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SilverStone,ゲーマー向けPCケース「Raven RV05」を秋葉原で世界初公開。Mini-ITX仕様の「Raven Z RVZ01」も披露
Ravenブランドでこれまでに登場したPCケースの特徴を受け継ぎつつ,新しいコンセプトで開発されたというRV05を中心に,今回はイベントの模様をレポートしたい。
SilverStoneが考えるこれからのゲーマー向けPCケース
Raven RV05
それが4代目の「Raven RV04」(以下,RV04)では,一転してオーソドックスなマザーボードレイアウトの筐体となったので,驚きを持って受け止められたものだ。
では5代目となるRV05は,RV01以降の煙突効果を継承するのか,それともRV04の路線を踏襲するのか。筆者はそこに興味を抱いて会場に足を運んだのだが,結論めいたことから先に述べると,RV05は,RV01〜RV03と同じ,煙突効果を狙ったPCケースである。そして,それだけで終わるものではなかった。というか,上で示した写真だと比較対象がなくて分からないかもしれないが,RV01〜RV03とは比較するまでもなく,筐体サイズが小さいのだ。
SilverStoneによると,本体サイズは217(W)×484(D)×529(H)mm。RV01の同280(W)×660(D)×616(H)mmと比べると,奥行きは180mm以上も小型化されている計算になる。
RV05の上面(左)。多数のスリットのあいた上部のカバーを取り外すと,拡張カードのブラケット部が見える(右)。I/Oインタフェース部が上に来る,煙突構造を継承しているのは一目瞭然だ |
違和感を抱きながら担当者にRV05の詳細を聞いてみると,逆に,「このケースに入るマザーボードは何だと思いますか?」と質問された。装着可能な拡張カードの数から類推して,「ATXですか」と答えて正解したものの,ATX対応PCケースのサイズとしては,奥行き方向が短すぎる。
ドライブベイの配置に画期的な新アイデアがあるのかと,説明員に確認したところ,驚くべき答えが返ってきた。いわく「このPCケースに(5インチ)ドライブベイはありません」とのことである。
この大胆な設計の意図は何なのか。SilverStoneでマーケティングマネージャーを務めるTony Ou氏の説明を要約するとこうなる。「ゲームのダウンロード配信が広がった今,今後はゲーマー向けPCケースと言えども,ドライブベイの多さを競う時代ではなくなる。それよりもRV01のコンセプトを受け継ぎつつ,これからのゲーマー向けPCケースにふさわしいケースを再発明(Reinvent)すべきだ。それがRV05となる」。つまりRV05は,今日(こんにち)のニーズに合わせて,RV01を新しいコンセプトで作り直したものというわけなのだ。
Tony Ou氏(Marketing Manager,SilverStone Technology) |
SilverStoneのスライドから,RV01とRV05のサイズ比較 |
光学ドライブ用の5インチベイを廃止したといっても,内蔵ストレージ用のベイはそれなりの数を備えている。左側面パネルを外してアクセスできる内部には,HDD用の3.5インチベイを2基装備。SSD用の2.5インチベイは,なんとマザーボードの裏側に当たる右側面側に2基用意するといった具合だ。決して多くはないが,SSDとHDDが2台ずつ内蔵できれば,大抵の用途で事足りるという人は少なくないのではないか。
左側面パネルを開けた内側に,側面からアクセス可能な3.5インチベイが2基分ある(写真左)。後述するが,下に見える吸気用ファンは180mm径を2基標準装備する |
右側面パネルを開けると,前方側の赤丸部分にスロットイン式光学ドライブを装着する専用ベイがある。2.5インチドライブは,青丸の部分に計2台搭載可能だ |
ファンはこのほかにも,120mm径のものを上部に1基,背面に1基分装着できる。底面ファンの吸気孔や背面の排気孔には,取り外し可能なフィルターも装備されていた。
背面にはマグネット式のフィルターが,底面には大型のスライド式フィルターが装備されていた |
大胆な発想により小型化を実現したRV05だが,小型化のしわ寄せが来ている面もある。光学ドライブがノートPC用のスロットイン式に制約されるのもそうだが,内蔵可能な電源ユニットに,奥行き方向のサイズが160mmまでという制限があるのだそうだ。とはいえ,このサイズに収まる電源ユニットをは少なくないし,SilverStoneでも160mm以下の電源ユニットを増やしていくそうなので,あまり心配はいらないと,Ou氏は述べている。
RV05のメーカー想定売価は未定とのこと。発売時期は2013年のクリスマス頃から,2014年第1四半期の予定であるという。ゲーム用PCであっても一定レベル以下の小ささが求められる昨今のニーズに向け,思い切りのいい仕様を選択してきた新モデルが市場でどういう評価を受けるのか,今から楽しみだ。
RavenシリーズにもMini-ITX対応ケースが登場
Raven Z RVZ01
今回の発表会では,もう1台のRavenシリーズ新製品が出展されていた。それがMini-ITXサイズのマザーボード用にデザインされた「Raven Z RVZ01」(以下,RVZ01)だ。発売時期は「2013年のクリスマス前ぐらい」(SilverStone)とのことで,価格は未定という。
RVZ01は2013年6月に開かれたCOMPUTEX TAIPEI 2013で初披露された製品であり,国内で一般の目に触れる形で公開されるのは,これが初めてとのこと。いわゆるブックサイズをやや厚くした筐体は,縦横どちらの置き方にも対応するのが特徴だ。RV05がATXサイズのまま小型化を目指したPCケースなら,こちらはフォームファクタごと小さくしてきたゲーマー向けPCケースということになるだろう。
RVZ01は横置き(左),縦置き(右)どちらも可能なPCケースだ |
ゲーマー向けマザーボードにも,コンパクトなMini-ITXサイズの製品が増えてきたが,そうしたマザーボードにグラフィックスカードを装着するとなると,背の高い(あるいは横幅の広い)PCケースが必要となってしまい,せっかくのコンパクトさが生かされない場合もある。
そこでRVZ01では,専用のライザーカードを使うことで,マザーボードと離れた位置にグラフィックスカードを装着できるようにし,ケースの高さを105mmに抑えた。グラフィックスカードを装着するためのスペースには十分な奥行きがあり,最大でカード長約330mmのグラフィックスカードを装着可能であるという。
RVZ01の内部(左)。右側にマザーボードやドライブ類を設置。左側にはライザーカードを介して(右),グラフィックスカードを装着する |
とはいえ,小型化ゆえの弱点もあり,内蔵できる電源ユニットはSFX規格のものに限られる。SilverStoneでは現在,RVZ01に対応したSFX電源ユニットとして,定格出力300Wの「SST-ST30SF」と,同450Wの「SST-ST45SF-G」という製品を用意しているが,もっと強力な電源ユニットを求める声に対応すべく,さらに大容量のSFX電源ユニットもまもなく投入できる見込みとのことだった。
RV05もRVZ01も,SilverStoneのゲーマー向けPCケースでは,今までにないコンセプトの製品である。PCゲームとゲーマー向けPCの変化を捉えて,新しいPCケースで市場をリードしようという意欲に溢れた製品といえるのではないだろうか。「次にゲームPCを自作するなら,今までとはちょっと違った路線にしてみたいな」と考えている人は,これらの製品を候補に入れておくと,面白いPCが作れそうだ。
Ravenシリーズの製品情報ページ
マスタードシード 公式Webサイト
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