レビュー
時間があるときにみっちり遊びたい,上達の喜びが味わえる良作アクション。セクシーな女性キャラにも注目のPS3「NINJA GAIDEN Σ2」
» 4Gamerスタッフやライターが,個人的にオススメのゲームを紹介する不定期連載「極私的コンシューマゲームセレクション」。えらい久しぶりとなる今回は,ライターの高橋豪氏が,テクモのPS3用ハイスピードアクション「NINJA GAIDEN Σ2」を紹介する。ちょっと難しいゲームだが,上達への筋道がきっちり用意されている良作なので,本作を敬遠していた人もぜひご一読を。
このシリーズは,超忍リュウ・ハヤブサを操作し,さまざまな武器で敵をなぎ倒していく3Dアクションゲームで,過激な演出や,派手なアクションを楽しめるコアなタイトルとして認識している人も多いだろう。実際,半端なやる気などくじいてしまうほどのヒリヒリしたアクションが楽しめるシリーズであり,前作でも低い難度で遊ぼうとすると「そんなことで本当に良いのか?」と見下すような演出が入るほどだった。
本作「Σ2」は,Xbox 360専用ソフトとして2008年にリリースされた「NINJA GAIDEN 2」をベースに新要素の追加や難度調整などを施したもの。メインモードは,超忍リュウ・ハヤブサを操り,邪神の復活を企てる地蜘蛛一族の野望を阻止すべく戦う……という大筋に変更はない。ただし,前作「Σ」から引き続きレイチェルが,そして,新たにあやね,紅葉といったシリーズキャラクターが,新規プレイアブルキャラクターとして加わっている点が見逃せない。それに伴い,チャプター数が14から17へと増え,若干のボリュームアップも図られている。
満開の桜の中,凄惨な戦いが繰り広げられる。綺麗な背景と妥協のないアクション描写が本作の魅力なのだ。脚を切り飛ばされた敵にもご注目 |
チャプター11「水都の夜」冒頭,美しい満月を背後に跳躍するあやねの登場シーン。彼女ら新キャラクターの登場もうれしい |
シリーズを通じて難度の高さが話題になってきたため,アクションゲームに不慣れな人には,ハードルの高いタイトルに映っていたことだろう。しかし「Σ2」は,ゲームバランスがかなり調整され,間口は確実に広がっている印象だ。
また新規プレイアブル女性キャラクターの性能はいかなるものなのか? 本作(女性キャラ?)に興味はあるものの,難しくて楽しめないのではと,足踏みしている人に向けて,ゲームの魅力を紹介していこう。
敵の猛攻に戸惑いながらも,少しずつ
各種テクニックが習得していける
「忍法」の発動を行うにはMPに相当する「気力」が必須。これは敵を倒すと手に入れられる,レッドエッセンスがその源だ |
しょっぱなから集団で襲ってくる忍者達。最初は一人ずつ出てくるもんじゃないのか? と思いつつ,なるほどこういうところが「ぬるくない」と言われる所以かと納得。まずは様子見とばかりに敵の攻撃をL1ボタンのガードで防いでみる。しかし,4回目でガードを崩されてしまう。防御を固め続けるなんていう甘い考えは許されないというわけだ。
一太刀受けるたびに容赦なく削られるHPに冷や汗をかきながら(最初の敵でゲームオーバーなんてさすがに恥ずかしすぎる),Xボタンのジャンプ,もしくはL1ボタンとLスティックの組み合わせによる素早い移動「裏風」を使ってこれを回避。□(早い攻撃)と△(強い攻撃)単体,もしくは二つのボタンを組み合わせた連続攻撃で反撃に転じる。
△ボタンの長押しにより,自動で攻撃を行う「絶技」が発動。溜め時間中に攻撃を受けるとキャンセルされることがあるため,出しどころの見極めが求められる技といえる |
容赦ない敵の攻撃を避けつつ,受けつつであったため,危ない場面もあったが。2,3回戦うとHPの回復とセーブが可能な「龍祖神像」が発見でき,回復アイテムなどを使いながら何とか進むことができた。
一方的な思いこみでいろいろ大苦戦!?
両手を前にがくりとうなだれたこの体勢が,「滅却」を打ちこむチャンスだ。起き上がる前に急いで頭へ接近し,滅却せよ |
ボスの中には瀕死に近いダメージを与えるとダウン状態になるものがいる。この状態になったときに,急所である頭部近くで△ボタンを押すことで,ボス専用の「滅却」が発動し,ようやくトドメが刺せるのだ。このタイミングを逃すとせっかく削った体力を回復され,やり直しとなってしまう。
チャプター1の大仏と,チャプター4の自由の女神がこれに当たり,筆者は大仏を倒したにも関わらず,自由の女神の攻略にひどく手こずってしまった。さんざん頭をひねったが,分かってみれば実にカンタンだった。自由の女神をダウンさせるには点滅する喉の部分に「破魔弓」で攻撃を行う。筆者は,ダウンさせても点滅が止まぬ肩や腕が急所だと思いこみ,矢を放ち続けていたというわけだ。お恥ずかしい話である。
ここが問題の場所。「無影脚」の走行距離,ギリギリの場所でジャンプを行う必要がある。絶妙のタイミングをつかむまでが大変 |
チャプター10の後半に挑む時計塔ステージは,足場が回転する歯車であるため,技の成否が非常にシビアだ |
――恥かきついでに暴露すると,実は自由の女神戦前にも移動アクションがままならず,超えられずにいた場所がある。
そこはチャプター3前半,ニューヨーク内での市街戦を終えたあとに進む下水道の構内。足下には進行を妨げる大穴が口を開けている。その大きさはジャンプでは到底超えられない。二段ジャンプか? と思いきやそれは素人の意見だ(そもそもリュウは二段ジャンプができない)。この手の大穴は壁走りのアクションである「無影脚」で走り抜けるのがお約束。こうしたニンジャっぽいアクションが楽しめるのも本作の楽しいところである。
テンポ良く×ボタンを押すことで壁を蹴り,登っていく「飛鳥返し」。壁走りの「無影脚」と同様,忍者らしいアクションといえよう |
しかし,現場に戻ってみてはたと気づいた。ここの長い壁にはその中間にパイプが突き出ていたのだ。つまり,そのまま走り抜けるわけではなく,パイプを経由しなければならないのだ。練習の後はしっかりそれを応用した技術が試されるわけで,やはりこのゲーム,ぬるくはない。
こうした移動アクションも,攻撃技と同じように徐々に習得していけるようになっている。何度も練習し完全に自分のモノとなると,普通のアクションゲームではできないようなアクションが可能となるので実に楽しい。派手さのない地道な努力の積み重ねは,なかなか厳しいものがあったが,初心者に対する配慮が随所に見られるのが大きな救いである。
武器を使い分ければ異なった破壊の感触が楽しめる
初心者には欠かせない回復アイテムなどを売ってくれる「ムラマサショップ」では,武器の威力を上げる鍛錬も行える |
スピーディに振り回される「ヴィゴリアンフレイル」に備わった対の鎌。これは,接近する動きが読みづらい,フォッグフィッシュの迎撃に最適だ |
打ち砕き,斬り刻み,爆破する。武器により異なった破壊の感触が楽しめるのは,まさに本作ならではの醍醐味といえよう。また△ボタンを長押し後に発動し,さらに自動で攻撃を繰り出す“絶技”だが,これは装備武器の種類により異なった効果を発揮する。「破砕牙・閻魔」であれば,武器を地面に叩きつけ,攻撃範囲の広い衝撃破を発生させる。この効果はボスのみならず,複数相手の戦闘でも役に立つはずだ。絶技は溜めている最中に攻撃を受けるとキャンセルされることがあるため,出しどころの見極めが求められ,どちらかというと応用技の部類に入る。ただ,選んだ武器の効果に合わせて,もう一段階上の破壊の感触が楽しめるなら,絶技も練習してみようかな,と思えてくるバランスだ。
「破砕牙・閻魔」に負けない破壊力を持つ,巨大な鎌「エクリプスサイズ」。敵を突き刺すワイルドな攻撃は圧巻! |
飛び道具の「破魔弓」は狙い撃つ攻撃だけでなく,機会こそ少ないが,ステージギミックの解除に使う場合もある |
チャプタークリアのお楽しみ
あやねのスピーディなアクションに酔いしれる
本作を語るうえで欠かせないのが,女性キャラクターステージだ。女性キャラは追加要素であるために,彼女達専用の新規エピソードとステージが用意されている。エピソードは,あやねのチャプターが,のちにリュウに渡す勾玉を地蜘蛛一族から奪ってくる話になっていることを除けば,背景設定こそ同じ地蜘蛛一族との戦いを描いているものの,直接リュウの戦いには関わりのない独立したモノになっている。また,ステージの長さも,それほど長くはなく,リュウの1チャプターに比べれば,すぐ終わってしまう印象だ。
パートナーが近くにいると専用の強力な「忍法」を二人で繰り出すことができる。大量の敵を一掃するのにとても便利だ |
あやねが使う飛び道具,「閃華クナイ」は敵に当たると爆発ダメージを与えられる。リュウ・ハヤブサの手裏剣と違い,足止め以上の効果を持つ |
レイチェルが装備する「666式ヘヴィマシンガン」は,1回の攻撃で複数発の弾丸が撃ちこめるセミオート。ここはもっと気持ちよい連射機能が欲しかった気もする |
別キャラクターとはいえ,移動と攻撃いずれのアクションも,大半の操作はリュウ・ハヤブサと共通であるため,身に付けたアクションをそのまま実戦投入できる。ここは嬉しいところだ。ただしリュウを選んだ場合と異なり,武器や忍法は固定で,それぞれ1種類しか使えない。紅葉はリーチの長い「天龍薙刀」,レイチェルは巨大な「インフェルノハンマー」と,双方ともに威力の高い武器を装備。あやねは「風舞小太刀」という攻撃力が低めの武器を使うが,それを補うかのような身軽さを有しており,スピードはリュウ以上。コマのように回転しながら数に勝る敵を斬り倒していく爽快感は,実に楽しい。
彼女達のプレイは華があり,大変楽しいのだが,活躍の場が若干少ないのが本当に残念だ。ミッションモードだけではやはり物足りないと思うが,あまり多いとそれはそれで本作の本質を見失ってしまいそうなので,このくらいがちょうどいいのかもしれない。
プレイキャラクターがリュウから紅葉に切り替わるチャプター5では,2体のボスが! あやね,レイチェルが戦うボスも含め,新規での登場となる |
余談だが,本作はいつでもリプレイを残しておくことができるようになっている。右の鷲のマークのREC文字は保存中を表している |
上達の喜びが味わえる良作アクション
やりがいを求めるプレイヤーにオススメ
割引価格でアイテムが購入可能になる「水晶ドクロ」は,次のプレイにも引き継げる。集めた分だけ,次のプレイが楽になるわけだ |
しかし,前述のような失敗をやらかしてしまう筆者程度の腕前であっても,「忍の道」のエンディングを迎えられた。それは難しい中にも達成感があり,途中で体験することのできるアクションバトルの爽快感が勝った結果だった。難しいとはいえ,決して理不尽というわけではなく,一回クリアしたら終わりというRPGなどとは違い,いかに上手くプレイできるようになっていくのかというアクションゲームならではの楽しみが,そこにはあるのだ。
プレイヤー自らがリュウ・ハヤブサと同化し,数々の攻撃技と忍者アクションを駆使しながら敵を斬り倒していくかっこよさ。あるいはリュウ以上の身軽さを持つ,あやねが繰り出すスピーディな攻撃を満喫する。はたまた使用する武器ごとに異なる「絶技」を駆使して……と,そこまで腕の上達は見込めなかったが,プレイに打ち込んだ労力にしっかりと報いてくれる爽快感は,なかなか得がたいものだった。この快感を,超高難度アクションに腰が引けているアナタにも,ぜひ体験してもらいたい。
チャプター11と17の最後に登場する「DOA」キャラクター,霞の後ろ姿。はたしてこれは新展開へと続く伏線なのだろうか? |
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NINJA GAIDEN Σ2
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(c)TECMO,LTD. Team NINJA 2009