NDS版“藤堂龍之介”シリーズ最新作！「藤堂龍之介探偵日記 亜鉛の匣舟 相馬邸連続殺人事件」が本日発売に

　fonfunは3月26日，ニンテンドーDS用推理アドベンチャー「藤堂龍之介探偵日記 亜鉛の匣舟 相馬邸連続殺人事件」（以下，亜鉛の匣舟）を発売した。本作は，1988年にリバーヒルソフトからPC用タイトルとして第1作目が発売され，現在はケータイアプリとして配信されている「藤堂龍之介探偵日記」シリーズの4作目にあたる作品だ。


　亜鉛の匣舟は，2008年12月18日に発売された前作「藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言 西洋骨牌連続殺人事件」（以下，琥珀色の遺言）と同様，DSでリメイクするにあたってグラフィックスすべてが描き起こされたほか，追加要素として「追補小説（後日談）」2作品を収録している。

断崖の洋館で起きた怪事件に

私立探偵・藤堂龍之介が挑む

　大正十年六月，私立探偵藤堂龍之介は，木村哲太という人物からある事件の調査を依頼され，豪雨の中，断崖にある屋敷を訪れる。普段使われていない地下の一室で，海軍軍医中尉，相馬慶一郎のむごたらしい遺体が見つかったのだ。警察は自殺と断定したが，木村によると不可解な事が多すぎるのだという。
　調査を開始した龍之介の前に現れるさまざまなな関係者，密室殺人，記憶をなくした少女の謎。次第に明らかになる，常識の一線を越えた“研究”の全貌……。果たして龍之介は，狂気の時代の闇に巣くう数々の難問を，見事解決できるのだろうか。


　プレイヤーが私立探偵・藤堂龍之介となり，事件の解決を目指して捜査を進めていくという本作だが，基本的なシステムは前作「琥珀色の遺言」と変わらない。非常にオーソドックスなアドベンチャーゲームで，プレイヤーは現場を捜査し，事件の関係者から話を聞き，証拠品を集めながら次々と新たな容疑者や証拠を見つけ出して，事件の真相に迫っていくことになる。

　前作同様，ゲーム開始時に易/普/難の3種類から難度を選択できるのだが，これはゲーム中に設定画面を開けば変更可能なので，あまり悩まずに選んでいい。
　難度“易”は会話中，既読の内容や，捜査の進展に期待の持てない選択肢に色がつくモードで，推理アドベンチャーがあまり得意でない人でも，小説を読むようにサクサクとプレイできる。
　“普”の場合は，会話や選択肢に色がついたりはしないものの，事件解決につながる重要な糸口をつかんだときや，捜査が進展した場合に，それらの情報が表示されるので，適度に歯応えのある推理を楽しめるだろう。
　そして“難”になると，事件解決の糸口や状況の変化などはまったく表示されない。捜査状況をきちんと整理し，的確な推理を展開していかなければ，思考の迷宮に陥ること間違いなしだ。


　捜査は色々な場所を移動しながら行うのだが，DSの上画面にそのエリアの全体マップが表示され，下画面に移動画面が表示される。
　ここまでは前作とまったく同じだが，移動画面で龍之介を表すアイコンが青から緑色に変化していたり，移動した部屋に人がいる場合は，龍之介の左上に小さなマークが表示されたりと，細かい部分が色々と変わっている。
　ちなみに，龍之介は自分の部屋に戻ることで，捜査状況の分析や，捜査の進行具合を確認できる。行き詰まったときなどは，ちょくちょくと自分の部屋に戻り，人間関係や証拠品を分析してみるといいだろう。
　なお，本作ではマルチエンディング方式が採用されており，捜査の進め方で分岐する二つのエンディングが用意されている。

　本作にはバックログ機能が用意されており，いつでもページ/行単位で過去の会話や行動を遡ることができる。さらには探偵モノらしく，メモ機能も搭載。気になった事柄は手書きで記録しておくことが可能だ。“難”モードでは地道なメモが事件解決の手がかりとなるはずなので，積極的に利用していこう。
　

　本編を見事クリアした暁には，原作者書き下ろしの「追補小説」2作品をプレイすることができる。龍之介が，前作の舞台である“琥珀館”におもむく前に遭遇した事件が描かれているので，「琥珀色の遺言」も併せて楽しめば，より深く藤堂龍之介シリーズの世界に没入できるはずだ。

奥深いシナリオと完成されたシステム

コーヒー片手に探偵気分を楽しめる作品

　システム的には，前作から大きな変更はないものの，相変わらずアドベンチャーゲームとして完成されており，遊びやすさは抜群だ。グイグイと引き込まれること請け合いの奥深いシナリオも，新たに描き起こされたグラフィックスと相まって，DS版ならではの魅力を醸し出している。
　ちなみに，藤堂龍之介シリーズはどの作品から遊んでも問題ない作りになっているのが特徴なので，ファンはもちろん初心者でも存分に楽しめるはずだ。たまには片手にコーヒー，片手にタッチペンで探偵気分を楽しんでみてはどうだろうか。