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レビュー
Wii用ソフトながら,かなり“刺激的”なガンシューティング
デッドスペース エクストラクション
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前作,Dead SpaceがTPS(サードパーソンシューター)だったのに対し,今作は「THE HOUSE OF THE DEAD」や「タイムクライシス」といったゲームに代表されるような,一人称視点でのガンシューティングとなっている。
とはいっても,Dead Spaceならではの過激な演出や,狭い路地から突然クリーチャーが襲ってくる緊迫感溢れるゲーム展開などは失われておらず,オリジナルの良さを残したまま,遊びやすいガンシューティングとして生まれ変わっているという印象だ。
本稿では,そんなエクストラクションのゲーム概要をお伝えしつつ,同作の魅力を紹介していこう。
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きっちりとアイテムを入手することが攻略の第一歩
ステイシスを上手く利用して,絶体絶命の状況を打破せよ
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また本作では,前作Dead Spaceの舞台でもあった“採掘艦USG Ishimura”も登場するので,前作をプレイ済みの人であれば,思わずニヤリとしてしまうような場面も出てくるだろう。
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【ストーリー】
遥か未来、スペースコロニー“イージス7”で採掘作業を行っていた鉱山採掘船“USGイシムラ”は採掘した未知の鉱山から発せられた衝撃波に襲われ、作業員が正体不明の奇病に冒されたクリーチャーに襲われる。調査に向かったマクニールも襲撃に遭い、脱出するために“USGイシムラ”に乗り移るも、もはやそこは安全な場所ではなかった……。
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ここからは,エクストラクションの基本的なゲームシステムに触れつつ,本作独自の魅力に迫っていこう。
本作には,ストーリーモードとアーケードモードの2種類が存在する。ストーリーモードでは,本作の物語をガッツリ堪能することができるので,ストーリー部分が気になっていたという前作ファンにはとくにオススメだ。
一方アーケードモードは,ガンシューティングの部分に特化したモードとなっており,ストーリー部分の演出は存在しない。純粋に,エクストラクションの戦闘だけを楽しみたいという人は,こちらがオススメだ。もちろん,ストーリーがなかなかクリアできないという人は,こちらで腕を磨きつつ,ストーリーにチャレンジするというのも,立派なアーケードモードの利用法である。
ただしアーケードモードは,ストーリーモードのクリア状況に応じてステージが増えていくので,序盤では少ししか楽しめないのが難点(ゲームスタート直後は楽しめない)。欲をいえば,アーケードモードだけでも進められるようにしてほしかったと,個人的には感じた。
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また,左下に表示されているRIG表示では,残弾数が確認できる。弾が切れそうになったら,Zボタンでリロードして,弾を補充すればいい。ただ,リロードには一定の時間(3秒くらい)を要するので,敵が大勢いる場所でリロードすると,そのあいだに攻撃されてしまうこともある。敵が少ない時にリロードするか,クイックリロード(特定のタイミングでリロードすると,通常よりも早く弾数が復活する)を多用していくことが大切だ。
なお,序盤では武器の性能が低く,ことあるごことに苦戦を強いられる。そんなときは,ステージに落ちているアイテムを入手して,武器を強化することをオススメする。敵との戦闘がグッと楽になるはずだ。
ちなみに,武器やアイテムはステージのそこかしこに落ちているのだが,本作はレールシューター(あらかじめ決められた道筋に沿って移動するシステム)であるため,アイテムが画面に2,3秒しか映らないことも珍しくない。そのため,一瞬の判断が間に合わずにアイテムを取り逃してしまうということもよくある(筆者も何回苦汁を飲んだことか……)。リロード中に感じる恐怖とともに,この緊張感も本作の魅力の一つだ。
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メイン攻撃とセカンダリ攻撃の使い分けがゲームのキモ
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武器は全部で10種類あり,その種類によって性能が大きく異なる。用途に合わせて適切な武器を選ぶことも,本作を攻略するうえでは欠かせない。ちなみに武器やアイテムは,Aボタンを押すことによって発動するTK(テレキネス)を使って入手できる。TKはアイテムの取得以外にも,ドアを開けたり,オブジェクトを動かしたりするときに使用する。
さらにTKは,敵の攻撃(飛び道具)を受け止めて,そのままはね返すといったアクションにも使えるので,使い方に慣れておいて損はない。
リロードシステムや,このTKの仕様を考えれば分かるだろうが,本作は撃ちまくり系のガンシューティングではなく,どちらかというと冷静さ,正確さが求められるタイプの作品だ。爽快感という観点ではやや物足りなさを感じる人もいるかもしれないが,Dead Spaceの続編と考えると,ファンには納得のいくゲーム展開が楽しめるのではないだろうか。
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本作の隠れた醍醐味!?
ステイシスを使って状況を有利に運べ
戦闘に関しては,“ステイシス”の存在も忘れてはならない。ステイシスとは,対象にポインターを合わせてCボタンを押すことで発動する特殊能力のこと。これを使えば,敵の動きを一定時間スローモーションにできる。敵が多いときや,集中攻撃を受ける危険があるときなどは,ステイシスを上手く使って,ピンチを切り抜けるのが得策だ。
また本作では,ロックソ―というアイテムを入手後,ヌンチャクを振ることで近接攻撃が繰り出せる。ただ闇雲に撃ちまくるのではなく,こういった要素を臨機応変に組み合わせ,ピンチを切り抜けていく楽しさが,本作の醍醐味といえるだろう。
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部位破壊こそ,Dead Spaceの醍醐味!
腕や足を吹き飛ばして,活路を見出せ
本作には,いわゆるデモシーンというものがほとんどなく,つねにリアルタイムでストーリーが進行していく。そのため,仲間との会話中だろうがなんだろうが,お構いなしにクリーチャーが襲いかかってくるのだ。一難去ったからといって一息つこうものなら,あっという間に地獄行きだ。「一瞬の油断が命取り」とは,まさにこのことである。まあこの緊張感こそが,Dead Spaceから受け継がれている本作の大きな魅力でもあるわけだが。
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そう,本作の魅力といえばもう一つ。敵を攻撃する際の部位破壊が挙げられる。Dead Spaceでは,敵の手足や頭をピンポイントで狙い撃ち,その部分を吹き飛ばすことができる。足を破壊すれば動きが鈍くなるし,手を破壊すれば攻撃力が弱まる。頭を撃てば,通常よりも大きなダメージが与えられるという仕組みだ。
もちろん,部位を狙わなくても敵は倒せるが,かなり効率が悪くなってしまうことは否めない。その点,部位破壊でうまく敵にダメージを与えれば,何やら爽快な気分になるうえ,少ない弾数で効率よく敵を倒せるので,まさに一石二鳥だ。
具体的な戦術としては,ステイシスで動きを遅くして,狙いを定めやすくしてから部位を破壊するというのが理想。最初のうちは若干難しいかもしれないが,慣れてきたら積極的に狙っていこう。
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それにしても,本作の国内発売を実現させたEAスタッフの情熱には,ただただ脱帽するばかりである。部位破壊を“演出”として見せる作品は多いが,本作では部位破壊がそのままゲーム性に直結しているため,ローカライズの際でも削ることはできない。作品のゲームデザインそのものが変わってしまうからだ(もちろん,前作Dead Spaceと比べると,部位破壊を含む恐怖表現はやや弱いのだが)。
ご存じのように,国内での残虐表現に対する規制は,そうとう厳しいといわざるをえない。そのような状況で,過激なバイオレンスを軸にした作品をリリースするのは,それなりのリスクを伴うはずだ。それでも,ゲームの魅力を損なうことなく発売にこぎ着けたEAスタッフには,一ゲームファンとして素直に拍手を贈りたい。
敵が迫り来るなかでのロック解除は冷や汗もの!
映画的な演出がニクイ
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しかも,敵は遠くからジワリジワリと迫ってくるので,正直言ってかなり焦る! 普通ならすぐに解除できそうなルートでも,焦りで失敗してしまうのだ。そしてその失敗が,また新たな焦りを生む。まさに無限地獄。
「エイリアン」や「遊星からの物体X」といったSFホラー映画では,そういったシーンを見かけることがあるが,映画の登場人物達の奮闘ぶりが少し理解できたような気がした。こういった部分にも,本作の“映画的な要素”を感じることができ,本作の演出が世界中で評価されたのもうなずけるというもの。
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ゲーム自体は文句なしの完成度!
ホラー映画好きなら迷わず買い
さて,ここまで長々と語ってきたが,デッドスペース エクストラクションは,ホラーやガンシューティングが好きなら,十分楽しめる作品に仕上がっていることは間違いない。先述したように,刺激的な表現/演出もかなり盛り込まれているので,とくにホラー映画ファンにはオススメだ。
Wiiリモコン+ヌンチャクによる操作もかなりシンプルなので,今までこういったタイプの作品を敬遠していた人にも,この機会にぜひプレイしてみてほしい1本といえる。重苦しい恐怖に一人で立ち向かうもよし,家族や友人と二人協力プレイでキャーキャーいいながら戦うもよしだ。
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- アクション
- FPS
- CERO D:17歳以上対象
- SF
- エレクトロニック・アーツ
- サバイバル
- プレイ人数:1~2人
- ホラー/オカルト
- 北米
- レビュー
- ライター:御簾納直彦
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