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  • 発表日:2009/01/08
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CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート
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印刷2009/01/29 21:27

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CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート

画像集#002のサムネイル/CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート
 AMDの日本法人である日本AMDは,2009年1月29日,東京都内で2009年度の事業方針説明会を開催した。「日本法人の各部門トップが一堂に会し,それぞれ“持ち場”について述べる」という,毎年恒例の説明会だが,すでに市場投入されている「Phenom II」に加え,AM3プラットフォームへの移行,新しいノートPC用CPU,そして気になる次世代GPUなど,今年のAMDは明るいニュースが多そうな気配だ。
 今回はそんな同社の説明会から,ゲーマーとして気になるところを中心に,ピックアップしてお伝えしたいと思う。


「生き残っていける企業には明確な存在理由が必要

そして,CPUとGPUの先端技術を持つのはAMDだけ」


吉沢俊介氏(日本AMD 代表取締役社長)
画像集#003のサムネイル/CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート
 冒頭,挨拶に立ったのは,日本AMDの吉沢俊介代表取締役社長。氏はまず2008年を振り返りつつ,最大のトピックとして,「ファブレスへの移行」を位置づけた。
 2008年10月7日の記事でお伝えしているとおり,AMDは先に,半導体製造部門を分社化すると発表している。Intelと戦うに当たってファブ(=製造工場)を保持し続けていた同社が,ファブレスの(=製造工場を持たない)ビジネスモデルへと転換したのは,AMDのみならず,半導体業界全体にとっても大きなニュースだったが,吉沢氏は,「(ファブレスへの転換により)プロセッサアーキテクチャの設計やマーケティングに集中できる」と,そのメリットを強調。また,アブダビ首長国の政府系投資会社と合弁して設立した「The Foundry Company」について,「まもなく,その正式名称とともに,発足を発表できるだろう」と予告する。

2009年には「NVIDIAの牙城となっている」(吉沢氏)ワークステーション向けグラフィックス市場に,ATI FireProで切り込むという
画像集#004のサムネイル/CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート
 また,2008年下半期に生じた景気の後退について,「この状況で生き残っていける企業には,明確な存在理由が必要だ」とし,続けて,

  • x86プロセッサのIP(Intellectual Property,知的所有権)と開発技術を持つ企業は,世界に2社しかない
  • 先端グラフィックスのIPと開発技術を持つ企業は,世界に2社しかない

としたうえで,いずれも,2社のうち1社がAMDであるとアピールする。
 「x86は,5年後には世界で唯一の汎用プロセッサアーキテクチャになる。x86プロセッサのマーケットはIPで守られていて参入障壁が高く,x86プロセッサの開発はこの2社で続けられるだろう。x86プロセッサとGPUという,二つの(PCに関連したコア)技術を提供できるのはAMDだけだ」(吉沢氏)。
 ――AMDの「明確な存在理由」は,この点にあるというわけである。VIA Technologiesの存在を忘れている気はするが。


Netbookと“一般的なノートPC”の間を埋める

Yukon/Congoプラットフォーム


土居憲太郎氏(日本AMD マーケティング&ビジネス開発本部 コンシューマープロダクトマーケティング部 部長)
画像集#005のサムネイル/CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート
 さて,サーバー部門などの戦略説明に続いて登壇したのは,4Gamerでも“兄貴”としてお馴染みの土居憲太郎氏だ。土居氏はまずデスクトップ&ノートPCのロードマップを示し,「まもなくSocket AM3に対応したCPUが登場する」と予告。当面の間,プラットフォームそのものに変化はないとしながらも,「今年後半には,新しいチップセット『RS880』(開発コードネーム)を投入し,さらにGPUも次世代へ移行する」と,Dragonプラットフォームが,いわば第2世代とでも呼ぶべきものへ切り替わるとする。
 また,Phenom IIについては,AM3への移行だけでなく,TDP 65Wの低消費電力版を展開する予定であるとし,「さらなる低消費電力版も計画している。順次,新しい製品を投入していく」(土居氏)。Phenom IIの好評を受けてか,鼻息も荒い。

土居氏の示したプラットフォームロードマップ。内容的には,1月10日に秋葉原で開催されたエンドユーザー向けイベントから変わっていない
画像集#006のサムネイル/CPUとGPUを持つAMDには,明確な存在理由がある――日本AMDの2009年事業方針説明会レポート

 また土居氏は,Netbookの登場によって様変わりしたノートPC市場に話題を移し,メールやWebブラウジングが主な用途になっているNetbookと,15.4インチ液晶ディスプレイサイズが主流の“メインストリームノートPC”の中間を狙うプラットフォームとして,「Yukon」(ユーコン)と「Congo」(コンゴ),二つの開発コードネームを紹介した。
 ざっくりまとめてしまうと,YukonやCongoは,NetbookがノートタイプのPCで想定される販売価格を一気に下げた結果,主流のノートPCとの間に大きな価格差が生まれたので,そこを埋めようというものである。

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YukonとCongoは,ネットブックとメインストリームの間に生まれた大きな隙間を狙うプラットフォームだと土居氏
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YukonやCongoは「1.5台めの(ノート)PC」になると,土居氏は持論を展開する
 Yukonは,シングルコアの「Athlon Neo」(開発コードネーム「Huron」)と,RS690Eチップセットを搭載し,低価格のモバイルノートPCを実現する製品だ。一方のCongoは,デュアルコアのAthlon Neo(開発コードネーム「Conesus」)にRS780Mチップセットを組み合わせ,Avivo HDをサポートするプラットフォームになる。
 土居氏は説明会で,Yukonプラットフォームに「ATI Mobility Radeon HD 3410」GPUを別途搭載したHewlett-Packard製ノートPC「Pavilion dv2」の試作機を手に,三洋電機から発表された「AMD HD!エクスペリエンス」プログラム対応の新型デジタルビデオカメラ「Xacti」で撮影したという720pのビデオファイルを,滑らかに再生するデモを披露。「薄型で軽量,そしてHD! Experience。まさにメインストリームのノートPCとNetbookの間に,Yukonはヒットしてくるのではないか」との見解を述べていた。
 「1台めのノートPCとして使えるパフォーマンスと,2台めのノートPCとして使えるモビリティを持」ち,「家族で共用するPCはあるが,自分のPCは初めて」という人に向く,「1.5台めのPC」になるのではないかとは土居氏の弁だが,全体として,狙い自体は悪くない。

デモに用いられたPavilion dv2の試作機(左)。ATI Mobility Radeon HD 3410のUVD(Unified Video Decoder)を用いたビデオ再生を行うことで,(土居氏が説明会の直前にXactiで撮影したという)720pビデオ再生時のシングルコアCPU負荷は10%以下に留まっている
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LoiLoは,AMDのパートナーとして登壇し,ビデオ編集ソフト「Super LoiLoScope Moon」を発表。「ビデオ編集ソフトとして世界で初めてUVDを活用」(LoiLo)し,フルHDビデオを快適に再生しながら編集できるという。ちなみにダウンロード販売が始まった同社のWebサイトによれば,PureVideo HDにも対応しているようだ
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 10万円を大きく下回る薄型ノートPCで,H.264フォーマットのビデオを快適に再生できるというのは,なかなかインパクトが大きい。また,Congoならチップセット側のグラフィックス機能そのまま,あるいはYukonでもATI Mobility Radeon HDを搭載すれば,カジュアルに3Dゲームを楽しめる安価なノートPCとなり得る可能性を秘めており,ゲーム用途という観点からも,なかなか面白そうな存在といえる。

 総じて,土居氏の説明は,ノート全盛となっている日本のPC市場を意識したものとなっていたが,PC市場,とくにゲーム用PC市場において,2009年のAMDは目を離せそうにない。こと,コストパフォーマンスという面では,デスクトップPC,ノートPCを問わず,AMDが主導権を握るのではないか,という期待すら抱かせるほどだ。とりあえずは,近日と予告される,AM3パッケージのCPUを待ちたい。

サーバー関連では,2008年第4四半期にリリースされた,開発コードネーム「Shanghai」こと新型Quad-Core Opteronの性能と省電力性がアピールされ,さらに,6コアCPU「Istanbul」(開発コードネーム),そして次世代プラットフォーム「Fiorano」(同)のリリースが予告されている
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