタリアを舞台にしているだけあって,さらに気合が入っている。エツィオがミッションをコッソリ行う街もフィレンツェを始め,ベネチアやトスカーナ地方,サン・ジミニャーノ(ユネスコの世界遺産に指定されている),そして街と街をつなぐ山岳地帯や,フィレンツェの西にある湿地帯,さらには永遠の首都ローマなど,ロケーションは豊富。いずれも徹底的なリサーチが行われ,正確な(ゲーム的なアレンジはあるけど)中世の街並みを再現しており,思わず行ってみたくなる。
月を背景に鐘楼の上から描き込まれた街を見下ろすエツィオの姿はまさに「よ,千両役者」と言いたくなるほどだ。昨日(9月24日)に掲載したムービーの記事にもあるように,日本語版の発売も12月3日と決まった。なんだかんだいっても,2009年を代表する魅力あるタイトルであるのは間違いないだろう。
最後に,パトリス氏のメッセージをもらった。「最も安くイタリア旅行がしたければ,アサシン クリード IIをプレイしてください」。なるほど。
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アサシン クリードII
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(C)2007-2009 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin's Creed, Ubisoft, Ubi.com and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
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