西部の男達の物語が幕を開ける。Rockstarの「Red Dead Redemption」は，GTAに続く新たなビッグヒットシリーズになるか

　1900年代初めのアメリカ西部。開拓すべきフロンティアはすでになく，カウボーイと荒くれ者の時代も終わりを告げようとしていたその頃，一人の男が西部にやってきた。男の名前はJohn Marston。元アウトローである彼の目的は，かつての仲間を捕らえ，あるいは殺し，西部に法による秩序をもたらすことだ。最大の標的は，かつての盟友でギャング団のリーダーであるBill Williamson。もし彼がこの任務に失敗すると，彼を送り出した連邦捜査官の手によって，家族に危害がおよぶというから穏やかではない……。

　現地時間5月18日に北米で発売されたRockstar Gamesの新作「Red Dead Redemption」（PlayStation 3/Xbox 360）は，そんなストーリーを持つ三人称視点のアクションゲームだ。プレイヤーは広大なアメリカ西部を舞台に，一癖も二癖もある人物からさまざまなミッションを請け負い，危険な撃ち合いに身を投じていくことになるのだ。

「Red Dead Redemption」公式サイト（要年齢認証）

　Red Dead Redemptionは，2004年にRockstarからリリースされた「Red Dead Revolver」の続編だが，物語にとくに連続性はない。Red Dead Revolverは，欧米のメディアやプレイヤーからの評判も悪くはなく，世界累計で150万本ほどの実績を挙げたというが，もともとほかのデベロッパが開発していたタイトルで，そのプロジェクトが頓挫したため，第三者のRockstarが買い上げてブラッシュアップしたという経緯がある。アクションと出血量を増やしたという，同社らしいアレンジが加わっており，ゲーム全体のムードは「マカロニウェスタン」を思わせるものだった。
　それに対して，Red Dead Redemptionは最初から最後までRockstarのSan Diegoスタジオが担当しており，2009年2月頃の開発発表以来，Rockstarファンから注目されてきた。


　もっとも，「西部劇もの」と聞いて大喜びするのは，やはり一部のファンに限られるだろう。かつて一世を風靡したものの，映画ではすでに衰退したジャンルであり，ゲームも例外ではなさそうだ。最近では，ポーランドのTecklandが制作したCall of Juarezシリーズがなかなかの健闘を見せたが，やはり，衰えつつあるジャンルだと思われていた。
　ところが，リリースされたRed Dead Redemptionは，そんな停滞ムードを一気に吹き飛ばすほどの，尋常ではない好調ぶりを見せているのだ。4Gamerもお世話になっている「Metacritics」では，多くのメディアが百点満点の評価を付けている。というわけで，各メディアのレビューのヘッドラインを拾ってみよう。

　Red Dead Redemptionでは，できることが非常に多い美しいバーチャルワールドを舞台に，エキサイティングな物語と，すばらしいアクションが展開する。物語は過去の世界を描くだけでなく，プレイヤーが生きている現在の世界も反映している。本作は，ゲームにおける驚くべき到達点だ。
■Gamer.nl……100

　これは美しいゲームだ。日没に金色の砂丘を行くとき，あるいは真夜中に稲光のきらめく砂漠を越えるとき，忘れていた何かを私に思い出させてくれる。空虚な土地にいるときの孤独感を完全に伝えてくれるわけではないにせよ，数百マイルにわたって，さまざまな土地や天候のエッセンスが見事に凝縮されているのだ。
■1UP……100

　ほとんどのRockstar Gamesのタイトルにいえることだが，たとえそれが過去の作品にあったさまざまな要素を集めただけだとしても，Red Dead Redemptionは彼らの最高の作品に仕上がっている。Rockstarの作り上げたこのオープンワールドのウェスタンにおいて特筆すべき点は，彼らが過去の西部劇に対して十分な敬意を払っていることだ。
■GamePro……100

　Red Dead Redemptionは，単純なサンドボックスのゲームではない。西部劇をテーマにした最高のタイトルであるだけでなく，Rockstar Gamesが成し遂げた偉業だ。
■Gameplanet……100

　最高傑作。見逃してはいけない。
■Gamereactor Sweden……100


　発売直後であるため，まだハッキリした数字は出ていないものの，セールスも好調のようだ。多くのメディアが評価しているのは，その自由度の高さとグラフィックスで，まるで，本当に西部にいるような美しい光景と，メインミッション以外に豊富に用意されたサブミッションやアトラクションが魅力となっている。個性的な人物像や，ストーリー展開の妙は，Grand Theft Autoシリーズゆずりといえるだろう。
　「Grand Theft Auto IV」（PC/PlayStation 3/Xbox 360）で驚異的な販売本数を記録したRockstarだが，ここでまた新たなIPを獲得したようだ。さすがというか，うらやましいというか。

　気になるのはやはり，日本での展開だが，公式サイトには「ヨーロッパ諸国，オーストラリア，アジア太平洋地域では5月21日に，また日本では9月発売」とあり，日本での発売も明記されている。詳しいことは不明だが，ひとまず安心してよさそうだ。
　もう一つ気にならないでもないのは，やはりPC版の発売だが，これについての正式なアナウンスは今のところない。Rockstarは「PC版の開発は行われていない」としてはいるものの，GTA4も実に8か月遅れでPC版がリリースされているので，期待感は残る。ゲームの詳細については，いずれお届けしたい。