プレイレポート
あの名作がPSPで復活! 「ブランディッシュ 〜ダークレヴナント〜」はやっぱり変わっていなかった
ダークレヴナントは,1991年にPC-9801シリーズ向けに発売された「ブランディッシュ」を,ストーリーはそのままにPSPへ移植したリメイク作だ。
ブランディッシュは,無口だが凄腕の主人公“アレス・トラーノス”が,出口はないと言われる地下迷宮の奥地から,地上を目指すアクションRPG。PC-9801版発売当時,キーボードでプレイするのが常識だったPCゲームにおいて,フルマウスオペレーションを採用した異色作ということで話題を集めた。斜め後ろからの見下ろし視点や,GUIの採用,オートマッピング機能などは今でこそ珍しくないものの,当時としてはかなり革新的なものだった。
そんなブランディッシュが,ダークレヴナントとなってPSPで復活。グラフィックスの大幅な刷新によって,見た目には新しくなってはいるが,オールドゲーマーにはお馴染みのPC-9801版ブランディッシュのストーリーをそのままに,当時の懐かしさを保ちつつ,新しいゲームとして戻ってきたわけだ。
そんな懐かしくも新しいダークレヴナントをプレイしてみたわけだが,今でも遜色のないゲーム内容であると同時に,見た目とは裏腹に「変わらないなぁ」という印象を受けたことを,まずはお伝えしておきたい。
出口は遥か遠く……チュートリアルで操作を覚えていざプレイ開始
マップ機能では,オートマッピングで描かれたマップに,目印をつけることができる。マップ到達率もここで確認できるので100%を目指して歩き回ろう |
本作ではオートマッピング機能によって,自分の立っている場所とその周囲1歩分の計9マス分がマッピングされていく。もちろん,発見した(落ちた)落とし穴の位置も目印が付くほか,マップ機能を使えば,マップへ任意に目印を付けられる。そのフロアの到達率なども見られるので,ついつい全フロア到達率100%を目指して,マップを隅々まで歩き回りたくなってくること受けあいだ。
登場する敵はリアルタイムに動き回っているうえ,プレイヤーを見つけると襲い掛かってくる。そんな敵を倒しながら,出口を目指して進んだり戻ったり試行錯誤しつつフロアを進んでいく。
PC-9801版での操作はフルマウスオペレーションだったため,敵との戦闘でクリック,移動にクリックと,当時あまり耐久力のなかったマウスを酷使して壊した経験のある人も多いかもしれない。PSP版では,普通に十字キーで移動,攻撃ボタンを押して攻撃といったものなので,ボタンの押しすぎでPSPが壊れることはなさそうだ。
キャラクターの操作は,十字キーの上下で前後に1歩ずつ移動でき,L/Rボタンで向きの回転,十字キーの左右は,向いている方向を変えずに左右に1歩移動という具合だ。もともと,PC-9801版のブランディッシュでは,左右に回転すると,画面(マップ)も一緒に回転していたのだが,PSP版では従来と同じ画面回転のほかに,マップの北側を固定したままでプレイする設定も用意されている。
従来の操作感は,ブランディッシュシリーズをプレイしたことのある人には懐かしく,また,本作で初めてプレイする人には,ちょっと目新しいものに映るかもしれない。攻撃と防御は同じボタンを使用するが,これは敵との距離が遠い場合は手動で防御が必要で,近接している場合には自動で防御が行われるのだ。とにかく,遠隔攻撃はダメージが大きいものが多いので,手動防御をきっちりとマスターするのが攻略の基本だ。
本作では,基本的にどこでも睡眠による体力回復が可能だが,寝ている間に攻撃を受けることもあるので,周囲の状況をよく確認してから寝るようにしたい。
なお,これらの基礎知識は,ゲームスタート時に受けられる親切なチュートリアルで学べる。初めてプレイするなら,迷わずチュートリアルを受けてから本編に挑戦しよう。
武器耐久力に注意しつつ冒険を進めよう
さて,ゲーム冒頭で地底へと落下し,気を失っていた主人公アレス。目が覚めると古い廃墟の1階の扉の前に横たわっている。冒険はここからスタートすることになり,遥か遠くに見える塔を登りきれば地上へ出られる……はず。先は長そうだが,早速プレイ開始だ。
スタート時は落下の衝撃からか,アレスの体力は1だ。寝てるところから始まるRPGはいろいろあったが,最初から体力1というのは珍しい。幸い近くに敵がいるわけではないので,一眠り(回復)してから旅立ちたい。起きたら周囲に落ちている剣と盾を拾って,装備することも忘れないように。
なお,冒険中とっさに使いたいアイテムは,アナログスティックの左/下もしくは上/右とボタンのコンビネーションに対応したスロットに登録し,簡単に使用できるので,そういった準備も整えておきたいところだ。
ちなみに本作では,敵を攻撃するたびに武器の耐久度が減っていく。一振りで1減り,0になると折れてしまう。序盤のうちは比較的無防備な敵が多いので,攻撃をしていれば効率よく倒していけるが,徐々に防御を使ってくる敵が増えてくるので,ただ剣を振り回すだけでなく,敵の攻撃と防御の間を狙うなどして攻撃を加える必要がある。
やたらめったら防御の上から殴っても,相手の体力を減らせないだけでなく,武器をなくしてしまう可能性があるので注意しよう。ある程度ゲームを進めていくと,攻撃力はさほどでもないが耐久度が減らない武器も登場するので,それまでは拾った武器を節約しつつ敵と戦っていきたい。
そこらじゅうに仕掛けられたトラップに要注意
一撃即死の危険な罠をどう避ける?
また,各階の階段を上がってすぐの場所や,何か秘密のある部屋の手前には,壁に石版がかけられている。そこには役立つ情報が書かれていることがあるので,攻略のヒントとして役立てよう。
そんなこんなで,目の前に現れる敵を倒しながら進んでいくと,地面に穴が開いていたり,壁から丸太が突き出してきたりと,なんともいやらしいトラップに行く手を阻まれることがある。とくに,穴に落ちると体力を半分近く持っていかれることもあるので油断できない。また,地面にヒビが入っているだけで,ぱっと見落とし穴に見えないものもあるので,怪しい場所では目の前のマスを注意深く調べながら進んだほうがいい。
最初のエリアは遺跡“RUINS”。10階層で構成されており,出現する敵は弱く,凶悪なトラップも仕掛けられていない易しいダンジョンだ。とはいえ,場所によっては落とし穴だらけで,進む先をよく吟味する必要がある。と,軽く危機感を煽ってみたものの,序盤には体力を瞬時に回復できる泉があるのでかなりラクなはずだ。
ただし,先に進むにつれて,泉も出現しなくなるうえ,トラップの凶悪度も増していく。序盤のうちに,ある程度本作の“クセ”を学んでおこう。
また,スイッチを踏むと遠くから大岩が転がってくるという,本作で最も危険なトラップがある。岩の転がる速度は,アレスの歩く速度よりも速く,身を隠す場所を見つけられないと岩の下敷きになってあの世行きだ。
なお,落とし穴などはジャンプで飛び越せるが,モンスターも同様にジャンプで飛び越せる。狭い一本道で敵に挟まれたら,どちらかの敵を飛び越し,地形を利用して1対1の状態に持ち込むことが重要。生き残るための秘訣として覚えておくといい。
壁にかけられた石版には,その先で待ち構える“何か”のヒントが記されている。どのような意味なのかを考えてみよう |
写真のような少女の霊や,罠によって動けなくなった冒険者など,場所によってはNPCが登場することも |
魔法を上手く使い分けて剣の耐久度を節約
パラメータの上げ方にもこだわってみよう
指輪には,炎/雷/氷の魔法属性が設定されている。炎の指輪は前方に飛んでいく火の玉を発射でき,怒りの指輪は自分の周囲への落雷攻撃,氷の指輪は敵の動きを一時的に止める効果が発動できる。
どれも大量に手に入るわけではないが,武器の耐久力を節約するためにも,近接攻撃と合わせてバランスよく使っていきたい。ある程度ゲームを進めて所持金に余裕ができたら,お店で魔法を買うようにするといいだろう。
ちなみに本作では,アレスの取った行動や,受けた攻撃に応じてパラメータが上昇していく。基本的には剣を使うので腕力(STR)が上がりやすいが,魔法を使えば知力(INT)が,魔法攻撃を防御せず受ければ魔法耐性(MGR)が上がっていく。なお,STRを上げれば近接攻撃の与ダメージが増加し,INTが上がれば魔法の与ダメージが向上する。MGRが上がると魔法攻撃の被ダメージが減るという仕組みだ。
ともあれダークレヴナントでは,主人公一人で黙々とダンジョンを進んでいくので,パラメータの成長は重要だ。何度も復活する敵を利用して積極的にパラメータを鍛えるというのも,立派な攻略法の一つといえるだろう。
徐々に攻撃がいやらしくなるボスモンスター
本作では,エリアごとにボスモンスターが配置されており,アレスの行く手を阻んでいる。分身して攻撃してくる魔道士や,いくら殴ってもダメージを与えられないほど硬く巨大な蜘蛛などが登場し,それぞれ効果的な倒し方が異なる。攻略法を見いださないかぎり苦戦は必至だ。
……が,ボスモンスター部屋の扉は,基本的に開いたままになっており,戦闘中に外に出てもボスが追いかけてこない仕様になっている。危なくなったら外に出て,ゆっくり回復して再チャレンジができる。
PSP版ではドーラ・ドロンを操作できる。
まったく違った視点で迷宮から脱出しよう
ゲーム中に現れる女魔道士“ドーラ・ドロン”は,師匠をアレスに殺されたため,アレスに並々ならぬ恨みがあるという人物。ストーリー序章を確認すれば分かることだが,アレスを発見したドーラが魔法を放ち,地面が砕けてしまい,アレスは(そしてドーラも)地下迷宮に落下してしまったのだ。
ともあれ,アレスを付け狙う彼女とは,冒険中に幾度となく出会うことになる。
基本的にドーラは,常にアレスよりも先に進んで待ち構えており,出会うたびに襲い掛かってこようとしては,トラップにひっかかって妨げられてしまう。こういったやりとりは,ストイックな本作において数少ない癒し要素なのだが,ドーラのドジっぷりが攻略のヒントになっている場合もあるので,しっかりとチェックしておこう。
そんなドーラも,特定の条件を満たすことでプレイヤーキャラクターとして使用でき,ストーリーをドーラ視点で進められる。どうやったら使用可能になるのかは伏せておくとして,ドーラ編は攻略難度が格段に高く,イヤなトラップがたっぷりとしかけられている。実に手強い冒険が楽しめるので,腕に自信のある人にはぜひプレイしてもらいたい。
なお,本作のBGMはPC版のオリジナルサウンドと,jdkバンドによるアレンジサウンドが収録されており,設定画面でいつでも切り替えられるようになっている。ゲームミュージックファンは,このあたりにも注目してほしい。
ダークレヴナントを実際にプレイしてみて思ったのは,その絶妙なゲームバランス。ちょっときついかな……という場面に遭遇しても,あれこれ工夫することで何とか攻略できるケースが多いので,プレイの止めどきがなかなかやってこないのだ。
PSP版で初めてブランディッシュシリーズを遊ぶという人にとっては,アレス編だけでも十分なボリュームが感じられるだろう。そしてドーラ編に関しては,PC版を隅から隅まで遊んだというゲーマーにとっても,かなり手応えのある冒険が楽しめるはず。視点が変わるだけで,ゲーム展開やストーリーの内容も大きく変化するので,やり込み派ならずともプレイしたいところ。本稿を通じて少しでも興味がわいたという人は,懐かしくも新鮮な「ブランディッシュ 〜ダークレヴナント〜」を,ぜひとも楽しんでほしい。
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ブランディッシュ 〜ダークレヴナント〜
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