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たった二人の軍隊が駆け抜ける上海。崩れゆくカオスシティでは己の“選択”が生死を分ける!「アーミー オブ ツー:The 40th Day」の魅力をプレイムービーとともに紹介
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印刷2010/05/01 17:19

レビュー

地味ながら丁寧に作られた意欲作。たった二人の軍隊で混沌の上海を駆け抜けろ

アーミー オブ ツー:The 40th Day

Text by Alexander服部


画像集#001のサムネイル/たった二人の軍隊が駆け抜ける上海。崩れゆくカオスシティでは己の“選択”が生死を分ける!「アーミー オブ ツー:The 40th Day」の魅力をプレイムービーとともに紹介
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 今回紹介する「アーミー オブ ツー:The 40th Day」(PlayStation 3 / Xbox 360)は,たった二人で“軍隊”を名乗るエリオット・セーレムとタイソン・リオスの傭兵コンビが,命がけのミッションに挑む三人称視点のアクションシューティング。前作の「Army of Two」では,「S.S.C.」という民間軍事会社に所属していた二人だが,今作では一攫千金を夢見て,上海に「T.W.O.」という民間軍事会社を設立している。
 ゲームの舞台は上海。発展途上国を思わせる一般人居住地区を眺める,近代の奇跡とも言われる超高層ビルの群れ。そこで突然の爆発が起こり,超高層ビル群が崩壊してしまう。逃げまどう人々の群れ,いきなり登場する強大で凶悪なテロ組織「The 40th Day」。二人はそんな限界状態のカオスシティで,テロ組織と激しい戦いを繰り広げつつ,さまざまな“選択”をしていくことになる。
 ゲームの概要については,「こちら」のファーストインプレッションを参考にしてもらうとして,本稿では,TPSとしての「アーミー オブ ツー:The 40th Day」の魅力を,プレイムービーとあわせて紹介していこう。

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ちょっとした気配りが嬉しい“遊びやすい”操作系統


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 一口にTPS(サードパーソンシューティング)といっても,「地球防衛軍」シリーズや「マーセナリーズ」のように,画面の中央近くに小さめの主人公が映るものもあれば,「Gears of War」シリーズのように,画面の左右どちらかに主人公が大きく映るものもある。前作同様,本作は後者のタイプのTPSで,キャラクターは大きめに表示されている。
 ちなみに,アクションゲームの派生としてTPSになったゲームは,ほとんどが画面中央に小さめのキャラクターを写している(周囲が把握しやすいので,ジャンプアクションなどもしやすい)。一方,FPS(一人称視点のシューティング)のようなシビアな撃ち合いゲームから派生したTPSは,後者のタイプであることが多く,ゲーム性に関してもほぼFPSと変わらない。FPS / TPSが多くの人に遊ばれるようになってきた昨今,このような説明は不要かもしれないが,「どちらのジャンルが好きなのか自分でもよく分からない」という初心者は,タイトル選びの際,参考にしてみてほしい。

 操作系統は,コンシューマで遊べる一般的なTPSとほぼ同様だ。プレイヤー人口の多い「コール オブ デューティ」シリーズの操作方法でいうところの,“戦術的”と同じだといえば,「なるほど」と思う人もいるだろう。ここで操作方法を細かく説明するつもりはないが,この手のゲームにありがちな「操作がほかのゲームと微妙に違うから遊びにくい」という状況に陥ることはまずないので,その点はご安心を。もちろん,カメラ操作の感度なども変更可能なので,操作に関して不満を覚えることはないだろう。

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 操作に関する特筆すべきポイントは,主人公のポジション変更だ。この手のTPSでは,大抵主人公が画面の左側に配置され,かつ大きめに表示されているので,敵の位置によっては非常に狙いにくくなる。右側の敵は見つけやすいが,左側の敵は見つけるのが困難になる,という具合だ。
 そういう問題点を解消するため,本作ではワンボタンで,主人公の表示される位置を自由に切り替えられるのだ。これは地味な仕様かもしれないが,TPS好きなら思わず唸ってしまうこと請け合い。このちょっとしたカメラワーク上の配慮は,プレイしていて実に気持ちが良い。

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相棒がいるからこそ成立するゲーム展開


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 本作最大の特徴は,常に“相棒”と共闘するというところ。今までさまざまなゲームでCo-op(協力プレイ)が採用されているが,本作では(正確には前作から)そもそも,Co-op前提のゲームデザインが施されているのだ。
 本作では,主人公と相棒の二人で軍隊として行動するので,当然ながら常に二人同時プレイでしか遊べない。オンラインに接続していれば,フレンドや見知らぬ人が相棒になってくれるわけだ。もしも自宅に二つのコントローラ(と二人のプレイヤー)がいれば,肩を並べて共闘することも可能だ。
 当然,ソロプレイをする際には,相棒の操作はAIが担当してくれる。しかし,一般的なゲームのNPCと異なり,こちらのすべての指示に従ってくれるわけではなく,無理なことを指示すると,逆らうこともあるのが面白い。とはいえ,例えば狙撃ひとつとっても,上級プレイヤー顔負けのテクニックを発揮してくれるし,自分が死にかけているときには治療もしてくれるなど,なかなか頼りになる。一度遊んでみると分かるのだが,これはシングルプレイというより,AIとのCo-opといったプレイ感覚で,実に面白い。

 常に二人で行動することの意味も,うまくゲームに盛り込まれている。本作には“アグロ”という概念が存在するのだが,これは非常にユニークなアイデアだ。一人が大暴れしていると敵からの注目度があがる。言い換えれば相棒への注目度は下がるのだ。当然ながら注目されているほうは,恐ろしいほどの勢いで敵から狙われるし,注目されていないほうは,敵のそばまで行っても気が付かれないほどの空気的な存在になる。このシステムを上手く利用することで,一人が移動する際にもう一人が囮となって注目を集める,という作戦が実行できるのだ。ほかにも,暇なときには相棒とジャンケンを楽しむことができるなど,細かいところまで「相棒あってのゲーム」なのである。

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 相棒とはあまり関係がないが,武器カスタマイズの自由度の高さも,本作の大きな特長だ。一般的なゲームで銃器のカスタマイズといえば,サイレンサーをつけたり,マガジンを交換して弾数を増やしたりというものをよく見かけるが,このゲームのカスタマイズはそんな気軽なレベルではない。下の動画を見てもらえれば分かるだろうが,バレル,ストック,アタッチメント,マガジン,カラーリングなど,さまざまなパーツを自由自在にカスタマイズすることができるのだ。
 所有している銃に,AK-47のバレルとG36Cのストックを取り付ける,といったような,変態じみたカスタマイズも余裕でできる。さらに,拾った空き缶をハンドガンに取り付けて,即席のサイレンサーを作り上げることも可能。ゲーム中に拾った武器だけでも問題なく戦い抜けるバランスなので,カスタマイズ要素そのものの重要度はさほど高くないのだが,変態銃で大暴れするのはすこぶる楽しい。ぜひ自分だけの武器を作り上げ,フレンドを笑わせてあげよう。



オンラインプレイでも生き残りをかける!


 オンラインプレイに関して,前作では二人一組でのデスマッチが楽しめたが,今作では「Halo 3: ODST」や「Gears of War 2」のような,「次々と襲いかかってくる敵をひたすら退治していく」という“脱出任務”モードも用意されている。一度倒れてしまうと,復活は基本的にできないため,ダウンした参加者を治療するという行為が非常に大事になってくるわけだが,立て籠もる場所がほとんどないため,ゲームバランスはかなりシビアだ。
 敵のリスポーンポイントはマップに複数あるのだが,それはエリアの外周に沿って配置されている。そして,その場所が建物の中だったりするので,下手に立て籠もると背後から攻められることにもなりかねない。本作にはカバーアクションがあるので,足を止めての撃ち合いがメインになるかと思いきや,開き直って「殺られる前に殺る」という発想で動き回るほうが,攻略しやすくなっているのだ。



前作の「惜しい!」ところはほとんど解決

意外と遊びやすいのでTPS初心者にもおすすめ


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 「アーミー オブ ツー:The 40th Day」には,大小さまざまなアイディアが盛り込まれており,意欲作と言える作品に仕上がっている。しかし,すべてが成功しているかと言われると,当然そんなことはない。筆者個人の意見だが,一点だけ「惜しい!」というポイントがある。それはカバーアクションに関する部分だ。
 このゲームでは,カバーアクションが可能なオブジェクトがあると,そこでしゃがむだけで自動的にカバーする。そのため,しゃがんだままの移動でそのまま隠れるという行為が多くなりがちだ。結果として,ゲームのスピード感がやや損なわれ,カバーアクションの重要性も低下している。
 少し離れた障害物に向かってスライディングしながら隠れるというカバーアクションは,前作同様に今作にも存在している。にも関わらず,しゃがみ移動をしているだけで,カバーしながら移動するような感覚で遊べてしまうのだ。些細なことかもしれないが,せっかくカバーアクションにボタンを割り振っているのだから,これを積極的に利用して,ユニークなアクションを楽しみたかったと思う人もいるのではないだろうか……と思った次第だ。
 ゲーム展開に支障はなく,人によってはむしろ有り難い仕様かもしれないので,なかなか難しいところだが,個人的には上記の部分くらいしか不満点はなかった。

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 前作が受けた世間的な評価は,おおむね「惜しい!」というものだったのだが,前作の惜しい部分はかなり解消されている。酷かったロード時間,敵を撃ったときの感触の軽さ,弾がすぐに尽きるほど堅い敵……このような要素は見事に解消されている。とくに弾に関しては,ゲーム中頻繁に拾えるようになっているし,敵の武器を利用することもできるので,まったく困ることはなくなった。ロード時間もかなり解消されている。続編として綺麗に進化しており,さらなるコンセプト特化を遂げた良作だ。
 シリーズ作品ということで,前作を遊んでいないことを理由に購入をためらっている人もいるだろうが,そんな些細な点は気にせず,ぜひ気軽に遊んでもらいたいタイトルだ。ゲーム中,どうしても乗り越えられない困難に直面したら,相棒の“中の人”を見つけ,絆という最強の武器で戦い抜いてほしい。

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